アナシス人事労務誌上相談

2025/12/31

Vol.94 昨年の災害から学ぶ「自分ゴト化」

 

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問い:昨年11月に起きた火災では、香港の人たちの素早いサポートの動きに改めて強さを感じました。一方自分たちの仕事においてはなかなかそのような主体性を感じられないのです。仕事も「自分ゴト」として捉えてもらうにはどうしたらいいのでしょうか。

黒崎:昨年の火災で亡くなられた方々に哀悼の意を表し、一日も早い復旧、復興を心よりお祈り申し上げます。あの出来事から、日常のマネジメント課題を類推されたのは素晴らしい視点だと思います。なぜ災害は「自分ゴト」になりやすいのに、仕事はそうなりにくいのか。ここに、組織づくりの核心があると考えます。災害は影響が具体的で、誰もが当事者になり得ます。行動(避難・支援・情報共有)と結果が結びつき、体験談という「物語」が共有され、周囲の空気も背中を押します。逆に仕事は、売上・利益・ブランドといった成果が遠く抽象的で、日々の作業との因果関係が見えにくい。さらに「どうせ上が決める」「言っても変わらない」という構造があると学習性無力感が染み込み、当事者意識は削られます。工夫しても評価が一年後であるとか、処遇に結びつかないあるいは説明が不十分となると、その積み重ねが「自分ゴトにしても報われない」ムードを強化します。では、仕事を自分ゴトに変えるには何が必要か。伴は四つと考えます。

1.影響の具体化:自分の仕事が誰の役に立ち、誰の痛みを減らし、何を前進させたかを言語化する。お客様の声、現場の不便さ、品質事故の再発防止など「見える成果」に翻訳し直す。職種別に「価値の流れ」を一枚に整理し、現場が語れる材料を用意できるようでありたいものです。

2.参加余地:決定権の一部を現場に渡し、提案が採用されるルートを作る。ポイントは「任せる範囲」を曖昧にしないこと。境界線を示して「ここまではあなたが決めてよい」という領域を増やすほど、当事者意識は育つでしょう。

3.行動と結果の可視化:短いサイクルで成果を振り返り、途中の貢献も認める。承認・称賛・学び・改善を即時に返すリアルタイムフィードバックを心がける。週次月次の小さな振り返りや、1on1での「何が前に進んだ?次に何を変える?」という問いが、行動の因果を太くするでしょう。

4.物語化:数字の背後にある目的、お客様や仲間を語る。管理職が「なぜこの仕事が必要か」をストーリーで伝え、個々の仕事を組織の挑戦につなげる。失敗談も共有できると、物語の説得力が増すと思われます。加えて、評価制度が「自分ゴト」を削る凶器にも、育てる装置にもなることを理解しておかないといけません。「基準が曖昧で説明がない」「上司の好き嫌いに見える」と言った状況では、挑戦よりも保身が合理的になってしまうでしょう。逆に、期待水準を行動で示し、納得できるフィードバックを重ね、挑戦が不利にならない運用を徹底すれば、仕事は前向きに引き寄せられると思うのです。物語化とは美辞麗句で飾ることではありません。現場の事実、お客様のリアルさ、数字の根拠を踏まえた上で「だから今これをやる」と腹落ちさせることです。社内発信もトップの号令だけでなく、現場の小さな改善やお客様からの感謝を拾い上げて流通させたいものです。災害は「想像」が当事者意識を生みます。仕事でも同じです。「明日この業務が止まったら誰が困るか」「この一手で何が良くなるか」を具体に描ける組織ほど、日々の仕事が自分ゴトになるでしょう。経営・人事は制度を作るだけでなく、仕事の因果関係を見せ、参加の余地を設計し、物語を流通させる「プロデューサー」「編集者」である。そう捉え直すことが、平時の強さをつくるのではないでしょうか。

<黒崎幸良 Anaxis Ltd. グループCEO>
86年より一貫して人事系業務に就き、92年より中国ビジネス、02年香港で独立。香港華南のベテランコンサルタントが集結して2016年にAnaxis Ltd.を創業、香港・深圳・広州・上海に拠点を持つ人事労務コンサル会社を経営


 

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Vol.93 エンゲージメントサーベイの活用と注意点

 

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問い:日本本社が実施しているエンゲージメントサーベイの結果で香港のデータが非常に低いのですが

黒崎:実は有名なギャラップ社の調査を世界各国で比較すると、香港と日本は低くなる傾向が出ています。調査には地域特有の文化的背景があると思われますが、我々はそういう日本・香港という地域でマネジメントをしているということを覚えておき、一喜一憂せずに現状をしっかり分析する必要があります。表面的な高スコア低スコアに惑わされず、その背景にある本音を読み解く洞察力が求められます。ちなみに中国は日本・香港よりもやや高いデータが出がちです。
エンゲージメントは企業・コンサルによって定義が違います。ここでは著名なギャラップ社にならって「従業員がその仕事と会社に対して持つ熱意と関与の程度」としておきます。それは企業の持続的な成長と競争力強化の根幹を支えるものです。エンゲージメントの高い組織は、生産性の向上・離職率の低下・顧客満足度の向上、ひいては企業業績の改善に直結すると言われています。その為日系企業もグローバルでサーベイを行っているケースが増えました。
従来からの「従業員満足度調査」は「職場環境や待遇に対する満足度」を中心に評価するのに対し、エンゲージメントサーベイは「組織へのコミットメント」「仕事への意欲」「貢献意欲」に焦点を当てます。満足度が高いからといって、必ずしもエンゲージメントが高いとは限らず、また競争力強化やイノベーションに繋がるかは別問題です。組織の成長や業績向上に直結する貢献意欲を伴わずに「居心地が良く」満足している従業員の場合は「現状維持」に甘んじている場合が多いでしょう。エンゲージメントは、従業員が組織の成功を「自分ごと」と捉え、自発的に行動を起こす原動力となる点で、従業員満足度とは一線を画します。
サーベイで寄せられた意見を組織全体に影響する戦略的な課題・部署レベルの課題・個人の要望など複数のカテゴリに分類し、その上で組織目標の達成に資する、あるいは多くの従業員に共通する課題から優先的に対応を検討することが肝要になります。また、個人的な要望であっても、場合によっては個別面談やフォーカスグループなどの少人数での対話を通じて、組織としての制約や方針を説明することも必要です。従業員の建設的な意見形成を促すような教育や情報共有も重要です。
満足度が業績に直接結びつくものではないものであると同時に、エンゲージメントもその向上と業績には相関関係はありますが、因果関係は弱いと思われています。エンゲージメントはあくまで「組織のエンジン・ガソリン」となるものであり、そのエンジンを動かす「戦略」が適切でなければ、望む結果は得られません。例えば、市場のニーズと乖離した戦略や、競合優位性のないビジネスモデルでは、いくら従業員のエンゲージメントが高くても企業全体の業績向上には繋がりません。エンゲージメントサーベイの結果を戦略と結びつけ、具体的なアクションプランに落とし込むことが不可欠です。
エンゲージメントの向上はそれ自体が目的ではなく、企業のビジョン達成や事業目標の実現を加速させるための手段であるべきです。そのためにも何のためにエンゲージメントを測定し、何を改善したいのかという目的を明確にするべきです。質問設計も、戦略実行上のボトルネックを特定できるような設問がつくれれば価値が高くなるでしょう。サーベイ結果に基づいた改革に対する経営のコミットメントも不可欠です。エンゲージメントサーベイを単なる人事施策としてではなく、持続的な組織成長と競争力強化のための戦略的な投資として捉えてください。

<黒崎幸良 Anaxis Ltd. グループCEO>
86年より一貫して人事系業務に就き、92年より中国ビジネス、02年香港で独立。香港華南のベテランコンサルタントが集結して2016年にAnaxis Ltd.を創業、香港・深圳・広州・上海に拠点を持つ人事労務コンサル会社を経営


 

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Vol.92 「とりあえずHow」に走らせない課題解決力の向上

 

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問い:すぐに手段に走るマネジャーが問題だなと思っています。原因分析もせずに動くのです。

黒崎:それが強みでもあるのですが、中国・香港拠点の役割が変わっていくときには課題になります。

俊敏さが競争優位を生む環境の中での課題解決力
中国・香港の現地法人では「速さ」は武器です。思いついたらすぐ動き、結果を見てまた動くというアジャイルな動き。この俊敏さが競争優位を生んできたとも言えます。PDCAサイクルで言えば現地スタッフの「Do」の強さを活用できてきたということ。しかし、よく聞く声は「PlanとCheckは弱い」というものです。
複雑性が増したいま、「とりあえずHow(やり方)」へ直行するだけではポイントを外しやすい。経営としては、速さを落とさず「外さない経営」に切り替える必要性があります。
弊社は課題解決では「課題形成」と「課題展開」の二段構えで考えます。「課題形成」は、様々な問題の中からどれが本質的な課題かを特定し、どうやるのかまで考え抜くフェーズです。目的をもった情報収集から、それを分析・洞察して問題の根本原因を掘り下げ、解決策の方向性を検討し、企画立案から意思決定までを含みます。一方、「課題展開」は決定した企画をもとに、より具体的な展開案を計画・実行する段階。詳細な運用計画やリソース配分、運用モニタリング・学習を含みます。この「課題展開」をする力があるとしても、その前の「課題形成」が本来の課題解決のキーなのです。
「とりあえずやる」には落とし穴があります。これまでのスピード頼みの成功体験が、こうした落とし穴を覆い隠しているのかもしれません。「Do」が強いのは良いのですが、「課題形成」を軽視すると全体の効率が低下します。手段だけを強化しても、組織学習としては残らないことが多いのです。

課題形成フェーズのプロセス
課題形成プロセスとは「情報収集・分析洞察・企画立案・意思決定」です。ここでの注意点はまず「目的を把握させる」ということです。目的をはき違えていると方向違いの情報を集めたり、部分的で不足した情報となったりしてしまいます。最初の情報収集次第では間違った結論も出してしまうのです。
また、よく現場で起こっていることが事実と解釈を混同すること。思い込みで事実が曲がって伝わることも多いのです。現場の一次情報の少なさなども課題になりがちです。分析洞察のプロセスでは論理思考力の不足が課題です。マネジャーであればロジックツリーを使えるようでありたいものです。
企画立案においては、ひとつの解決策しか出さないマネジャーも多い。せめて3つの案のプロコンリストを作成し、検討した上で自分の意見を言えるようなマネジャーを育てる必要があります。

常に本質的な課題を問う
まず目的、そして課題形成の重要性を示し、そのプロセスの短時間コミットメントを求めていくこと。
『「とりあえずHow」に走らせない』とは、当地で課題となっている「情報収集」と「分析洞察」の精度をあげることです。それにはまず組織が目指す目的や目標を理解させ、その達成を阻害する要因を本質的課題として論理的に捉える訓練がスタッフに必要でしょう。常に本質的な課題は何かを問う。目的は何かを問い続けるのだと思います。

<黒崎幸良 Anaxis Ltd. グループCEO>
86年より一貫して人事系業務に就き、92年より中国ビジネス、02年香港で独立。香港華南のベテランコンサルタントが集結して2016年にAnaxis Ltd.を創業、香港・深圳・広州・上海に拠点を持つ人事労務コンサル会社を経営


 

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Vol.91 半期の振り返りと下期の目標設定をしたい

 

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問い:4月から翌年3月までという評価期間ですが、半期振り返りと下期の目標設定時の注意事項を教えてください。

黒崎:今後の組織目的・戦略と、環境によってコメントが変わってくるご質問です。

半期評価と目標設定の注意点
1)上期の成果を客観的にまんべんなく振り返り、「良かった点」「改善点」「次への活かし方」を検討して「学び」を抽出する
2)環境変化に応じた下期目標を現実的かつ挑戦的に再設定する
3)対話を通じて部下の納得感と成長意欲を高める
と、一般的にはまとめられます。直近の出来事をよく捉えるという評価エラーが出がちなので気をつけなければいけません。その為にも月次のフィードバックミーティングなどで、記録をつけていくことを推奨しています。
また、期初とは異なる状況変化となっている場合は修正が必要となります。「学び」と外部環境変化を踏まえた目標にアップデートしていくことが肝要です。期末に集中する案件や繁忙期を考慮し、前倒しの計画を立てることも必要でしょう。

旧正月前後のリテンションを考慮した追加視点
今年は失業率もやや上がってきて、転職マーケットはそれほど活性化していないかもしれませんが、毎年旧正月前後は転職シーズンとなります。この人材流動性を踏まえた半期評価をする必要があります。評価時点で下期も期待できる戦力としていても、流出してしまっては全体計画の達成に影響が出てしまいます。そこで追加視点として以下を取り上げます。
1)成果評価は離職リスクを含めて見る
2)下期目標は年内達成に重点を置き、年明けはリスク緩和と体制強化に充てる
3)面談でキャリア開発・成長機会をしっかりと話し合い、「承認」機会を増やしておく
年内に目標達成させるためにも、あるいはその後の業務の生産性向上のためにも個別業務の標準作業手順書(SOP:Standard Operating Procedures)を作成・再確認させるのはどうでしょうか。万が一の離職でも引き継ぎ資料となりますし、AI導入などでも効力を発揮するはずです。属人化を防止するためにも、多くの組織で必要なタスクと思われます。
ただし、ゼロから作成することに慣れている人も少ないので、論理構築力などのトレーニングも必要となるでしょう。しかし業務品質の均一化と作業の効率化にもなるので、一石二鳥以上の成果がでるのではと考えます。

