新生活特集5・香港、広東の医療事情
香港、広東の医療事情
海外生活だからこそ特に気になるカラダのこと
もしも大きな病気が見つかったら?家族が怪我をしてしまったら?いざと言うときに慌てないために、普段からの備えは必要不可欠だ。日本とはサービスもシステムも異なる海外の医療事情。香港の医療に精通する健康診断サービス「メディポート」の堀さんにお話を伺った。
海外に住むにあたっての大きな不安要素のひとつが医療であることは間違いない。異国で大きな病気にかかってしまったらどうしようかという漠然とした不安を、誰もが抱えて海外生活をスタートさせる。小さな子供連れの場合はなおさらだ。しかし、香港に住むことは、たとえ外国人であっても医療サービスを受ける側としてはとても幸運だと言い切れる。まずは安心して欲しいと思う。香港の平均寿命が世界でもトップクラスであることは誰もが知っていると思うが、その理由は医療レベルの高さと医療制度にあるといえる。しかも潤沢な政府予算の上に成り立った制度であり、誰もが非常に低額の医療費で必要であれば最高レベルの医療サービスを受けることができるわけだ。実際に10年ほど前に日本人が夫婦間で受けた生体肝移植。レベルは世界でトップであるにもかかわらず、この移植手術での患者負担はたった3万円程度だったという。実に驚くべき低負担だ。
香港にIDカードを所持して居住すると、公立病院が非常に安く利用できる。日本人は待ち時間が長い、サービスが悪い、言葉が通じないなどと悪い面ばかりを強調するが、大きな病気をした時は本当に頼りになる存在となる。救急車で運ばれると、有無を言わさず最寄りの公立病院に搬送される。普段から万が一の時、どのように公立病院を利用するかを具体的に考えておいたほうが良い。もちろん風邪や腹痛など日頃のちょっとした病気には私立のクリニックや病院が便利であることは間違いない。このような施設では日本語のサービスを行っているところが少なくはないので、評判なども聞きながらホームドクターを選んでおくと良いだろう。子供の予防接種もこのような私立の施設で受けることがほとんどであるが、接種タイミングが日本とは違うことに戸惑うかもしれない。郷に入れば郷に従うという姿勢で問題はないが、疑問や不安は必ず質問しておくことが大切だ。
さて、香港で気をつけるべき医療問題であるが、風土病があるわけでもなく基本的には特に心配はないと言ってよい。ただしいくつかの感染症など日本国内よりも感染機会が大きいものがあるので、その対応は考えておきたい。気をつけるべき感染症の筆頭がA型肝炎だ。現在日本では感染リスクがほとんどないが、香港では決して油断できない。貝類はもちろん食物に含まれるウイルスによって感染する。感染しても必ずしも発症するわけではないが、もし発症すると治癒まで1ヶ月はかかる。食欲不振や倦怠感など軽い症状に始まり、間もなく立つことすらできなくなる。症状は激しいがワクチンで100%予防が可能だ。予防接種を受けることは保険だと考えたい。
日本では忘れかけている感染症である結核は、新規患者の発生率が日本の4倍ほど高い。つまり感染リスクがそれだけ大きいといえるし、実際日本人の中でも感染して長期に渡って治療を受けた人はそれほど珍しくはない。人口密度が多いので感染リスクはどうしても高くなる。咳が続くなど風邪とはちょっと違うなと思った時には積極的に検査を受けたほうが良い。放置したことによる周囲への影響ははなはだ大きい。
これといった風土病がなく、日本とほとんど変わらない生活が維持できる香港で、最も気をつけなければいけない病気は、実は「肥満」だ。香港に駐在し始める人の多くは20歳台後半から30歳台。この時期は非常に太りやすい時期にあたり、外食の機会が多くなる香港での生活では、体重の増加を特に気にしなければいけない。循環器系疾患のリスクを確実に高くするので、たかが肥満だと侮ることはできない。高齢日本人が極めて少ない香港では、40歳台で亡くなるケースが非常に目立つのだ。食があふれて便利すぎる環境にある香港では、肥満を避けることがもっとも有効な健康管理だと言える。異国で病気になっては困るが、万が一健康を損ねても香港では何も心配はない。ただし香港で受けることができる医療サービスをいかに利用するかは、受益者である我々が普段から考えておく必要がある。
香港でも健康診断を!
