ECO特集~人と環境について考える~ Part 1

2018/10/10

香港の電力資源について東京と香港の資源を比較しながら考えてみる

 

香港の電力資源は今どうなってる?

日本と香港の一般家庭における電気について

日本には電気事業者が数多く存在し、携帯電話大手のソフトバンクやauをはじめ、東京ガスやエネオス、旅行会社のHIS、東急電鉄など電力事業に参入した他業種企業は少なくない。電気代は消費電力以外にも居住地区や利用する業者次第という側面があり、複数年契約によって顧客の囲い込みを図っている。

一方、香港の電気はCastle Peak等を管轄するCLP Power Hong Kong Limited(以下、CLP)とThe Hong Kong Electric Company Limited(以下、HKE)の私有電力会社2社によって供給されている。垂直統合型の事業者である両社は発電所や送電及び配電網を含む独立した電力供給チェーンを所有・運営、各地域の顧客にサービスを提供している。

CLPは主にCastle Peak発電所とBlack Point発電所から九龍島と新界へ、HKEは鴨脷洲(アプレイチャウ)発電所と南丫島(ラマ島)発電所から香港島内へ電気を供給している。

電力会社2社の総設備容量は12,645MW、電気消費者総数は約300万、CLPは約80%でHKEは約20%の割合になっている。2013年の電力消費量は約430億kWh、合計最大電力需要は9,100MWで、送電ベースの燃料バランスで見ると石炭による火力が約57%、天然ガスが21%、大亜湾原子力発電所(DBNPS)の原子力が22%となっていた。

家庭用電気の使用量は全体の24.9%、非家庭用の使用量が全体の75.1%を占めている。香港在住の方に話を聞いてみると、4人家族の1ヶ月あたりの電気利用料は大体HKD1,200程度だという。香港市民の省エネ意識を高めつつ、電化製品を購入する際に省エネ性能が高い製品を選ぶことができるように香港政府では、エアコンや冷凍機器、照明ライト、洗濯機、除湿機、テレビ、蓄積型電気温水器、誘導調理器等を対象に製品のエネルギー効率をラベル表記するよう規則を定めている。(MEELS)

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企業で取り組む節電

省エネ事務局の電気機械サービス部では上手に省エネするポイントを紹介している。

(1)夏季の空調室温は24℃~26℃に設定、維持する
(2)使わない事務機器、充電器やアダプターは電源を切るまたはプラグを外す
(3)長時間の待機状態を避けるために、タイマー制御や自動スイッチオフ機能のある機器を使用する
(4)エネルギー効率の良いOA機器を導入する
(5)OA機器の定期的なメンテナンスを行い、エネルギー効率を保つ
(6)事務所退出の際は空調・照明・OA機器の電源がオフになっていることを確認する

 

空調に関しては、以下5点を推奨している。

(1)オフィスや会議室の使用後は空調の電源を切る
(2)節電ステッカーを使用、使用頻度の低いエリアの空調をセンサー等で自動制御する
(3)会議室の窓やドアを閉めてカーテンやブラインドを使用。空調効率を高める
(4)不要な照明器具や熱器具の使用を控えて空調負荷を減らす
(5)温度計を設置して過度の冷却を避けることまたファンコイルユニットを設置して低速稼働させ、空調負荷を減らすのも効果的だ。またダストフィルターとファンコイルユニットは定期的に清掃を行い、省エネ効果を下げないよう努める必要がある。

 

照明に関して

(1)作業灯を使って一般照明を最小にする
(2)蛍光灯をLEDにする
(3)照明を減らして照明リフレクターを設置する
(4)照明性能を保つために窓と電球、照明器具を拭く

 

オフィス機器に関して

(1)勤務時間外は一部FAXに着信を転送して他は電気を切る
(2)送信時に表紙でなく付箋を使用する
(3)性能アダプター等を使用し、使用しない時間のモニターやプリンタを自動オフする

自分自身の身近にある行動を意識していくことで効果的な節電を行うことができる。実際に待機状態のプリンタを一晩中放置しておくとA4サイズ700枚が印刷可能な電力を消費するというから驚きだ。

 

 

香港の電源設備

Capture_P08 eco_663-01_2香港島とラマ島に住んでいる57万人の市民に電力を供給しているラマ発電所では、250MWの石炭火力発電所が1基、350MWの石炭火力発電所が5台、55MWのガスタービンが1台、125MWのガスタービンが4台、335MWのコンバインドサイクルユニットが1台、345MWのコンバインドサイクルユニットが1台、800kWの風力タービン一基と1MWの太陽光発電システム一基が稼働している。

2006年と2010年、環境に配慮した天然ガス発電所の拡張が行われ、現在では電力の約3割は天然ガスによって発電されている。

香港初の試みである風力発電は毎年約100MUのグリーン電力を生産し、平均800tのCO2排出量を相殺する。都市最大の太陽光発電システムは従来型に比べて発電効率が高く、シリコン消費が少ない環境負荷に配慮した発電形式を取り入れている。また風力発電所内では風力・太陽光発電等の再生可能エネルギーに関する資料を閲覧することが可能だ。

 

 

持続可能な電気開発と香港の将来計画

CLPは最新のエネルギー効率技術と機器についての発表を行った。その1つが、水を直接加熱する従来の温水器と異なり、空気、水、太陽光、地熱から熱エネルギーを得る技術を使った電気温水器の『エコ・ソース』である。コンプレッサーにより屋外の空気熱を熱交換器を介して水に注入する同機器は、発電時のCO2排出量を削減できるだけでなく、従来に比べて消費電力を約6割節電でき、燃焼が起こらないため安全性が高い。現在、香港環境局および環境保護局では合理的な価格で信頼性の高いエネルギー供給を確保して効率的で安全な使用を促し、エネルギー生産と使用による環境負荷を最小限に抑えるグリーンエネルギーマネジメントに取り組んでいる。今後も、環境負荷の少ない発電等のエネルギー規定の構築によってエネルギー消費を削減し、カーボンフットプリントの普及やエネルギー効率の高い製品利用が求められていくに違いない。

 


公式サイト EMSD (Electrical and Mechanical Services Department) より参照
ウェブ:www.emsd.gov.hk www.epd.gov.hk

 

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