挑戦を促す目標設定とコミュニケーション
さらに付け加える視点があります。例年の転職リスクよりも、昨今では「安住と停滞」のリスクが気になります。景気停滞やネガティブな情報過多の中で、「改善」「挑戦」というテーマは多くの組織があげているものでしょう。残念ながら「変化」には拒絶反応が出やすいのが人の意識です。マネジメント側は「動的な安定性:環境変化に対応」のための「改善」「挑戦」を求めることになりますが、それが離職リスクを高めることにもなるので、どんな組織の目的と戦略とコミュニケーションを取るのかが問われてくるのです。
「安心」と「挑戦」は両立させられるか。変化を受け入れ、挑戦する文化を創造できるか。「安住」「前例主義」を阻止し、改善・改革と挑戦を求めるマネジメントは、経営者にとって今年も手強い課題となりますが、良い試練の場でもあります。

<黒崎幸良 Anaxis Ltd. グループCEO>
86年より一貫して人事系業務に就き、92年より中国ビジネス、02年香港で独立。香港華南のベテランコンサルタントが集結して2016年にAnaxis Ltd.を創業、香港・深圳・広州・上海に拠点を持つ人事労務コンサル会社を経営


 

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10月9日(木)16:30-17:15
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10月24日(金)16:30-17:15
●「2025香港福利厚生調査報告」(日本語)
10月28日(火)16:30-17:30
●「ほめる達人」(英語)
10月31日(金)16:30-17:15
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10月22日(水)16:30-18:00 (定員:8名)

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Vol.90 「解像度」ってなんですか?

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問い:最近「解像度」が気になります。それが低いためコミュニケーションに障害が起きているのです。

黒崎:解像度が低いコミュニケーションは困りますね。解像度とは、映像の鮮明さを意味する本来の意味から転じて、思考やコミュニケーションの精度を表現するものです。多くの経営者から耳にするのは「課題解決力が弱い」「提案がずれている」「報告が抽象的」といった声です。報告を受けても「表面的」「ピントがぼやけている」と感じ、経営判断の材料にしづらい。これが“解像度の低さ”の実害です。

なぜ解像度が低いのか
背景にはいくつかの要因があります。
1. 自分ゴト化の不足
指示の通りに作業をこなす文化に慣れ、問題を「自分の責任」として捉える習慣が弱い。そのため「これは会社にとって本当に問題か?」「目的は何か?」と一歩踏み込んで考えられません。
2. 情報収集の浅さ
ネット検索や限られた人脈に頼り、現場や一次情報に踏み込まない。AIを鵜呑みにする例も。材料が不足すれば、当然提案の精度も低くなります。
3. 言語化の弱さ
「お客様が不満を持っている」などと抽象的な表現に止まり、「誰がどの場面でどんな不満を持つのか」といった具体化ができない。主体的に考えたり、論理構築力の不足が問題となっています。

経営者としてのアプローチは四つです。
1. 解像度を上げる問いを習慣化する
「具体的な数字は?」「原因は?」「事例は?」と常に問いかけ、抽象的な答えを受け流さない。
2. 問題意識を鍛えるフレームを浸透させる
「なぜ問題か?」「放置すると?」などを考えさせ、「現状・原因・影響・目的・必要性・対策」と分解して整理させる。思考の型を与えることが意識を変えます。
3. 目的志向で情報収集を深める
ありたい姿を描き、情報収集のモレを減らし、一次情報や現場に触れさせる。さらに異業種や異文化から学ぶことで発想の幅と精度が上がり、情報の深さも変わります。
4. 言語化・論理思考を育てる
研修などの体系的な育成と日常の訓練で鍛える。人材育成の前提は「可能性への信頼」であり、それがなければ成長はありません。

経営者自身の姿勢がカギ
社員任せでは解像度は上がりません。経営者が問いを投げ、具体化を促す姿勢を日々繰り返し示すことが不可欠です。ただし、ただ具体化するだけではだめで、抽象と具体を行ったり来たりの往復運動が必要です。抽象化することで、物事の本質を理解して次の一手に応用する力の開発もするべきなのです。これらは中国・香港の現地法人に共通する課題ですが、克服は可能です。時間はかかっても、経営者の一貫した姿勢こそが、組織を「現状維持文化」から「課題解決文化」へ導くものと考えます。

 

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Vol.89 人材育成=福利厚生という発想

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問い:香港での福利厚生制度を検討しています。どう考えていけば良いですか?

黒崎:まず、日本の福利厚生制度のことは一旦ゼロベースで考えてください。日本のそれは高度成長期に長期雇用を前提としてきたものが多く、日本でさえ今は変化が求められています。退職金制度や住宅支援・各種手当など、中国・香港とは違うところにフォーカスされてきましたが、雇用の流動化と人材の多様化によりその原資の振り分けが変わりつつあります。当地ではその原資を持ち合わせていない事が多いので、あらためて福利厚生を考えるとコストアップが想定され、二の足を踏みやすいものです。
そもそも何のための福利厚生なのでしょうか。それは「従業員を尊重・配慮することへのメッセージ」となっているでしょうか。福利厚生制度は企業の思いを伝えるものであり、企業が思う適切な行動へ従業員を導くメッセージであるべきだと考えます。残念ながらメッセージが伝わったとしても、福利厚生がリテンションの決定打にはなりにくいものであることにも留意が必要です。そして従業員の満足度が上がっても、それがそのまま企業業績に貢献するものでもないのです。
さらに今の日系企業はハンディキャップも背負っています。外資特有の撤退や縮小への不安と恐れを持たれてしまっているかも知れないのです。中国・香港に存在し続ける理由を説明しきれないことも多いでしょう。
また、香港のZ世代の若者は時間と場所などにフレキシビリティを求めていると言われています。「可処分“時間”の増大」が1つのテーマです。出社へと回帰させる傾向が続いていますが、在宅勤務制度などはその対策の1つでしょう。中堅どころの従業員達も育児や介護などでそれを求める人もいます。その対応のためには、「時間管理」から「成果管理」の仕組みと仕掛けが必要になります。果たして現在の人事評価システムでそれが対応できるのかどうか。
さらにライフステージや価値感は世代や個々人で異なります。福利厚生はコアとなる全体のものと、人によってフレキシビリティのあるものの二層で考えていくことになるでしょう。選択肢の幅が求められていくはずです。
そして本当に残って欲しい人、貢献している人への金銭的報酬をまず考えていくことが福利厚生制度を検討するときには重要です。しかしながら、現金に替わる価値はないものなのでしょうか。
私は以前より「トータルリワード」というコンセプトで非金銭的報酬を充実させましょうと言ってきました。その中でも「未来への投資」とは、人材育成と組織開発ではないかと私は考えています。「ここで学び、成長すれば自身の市場価値が高まる」と確信できる環境、これが日系企業の先行きへの不安を払拭できる非金銭的な未来への報酬なのでないかと思うのです。
キャリア自律を余儀なくされる現地スタッフに、次の仕事でも通用するスキルと経験を提供する。社内外での研修、学費補助、オンデマンド学習プラットフォーム、コーチング制度など「成長支援」を厚くする施策は、それを望む人々には良い施策だと考えます。
休みの多さや手当の充実、使える施設の多さを求める人は、果たして求める人なのでしょうか。必要な人物がそれらも望むのであれば検討の余地はありますが、福利厚生の良さだけを求めてくる人材は果たしてベストな人材なのかどうか。
成長支援は、評価・賃金制度と一体で設計する必要があります。育成の施策だけを積み上げても、賃金が年功型ではそのインセンティブが働きません。そこにも経営のメッセージを埋め込んで行くことになります。経営ビジョンへリンクさせ、成長支援を戦略投資と位置づける。各制度の冒頭でそれを宣言していくことになるでしょう。
福利厚生制度は、単純に他社と比較して甲乙をつけるものではありません。しかしコアとなるものは、しっかりと現状分析をする必要はあります。その前にまずは自社の人事ポリシーをしっかりと再構築し、福利厚生制度を含む組織人事戦略を立案することです。その上で現行制度の確認と課題の整理と進めてください。いきなり社内でアンケートを取ることなどはもってのほか。期待値をあげてしまうだけです。課題が整理されたら、経営メッセージのあるエッジの立った施策を設計・導入・モニタリングというステップとなります。評価・賃金制度と福利厚生を有機的に結びつけ、一人ひとりの学習と組織の成長を同期させることを推奨します。

 

 


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Vol.88 モダンエルダーってなんですか?240216 YK問い:シニアの活性化で「モダンエルダー」という言葉を聞きました。

 

黒崎:世界191カ国で民泊のオンラインプラットフォームを提供するAirbnbで、50代にして若手経営陣を支えたチップ・コンリー氏が提唱した新しいシニア像です。それはシニアがデジタルネイティブ世代と補完し合いながら、文脈知(Contextual Intelligence)と心の知能指数(EQ:Emotional Intelligence)で組織を前進させる“職場の賢者/知恵の翻訳者・橋渡し”という位置づけです。
中国は2025年に60歳以上人口が21%を超え、2030~2035年には“超高齢社会(65歳以上の比率21%以上)”入りすると予測されています。香港は2023年に65歳以上比率21.6%へ達し、日本に続いて既に超高齢社会となりました。当地の経営を進めていく中で、シニアの活用を戦略的に進める必要があり、このコンセプトは有用だと考えます。
一足先に超高齢化した日本の知恵を活かすべきとは考えますが、その多くは定年延長や再雇用といった雇用延命策が中心でした。参考になるのは人材不足であった中堅中小企業のシニア活用例でしょう。とは言っても、当地でもサクセッサー不在という問題に直面し、雇用延命策中心とならざるを得ない現状もあります。日本での教訓を活かすためにも、制度面の整備と共に中国・香港でのシニアを戦略的リソースとして再定義するべきと考えます。
さて、Airbnbのコンリー氏は若い経営陣と相互メンタリングを行い、急成長期の企業に“落ち着きと洞察”を持ち込んだと言われています。経験から鍛えられた判断と洞察が、若手のDQ(Digital Intelligence)と掛け合わさることで、組織は不確実性をチャンスに変えられるというのです。
「モダンエルダー」には5つの資質があると言います。
1.優れた判断力:経験を基にした意思決定の質
2.本物の洞察:直感的な洞察と観察眼
3.EQ(心の知能指数):共感・自己制御・関係調整
4.俯瞰的な思考力:点と点をつなげ、物事を俯瞰して全体最適の観点で核心を掴む
5.奉仕の心:組織・社会への長期的責任感
シニアはこれらの価値をもたらす「あり方」と「行動」が求められることになります。筆者も今年63歳となってすっかりシニアですが、なかなか難しい課題だと考えています。残念なシニアもたくさん見てきました。安住してしまって無気力化した人、環境変化に適応できない人、迷惑をかける人、「老害」と呼ばれてしまう人などなど。本人の問題もありますが、そんな残念なシニアを生み出した経営は見直さなければならないでしょう。そしてこうした現実を見て、シニアに対する先入観を持ってしまっているとしたらそれも断ち切る必要を感じます。シニアが働きやすい施策は、他の年代にも必ず良い恩恵をもたらすものです。若い世代だけに重点を置くよりも、あらゆる世代を雇い、長く働いて力を出し切ってもらうための施策に的を絞った方がはるかに効果的でしょう。世代の異なる社員同士が補い学び合うような仕組みをつくると、企業にとっては長期的な繁栄への道が開けると思われるのです。
モダンエルダーはこの世代間の協働を実現させるコンセプトです。Googleでもシニア社員コミュニティ「Greyglers」が多世代協働と製品フィードバックの要所を担っています。ただし、実現にはいくつかの施策を早く取り入れていくことが求められます。
まず年功型の組織をやめることです。日本でもJob型が広まってきましたが、役割の再設計は必須です。年齢ではなく、役割・ミッションで処遇する仕組みが、モダンエルダーに居場所を与えます。役割が同じなのに、定年年齢を機に報酬を下げるというのは納得がいかないものです。
シニアが働きやすい職場環境や勤務体系の見直しも検討の余地があります。それらは若手も喜ぶはずのものでしょう。そしてチームの年齢構成の配慮が必要になります。若手とベテランを組ませ、世代間のつながり・メンタリング・訓練を促進させる。シニアの孤立を防ぎ、「残念な人」になる機会をなくすのです。
シニアの活躍がポジションを枯渇させるという課題もあります。上が詰まっている組織に、若手は発展空間を感じにくいもの。ここが今後も一番の課題となります。数年先を見通し、コストパフォーマンスの個人差をしっかり把握しながらも、シニアには「モダンエルダー」となる機会を提供してください。

<黒崎幸良 Anaxis Ltd. グループCEO>
86年より一貫して人事系業務に就き、92年より中国ビジネス、02年香港で独立。香港華南のベテランコンサルタントが集結して2016年にAnaxis Ltd.を創業、香港・深セン・広州・上海に拠点を持つ人事労務コンサル会社を経営。


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Vol.87 『健康経営』を中国・香港で追い求められるのか?

