歴史的建築物特集4・「竹の足場」を使った建築方法
搭棚 竹の足場 摩天楼の街は「竹」で作られた?!香港を語るうえで外せない独特の景観
香港の街を歩いていると、至るところに「竹の足場」を見かける。現代的な高層ビルの建設現場と対照的に、竹で囲まれ、かなりの高所で命綱一本の男達が軽々と作業を進める、一見“原始的”とも思える様子に驚いた人も多いだろう。初めてこの光景に出会うほとんどの香港旅行者が「あれは何?!」と指差すほどだ。
これらは建築学と力学に則った伝統的な建築方法なのだ。「搭棚(タッパァン)」と呼ばれる足場のルーツは、漢時代までさかのぼる。当時、中国の伝統演劇(京劇)を移動式テントで上演しており、舞台の組み立てや修理のしやすさから、竹製の足場が使用されていたという。現代においても、竹製はスチール製やアルミ製と比較してコストが低く抑えられ、重量も軽く、必要な長さ・幅にカットしやすいというメリットがある。また、足場を組む職人になるためにはライセンスが必要となっており、熟練された職人技にも支えられている。建物が密集した香港において、竹の足場は欠かせない存在なのだ。
まだまだある!その他の香港歴史的建物もリストアップ!
■舊上環街市(西港城)
Western Market,Sheung Wan(1906)
1906年に2階建ての政府機関として建てられたウェスタンマーケット。そのレンガ作りの美しい建築様式は、エドワード式といわれビクトリア朝後期の様式で、現在の建物は、1991年に改修され、芸術作品やファブリック用品などを販売している。花崗岩のアーチをくぐって中に入ると、いっきにタイムスリップした感覚が味わえる。
住所:323 Des Voeux Rd.Central.,Sheung Wan
■甘棠第
Kom Tong Hall(Dr. Sun Yat-Sen Museum)(1914)
1914年に建てられた「Kom Tong Hall」は、最初のオーナーであった有名な実業家Ho Kom Tongから名づけられたもの。20世紀の初頭、ミドルレベルストリートの両側には、その地区を特徴づけるため2~3階建ての西洋式の建築物が並んでいた。当時、同ホールは唯一の中国式ホールであり、重厚感がある建物そのものが実業家のリッチな生活を物語っている。2004年に香港政府により再建され、「孫中山記念館」となった。
住所:7 Castle Rd.,Mid-Levels,Central
■大夫第
Tai Fu Tai Mansion(1865)
元朗に近い新田にある「Tai Fu Tai Mansion」は、1865年の清王朝時代に立てられた高級住居である。オーナーは、清の皇帝より「大夫」という称号を得た学者・Man Chung-Luen(文頌鑾)氏。合院式建築が取り入れられている建物は、香港で最も美しい伝統的な中国建築の1つだといわれている。
住所:Wing Ping Tsuen,San Tin,Yuen Long
■中國銀行大廈
Bank of China Building(1951)
1951年、HSBC本社の隣に中国銀行のビルが建設された。上海にある中国銀行本社とほぼ同じデザインで作られており、デザインそのものは、HSBC本社と同じく建築家パーマーとターナーによって生み出されたもの。竣工当時17階建ての建物は、隣のHSBC本社より6.5メートルほど高く作られていた。
住所:2A Des Voeux Rd.Central,Central
■中環街市
Central Market (1939)
1939年に政府機関として建てられた中環マーケットは、香港初の生鮮市場として誕生。現在の建物は同じ場所に2代目として再建されたものだ。滑らかな曲線を描くモダンなスタイルが取り入れられ、セラミックのタイルを外壁に用いている。三級歴史建築物に指定されている同建物は、2003年から街市としての機能を停止し、現在「中環オアシス計画」が進行中だ。
住所:80 Des Voeux Rd.Central,Central
■大澳棚屋
Tai O Stilt Houses(18-19 century)
ランタオ島に位置し「香港のベニス」と呼ばれる大澳は、かつて漁業と塩製品で生計を立てる人々が暮らす漁師町だった。木で作られた小さい家にすみ水上で生活している姿が今でも見ることができる。その珍しい建物は、それぞれが相互に繋がっていて、隣人とも温かい付き合いができる。現在でも、干物やシュリンプペーストなどを観光客に販売し生計を立てる人々が暮らしている。
住所:Tai O,Lantau Island