今から始める、帰国帰任準備特集【教育編】
突然言い渡される帰任辞令。引っ越しの手配は?新しい家はどうする?運用資産の整理は?子どもの学校は?……と、帰国直前になって慌てる人は少なくない。そこで本特集では、今からできる帰任準備をご紹介。第1弾の今回は、お子さんのいるご家庭ではまずいちばんに考えたい「教育」。帰任時期が決まっている人もそうでない人も、帰国後の子どもの進路について、今から真剣に考えてみてはいかが?
本帰国までのやることリスト
□ 日本の学校選び
□ 在籍校の退学手続き
□ 住居の解約手続き
□ 引越し業者/航空券の手配
□ 新居探し
□ 保険の解約
□ 銀行口座/運用資産の整理
□ 携帯電話/ネット回線の解約
□ クレジットカードの解約
□ 退去後のホテル予約
□ 不用品の整理
□ ヘルパーの解約
□ ペット輸送の手配
ほかにも事前に考えておきたいことはたくさんある。詳しくは来月号の特集で!
帰国後の進路
大学未満の子どもの進路先は、大きく分けると、公立校、私立校、インターナショナル校となる。それぞれ詳しくみていこう。
① 公立校
公立幼稚園・保育園・認定こども園への入園
幼稚園の入園は満3歳から。空きがあるかどうかなどは市役所や園に直接問い合わせる。人気園の場合、公立であっても途中入園不可や年度ごとに抽選選抜を実施していたりすることもあるので注意しよう。保育園は0歳から預けることができるが、特に待機児童の多い自治体では、保育園の入園など至難の業。とはいえ近年は幼保一元化が進んでいるため、幼稚園と保育園の機能を統合した「認定こども園」や延長保育を実施する幼稚園なども増えており、帰国後に共働きを考えている世帯にはありがたい。
公立小中学校への入学
学区制が採用されている公立校がほとんどのため、基本的には住む地域の学区の学校に通うことになる。外国からの移住者が多い地域によっては、学校に日本語教師を派遣している自治体もある。同じ地域の公立校であっても評判はさまざまなので、赴任先がすでに分かっている場合は、あらかじめ学区まで絞り込んでおこう。入学に際して、役所で住民登録をしたあとに受け取れる入学通知書を学校へ提出する必要があるが、帰国から入学までをスムーズに進めるために、事前に学校へ事情を説明し受け入れの準備を整えてもらうこともおすすめ。
また現在インター校や現地校に通う子どもも、日本国籍の小中学生であれば日本の教科書を無償で受け取ることができる(教科書は香港日本人学校で受け取り可能)。日本の教育に慣れさせるための事前準備として香港滞在中に入手しておくのもひとつ。
公立高校への進学
出願資格があり一般入試に受かれば進学できるが、一部の自治体では帰国子女入試を導入している公立高校もあり、帰国生へのサポートも期待できる。ただし、学校によっては日本人学校在籍者が対象外であったり、入学後のコースが決まっていたりするので注意。
② 私立校
翌年の帰任が決まっている、あるいは進学のために母子のみ本帰国する予定などの場合、受験シーズンに一時帰国する人が多いが、学校によっては香港で入学試験を受けられることもある。また進学になるのか編入になるのかは帰国のタイミングで決まるが、私立校であっても帰国生の編入を受け入れている学校もある。ただし、随時編入試験を実施し時期に関わらず入学できる場合もあれば、編入は可能だが入学時期は4月や9月と決まっている場合など、学校によって受け入れ体制は異なる。
③ インターナショナル校
近年、首都圏を中心に開校ラッシュが続くインター校。IB(国際バカロレア)、IGCSE(ケンブリッジ式カリキュラム)など教育プログラムもさまざまで、帰国子女のために作られた学校もある。ただし、一部のインター校は一条校(学校教育法第1条に掲げられている教育施設)として認められていないため日本での進学が限定されることもあり注意が必要だ。
進学時期
公立、私立ともに、日本の学校の進学時期は基本的に4月。インター校は9月や8月下旬が多いが、インド系インターや一条校の認定を受けているインターは、4月始まりの学校もある。
帰国生の受験
受験をする場合、日本で育った子どもと同様に入試に挑む「一般枠」のほかに「帰国子女枠」を設けている学校もあり、一般枠に比べて試験科目が少なかったり帰国生の定員数が決まっていたりするため有利な場合が多い。ただし、帰国子女枠は地域や学校によって海外在住期間やインター校在籍生なのかなど受験資格に決まりがあることがほとんどなので注意しよう。学校によって異なるが、帰国子女枠の主な試験科目は国語と数学。面接や作文を実施している学校もあり、入学志望先が決まったら早めに入試対策を進めておく必要がある(詳しくはこちら)。
編入の必要書類
日本の学校へ編入する際に必要となる主な書類は、在学証明書や成績証明書など。入学先によっては、教科用図書給与証明書、児童生徒健康診断票、指導要録写、日本語補習校の記録などを求められる場合もある。日本人学校とは違い、現地校やインター校からはドキュメントを出してもらえないこともあるので、あらかじめ退学時に必要書類を受け取れるのか確認しておくとベター。
子どものメンタルヘルスにも気を配ろう!
海外で長く育った子どもの場合、親にとっては帰国でも、子ども自身には新しい国への移住となる。なかには日本の生活や学校に馴染めず、メンタルに支障が出てしまうケースもあるので注意が必要だ。夏休みを利用して日本の学校へ一時入学させるなど、帰国後の通学イメージを子どもに持たせておくと新生活も順調にスタートしやすいだろう。
episに聞く【帰国生入試】流れとポイント&帰国生受入校紹介
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【英語力キープの秘訣】帰国後のアプローチ
せっかく身につけた英語力が帰国と同時に失われてしまうのは惜しい。しかしどうやって保持させていくべきか、香港で子どもを学校に通わせている親御さんのなかには、帰国後の英語力低下を気に掛けている方も多いのではないだろうか。帰国生のための外国語保持教室を日本で初めて開設した「海外子女教育振興財団(以下JOES)」に、英語力キープの秘訣について伺った。
一時帰国で【短期入学】体験記
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