240216 YK問い:日本本社から現地法人の「健康経営」に関して意見を求められました。何から手をつけて良いか分かりません。

 

黒崎:「健康経営」は2013年頃から経済産業省が推進してきた歴史あるコンセプトです。少子高齢化による労働力不足や医療費増大という日本の課題に対応するため、企業の自主的な健康管理を促す政策として発展してきたものです。
ここ香港・中国でも同様の課題があり、学ぶべき点は多いでしょう。ただし、日本ほどは普及していません。日系企業では健康診断や医療保険の提供などは見られますが、積極的な取り組みはまだ少数です。また、障害者差別条例や個人情報の観点から当地での実施には慎重さも求められます。
逆に、傷病休暇の不正取得対策の相談が目立つなど、悲しい現実的な課題もあります。
さて「健康経営」とは、経済産業省の定義で「従業員等の健康管理を経営的な視点で戦略的に実践すること」とされ、人的資本の質的向上が企業価値創造に直結するとされています。従業員の健康増進への投資が活力や生産性を高め、企業の収益性向上につながるという考えです。
健康経営と生産性の関係を裏付けるデータや企業事例も増えています。経済産業省の「健康経営優良法人」に認定されている企業では高ストレス者の割合が少なく、エンゲージメントの得点や人材定着率が高いとのこと。離職率に悩む企業としては検討すべきでしょう。米国ジョンソン・エンド・ジョンソン社の事例では、健康増進プログラムへの投資で約3倍の医療費削減効果が得られたと報告されています。健康経営は単なる福利厚生ではなく、経営戦略として取り組むに値するテーマだと考えられます。
香港においても多国籍企業や大手地元企業を中心に健康増進プログラムが導入されています。不動産大手スワイヤー・プロパティーズでは、年間を通じて従業員向けに「小さな習慣の変化で健康を促進する」ワークショップやオンラインでの心身の健康セミナーを開催し、従業員とその家族の健康意識向上を図っているとのこと。働く側から見れば、健康支援への期待は少なくありません。
しかしながら日系現地法人においては、在日本の大手企業や現地大手のようには対応は難しいことも事実でしょう。
無理なく実践できる施策を選ぶことが現実的なアプローチです。日本の中小企業のとっているような創意工夫は、現地でも参考となるでしょう。
例えば72名の日本のIT会社では、健康調査を実施した結果「睡眠の質が悪い」と感じている割合が62%と高く、運動不足と睡眠の質の相関性が見られたために運動施策を実施。全従業員が5チームに分かれ、チーム対抗戦の「平均8000歩/日」を目指す歩数チャレンジやストレッチ施策を実施したところ、28.4%まで上記割合が減少して目標値をクリア。一緒に取り組む良い文化創造を含め、工夫次第で経営の意思を伝えられた事例でしょう。弊社も歩数は見える化を実施しています。
具体的な施策に関しては、経済産業省が進める「健康経営優良法人」の認定制度の事務局サイト(https://kenko-keiei.jp/)が参考になります。そこでは2025年3月発行の
「健康経営ガイドブック」が無料で入手できます。健康経営の実践手順や戦略マップの作成方法など詳しく掲載されています。そこまでやる必要性を感じるかどうかはトップ次第ですが、参考までに優良法人認定要件(中小規模法人部門)の大項目をあげると、
1.経営理念・方針 2.組織体制 3.制度・施策実行 4.評価・改善 5.法令遵守・リスクマネジメント とあります。
まずトップのコミットメントが最も重要でしょう。それが1の経営理念・方針の項目となります。経営者が宣言を行い、従業員の健康作りに取り組む意思を示すわけです。組織体制としては「健康づくり担当者・責任者の設置」というものが挙げられています。続いて個別の制度・施策となるのですが、継続できる現実的なものから始めるのが良いでしょう。
弊社も実際の制度は健康診断と医療保険ぐらいですが、毎年季節が変わって健康を害しやすい季節にビタミンデーとしてサプリメントを配布しています。そこに込めるメッセージが重要だと考えています。
上述の通り、現実には任意の傷病休暇を設定すれば、その日数だけしっかり休む人が増える組織文化の会社がある一方で、まったく休まない会社もあります。組織文化による部分が大きいと考えます。健康経営というテーマを考えることで、今一度自社の組織文化を見直すのはいかがでしょうか。

<黒崎幸良 Anaxis Ltd. グループCEO>
86年より一貫して人事系業務に就き、92年より中国ビジネス、02年香港で独立。香港華南のベテランコンサルタントが集結して2016年にAnaxis Ltd.を創業、香港・深セン・広州・上海に拠点を持つ人事労務コンサル会社を経営。


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Vol.86 現地管理職に自分で目標設定をさせたい240216 YK問い:管理職なのだから自分で目標設定してほしいのです。ですが「決めてください」と言ってきて困ります。

黒崎:現地マネジャーの目標設定力の低さや、それに対する関心・意欲の乏しさを嘆く声はよく聞きます。もし現地管理職が目標を「自分ゴト」として捉えてくれたらどれほど理想的でしょう。しかし現実は厳しく、彼らの経験不足と裁量権の不足が原因となるなど、なかなかうまく進まないのが現状です。そもそも予算策定や目標設定の経験を積ませるマネジメントをしてこなかった企業も多いようです。貴社でもそうだとしたら、未経験のことを今さらやれと言われても、簡単にできるようにはなりません。
動機の弱さという課題もあります。目標設定したのに成果が出なければ、責任を負わされるかもしれない。そうしたリスクを恐れ「どうせ責任を負わされるだけ」というネガティブな捉え方や、「上が決めたことだから」という受け身の姿勢が根強く存在しているのも事実です。
そもそも何故彼らに目標を立てさせたいのでしょうか。結論はそれが現地法人の成長と成功に不可欠だからです。自主的に目標を設定することで、現地の状況に即した現実的かつ柔軟な計画が生まれやすくなりますし、目標を深く理解していることで、変化への適応力が高まります。自ら目標設定に参加することで、「やらされ感」ではなくエンゲージメントの向上が期待できます。また、現地化が必要な組織では単なる指示の実行者ではなく、自立した組織として機能することが求められます。そしてやはり責任感も醸成されるでしょう。
短期的にはパワーがかかりますが、長期的には「勝てる企業体質」を築くことにつながると考えられます。香港でも中国でも、現地法人はそのグローバルなポジショニングの再構築を迫られています。変革がなければいずれ縮小・撤退を余儀なくされるといったリスクがある企業も少なくはないでしょう。ではどうやって現地管理職を巻き込んでいけばいいのか。ここでは三つのアプローチを取り上げます。

(1)組織全体のビジョンを共有し、個人の将来像と結びつける
ありきたりの答えになってしまいますが、まずは組織全体の目的・ビジョン・目標を明確に伝えることが出発点です。現地法人の目標達成が、グループ全体の成功にどう寄与するかを具体的に認識させたいものです。目的意識が明確になれば、より目標設定への内発的動機も高まりやすいものです。さらにそれを管理職自身のキャリアパスや成長機会と関連付けることも大切です。自分の立てる目標が会社や自分の将来にどう繋がるのかが理解できれば、主体的に動き出しやすくなるでしょう。

(2)目標設定プロセスは「小さく始めて、段階的に大きくする」
いきなり年間の目標設定をさせると、最初のうちは全く的外れな目標がでてきてしまうことがあります。ここでダメ出しを重ねると、相手が諦めてしまうケースも少なくありません。できれば短期目標の設定から始めて慣れさせることが得策です。小さな成功体験を積むことで、次に設定する目標の質が向上するでしょう。その為には原理原則を学ぶトレーニングも必要です。たとえばSMARTのように「具体的」「測定可能」「上位目的とリンク」「期限設定」があるか、といった基本をしっかり習得してもらうことが大事です。

(3)フィードバックの文化を根付かせる
たとえ小さく始めても、定期的に達成度の評価と改善点を振り返る場を設けなければなりません。上司側も質問を通じて思考を促すなど、現地管理職が自立して思考できるようにコーチングする姿勢が求められます。自ら考え、自ら目標設定する習慣をつけさせる環境を整えることが上司に課せられた重要な役割です。たとえ失敗しても、次につながる学びとしてチャレンジを促していくことが肝要です。
駐在員を含む現地経営層は、現地管理職に目標設定を任せる姿勢と環境作りがますます求められると思います。たとえ短期的な結果が不十分でも、長期的視点が必要となるでしょう。時折彼らの未成熟な意見にいらだちを覚える場面もあるかもしれません。が、まずはしっかりと耳を傾ける姿勢が大切です。「叱る」よりも「対話」がより大きな成果を生むはずです。現地経営層と現地管理職が一体となってこの取組を推進し、自立した組織運営を実現していきたいものです。

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Vol.85 賞与原資の決め方を教えてください240216 YK問い:今年は既に支給を決めていますが、例年だいたい同じぐらいの賞与です。原資の決め方や配分はどうすればメリハリをつけられますか?

黒崎:まず会社裁量で支給される「裁量賞与」と、支給を約束した「ダブルペイ」とは分けて考えてください。香港系企業が発祥と思われるダブルペイの習慣は、旧正月前後に給与1ヵ月分などを一律に支給する制度です。法的に支給しなければならないものではありませんが、会社で支給を約束していれば、業績が悪いからといって支給を止めるわけにはいかないものがダブルペイです。 アナシスの調査では香港では約76%、広東省では約37%の日系企業がダブルペイ支給を実施しています。上海になると約22%と実施企業が少なくなります。これを「賞与」と定義する人としない人がいることにも注意が必要です。

さて、「裁量賞与」の支給月数ですが、おっしゃるように実は日系企業では毎年それほど変化がないようです。よほど業績が悪い時でないと支給ゼロとはならないのが現状です。これにはいくつか理由が考えられます。まず日本の賞与が生活給的に支給され、定例化して既得権のように運営されてきたこと。その考え方が持ち込まれやすいのが日系企業です。そして、賞与水準を決定する駐在員の任期が短く、赴任期間中に支給の減額や大幅な制度変更などすれば、リテンションに影響がでるといった不安があること。辞められたら困るという現実があります。

賞与のありたい姿は「利益の従業員への還元」です。すなわち業績連動で賞与原資が決められ、個人の貢献度に応じて配分するというもの。しかし上記に挙げた理由からなかなか改革が進まないことも実態としてあります。結果として少ない原資に少しの差をつけるレベルでメリハリのない賞与になりがちです。

さて日本においても「決算賞与」として、通常の賞与の他に業績連動型の賞与を支給するケースも多いと思います。この仕組みを現地に導入していくのが一番理解も納得感もあるのではと思われます。それは「超過利益分配方式」とも呼ばれ、「(実際利益-予定利益)×一定比率」で算出されます。現地法人においても予算策定時に予定利益を前提とした賞与予算を設定しておき、実際の利益が予定を超過したときに、例えば税引き前利益の4分法(従業員・株主・内部留保・税金)などで一定比率を決めて実際の賞与原資を増やすというもの。賞与が全社業績や個人の評価に基づくため、業績向上に貢献する意識を高め、モチベーション向上に役立つはずです。業績が悪い場合には賞与予算も調整することで支給が減るため経営への圧迫は防げます。しかし賞与支給が不安定になることで、従業員に不安を持たせることにもなり得ます。

業績連動型賞与の設計においても、固定部分と変動部分を作ることで、安定的な支給を実施するという考え方があります。まさにそれが当地では「ダブルペイ」となってきたとも考えられますが、残念ながら既得権化してしまうとそのありがたみが消えていくものです。

しかも現地法人の利益そのものが、本社との兼ね合いで決まってくる企業も少なくなく、利益基準の裁量賞与をどう
設計するかには工夫が必要となります。

より厳しく変化していく経営環境の中では、業績連動型が優れていると思います。会社に貢献する個人に厚く報い、
既得権にしがみついて貢献出来ない人には去ってもらう。その「遠心力」になるものが業績連動型の賞与です。

さて、業績連動型賞与の場合の配分方法もいくつかあるので表にしました。総支給額をコントロール出来る一方で、安定的な賞与とならない点に注意が必要なことと、評価制度の適切な運用がキーとなります。過去支給実績と市場動向を見た上で、当期業績の結果を若干影響させる程度の仕組みから、メリハリのつく効果的な賞与制度を設計するには、評価そのものを見直すことから始めてみてください。

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Vol.84 DeepSeek、使わせていいの?240216 YK問い:急に登場した感のあるDeepSeek。これまでAIは黙認してきましたが、情報漏洩等のリスクも感じます。どう考えていけばいいのでしょうか?

