ECO特集~人と環境について考える~ Part 10
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世界各国の現地経済情報を配信している時事通信社の豊富な情報量から、今回は”ECO”に関連した今年一年間のアジア情報見出しをPPW編集部が独自にピックアップ、7トピックからベストランキング3を“勝手に”選出してみました!
時事通信社の特派員がエコを斬る!
【特派員リポート】「省エネ」「食の安全」に照準=日本企業、ベトナム消費者の変化に呼応 ハノイ支局冨田共和(2018年6月27日掲載)
ベトナムはここ数年、東南アジア諸国でも際立った安定成長を続け、都市部の生活水準は着実に向上している。日本企業の間で、そうしたベトナムの変化に呼応する動きが出てきた。今後、消費市場の中核を担う存在となる都市部の中流層が重視する「省エネルギー」や「食の安全・安心」に照準を合わせた事業展開が目立ち始めている。
◇電気代を節減
ベトナムのエアコン普及率は現在3割、2020年に4割と見込まれ、市場拡大の余地が大きい。空調大手のダイキン工業は、北部フンイエン省に建設した工場で今春、住宅用エアコンの製造を始めた。当初は年50万台、2年後には100万台を生産する計画だ。
ベトナムは電気代が高く、中流世帯では月収の3割前後が電気代で消えているという。微妙な温度調節を可能にして運転効率を高めた「インバーターエアコン」に強みを持つ同社は「(購入価格が高くても、電気代の節減により)3年で元が取れる」(冨田次郎副社長)として、省エネ志向の消費者にアピールする構えだ。
さらに、気候が多湿で、都市部では細長い構造の家屋が多いといった実情に合う製品の投入や、将来は「ベトナム専用機」を開発する可能性もあるとしている。
日本で注文住宅の供給などを行っているヒノキヤグループは、最大商都ホーチミン市で戸建て住宅を建設・販売する。地元企業と協業に関する契約をこのほど結び、土地を確保した上で来年、約50戸の低層住宅に着工、ベトナム人向けに分譲する。
ベトナムで断熱材を使った住宅は少なく、気密性も十分とは言えない。空調システムの特許を持ち、断熱材にも強みを持つヒノキヤは、日本で培った技術やノウハウを生かして「『省エネ型住宅』を造って貢献していく」(幹部)考えだ。
1年を通じて暑いホーチミン市では、エアコンの運転時間が長い。ヒノキヤが供給する住宅は「電気代を節約できる上、室内できれいな空気を循環させる」(同)点が特長という。
◇「食の安全」に役立つ
16年春、中部ハティン省の製鉄所から出る廃水で魚が大量死して以降、ベトナムの人々の間で「食の安全」を求める意識が高まった。そうした中、「日本の食品や食材は信頼されている」(日本貿易振興機構ハノイ事務所)ことを追い風ととらえ、ベトナムでの拡販を目指す日本の食品・農業関連企業は少なくない。
種子大手のサカタのタネは1月、ハノイに100%出資の子会社を設立した。所得増や生活様式の変化で野菜の消費量が伸びると見込まれるベトナムで、キャベツやブロッコリーなどの種子販売、農家への栽培指導に取り組む方針だ。
坂田宏社長は、「食の安全」に関して「(野菜の)国内生産の比率を高めるのが良いのではないか」と指摘。栽培方法や肥料の成分、流通経路を把握しやすい国産野菜を増やすことが消費者の安心感につながるとして、同社の事業がベトナムに役立つとの考えを強調した。(了)
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