茶餐廳(チャーチャンテン)インスタントラーメン特集
茶餐廳で香港式に進化をとげたインスタントラーメン・メニュー
「B級グルメ天国」とも言われる香港。街を歩けば、必ずお目にかかる茶餐廳(チャーチャンテン)は香港の大衆的喫茶レストランだ。メニュー数が多いことも特徴の茶餐廳では、インスタントラーメン(公仔麵)もお手軽人気で、メニューの中に一つのジャンルを確立しているほどだ。前号488号でご好評いただいた「ラーメン特集」で紹介しきれなかった、茶餐廳インスタントラーメン・メニューのいくつかを、編集部が身体を張り、あえて主観を交えつつレポートする。
湯麵「出前一丁」のブランド指定は4ドル増し!トッピングが多彩すぎる!!
茶餐廳でポピュラーなメニューとなっている「公仔麵(ゴンヂャイミン)」。実際のところドールブランド(*註)のものが使われているのかどうか定かではないが、公仔麵と言えばインスタントラーメンの総称という意味合いらしい。これを「出前一丁(チョッチンヤッディン)」に“グレードアップ”すると値段はHKD3~4増しとなる。出前一丁と言っても香港製のものだ。味はその差額ほど違うのかというと、どちらも似たような物(なぜか『ごまラー油』の香りがない!)。いずれも家庭用に販売されている袋麺なので裏面に記載されている「作り方」通りに調理すれば安定した味を供給できるわけだが、どうも厨房内では「ルール無用のオレ流調理」が密かに行われていると、編集部では睨んでいる。店によって(あるいは日によって)その味は微妙に違うのだが、なぜか総じてスープの味は薄め…。そして、香港茶餐廳の“ナイデンテ”なスパゲッティー(意粉)を経験したことのある人なら誰しも危惧するであろう麺のゆで加減は、意外にも「硬め」が一般的だ。
トッピングのバリエーションはいたって豊富。目玉焼きやハム、ベーコン、ソーセージなど、一人暮らしの学生が思いつきそうな具材はもちろんの事、ランチョンミート、手羽先、サテー味牛肉、ポークソテー、雪菜(広東の高菜漬け)、回鍋肉などなど、香港ならではのラインナップがずらりと並ぶ。選んだ2種類を組み合わせて注文できる店も多い。また、スープをとんこつ味(猪骨湯底)に換えられる店もある。
最もオーソドックスな(?)トッピング、目玉焼きとソーセージ。この店は茹でキャベツもデフォルトだ。麵は「バリ硬!」HKD25(發記茶餐廳:佐敦)
「早餐(朝食セット)」にも公仔麵。沙牛肉(サテー牛肉)麵に菠蘿油(パイナップルパン・バター挟み)、熱奶茶(ホットミルクティー)のセットでHKD25(聯華茶餐廳:西營盤)
海苔や鰹節、ふりかけなど和風のトッピングだがメインはなぜかスモークダック(許留山:油麻地)
撈麵、汁なし即席麺は香港の国民食!濃い味が好きな方におススメ!
ソースと茹でた麺を一緒に混ぜただけの汁なし麺「撈麵(ロウミン)」。スープと麺の伝統的なラーメンからかけ離れているが、香港では多くの茶餐廳で提供している。即席麺を好む香港人の中で特に人気が高いものが出前一丁を使った撈麵、略して「撈丁」だ。さまざまな味がある「撈丁」は、大きく分けてオイスターソース味と出前一丁のオリジナル味という2つに分類される。スープ麺と異なり、撈丁は味が濃く、時に油っこい。目玉焼き、ソーセージ、豚ほほ肉、叉焼、チーズをトッピングすることがあるが、特に豚ほほ肉はジューシーで人気がある。
鹿児島風猪軟骨撈即席麵(鹿児島風豚軟骨のあえインスタントラーメン)。鹿児島出身の方に感想をうかがいたくなる。HKD46(翠華餐廳:佐敦)
炒麵、「やきそば」もいろいろ。油っこさは一級品!
ゆでた麺を日本流にいえば「鉄板焼きそば」風に炒めたもの。これちらも、カレー風味の「星州炒麵(シンガポール風焼きそば)」など、思い切ったバリエーションが豊富に揃う。
牛扒煎蛋撈出前一丁芝士忌廉汁(牛ソテーと目玉焼きの汁なし出前一丁・チーズクリームソース)。
たま~に食べたくなってしまう、こってり味の変わり種撈麵。HKD40
(三洋餐廳:油麻地)
鐵板猪扒即席麵(ポークソテーとインスタントラーメンの鉄板焼き)。ボリュームは160点。HKD64(翠華餐廳:佐敦)