黒崎:圧倒的な低コストと創意工夫によって最先端のレベル並みに開発されたというこの生成AI。米アップルストアのAPPダウンロードで首位となり、AI関連株のNvidiaが91兆円も暴落するなど大騒ぎとなりました。ただ日本では否定的な意見も多いようです。急に注目されてサーバーがビジー状態も多い旧正月でした。
さて、「使わせていいの?」への答えは企業のポリシー次第としか言いようがありません。隠れてVPNを使ってChatGPTを使ったり、百度のAIを一度使って諦めた人なども当地にはいらっしゃいますね。そういう方々には手軽なAIと言えるかもしれません。しかしBYOD(Bring Your Own Device)のルールも曖昧にして「シャドーIT」化して困ってしまった企業もありますので、AI利用のガイドラインを設定する良い機会と捉えたらどうでしょうか。
個人情報や機密情報を再定義して、決して情報漏洩させないことを前提として活用の道を探らないと、生産性の競争に負けてしまうと私は考えています。
DeepSeekはChatGPTの最新モデルに匹敵すると言われていますが苦手分野も多く、現時点ではツールの一つとして考えれば良いのではと思います。

問い:AI利用のガイドラインはどうやって作ればいいのですか?

黒崎:本社のガイドラインがあれば、まずそれがベースになると思います。ただし、以下の点に留意する必要があります。
1. 現地の法令・規制との整合性
香港および中国固有の法令・法律、地方政府独自の規制等(例えば個人情報保護法、サイバーセキュリティ法等)があるため、これらを十分に反映・補完する形で修正することが求められます。
2. 文化・運用実態の違い
本社と現地オフィスでは、業務プロセスや社内文化に違いがある可能性があります。中国でのWechatの使用等、現地の実情に合わせたカスタマイズを検討する必要があります。
3. セキュリティやリスク管理の強化
地域ごとに異なるセキュリティリスクや運用上の懸念がある場合は、本社のガイドラインに加え、現地独自の追加ルールやリスク評価プロセスを盛り込む必要があります。
4. 内部教育やサポート体制の現地対応
駐在員と現地従業員のAIリテラシーの向上をはかる必要があります。言語や文化、業務の実態に応じた研修プログラムやサポート体制を整えることで、ガイドラインの実効性を高めていきます。
実際にガイドラインを作るとなると、法的問題が含まれることもあり、専門家のサポートが必要となるでしょう。
ポイントとしては、
1.法令遵守
2.利用目的の明確化と適正利用
3.出力内容の信頼性・品質管理
不正確な情報もよくありますので編集する能力も問われます。
4.知的財産権と著作権
生成されたコンテンツの著作問題にもケアが必要です。
5.セキュリティ対策とアクセス管理
6.内部教育とサポート体制
7.その他
と、いったところでしょうか。
AIの活用では、本質的な質問そのものを考える「構想力」、欲しい答えを導き出す「指令力」、正確性の確認と本質的な問題解決へと進める情報の「編集力」の三つの力が問われます。これはマネジメント能力と言ってもいいのでは。
AIはどんどんと普通に使われるようになっていくはずですから、先手を打っていくことをお勧めします。

問い:最初の問いに戻りますが、現地法人としてはAIに対しどんな対策を取ればいいのでしょう。

黒崎:環境が激変していきます。変化へ対応出来る人と組織でありたい。AIに関しては私は大きく三つ「(1)情報収集(2)ルール・ガイドラインの整備(3)ダイナミックケイパビリティ・変化適応力の向上」がテーマだとしています。積極的に情報収集し、ガイドラインを示し、どこへ行こうとしているのかを示す必要があります。組織変革の良い機会として、十分に注意した上で使ってみる判断はありでしょう。

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Vol.83 管理職の目標に部下育成を入れたい240216 YK問い:管理職の目標設定に部下育成をいれたいのですが、定量的な目標設定はできるものでしょうか?

黒崎:その部下が成長したかどうかという結果で評価するのは大変難しいもので、どうしても定性的な評価になりがちです。多くの企業は行動評価の項目に入れていると思います。
それでも定量データと定性データを組み合わせ、目標設定することはチャレンジすべきテーマで、部下育成について客観的に進捗を評価することは意義のあることだと思います。
成長の定量化を、部下達の目標達成率や評価スコアの向上度で見る会社もあります。ただ彼らの目標の難度が低ければその上司の部下育成目標達成が続出することにもなり、公平・公正な基準の設定にはかなりの工夫が求められます。評価スコアの向上度に関しても、相対分布による評価ですと部下の絶対的な成長を評価しにくくなりますので注意が必要です。
その他の定量データには1on1の実施頻度やフィードバック面談回数、OJTや研修実施回数や参加率なども使われます。これは部下育成への取り組み姿勢を評価するものです。部下が実際に成長したかどうかという結果ではなく、成長可能性を問うもの。人の成長をどう捉えるかは企業・組織の文化や職種によっても違うものです。
スキルマップを作成してその向上度を数値化するケースもあります。これはより具体化された目標となるのでやや数値化しやすいかもしれませんが、マップ作成の手間とマップそのものの的確さも問われることになります。
その他エンゲージメントサーベイのスコアによる数値化、部下側からの360度評価なども検討されています。いずれにしても、導入に当たってはメリットとデメリットの考慮が必要です。
さて話を一段あげますが、2025年の目標設定におけるキーワードは、「変化対応力」と「学び」だと考えます。この2つをベースにした以下の3つの視点をご案内します。

1.短期・中長期の二段構え
長期的なビジョンや大枠の方向性はそのままに、その実現方法では環境変化に柔軟に対応することが求められます。短期的には、フォーキャストの精度を高める工夫や、OODAループのような迅速な経営判断が必要となるでしょう。Observe(監視)・Orient(情勢判断)・Decide(意思決定)・Act(行動)でOODAです。
PDCAが主にオペレーションの改善に力点を置いているのに対し、OODAは戦略の見直しと行動のスピードを重視しています。特に不確実性の高い環境では、意思決定と行動の迅速性・的確性が求められるため、経営者にはPDCAとOODAの使い分けが必要です。

2.複数シナリオ
目標が達成できなかった場合のリスクも想定しておかなければなりません。悲観的・楽観的両面のシナリオを複数イメージした予備計画を策定する動きもあるとも聞きます。
OODAループの最初のObserveでは情報のズレが致命的になります。経営層と現場、さらに各事業部間の連携を強化し、現状認識とリスクを共有するコミュニケーション・プロセスを整備することが求められます。管理職にはこれらを行動目標として設定することも重要です。

3.自律型組織
管理職が自分で考え、行動し、自ら律する力を育むことが、変化への対応力を高めるうえで不可欠です。しかし現実的には、トップダウンとボトムアップをハイブリッドで組み合わせることが多くなります。変化が激しい環境では、現場からの気づきやアイデアを吸い上げるボトムアップと、経営視点でのトップダウン指針を柔軟に組み合わせる必要があるでしょう。
特に、現地管理職が「自走」できるような目標設定に取り組むことが重要です。たとえば、主体性・自主性を評価する項目を導入し、かつ心理的安全性を確保することで、率直に意見を言い合える仕組みを整えます。自律型組織では挑戦と失敗が表裏一体ですので、失敗から学ぶための仕掛けも必要となります。試行錯誤を是とし、小さな失敗を許容しながら学習を促す文化こそ、真の「学び」の場をつくる鍵でしょう。
新たな変化が起き続けるなかで、組織としての柔軟性や自律性を高め、そこから得られる学びを着実に蓄積していくことが、今後の成長の糧となるはずです。

<黒崎幸良 Anaxis Ltd. グループCEO>
86年より一貫して人事系業務に就き、92年より中国ビジネス、02年香港で独立。香港華南のベテランコンサルタントが集結して2016年にAnaxis Ltd.を創業、香港・深セン・広州・上海に拠点を持つ人事労務コンサル会社を経営。


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Vol.82 マネジャーになりたくない人が香港にもいるのですか?240216 YK問い:昇格させようとしたら断られました。日本と違ってもっと貪欲だと思っていたので意外でした。そんなものでしょうか。

若手が増加しています。その日本に比べれば、中国も香港も管理職希望者はまだまだ多いとは思います。しかしその従業員達の本音はどうか?かつて人材紹介会社で数千人の面談を行ってきましたが、日系企業に長く勤める理由のひとつに「楽だから」というものがありました。寂しい理由です。楽な組織で聞こえてくる声は、「マネジャーのタイトルや給与は欲しいが、責任が重くなるのは勘弁」といった、これまた寂しいものが少なからずありました。そういう声の上がる組織、管理職候補者たちに未来はあるのか。どうしてそんな組織にしてしまったのかを、経営側は考える必要があるでしょう。

さて、なぜ管理職・マネジャーになりたくないのか?日本同様、トップとなるその理由は責任やストレスを負いたくはないからでしょう。本来のマネジャーは自部署の成果責任を負うもの。役割定義上はそうなっていても、多くの場合は成果の善し悪しでは待遇に大した差がないのが現状。そこを信賞必罰とされることにはストレスが増えることは間違いありません。

また業務増加によってワークライフバランスが崩れることは、家族を大事にする当地として非常に問題となります。女性マネジャー候補者が子女の教育問題で昇格を辞退するケースが香港でも見られますが、責任の重さと共に業務・残業の増加は敬遠されやすいものです。マネジメントは複雑化しています。各種提出物や、在宅勤務などでの人の管理の難しさなども業務量を増やしていることでしょう。

現在はほぼプレイングマネジャーであることが求められると思いますが、統括範囲の限界を超えた部下人数をアサインしてしまっていることも業務量の多さの原因でしょう。プレイングマネジャーなら3人から5人が限界です。

「給与面のメリットが少ないから」という理由は万国共通でしょう。昇格しても大して給与は変わらないとすれば、上述の責任へのプレッシャーや業務量のストレスに対してはメリットが少ないと感じやすいでしょう。「現地マネジャーの給与は高いのでは?」という声が日本にありますが、欧米系マルチナショナル企業ならもっと高いと思われます。日系のマネジャーの賃金レンジと欧米と比べると一段違うぐらいです。それはそのタイトルが果たしている役割の違いでしょう。マネジャー本来の役割を果たすなら、もっと高い給与である可能性があります。現実的にそこまで支給できるのか。金銭的報酬だけでない、非金銭的報酬も含めたトータルリワードの発想がここでも検討すべき要素です。

そんな「損な」役割を担ってきたのが駐在員だ、というお怒りもあるかもしれません。日本においても割に合わないと思うから希望者が減っているのでしょう。マネジャーというポジションの魅力を、我々自身が再確認していけるのかどうか。ここにも問題の根深さを感じます。

現地では年功でタイトルを与えてきて、マネジャーの役割を果たしていないマネジャーが存在するのに、組織はそこそこの成果をあげてきている。そういう組織が一番変革しにくいものなのです。その成果は駐在員を始めとする一部のリーダーがなんとかしてきたものでもあるでしょう。大きな問題とはなっていないがために、名ばかりマネジャーが生き延びる。無能なマネジャーのおかげで優秀な部下が成長し、そして去って行く実態もあるでしょう。

マネジャーの役割を再定義した上で、理想と現実のギャップをバックキャスティングで解決していく必要性があります。今の延長線上に本当に未来はあるのか。理想的な未来を一旦描き、そこへたどり着くためのマイルストーンを設計する。そんなことを着実に実行している企業もあります。

また完璧なマネジャーなどはいないため、「シェアドリーダーシップ」という考え方の導入も検討すべきでしょう。マネジャーの役割再定義、シェアドリーダーシップ、賃金レンジの見直し、そしてマネジャー育成支援はすぐにでも検討を開始し、思考を通しておくことをお勧めします。

<黒崎幸良 Anaxis Ltd. グループCEO>
86年より一貫して人事系業務に就き、92年より中国ビジネス、02年香港で独立。香港華南のベテランコンサルタントが集結して2016年にAnaxis Ltd.を創業、香港・深セン・広州・上海に拠点を持つ人事労務コンサル会社を経営。


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Vol.81 名ばかりのマネジャーがいるのですが?240216 YK問い:タイトルだけマネジャーで、特に管理職の仕事はさせていません。しかし給与はそれなりに高いのです。どう考えれば良いのでしょうか?

