心に残るあの味【私たちの思い出グルメ】
幼い頃、母親に手をひかれて食べたあの味、友達と学校帰りに空腹を満たしたローカルフード、食べ物の数だけ私たちには思い出がある。今回は香港で幼少期を過ごし成人した方々にインタビューし、それぞれの思い出を振り返ってもらった。
日系企業の用心棒「東洋警備(香港)有限公司」取締役。創業者であり香港柔道館の創立者でもある父・武夫氏と、香港人の母の間に生まれ、生粋の香港っ子として育つ。岩見さんは大のラーメン好きとしても知られ「松壱屋」推しだが、最近は健康のために控えめにしているという。
雞蛋仔 ガイダンジャイ
「雞蛋仔」は物心ついた時から好きでしたね。素材はワッフルと同じなのですが、この独特な形と、外はカリカリで中はふわふわな食感が大好きです。
今でも自分用に買うことがあるのですが、幼い頃食べた食感は今よりもっとふわふわしていたと思います。当時はカート式の屋台で売っていましたよ、なつかしい光景ですね。
山楂餅 サンジャアベン
昔からパッケージもそのままの、香港人に長く愛されているお菓子です。漢字では餅と書きますが、お煎餅のように薄くサクサクっとした食感が特徴です。漢方をよく飲む香港では、口直しとして用いられ、色は淡い赤色で円盤のような形をしています。よく母が買っていたのを覚えていますよ。
臭豆腐 チャウダウフ
幼い頃はとてもじゃないですが、匂いも嗅ぎたくなかった一品なのですが、中学生の時に初めて食べるとそのおいしさにはまってしまいました。一般的には揚げたものが主流ですが、通の方には蒸した臭豆腐もおすすめです。とにかく匂いのパンチ力がものすごいんですよ。お店には甘辛ダレと辛いタレを置いていることが多いですが、僕はいつも辛いタレをかけ、匂いと辛味を楽しんでいます。
砵仔糕 プッチャイコー
これも街中の屋台のおじさんが売り歩いていました。味としては地味なので、そんなに好きと言うわけではなかったですけど、よく目にするものでしたね。もち米の粉を使い蒸し器で作られるため、もちもちっとした食感が特徴です。砵仔という小さいお椀に固めて売られていたから、このような名前なんですね。串に刺して提供してくれるお店も多いですよ。
龍鬚糖 ロンソウトン
水飴を引き伸ばして作った中国の伝統的な菓子です。龍鬚糖は外はふわっとシルクのようで、中にはゴマやピーナッツ、ココナッツなどが入っています。香港人にとっては駄菓子のような存在で、プレゼント用の手土産や自宅用に買うことが多いですね。このほのかな甘さと、口の中でとろける食感がいいんですよ。
アイスキャンデー
今ではレトロなアイスクリーム屋のヴァンを街中で見かけますが、当時は屋台のアイスキャンデー屋が多かったんです。当時、僕の通う学校のそばまで屋台を押して売っているおじさんがいたんですよ。ぶっきらぼうな人だったので、特に言葉を交わしたことはないのですが、いつもその屋台とおじさんが見えると安心する景色でした。
杏仁豆腐 ハンヤンダウフ
よく自宅で母が作ってくれたなつかしのスイーツです。外で売られているものより甘さひかえめで、家族の健康を考えた優しい味でした。食物繊維が豊富で抗酸化作用のあるアーモンドは香港人の大好物です。杏仁クッキーもよく食べた記憶がありますよ。
姉のKotoeさんが10歳、妹のFusakoさんが6歳の時にシンガポールから香港へ家族で移住。食べることが大好きという二人に、学生時代に食べたなつかしの味について語ってもらった。
NY州弁護士&ファッションブランド「MALOA」ファウンダー Kotoeさん
香港で小学・中学を、イギリスで高校時代を過ごし、大学はアメリカへ。卒業後はNYで弁護士として活躍した後コロナの時に東京へ。2024年に高齢者向けファッションブランド「MALOA」を友人と共同で立ち上げる。現在リーダーシップコーチングの資格の勉強中。
Kotoeさんのおばあさんが着やすい服を創りたい、起業のきっかけはそんな想いから。
Instagram@maloaofficial
雙皮奶 シャンペイワイ
13~14歳の頃から、自分のお小遣いで友達と食べに行くようになりました。学校でラグビー部に入っていたのですが、練習後ユニフォームのままハッピーバレーの行きつけのお店に行くことが多かったですね。日本語でいうと牛乳プリンですが、お店で温かいものと冷たいものが選べるんです。
湯意粉 タンイーフェン
朝ごはんの定番「マカロニスープ」。イギリスでボーディングスクール時代にこの味が恋しくて、よく自分で作って食べていました。ホッとする味ですよね。
湯圓 トンユエン
家族と一緒によく行く店がハッピーバレーにあったんです。私が18歳で車の免許を取った時に、練習のために兄弟を乗せて、みんなでこの湯圓を食べに行った思い出があります。
小籠包 シウロンバオ
部活のチームが体育会系のノリで、ゲームに負けた人は、できたての小籠包を食べなきゃいけないという罰ゲームをよくやっていましたね。今思い出しても笑っちゃいます!
Sotheby’s アドバイザリー Fusakoさん
馬拉糕 マーライガオ
毎週土曜日のバレエリハーサルの前に友達と食べに行くことが多かったです。スポンジケーキの馬拉糕が大好きで、1 バスケット平気でたいらげてました。みんなバレリーナなのに食欲がすごかったんです。
焼売 シウマイ
レッスンの合間に道端でよく買って食べました。当時HKD12と安くて、定番おやつでしたね。その他にもバブルティーにはまったことがあって、バレエの先生にしか
られたことも(笑)。7~19歳までバレエを続けてきましたが、怪我もありましたけど食べることが好きだったので、バレエを辞めたあとはホッとしましたね。
皮蛋痩肉粥 ピーダンサウジュクジョ
香港のお粥の中ではこれが本当に大好きで、こればかりオーダーします。このメニュー名の広東語しか知らないくらいです(笑)。
- 家族では秋の定番「上海蟹」を夜上海 へ食べに行ったりと家族仲もとてもいい。