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執筆協力:
メディポート 堀 眞さん
総合健康診断サービス
医療・健康の総合コンサルタント
Mediport International Limited メディポート
日本語ホットライン:+852-2577-1568
メール:info@mediport.com.hk
ウェブ:http://www.mediport.com.hk
健康診断のお申込はウェブサイトからもどうぞ。
香港
●アドベンティスト病院 40 Stubbs Rd., Hong Kong Island、+852-2835-0509 日本語ホットライン
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●グレゴリーワイクリニック(総合)Shop P-418, Han King Mansion, 26 Taikoo Shing Rd., Taikoo Shing、+852-2568-0282
●プレミアメディカルセンター Suite 718-33, Central Bldg., 1 Pedder St., Central、+852-3651-1733
●パシフィチェック 19/F., 26 Nathan Rd., TST、+852-3165-8236 日本語ホットライン
●マルチダ国際病院 41 Mount Kellett Road, The Peak、+852-2849-1573 日本語ホットライン
●ラッフルズメディカルセンター(総合)(太古)Suites 906-07, 9/F., Lincoln House, Taikoo Place,979 King’s Rd., Island East
+852-2525-1730
●ラッフルズメディカルセンター 29/F., Li Dong Bldg., 9 Li Yuen St. East, Central、+852-6687-5366 日本語ホットライン
広州
●イーストウエストメディカルセンター(日本人スタッフ常駐)広州天河区天河北路233号中信広場14階1401室
+86-138-2216-9509 / +86-20-3879-7605
●ウェーリスクリニック 広州天河区林和東路200号(IKEA家具後方)、+86-20-3885-1376
●広州万治クリニック 天河北路233号中信広場2501室、+86-20-3877-3123 日本語ホットライン
●大都会国際歯科 広州天河区天河北路183号大都会広場603-4号、+86-20-8755-3380
●カンナム広州加美国際医療中心 越秀区環市東路368号花園大廈5楼、+86-20-8386-6988
深セン
●深セン山田クリニック 福田区沙嘴南道8号嶺南医院1楼、+86-755-8330-9258
●カンナム深セン加美国際医療中心 南山区蛇口南海大道1033号泰格公寓E-0119
●しろもとデンタルクリニック 南山区南山大道1122号鵬愛医療美容医院2楼、+86-755-8622-4459
日々の生活をもっと充実させたいなら!意外と知らないヘルパー、ペット事情
良縁には苦戦がつきもの・・・ヘルパーを雇うには?
主にフィリピン人の住み込みヘルパー(アマさん)を香港では比較的安く雇用できるため、一般家庭でも雇っている人は多い。ただし、安いといっても近年は徐々に金額や条件が厳しくなってきており、現在の最低雇用金額はHKD4,110/月。ほかにも住居や食費を保障すること、週1日は休みを与えること、雇用者費用負担で2年に1度は里帰りさせることなど、様々な取決めがある。また、気になる点は事前に全て確認するとはいえ、人間同士なのでトラブルも絶えない。床用雑巾でテーブルを拭く、家電の使い方を知らないなど細かなものから、盗み癖がある、子供への対応が乱暴、辞めると決まった途端に働かなくなるなどというのは、悲しいかなよく聞く話。さらにご近所のヘルパー同士は連帯感が強いので、家庭の事情が筒抜けになることも…。ヘルパー選びに失敗しないためには、帰国する知り合いからの引継ぎの人、前雇用者と連絡がとれトラブルがなかったか確認できる人などがベター。
住み込みのヘルパーに抵抗のある人はパートタイムで雇うことも可能だが、原則的には鐘點(ジョンディム)と呼ばれる香港人の家政婦さんのみで、フィリピン人などを時間制で雇うことは違法となるので注意が必要だ。当然、費用はかなり割高になる。また、ベビーシッター専用の派遣会社もあり、HKD70/時間ほどで利用できるところもある。日本のように0歳から面倒をみてくれる託児所は極めて少ないが、政府機関の一時預かり所では、HKD64/日、HKD16/2時間で預かってくれる。
日本からも連れてこられるの?近年ブームのペット事情
日本からペットを連れてくるには、マイクロチップの装着や各種健康証明書、香港漁農自然護理署からの許可書などなど様々な手続きが必要となる。また飼い主と同行して輸送することはできず貨物として運ぶことになるため、数ヶ月かかることも。帰国の際も、狂犬病抗体値の証明書などを帰国日の最低40日以上前に提出しなければならず、急な帰任には注意が必要だ。犬や猫の輸送にはざっくり見積もって1匹10万円ほどかかる。近年、犬などのペットを飼う家庭が急増した香港。しかし、まだまだその環境は整っておらず、ペットショップは街のあちらこちらで見られるが、悪質な店も多いので要注意。下記SPCAのような動物愛護団体から譲り受けるのも1つだろう。ペットを飼える住宅は限られており、契約金も割高になることが多く、住民からクレームがあると退去を求められることもあるので、しつけは必須だ。また道路脇に犬専用のゴミ箱や犬用トイレがある場所もあるが、ペットの散歩を禁止している公園も多いので、住宅周辺の環境にも気を配る必要がある。そんななか、ジョーダン(佐敦)にある油尖旺寵物公園やワンチャイ(湾仔)の大坑徑休憩處はドッグランもある広いペット公園で、愛犬をのびのびと走り回らせることが難しい香港では、貴重な憩いの場となっている。また、狭い香港の住宅でも飼いやすく散歩の必要もない人気のペットと言えば、小鳥や金魚だ。モンコック(旺角)の通菜街は通称、金魚街と呼ばれており、大きさも模様も様々な金魚が手に入る。
愛護動物協會(SPCA)
1903年に設立され、現在ワンチャイの本部以外にも約10ヶ所の拠点を持つ動物愛護団体。有料メンバーになることで動物の受け入れが可能。
ウェブ:http://www.spca.org.hk