黒崎:管理職の職務を遂行していない・できないマネジャー、「名ばかりマネジャー」問題ですね。
日本にも管理職としての権限や責任がまったくなく、かつ残業代を出さないための「名ばかり管理職」という問題があります。そもそも英語のManagerと日本語のマネジャーでは意味が随分違って捉えられていると思われます。英語でManagerは管理職ですが、日本では会社によっては係長や主任までも含まれることがあるのです。まずこのマネジャー=管理職の自社での役割と責任の定義をしっかりとすることが求められます。

日本の賃金は低いと言われ、そこへ円安の影響もあり、現地管理職の給与が高すぎるのではと言う声があがって久しくなりました。香港の現地管理職の月給は現在のレートで円換算すれば65万円から80万円程度になります。これに2ヵ月分の賞与があるとすると年収910万円から1,120万円となりますが、数字を聞くと驚く本社の人もいるでしょう。現地の住宅費や物価、そして管理職の市場価格で考えれば、香港では驚く数字ではありません。中国のそれも随分上がってきています。
給与が「高い低い」は主観的であり、市場価格もありますから、先ほどの給与であっても管理職層の仕事をしてくれていればいいのではと考えます。しかしその給与で部下評価さえ職務としていないマネジャーが存在するのです。

なぜ当地で名ばかりマネジャーがそんなにも存在するのか。多くの日系企業では年功でタイトルを与えてきた事例が見られます。タイトルインフレする当地では、その人に実力がなくてもタイトルを与えてきてしまったという背に腹は代えられない事情もあったことでしょう。それにプラスして、駐在員達には結果を出すことを優先せざるを得ない本社からのプレッシャーもあったはずです。明確な役割と責任を与えず、また管理職育成も十分に行えずに結果を優先させてきた背景は少なからずあることでしょう。それは現地マネジャー達が責任感やリーダーシップを発揮させる機会を奪うことにもつながったのではと推察できます。

しかし現実を見てみれば、たとえ役割定義をしたとしてもその実力のないマネジャーは沢山いるでしょう。「すぐにリプレイスする」という前に、まずはやはり管理職の役割と責任の明確化と育成を考えることになります。それにはその上である駐在員を含めた現地経営層自身が管理職の役割を理解し、現地マネジャー育成が任務であることを自覚して計画・遂行していくことが重要です。そのプロセスは、
(1)役割・責任の定義
(2)現状のアセスメントとそのフィードバック
(3)トレーニングとサポートの提供
(4)役割の再検討(専門職配置転換・リプレイスなど)
これらの公正なプロセスを予め検討しておくことになります。マネジャー・リーダー育成が組織文化となっていくように経営層がリーダーシップを発揮せねばなりません。「管理職研修」などだけでマネジャーが育つとは思えません。

さて言うは易しですが、彼らに出来ないことを要望しても、そう簡単にできるようにはなりません。管理職の職務の中で彼らが出来ないことの多くはタスクマネジメントのうちの目標設定・計画立案の部分、およびピープルマネジメントでしょう。前者はやらせてこなかったが故であることが多いはず。年間計画は難しくても、小さなものからアサインしていく必要があります。問題は後者の人のマネジメント。なかでも難しいと思われるのが建設的なフィードバックです。そもそも日本人経営層も苦手としているものかも知れません。最初のうちは一緒にやっている方も多いようです。現場のマネジャーには日々の事実を記録してもらい、フィードバックそのものはその上の上司が一緒にする。こうしたマネジメントの障害を取り除いてあげれば、できるところから管理職の職務が出来るようになっていく可能性があるはずです。

それでもリプレイスがベターというケースも少なくありません。そのデメリットとしては人材確保の難しさ・現場の不安と混乱・人材とノウハウの流出といったものがあります。ですが、機会を与えたうえでのリプレイスの時期に来ている組織も多いはず。先送りすれば経営トップこそが「名ばかり経営者」となってしまうことには注意と覚悟が必要です。

<黒崎幸良 Anaxis Ltd. グループCEO>
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Vol.80 在宅勤務をさせるとサボりませんか?240216 YK問い:日本本社では在宅勤務制を導入してますが、香港では躊躇しています。サボったりするのでは、と心配もあります。在宅勤務はどうしていけばいいのでしょう。

黒崎:家だろうがオフィスだろうが、サボる人はサボります。テレワーク・在宅勤務は、それに向く業務・向く人というものがあり、またそのマネジメントも求められますのでしっかりお考えください。

そもそも緊急事態への対応で始まった企業が多いと思われますが、当時のテレワーク・在宅勤務では生産性は低かったはずです。それでもやらざるを得ませんでした。当時実施した「テレワークの達人」という講座では、テレワークの4つの進化形態を説明しました。その4つのフェーズのどこを目指すのかで、対策と生産性は変わります。まず在宅勤務の目的を明確化してください。

テレワークが適する業務はさまざまです。例えば①デジタル化された業務②クリエイティブが必要とされる業務③個人完結できる業務④対面不要な業務⑤柔軟な時間管理が可能な業務といったものが適すると思われます。一方で適さないものは物理的な作業が必要な業務や、クリエイティブさが求められる「ワイガヤ」的な議論、あるいはチームでの緊急即時対応が必要な業務や機密性が高い業務などで、すでにどんなものが向かないかは皆様もご経験済みだと思われます。

そして向かない人と文化というものが問題です。指示待ち・自己管理できない・報連相が弱い・対面コミュニケーション重視の価値観・モチベーションを外部要因に依存するタイプなどです。在宅勤務での生産性は全く期待できません。一方自律性があって、報連相がほど良くできて、成果志向で達成意欲が高いスタッフなら、不安なく在宅勤務も任せられるでしょう。要は優秀な人ならば適するというものです。

これらの観点で言えば、香港・華南で適する業務は少なく、また日系企業では成果評価ができていない職場も多いので、オフィス回帰がまずは妥当と言えると思います。

と、いうよりも実はおっしゃるように「信頼」が足りてないことが多いのです。ここ数年IT企業を中心にオフィス回帰がトレンドです。名だたる企業が出社を増やしています。Amazonが週3日出社を週5日出社に切り替える報道も話題になりました。週3日出社に切り替えた時にはストライキまで起こった同社でもです。ただ、Amazonは彼らが大事にする組織文化が希薄化するからだという理由を述べています。

経営者は不安なのだと思います。生産性が下がることへの不安、社員が仕事をさぼるのではないかといった信頼性の問題。テレワークを成功させるたった一つの資源はと問えば、それは「信頼性」ということになるでしょう。と、すれば、在宅勤務だけでなく日常のマネジメントの問題であり、組織文化の問題とリンクしてくると考えます。

GitLabというフルリモートで成功している会社もあります。世界60カ国約2,000名のIT企業です。このハンドブックは何千ページもありますが、テレワークを成功させる多くのヒントが見られます。そこではテレワークのメリットを活かしたカルチャー醸成の手法も書かれています。テレワークのメリットを共有し、オープンなコミュニケーションを奨励する。成果指標を設定し、成果重視の評価制度を導入し、定期的な進捗管理で運用。職務と成果に応じた報酬体系の構築。テレワークに適した業務運用ルールの策定などなどです。テレワークではマネジメント能力不足は大きな問題となります。これらはそのまま現地法人のマネジメントの参考になるでしょう。

それでも香港・華南で在宅勤務を導入する理由の一つに「台風対策」があるでしょう。そんな日にわざわざ出社しなくても在宅勤務が出来る環境を整えておくことには理があります。ただ年に数日程度です。私が感じる問題はやはり「文化」。台風での自宅待機や在宅勤務を「休み」だと勘違いする風土・文化が組織にあるのなら、それをどうするのか?そもそもの職務に対するプロ意識は?この辺を在宅勤務の是非を通して考えておきたいものです。

<黒崎幸良 Anaxis Ltd. グループCEO>
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Vol.79 パワハラと指導の違いとは?240216 YK問い:駐在員の指導の厳しさで人が辞めることが気になってます。パワハラと指導の違いとはなんでしょうね。

黒崎:ある県知事のパワハラ疑惑が日本でニュースになっています。その県知事も指導だと言い張っています。現在調査が進んでいるところですが、どうも本人には自覚がないように見えます。

パワハラ関係の文献・事例を見てもパワハラ加害者側には自覚がほとんどないことが記されています。しかもパワハラ行為が業績をつくりあげていることで、加害者が生き延びていく組織も多いのです。前回のご相談でも書きましたが、当地においてはパワハラを直接取り上げた法令・条例はありません。かといって、名誉毀損その他民事で争われることもあり得ます。

一般的なパワハラのデメリットは当地ではまずは離職です。リプレイスすれば、ばかにならない採用費がかかります。育成の費用もかかってきたことでしょう。蓄積された知識・ノウハウ・経験を失うことの経済的損失は誰の責任となるのでしょうか。このことを安易に見て、中国・香港では人が辞めていくだけだからと高を括るのはやめたいものです。

それでも「こんなことも出来ない人材は辞めて当然」「そもそも採用ミスだった」といった発言で、パワハラ加害者を擁護するケースも見受けられます。採用ミスも多数あるのが現実ですから、パワハラだけの問題ではないかも知れません。それでも安易な採用をした責任を人事だけに押しつける事も問題です。

さて、多くのパワハラ加害者はその目的の正当性を主張します。目的は正しく見えても、その手段・行為に妥当性が見られないのがパワハラです。ご質問の「指導とパワハラの違い」を、人事院作成の公務員向けのハンドブックを基に書き換えた表を右記に作成しました。こうした知識の学習をしても、その違いは完全には区別できないでしょう。そして加害者に自覚がないのがパワハラ問題の根の深さです。

マネジメントと一言でいっても、そこにはリード・(狭義の)マネジメント・コントロールという3つの領域があります。人の感情として、コントロールされたいとは思わないものです。マネジメントもあまりされたいとは思わないでしょう。それでもリードして欲しい欲求はあるものです。リードとコントロールは違うものです。

パワハラ加害者はコントロールしたい欲求が強すぎるのだと思います。自分の思うように相手をコントロールできないとパワハラしてしまう。自分の置かれた状況に余裕がないと、ついつい言動が過激になっていく。ストレスが強い状況下や、睡眠不足などでも言動が過激になっていきます。アナシス

残念ながら人は権力を持ち、優位性を持つと横柄になっていくと言われています。「実るほど、こうべを垂れる稲穂かな」と、散々教育されてきたはずでも、謙虚さを持つのは難しいもの。ポジションに与えられた業績のプレッシャーもあいまって、人を動かそうとしてしまう。動かそうとすること自体は、人のマネジメント上必要なこと。しかしそれが「コントロール型」だとパワハラになりやすい。相手を人として尊重することが忘れられていくのです。

「あの時、厳しく指導されたから今の自分がある。だから部下には厳しく指導するのだ」と、自分の行為を肯定するマネジャー。確かにそれで育った人もいるかもしれません。私もそう考えて厳しくやってきた1人です。しかし、部下への愛もあって共感性も高いマネジャーでさえ、やり方は間違うこともあるのです。

ダイバーシティ&インクルージョンが重要な時代。多様性を理解・受容し、寛容であることも求められます。「対策」ではなく、「予防」の観点で、よりよいマネジメントを考えていく必要があります。

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Vol.78 香港でパワハラは問題ですか?240216 YK問い:弊社のローカルマネジャーが部下から評判が悪いのです。失礼なものの言い方をすると。香港にはパワハラ規定がないと聞きましたが?

黒崎:香港にも中国にも、労働関連法においてパワーハラスメント(以下パワハラ)を直接取り上げた法令・条例はありません。しかしながら昨今、日系企業においてこのテーマのご相談が増えております。香港でもパワハラは問題なのです。日本においてはパワハラ防止対策の義務化から4年経ち、当地においてもたとえ法令にはないとしても、ハラスメントがもたらす悪影響を考えればしっかりと考えるべきです。

そもそも何故当地でパワハラがあまり取り上げられてこなかったかと言えば、転職してしまえば逃げられるというのがその理由の一つでしょう。人材流動性が高く、我慢する必要のない当地と、極論すれば我慢があたりまえだった日本とでは背景が違いました。従業員のリテンション対策としても、より生産性を向上させるためにもパワハラ防止対策は重要です。

法令がない以上当地での定義もありませんが、「パワハラ」と言う言葉からイメージされる内容が人によって違うこともこの問題の深さを表しています。

私はハラスメント防止の研修や、パワハラ加害者へのコーチングも行ってきました。そこで感じるのは、ほとんどの加害者に自覚がないことです。ある専門家は加害者に自ら気づいてもらうことを求めるのは幻想だと言い切ります。他者の感情を読み取ることが苦手な人は自分のパワハラには気づきにくいのです。

パワハラをしているのに組織に残れる人達も少なくありません。そんな人は業績を出していて社交的で上層部から評価されやすい傾向があります。こうした人がパワハラだと言われると、「被害者側の問題なのでは?」と思われてしまう。短い時間しか関わらない人からは評判が良く、密に関係する人からは評判が悪い。こうした加害者、パワハラ上司を生き残らせる組織は腐っていきます。

中国・香港においても典型的な専制型パワハラ上司は、自分は正しいと思ってポジションパワーを使って部下をコントロール、しかも部下を成長させているという驕りもあって自分の指導の正当性を主張します。部下への要望性が高いので、それがパワハラになっていきます。しかしこの破壊的リーダーシップを成立させるのはこのパワハラ上司の存在だけではなく、フォロワーの存在と職場環境の三つがそろう必要があります。フォロワーにもだんだんと病んでいく同調型フォロワーと、パワハラリーダーと結託する共謀型フォロワーがおり、どちらも悪玉フォロワーと呼んでおります。

