編集部AのAI散歩② AI文章はビジネスで使えるか
第1回では、香港でGeminiがVPNなしに使えるようになったことを書いた。あれからGoogle AI Proを使い、GmailやDocsなどとの連携を試してきた。確かに仕事は速くなるが、さまざまな文章を作らせるたびに新たな疑問が出てきた。AIがつくった文章は、ビジネスでどこまで使えるのだろうか。

便利さと信用は別物
Googleのサービスの中でAIを使えるのは便利だ。メールや資料の要点を拾い、形にするまでが一つの流れで進む。一方で、もっともらしい誤りが混じる場面もあり、私の使い方ではChatGPT Plusより確認に手間がかかる印象が残った。
もちろん、これだけで性能の優劣を決めるつもりはない。モデルは更新されるし、得意不得意もある。ただ、仕事で使う以上、「自然に書ける」と「信用できる」は分けて考える必要がある。
文章にもグラデーションがある
そもそも、ビジネスで扱う文章は一種類ではない。
小説やエッセイのように、個人の内面や表現そのものに価値がある文章がある。コラムもかなりこちら側だ。ニュース記事は事実が中心だが、何を取材し、どこを切り取り、どう伝えるかには編集者の判断が入る。
そこから少し離れると、業務報告書や社内マニュアルがある。ここでは書き手の個性より、正確さ、簡潔さ、再現性が重要になる。さらに議事録、定型通知、スケジュール、チェックリストのような文章では、「誰が書いたか」より、必要な情報が抜けなく整理されていることのほうが大事だ。こうした文章は、AIとの相性が比較的いいと感じている。
つまり、文章の価値が書き手の体験や視点に近いほどAIへ丸ごと任せにくく、正確さや整理に近いほど任せやすい。AI文章を使えるかどうかは、賛成か反対かではなく、その文章が何のためにあるのかで決まるのだと思う。

編集部として何を選択していくべきか
PPW編集部が扱う原稿には、事実だけでなく、香港で何に気づいたか、読者へ何を伝えたいかという視点が重要になる。原稿作成をAIで試すと、文章はたしかにきれいに整ったが、「誰が、なぜこれを書いたのか」という視点が薄くなる感覚があった。あとダブルコロンや綺麗すぎる展開、なんだかわからないがAIだとわかるのだ。
だから編集部の仕事では、AIに原稿そのものを任せるのは難しい、というのが今の結論だ。
ただし、AIを使わないわけではない。特に音声を文字に起こすことに関しては非常に有用だ。人間は、キーボードで打つより、口で話す方が約3倍速いと言う研究がある。取材や記事内容の音声入力で土台を作り、順番を整えてもらうという使い方が現実的だろう。
私のグラフィックデザイナーの友人もAIを使うが必ず手書きラフをスキャンしてからAIに肉付けしてもらう方法をとっている。
その場の空気感や生の感情。編集部として、そこだけは人間の側に残しておきたい。(編集部A)


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