PPWビジネス通信 × アナシス Vol.29
人事労務のアナシスによる誌上相談会
「アフターコロナのマネジメントは?」
問い:香港も中国も少しコロナの影響が落ち着いてきています(5月12日現在)。アフターコロナのマネジメントにおける注意点はどんなものがありますか?
黒崎:この記事がでるころにはまた状況が変化しているのでしょうね。出版物ですとタイムラグがあるのが怖いのですが、第2波3波にも備えなければならないものの、「アフターコロナ」という局面は必ずやってきます。「Withコロナ」となって行くかも知れませんが。
さてまず、感染症対策の基本方針は「失ってはならないこと・ものは何か」という視点から、「安全性の確保」と「経営の継続性」であったと考えます。そこにもう一つ「社会的責任」というテーマもありました。この三つのポイントはアフターコロナにおいても変わりません。いつまたぶり返すか分からず、引き続きの抜かりない「安全確保」対策は必要です。しかし臨時の対応としてきた在宅勤務やシフト勤務などは、多くの企業で通常に戻っていると思います。ここで気をつけなければならないのは、人によって不安や恐怖感が違うことです。適度なメンタルケアの必要性があり、経営からのそれらメッセージには十分な注意がいるのです。またここで経験したテレワークなどは、リスクマネジメントを再考する中では一時的なものから本格稼働を検討することになっていくのが流れです。コロナ対応で、デジタルトランスフォーメーション(DX)は加速していくでしょう。クラウドシフトなど、現地経営でもアフターコロナを見据えたインフラの整備も組織体制も再考していくことになります。
この「収束期」により重要なテーマとなるのが「経営の継続性」です。リーマンショックを超えるインパクトがあるかも知れないとされる中、コロナ不況・コロナ倒産・コロナ失業などの言葉が歩き始めています。大きなダメージを受けた後にどういち早く復活していくのか。「レジリエンス」という言葉もキーワード化していますが、継続性担保のためには売上を確保し、コストを削減してキャッシュフローをよくしていくことが求められます。政府の支援策・補助金なども有効活用しながら、経営資源の確保と再配分の方法を考えること。現地従業員達は先行きに不安を感じていることが少なくありません。会社はこの先大丈夫なのか。自分たちは解雇されないのだろうか。さらに香港の多くの日系現地法人は、香港の位置づけを再考せよというテーマが与えられています。現地従業員たちもそれを感じ始めているのです。華南もそうなるでしょう。ここでも経営からのメッセージ、あるいはアフターコロナへのビジョンが必要となるでしょう。
コロナ以前に完全に戻ることはありません。今後現地経営に間違いなく起こってくることは、中期経営計画の見直し・今期予算の見直し・リスクマネジメントの見直し。それらから、ビジネスモデルの見直しと人員体制の見直しなどが挙がってくるはずです。今期立てたMBOでの目標設定は、もうずれ始めています。目標も基準も決まっていない中でマネジメントができるのでしょうか。
「そんなことを言っても本社も何も方向性を出せていない」という声があるでしょう。グローバルサプライチェーンはどうなっていくのか。抗議活動が復活するとしたら、香港はどうなるのか…。
出来ることに集中するしかありません。まずこれから必要とされる組織・人材を検討してください。現地従業員に求められること。現地経営層や駐在員に求められること。アフターコロナでは、よりマネジメント能力が求められていきます。テレワークでは、成果目標を部下と握れていないマネジャーは評価ができませんでした。現地に有能なマネジャーがいない組織は、うまくいっていませんでした。言われたことだけをする人材は不要だというマネジャーは多いのですが、マネジャー自身が新しい価値を創造できず、経営課題の先送りをしていたケースも少なくはありませんでした。またテレワークでは言語力・表現力・アウトプットの量も要求されました。コミュニケーション力もより一段高いレベルが必要になるでしょう。
かくして、テレワークという新しい働き方にも対応し、スタッフのメンタルもケアし、しかも複数拠点を束ねられ、新しい価値を創造できるマネジャーが評価されていくことになるのだと考えます。「先送り」はできなくなりますね。
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