残念ながらというか、この専制型パワハラは短期的には業績が上がりやすい。だから生き残りやすい。しかし長期的には部下達のパフォーマンスは落ちます。続かないのです。しかしその途中のプロセスではパワハラ上司は、自分のリーダーシップは正しく効果的だと勘違いしてしまうのです。

駐在員の中にもこうした専制型リーダーは時折います。かく言う私が恥ずかしくもそのタイプでした。厳しくやっても人がついてきてくれていれば、業績はあがりました。しかし共謀型フォロワーが私の真似をして正論をふりかざすとき、それがパワハラになっていきました。経営者が「情と理」を持っていたとしても、マネジャーが論理だけで押していけば人は去ったのです。それも経営者であった私の責任でした。

そしてこの専制型リーダーの上の上司が放任型だと、パワハラ的言動が許されるという文化になっていきますのでこれも非常に危険です。ローカルマネジャー達は放任型も専制型もいます。彼らの専制型パワハラを黙認してはいけないのです。そうした放任型リーダーもパワハラを生む土壌をつくってしまいます。

もうひとつ危険なパワハラのタイプがあります。リーダーの研究で著名なモーガン・マッコール教授が脱線型と命名したものです。パワハラしやすいタイミングは二つあって、一つはストレスが高い時、もう一つが新しくパワーを得た時と言われています。新しいポジションについた途端に、これまでは良かったのに脱線していく。思ったように部下を率いることができず成果が出せない。新しい意見を取り入れず自分の古いやり方を強制し、部下をコントロールしようとする。上へは機嫌をとり、部下には時間をかけない。こうして典型的なパワハラの言動が出てきます。さらにそこに当地における世代間ギャップの問題が加わります。中高年が若い世代を理解せず、汚い・きつい言葉でコミュニケートするなどという状況が起こっているのです。

組織の生産性を向上させ、適する人材が残るためにも、しっかりとハラスメント対策をとっていく必要があります。

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Vol.77 評価フィードバックがうまくいかなかった時240216 YK問い:新規赴任してきて、すぐに評価・賃金改定のフィードバックを実施しました。わけの分からないなかでやっていたので、納得してもらえていないかもしれません。評価フィードバックの基本やその後のフォローはどうしたらよいのでしょうか?

黒崎:余りいい話を聞かない昨今、解雇などもある一方で一部の職種では離職や採用難も続くなど先の読みにくいのが今年です。年に一度しかない評価フィードバックであれば、なおさらその重要度が増した年だったのではないかと考えます。新しく赴任された方にとって、いきなりの賃金改定やフィードバックは難度が高かったことでしょう。
そもそも評価の目的は処遇の決定だけではありません。このQ&Aでも何度も書いてきましたが①処遇の決定②人材開発③目標達成のための日々の軌道修正により、経営目標を達成していくためのものです。昇給・賞与など金銭的報酬を決める元となる評価であり、当地ではそこが重要であることは間違いありませんが、人材育成と次の目標達成の元ともなるものです。
たった一度の評価とそのフィードバックだけで終わるものではありません。「評価はいつでもどこでもするもの」なのです。
フィードバックの基本ステップは次の通りです。

ステップ1.事前準備
ステップ2.面談開始(アイスブレイクと面談目的の明示)
ステップ3.当初目標の再確認(必ず部下に振り返らせる)
ステップ4.部下の自己評価の確認
ステップ5.上司側の評価結果を論理的に丁寧に伝える
ステップ6.一致点とずれを話し合う
ステップ7.今後の課題を確認し、支援を約束する

この最後のステップで、メンバーの次の期間の課題・目標の方向性を決めます。残された課題の解決や身に付けるべき能力やスタンス、今年度の方針や戦略上の目標などを話し合って設定します。そして上司であるあなたが、そこに必要な支援を惜しまないと伝えることも重要となります。
新規に赴任された方は前任者による評価のため、やりにくいことも多かったでしょう。しかし反論されても一度決めた評価の変更はできません。自分で評価した以上に、その後のフォローアップが重要になります。
フォローアップで大事なことは、まず目標設定の再確認です。ここでは行動評価などの項目も再度確認しておく必要性を感じます。自社の評価制度が機能しているのかどうか。問題の多くはその運用にあります。評価が年に1回のペーパーワークになってしまうかどうかは、スタート時点にかかっているでしょう。成果を上げられる適切な目標は、本来部下達が「自走」できるものです。そしてそこに日常からの評価が重要です。ここでいう評価とはスコアをつけることではありません。出来ているか出来ていないか。行動しているかしていないか。計画通りか否か。これらの日常のフィードバックこそが、最後の評価への納得性を生みます。このフィードバックとは、耳の痛いことも良いことも伝えて軌道修正をはかりながら、部下と組織が成果を出していくこととなるものです。
さて、その評価も実はなかなかする機会は見つけにくいものです。そこで、もっと身近にできることは「承認」です。昨今世代間ギャップも大きく、また評価結果でそれほど昇給に差がつかないなどの事情がある場合、「評価されたい」よりも「認めて欲しい」という人も増えたのではないかと思われます。古典的名著『人を動かす』では、人は自己の重要度を満足させたいものだとあります。継続的に承認されていくということで、本人は自己の重要性を感じ取ることができ、エンゲージメントにも影響すると言われています。
「承認」とは「心の報酬」を与えることだと考えます。金銭的報酬が非常に重要である当地ですが、原資に限りがある以上、この非金銭的報酬は有効だと思います。「評価」と固く考えるとなかなか結果が出なかったり、良いプロセスができていなかったり、評価の機会はそれほど多くはありません。それでも「いつでもどこでも評価する」という意味は、毎日の「承認」に他なりません。
「承認」は6段階あると弊社では定義しています。
1.結果そのものへの承認
2.結果が出たプロセスへの承認
3.顕在化された行動・態度・姿勢への承認
4.目標達成への意志のある態度・姿勢への承認
5.その意識への承認
6.存在そのものへの承認

下へ行けば行くほど承認の機会が増大します。継続的に実施できるのです。
評価後のフォローアップとは、目標の再確認と日常のフィードバック、「いつでもどこでも評価=承認」です。そして評価制度運用の成否は、経営層の意志にかかっています。

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Vol.76 相対評価は香港・中国では一般的ですか?

240216 YK問い:弊社では評価は相対評価としています。昇給原資に限りが有るために、評価結果を並べて分布にそって総合評価とするしか方法はないと思っています。これは一般的ですか?

黒崎:相対評価か絶対評価か、というのはずっと議論されてきているもので、正解はありません。絶対評価でも昇給額を相対配分すれば予算を上回ることはありません。しかし比較的多くの企業は絶対評価で一次評価を実施後に、その結果を相対分布させて総合評価を決めているようですので、これを相対評価と呼ぶならば一般的と言っても良いのではと思います。もちろん絶対評価の絶対区分をしていく企業もあります。
アナシスでは一度絶対評価した後の区分の方法で「絶対区分」と「相対区分」と分けて考えています。下表にてそのメリットデメリットを見てください。(下記表参照)スクリーンショット (2540)

「相対評価」といわれているものの多くはこの絶対評価後のランキング、相対区分によるものです。先述の通り、正解はありません。人事制度は組織の規模・発展段階や個々の状況によっても違う様々な組織課題を解決するためにあります。その課題に合わせて評価の方法を決めていくものです。

さて、この相対区分を行う時の分布は「正規分布」を用いるとされていることが多いようですが、それも正しいとは言えません。正規分布とは最も多い値と平均値と中央値が一致する確率分布の一種です。平均を中心として左右対称に分布されるものです。

例えば総合5段階評価ならば、「S評価:5%・A:15%・B:60%・C:15%・D:5%」などの区分がよく有るケースです。ところが実際には厳しく評価するとモチベーションも下がるだろうと、CやDはもっと少ない数値で設定されることも多いのです。それを正規分布とはもう言えませんが。実態としては加点評価的に上位の比率や7段階に増やすなど評価区分を増やすことになるでしょう。

人は上から2:6:2に分類される、と良く言われます。これも本当に正しいのかどうか。評価結果にランキングをつけて相対区分をとるならば、よくよく考えて分布を検討すべきです。それでも「メリハリ」をつける意図で今後も相対区分は使われていくでしょう。

また後で相対化されると分かると一次評価には「寛大化傾向」が表れ、評価は甘くなりがちです。「私は良しとつけたのだけどね」などという逃げのフィードバックになりかねません。評価結果が賃金や賞与に影響するとなると、どうしても評価者は部下の人気や機嫌をとりたくなるものなのでしょう。評価は処遇の決定だけでなく、人材育成という目的もあります。せっかくの絶対評価も、基準と実態がずれていれば育成には役立ちません。

そこである企業は一次の絶対評価時にも、最終の分布イメージで点数をつけさせています。それを絶対評価とはもう言わないとは思うのですが、評価結果フィードバック時にうろたえないために日常からよく観察・指導していくことになるため、特に行動・コンピテンシー評価では運用できていることもあるようです。

相対区分は少人数組織では適応出来ず、そこでも工夫が必要になります。完全なる評価制度はないという現実がありますが、評価で人が成長し、業績が上がる理想を追いかけることを諦めることはできないでしょう。評価分布規制をしている組織は、再度目的に戻って運用を考えてみることをお勧めします。

<黒崎幸良 Anaxis Ltd. グループCEO>
86年より一貫して人事系業務に就き、92年より中国ビジネス、02年香港で独立。香港華南のベテランコンサルタントが集結して2016年にAnaxis Ltd.を創業、香港・深セン・広州・上海に拠点を持つ人事労務コンサル会社を経営。各種研修もオーダーメイドで実施中。


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Vol.75 管理職昇格時に試用期間をつけていいですか?

240216 YK問い:管理職として登用するには、まだ心配。試しにやらせてみてから判断したいので、試用期間を設けたいと考えていますが、どうでしょう?

黒崎:結論から言えば香港・中国ではお勧めしない制度です。試用期間的な任期をつけた管理職登用はまず失敗します。「ポジション不足だが次世代のリーダーは育成しておきたい」という時など、経営側に都合のいい制度なのですが、うまくいっている話をほとんど聞きません。

本当にマネジメントができる人材なら、最初から管理職に任命すべき。出来ないかも、と思っているその迷いは後日それが正しかったと証明されてしまうことが多いようです。採用においての「迷ったら落とせの原則」と同じです。引っかかっていることは、そのままずっと引っかかるものなのです。

そして資質を疑われている中での登用は、当人はそもそも納得しにくいもの。何故すんなりと管理職にできないのか?彼らがそうやって「信頼されていない」と認知することは、非常に危険なことでしょう。

任期があるがゆえに短期視点に陥りがちである事も課題となります。管理職育成にはそもそも長期的視点が必要ですが、短期的な結果を出すために大事なことを見失わせてしまっては元も子もなくなります。その一方でビジネスで「大器晩成」はほぼない、という悲しい私の経験則もありますが、、、。

さらにその部下になる人にとっても、リーダーシップの混乱と不安定さを感じさせる可能性が生じます。権限が曖昧なポジションのリーダー任命などは、それを意識する部下にはもっと意味不明となります。

そしてこの制度の最大の問題は、任期満了後に降格させればモチベーションは確実に下がり、離職の可能性が大きくなる事です。

日本のように昇降格があっても辞めにくいのは、終身雇用的慣行や退職金制度、そして敗者復活の仕組みなどの組織文化があるからと推察されます。「再任」の仕組みを彼らが信頼できるなら任期制でも成果がでるかも知れませんが、任期延長や正式登用がないのは能力不足という理由なのであれば、本人よりも上の任命責任を問うべきです。

メンツ問題がある中国・香港で、似たような事例でうまくいっていると言えるのはファーウェイの半年毎のCEO輪番制ぐらいなのではないでしょうか。プロジェクト毎のリーダー任命も可能性は高いでしょう。沢山のプロジェクトを作って、リーダー経験を積む機会を創造することは各社で取り組まれている事だと思います。

マネジメントは失敗しながら経験を積んでいくもの。責任を負った意思決定の歴史がマネジャーを作っていきます。ではどうやってその管理職候補を発掘し、昇格させていくのか。

一つは思い切って任命し、本気で管理職に育てること。管理職任命そのものに失敗は許されません。その責任を任命者が取る。本気で管理職にさせるのです。任期制などは経営の逃げの一手。たとえ任期制にしたとしても、本気で管理職にさせる経営の意思と行動が伴わなければ、結局失敗に終わる。ならば何故最初から任命しないのか?と、いうことになります。

管理職発掘・育成のもう一つの手法は職場職務記述書をベースに、管理職の職務の一部を候補者に少しずつ移譲していくこと。職場全体で各階層が何をすべきなのかが理解され、上の役割を実行していくことが登用への道筋であると説明され、現在の評価とも結びついていることなどが前提となります。

試しに管理職をやらせたいなら、やらせてみたらいいのです。しかしタイトルは上げずにその職務の一部をです。権限がないからできない、部下が動かないと言ってくる人は多いかも知れません。しかし、権限がなくても人を動かせるぐらいのリーダーシップがない人に、持続的なリーダーシップは期待できないもの。真のリーダーシップは権限を伴わなくても、フォロワーがついていくものです。

「いや、そんな人材がいないから困っているのだ」と、いう声も非常に多いのですが、お金を出して思い切って優秀な人材を採用するか、現有の人材を信頼して任せてみるかのどちらかしかないのでは。任せ、育成する胆力と能力が経営に求められています。

<黒崎幸良 Anaxis Ltd. グループCEO>
86年より一貫して人事系業務に就き、92年より中国ビジネス、02年香港で独立。香港華南のベテランコンサルタントが集結して2016年にAnaxis Ltd.を創業、香港・深セン・広州・上海に拠点を持つ人事労務コンサル会社を経営。各種研修もオーダーメイドで実施中。


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Vol.74 リスキリングとは何か?

240216 YK問い:随分前になりますが、岸田首相がリスキリングを支援すると唱えました。そもそもリスキリングとは何でしょう?香港・中国でも必要ですか?

黒崎:Re-skillingと英語で書けば想像が付くかも知れません。経済産業省の定義では「新しい職業(職務)に就くために、あるいは今の職業で必要とされるスキルの大幅な変化に適応するために、必要なスキルを獲得する⁄させること」とされています(括弧は筆者挿入)。

そもそもは日本の賃上げの流れを維持するための能力向上が意図されていました。「学び直し」とも訳されますが、不正確だと思われます。時代の変化が著しい中で、DX(デジタルトランスフォーメーション)などは世界からも遅れていると言われる日本。テクノロジーの進化で労働の自動化が加速し、雇用が失われる技術的失業を防ぐという観点では、ChatGPTなどのAIが急速に進化した今、かなり現実的な危機となってきたのではないでしょうか。

メンバーシップ型といわれる日本にはこれまで人事異動もOJTもあり、「新しい知識やスキルをつけさせる教育」ということにある意味慣れていたために、どうも本格的な取組にあまり一般的になってなかったとも思えます。

先進事例としては米国AT-Tがよく取り上げられています。2020年までに10億ドルかけて10万人のリスキリングを実施。社内技術職の80%以上が社内異動によって充足し、離職率も低下とのこと。IT人材不足だったという背景もあるかもしれませんが、Job型で雇用流動性も日本より高い米国で大手企業がリスキリングに取り組んでいたことは、香港・中国でも注目すべきと考えています。

ビジネス環境が激変するなかで、そこへ適応していくためには戦略も変革を余儀なくされます。戦略が変われば当然人事戦略も変わるわけで、このリスキリングが語られるわけです。これまでのスキルでは対応しきれなくなったとき、現在の従業員たちを育成するのか、入れ替えるのか。解雇が容易な国々では入れ替えるという発想もあるのかも知れませんが、中国・香港で経営する我々はどう考えればいいのでしょうか。

香港はデジタル競争力ランキング世界10位、中国19位日本は32位です(「IMD World Digital Competitiveness Ranking 2023」より)。香港は2021年に2位にまでなったのですが、その後落ちています。それでも日本より上の中国・香港で、日系企業のDXは進んでいるのでしょうか。その環境が活かされているのでしょうか。

2年前からこの話題を香港で話してきましたが、今だ「アップスキリング」への感心の方が高い気がしています。例えば営業職がITエンジニアになるのは「リスキリング」で、経理担当者が経理マネジャーになったり、財務分析のためのITツールを学ぶといったことは「アップスキリング」です。確かに当地では後者の方が現実的なのかもしれません。

しかしもう一歩先を考えるのがリスキリングなのでしょう。スキルを持つ人材を外から採用するという手段もあります。しかしそうした人材の採用はますます困難となっていくとき、経営として環境変化にどう手を打つのか、ということが問われているわけです。そして長年貢献してきた人材が、市場から取り残されていっても良いのかと問い直すことも経営には求められるでしょう。進出から20年30年と経った多くの日系現地法人では、シニア人材の活用・活躍とサクセッサー問題がテーマのひとつ。そこでもこのリスキリングが検討されると思います。

AIどころか、いまだパソコンを活用できないスタッフが存在する企業もあります。残念ながら期間を決めて育成しても能力が伸びないのであれば、入れ替えも必要となるでしょう。時代の変化に対応できないことの危機感を共有しなければなりません。

実際には「スキルの可視化」や教育コンテンツの手配などといった具体策が求められます。まずはこの言葉をトップメンバー達と話し合っていくことから始めるのはいかがでしょうか。

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Vol.73 アンコンシャス・バイアスにご注意

M1問い:アンコンシャス・バイアスって何ですか?

黒崎:我々が気づいていないモノの見方や捉え方、先入観や固定観念、思い込みや偏見のことをアンコンシャス・バイアスと言います。最近はダイバーシティ&インクルージョン(D&I)の文脈で語られる事が多いようです。多様性を認め、相互依存してお互いを高められるという理想に対し、このバイアスが足を引っ張るからです。インクルージョンを追求する際には、アンコンシャス・バイアスを意識し、それを回避する訓練が不可欠です。さらには異なる属性を持つメンバーを組み込むことで、共通の目標を持ちながら意見の相違を尊重する経営へと発展します。これには複雑さが伴いますが、結果としてマネジメントの高度化を促します。海外経営では特に難度が高くなるでしょう。
しかし海外経営をしている我々だからこそ、本社のD&Iに物申すことができるのではとも考えます。それゆえ、このアンコンシャス・バイアスに関しては注意を払いたいのです。
かつて連合が実施した調査の質問に「親が単身赴任中というと父親を想像する」と答えた人は66.3%いました。これは思い込みなのですが、同じ質問を私のセミナーで海外駐在員にしたのですが、ほぼゼロ回答でした。一方で「体力的にハードな仕事を女性に頼むのは可哀想だと思う」という質問は、多くの駐在員が同意しました。連合調査時は51.5%。これは「慈悲的差別」と言いまして、自分より立場が弱いと思う他人に対して、本人に確認せずに先回りして不要な配慮や気遣いをするという、アンコンシャス・バイアスなのです。
セミナー当日も賛否両論、私も未だにそれが「不要な配慮」だと断定できないでいるのですが、「善意の押し売り」だと言う人もいるでしょう。ジェントルマンシップはいったいどうすればいいのだ?と段々分からなくなっていきます。それゆえ、アンコンシャス・バイアスを避ける訓練なるものがいくつもあるのです。
我々の無意識の偏見は、些細な言動に現れることがあります。「介護しながら働くのは難しいよね」「男なのに育休とるの?」などにはバイアスが入っています。自分では気づかずにスマホを触りながら相手の話を聞くとか、話しを遮るなども相手を尊重していないというバイアスの表れです。
我々の脳は都合よく省エネで動くといいます。その観点ではアンコンシャス・バイアスは大枠で物事を捉えたり、高速で判断するには必要な機能でもあります。しかしその思い込みがもし間違っていたりすれば、不適切な評価や相手を傷つけたりするのです。そしてそれは管理者など優位な立場にある時ほど、また多忙な時やストレスフルな時ほど発生しやすいようです。
海外現地経営においては、まず採用と評価に影響がでます。さらにはハラスメントの原因となったり、心理的安全性が低くなり、信頼関係が崩れたりしていきます。
アンコンシャス・バイアスの代表的なものをあげると下記のようになります。

1.ステレオタイプ
2.ハロー効果
3.確証バイアス
4.慈悲的差別
5.正常性バイアス
6.集団同調性バイアス
7.アインシュテルング効果 他

興味あるものがあれば是非調べてみてください。アンコンシャス・バイアス対処法の最初のステップはバイアスの存在を知ることです。200もあると言われるバイアスですが、知れば知るほど自分の「あるある」を知らされます。このステップがメタ認知です。気づくアンテナが高くなれば、次は柔軟な思考と行動をとることが求められます。
また役職者にはポジションパワーがあります。自分が思っている以上に、現地従業員に対して重く強い影響がある場合が多いのです。それに気づかずに不用意な一言を発すれば、職場へは悪い影響が出てしまいます。
アンコンシャス・バイアスの対処に取り組んだ組織は、評価の公正さが担保されたり、ハラスメントが防止されたり、心理的安全性が向上したりするでしょう。マネジメントの質が向上し、D&Iが推進され、業績が向上していくはずです。
日常の言動にメタ認知と軌道修正を。アンコンシャス・バイアスにご注意ください。

<黒崎幸良 Anaxis Ltd. グループCEO>
86年より一貫して人事系業務に就き、92年より中国ビジネス、02年香港で独立。香港華南のベテランコンサルタントが集結して2016年にAnaxis Ltd.を創業、香港・深セン・広州・上海に拠点を持つ人事労務コンサル会社を経営。各種研修もオーダーメイドで実施中。


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Vol.72 業績悪化時の評価はどうする?

M1問い:非常に業績が厳しいので、賃上げもままならないと思っています。こういうときの評価はどうしたらいいのでしょうか?

黒崎:中国でも香港でも法的に賃金を上げなければならないということはありません。しかし評価そのものはしなければなりません。今回は景気後退下・業績悪化時の評価について考えます。
業績が悪い時、もし業績連動型成果主義評価を実施しているとすれば、以下の課題がでてきます。

1)トップ人材のデモチベーション・離職
優秀な人材が不可抗力による評価の低さや不透明さを感じた場合、モチベーションの低下や離職につながるリスクがあります。
2)部門間格差と不公平感による組織連携力の低下
業績連動は主に営業部門に大きく影響しますが、成果主義に基づく評価は部門間の不公平感を生じさせ、組織全体の連携力と協調性の低下を招く可能性があります。
3)短期重視・近視眼化による組織能力の低下
業績を重んじるが故に、短期的な目標達成に重点を置くことになりがちで、長期的な戦略やイノベーションの機会を見落とす可能性があります。これは組織の総合的な能力と成長の機会を損なうリスクとなります。
4)目標設定能力不足管理者の顕在化とエンゲージメント低下
管理者が適切な目標設定能力を持たない場合、未達成が続く・信頼関係の崩壊など従業員のエンゲージメント低下を招く可能性があります。
5)ぶら下がり人材の顕在化と組織文化の劣化
組織貢献していない人材の存在は、成果主義が不透明で不公平な評価基準に基づくと見なされ、従業員は「やってられない」とその不条理さに嫌気がさす可能性があります。これは組織文化の劣化につながり、全体の生産性に悪影響を与えます。

そもそも結果だけを追い求めるような「結果主義」では業績悪化時は救いようがありません。非財務的成果指標がその成果評価に含まれている必要があります。たとえば業績に関係して発揮されたコンピテンシーなど、行動・態度・姿勢といった指標が効果的に取り入れられているかどうかも課題となります。弊社では成果とはプロセスと結果の二段構えと定義しています。
以上課題を挙げてきましたが、成果主義がダメだという意味ではなく、業績悪化時の注意点とお考えください。

さて多くの方がリーマンショックを経験されたと思います。当時各社は業績が悪化し整理解雇も賃上げ凍結も続出。厳しい時代でしたが、当時のポイントは4つあったと考察しています。

1)柔軟な目標設定
上記課題の4にもありますが、環境変化に柔軟に目標修正をしている企業がありました。最終的には当初の年間目標は達成出来ないにしても、従業員の達成意欲を刺激し続ける励みにはなっていたはずです。
2)ポテンシャル評価の取り込み
人事評価は本来は過去に対してのもので、今や未来を評価するものではありません。ここでいうポテンシャルも、評価期間内における未来の業績を生み出す行動を指します。挑戦性・主体性・適応性やリーダーシップなど、その学習能力を含め評価対象とした時、未来への期待を動機づけるものになったと思います。
3)透明性の担保とコミュニケーションの強化
人事制度は本来透明性が担保されたときにより有効だと言われています。ここ中国・香港では賃金レンジなどはなかなか公開されるものではありませんが、たとえば評価基準や評価プロセスなどをできる限り説明し、積極的に従業員とコミュニケーションを取った企業は当時も適切な人材を失っていなかったのではと思います。
4)トレーニング・スキル開発の強化
そもそも評価の目的は処遇の決定だけではありません。人材育成もその目的のひとつ。たとえ業績という結果は出せなくても、人は育ちました。そしてそこへ取り組むことでも従業員たちは未来への期待を持てたと思います。

リーマンショックからV字回復した経営者へのある調査では、リーダーシップが重要だったと9割以上が答えています。危機的状況では強いリーダーシップが必要でしょう。その調査結果をもとに私なりにリーダーの行動をまとめ直すと以下の7つになります。

1.具体的な目的・目標
2.優先順位の明確化
3.心理的安全性を確保し、意見をよく聞きアイデアを殺さない
4.メンバーの自己管理・自律を促す
5.定期的なフィードバック
6.チームビルディング
7.リーダーのEQ向上

詳細はここでは書ききれませんが、「これを乗り越えれば思考」と私が呼ぶ、ポジティブな姿勢が求められると思います。レジリエンス思考です。

<黒崎幸良 Anaxis Ltd. グループCEO>
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Vol.71 OJTとは「教える」ことではない

M1問い:OJTがうまくいきません。教える時間もとれないし、教えても辞めていくのでモチベーションがあがりません。どう考えれば良いでしょうか?

黒崎:たとえ人が辞めていくとしても、人が育たない組織は魅力が薄くなります。ここは長期展望にたって実行していかねばなりません。人材育成では、仕事を通して人が育つことがその中心だと考えています。On the job trainingが基本。しかしそのOJTとは教えることではありません。あえてそう言い切るのは、「教える」ことが「伝える」ことだと勘違いしている方も多いからです。「教える」の本来の意味は、「知っていることを相手に告げ知らせる」だけでなく、「知識・スキルなどを相手に身につけさせるよう導く」というものを含んでいます。あるいは「ものの本質を相手に悟らせて導く」と、さらに深い意味もあります。
OJTには3つのレベルがあると考えます。
1)基礎指導レベル
基本的な知識・技術レベルでマニュアル化されるもの。いわゆる「教える=伝える」レベルで、そして実践させる段階です。
2)成長支援レベル
従業員が自律的に業務を行えるようにコーチングするもの。
彼らの経験学習サイクルをうまく回せるようにサポートするもので、本来のOJTはここにあったと思います。「教えない教え方」と呼ぶものもこのレベルです。
3)共創・協働レベル
上司も未知の課題には、互いの知恵を活かして共に最適解を見つける必要があります。いわばコラボレーションレベル。学習する組織の段階で、心理的安全性も担保されるべきでしょう。

これら3つのレベルを考えれば、もはや「教える」ではなく、それゆえOJTとは教えることではないと言い切っておきたいのです。
昨今では日本のOJTは崩壊した、という専門家も出てきております。世代間価値観のズレ・業務の高度化・DXの進展・変化スピードの加速・働き方改革など、従来型のOJTがうまく行かなくなる背景は確かにあります。中国・香港でも同様の問題はあるでしょう。OJTの欠点を再認識し、新たなOJT体系を構築していく必要を感じます。
一般的なOJTの欠点を以下に並べます。
1.指導・育成効果のばらつき
2.計画性・体系化の不足
3.上司(トレーナー)の負担増
4.効果測定の難しさ
5.新しい知識・技術を取り入れる難しさ
6.過去の成功体験に囚われるリスク
7.時間の確保の難しさ など

場当たりになりがちであり、上司の力量が問われがちであることは確かです。しかも世の中の変化に対応していくにはOJTだけでは無理でしょう。それゆえ人材育成体系そのものの再構築がまず問われます。そこでは上にあげた課題を克服する対応策を考えていかねばなりません。
しかし「時間が無い」は上司の言い訳です。人材育成は職務。指導することでまた、上司そのものが育っていきます。この上司達を支援出来る環境を組織は持つ必要があります。
これらOJTの課題を克服していく考え方をいくつか提示します。
1)人材育成体系を構築する
2)体系的なOJTカリキュラムの構築
3)上司の育成と支援
4)1on1やフィードバック機会の促進
5)経営層の理解と協力の確保
6)OJT以外の学習手法の導入 など

が挙げられます。要は育成体系全体とOJT制度の再構築・上司およびOJT対象者へのサポート強化です。
冒頭、人は仕事で育つと書きました。どんな職務でも育つ人もおりますが、育ちやすい職務というものがあります。それは2軸で考えられます。一つの軸はその人にとって新しい知識やスキルが必要なもの。もう一つは同じ職務でも権限委譲のレベルが高いことです。その職務のアサインメントが、体系化された中で意図と意志をもって上司からされたとしたら、人はどんどん育つでしょう。OJTの中心は、この育つ職務のアサインメントにあります。
上司側の育成とは、このアサインメントスキルを向上させることがまず挙げられます。日系企業では権限の与え方があまり上手で無いことが多く、現地スタッフからは文句が出やすいところです。しかし任せるには任せるだけの能力とスタンスが必要で、上司側はそこのジレンマに悩んでいます。職務を分解し、できるところから任せていくことになるでしょう。
成長する職務を割り当て、その達成を支援し、日々フィードバックし、きちんと評価する。そしてその職務は個人が希望するキャリアパスを尊重し、かつ組織の未来図の中からバックキャスティングされたもの。OJTとは、そういうものだと考えます。

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Vol.70 現地化をどう考えるのか?

M1問い:現地化を進めよと本社に言われても、なかなか難しいと感じています。そもそも現地化をどう考えれば良いでしょうか?

黒崎:アナシスでは今年6月に「ヒトの現地化」に関するアンケートを実施しました。そこから見える「現地化」についてお話したいと思います。

現地化の定義は、その進出目的によっても違ってきます。調査結果からも製造工場と貿易・販売商社では違いも多く、目指すところと現状にも差がありました。一概に「現地化とはこれだ」と決めつけるのは適切ではありません。単純にローカル人材の登用に終始するものと誤解されがちですが、それはスタート地点に過ぎません。それゆえ私がサポートする現地化プロジェクトでは、まず最初にその企業における現地化の定義から始めます。駐在員も現地社員も違うイメージを持っていることが多いのです。それでも大事なことは、ローカル人材が持つ現地独自の価値観やキャリアの展望を理解し、尊重することから始めることです。

さて、現地化の目的とはなんでしょうか。今回の調査で見られた主な目的は以下の通りでした。(%は回答率)
1)現地市場への適応性向上                       73.4%
2)現地スタッフのモチベーション向上     64.9%
3)コスト削減                                             59%
4)意思決定の迅速化                                  29.3% 他

コスト削減は既に目的の筆頭ではありません。現地トップの待遇は、日本本社の役員クラスかそれ以上となっているケースも少なくない現在、日本人の給与の低さもあいまってコスト削減にはなかなかつながらなくなってきているようです。一方で日本人のコストパフォーマンスが良いという見方もできます。しかしそうした駐在員が活躍し、ローカル人材の活躍の機会が奪われてしまうようなことがあれば2番目の目的であるモチベーションの低下を招くことになります。
現地化の定義やその目的が定まれば、次は現状とのギャップを埋める施策をとることになります。ローカルな視点とグローバルなビジョンが共存し、相互に価値を認め合う文化を築くことができるのか。本社が大事にしてきたDNA・企業文化の保持と、現地への適応のバランスがとれるのか?そんな日本本社側の問題意識の中、ローカル人材側が感じる最大の課題は権限委譲であり、一方の経営側は任せられる人材が育っていないと感じています。

ローカル向け調査結果からは、
1)権限が委譲されていない     67.3%
2)幹部教育が不足している     50.9%
3)本社との人脈がない         34.5%
等といった回答が寄せられています。この「権限委譲」に関してはよく考えなければなりません。上司と部下の間で「任せたはず」「任されてない」といったミスコミュニケーションが多数起きているからです。調査では「手段レベル」「資源レベル」「予算・目標策定レベル」の三分類で質問していますが、現場の仕事のアサインメントでは、さらに分類が必要でしょう。私どもの研修では7段階に分けて、より明確な権限委譲を考えてもらっています。上司が全てを決める「命令」から、完全な「委任」まで段階を分けて、タスクごとにその違いがあることを理解し、最適な権限委譲を目指すというものです。このワークを通して、権限委譲にはそれなりの能力が必要だということ、そしてその能力が信頼されなければ任せられず、また任せられなければその能力も磨かれないというジレンマを感じ、解決の方向性を考えてもらっています。

幹部教育不足や人脈などが現地化の課題として挙げられていますが、そもそも幹部は自分で育って、人脈を拡げていくぐらいでないと信頼されにくいもの。このように、経営側もローカル側もどっちもどっちの問題が存在するのが現地化の壁だと考えられます。さらに前回のこのコラムで書いたガバナンス問題があります。経営側は現地化後のガバナンス体制へ不安を持ちがちなのです。
今回の調査で回答してもらったローカル人材は、既にそれなりの権限委譲をされている方々です。その彼らの三分の一が問題にしているのは「駐在員や本社に現地化への本気の意図を感じない」というものでした。本社を巻き込んだ現地化の議論が必要だと思われます。
そしてまず出来ることから始める。任せられる人材を見いだし、仕事を任せ、育つ機会を与える。日本本社との関係性もつくらせる。最後は経営者の「腹のくくり」も必要です。やるべきことは沢山ありますが、本来の目的に戻って推進していかれることをお勧めします。

<黒崎幸良 Anaxis Ltd. グループCEO>
86年より一貫して人事系業務に就き、92年より中国ビジネス、02年香港で独立。香港華南のベテランコンサルタントが集結して16年にAnaxis Ltd.を創業、香港・深セン・広州・上海に拠点を持つ人事労務コンサル会社を経営。10月から7回に渡って、現地化をテーマのウェビナーを開催中。


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Vol.69 ガバナンスって、何ですか?

M1問い:日本からガバナンスを強化せよと要望されています。 そもそもこの言葉の意味がよく分かりません。

黒崎:このガバナンスという言葉は実は人によって使い方が異なり、海外現地法人への人事コンサルティングをする我々としては微妙なものでした。現地法人へのガバナンスというテーマでお話しします。

ガバナンスは「企業統治・支配」などと訳されますが、対象によって意味合いが変わってきます。「コーポレートガバナンス」と言えば、「権限が集中しがちな経営陣を牽制・監視する仕組み」という定義があります。または企業全体の運営と管理フレームワークであり、戦略的方向性・リスク管理・コンプライアンス、そしてその企業価値の最大化に関連する枠組みや制度とも定義されています。社内で語られるガバナンスが何を指しているのかを、一度確認することをお勧めします。

では「海外現地法人のガバナンス」となるとどうでしょうか。これも本社のグローバルマネジメントの中でその現地法人がどんな役割を持っているか、あるいは組織としての発展段階によっても意味合いが変わってくるのです。たとえば海外進出初期であれば、本社の指導のもと、指示命令とルールによる「コントロール型」でマネジメントされることが多いでしょう。そのうちに現地化がテーマとなり、権限委譲が行われていくと仕組みと組織文化によるマネジメントへ変化していくようになります。グローバルマネジメントの形態は他にもありますが、多くの企業はコントロール型か権限委譲型の狭間で努力を続けています。グローバル化の定義が各社違いますし、どの形態が優れているというものでもなく、最適な経営スタイルが求められることは言うまでもありません。その中で現地法人のガバナンス失敗例は「過度なコントロール」によって現地の事情と乖離して成果を出せなくなっていくものや、「過度な権限委譲」によってコントロール不全となるものが多いようです。そしてより具体化した失敗例が横領や不正会計などのコンプライアンス違反です。

さて、理想的な海外現地法人のガバナンスとは何か。その組織の状況はひとまず置き、日本本社がグローバルマネジメントに関する方針や運営の方向性を確立していることがまず前提条件だと考えます。その上で経営を委任された現地トップが本社に対する説明責任を積極的に果たすこと。つまり「現地法人のガバナンス」においては当然現地トップがかなりの責任を負うわけです。

ここでガバナンス対応のための現地トップの主な役割を書き出してみます。
(1)戦略推進
・パフォーマンス管理(KPIと目標の明確化、進捗報告)
・組織戦略と管理
1. 人材戦略(幹部育成・配置・採用)
2. リーダーシップ
(理念・価値観・組織文化、対本社との権限規定明確化)
3. ベストプラクティスのグローバル共有
(2)グローバルコミュニケーション
・本社および統括・グループとの透明性のあるコミュニケーション
(3)ITインフラ・システム
・情報共有のための統一されたインフラ整備
(4)リスクマネジメント
・リスクの洗い出しと対策
・クライシスマネジメント
・内部統制
(5)コンプライアンス
・ポリシー遵守
・ローカライズしたガイドライン策定
・監査対応・内部通報制度等の整備

私の理解では「現地法人のガバナンス=現地の健全な経営」「本社のグローバルマネジメントの視点を持った全体最適を考えた現地経営」となり、よりよいマネジメントを目指す現地経営ができていれば多くの問題は解消出来るはずのものだと考えています。これらガバナンス強化策を本社に問われれば、上記にあげた項目の中で、現在の組織課題を元に優先順位を決めて対応が必要になります。
人事の立場からいえば、特に現地トップやマネジャーを含めた経営者・幹部育成は優先順位が高いでしょう。ガバナンスは本社視点でもあり、全体最適とローカルの部分最適の考え方のバランスが取れていなければ、現地の暴走も起こりうるものとなります。

またリスクの洗い出しにも手をつけるべきでしょう。まずは現状を把握し、数ある問題の中から課題設定することが求められます。

現地法人へのガバナンスの目的は、現地法人が本社の理念・ビジョンに沿って効果的に運営されることだと考えます。本社側も明確なポリシーやガイドラインの提示は必要です。現地法人がリーダーシップをとってコミュニケーションし、海外から本社の改革へ影響を与えられるようでありたいものです。

<黒崎幸良 Anaxis Ltd. グループCEO>
86年より一貫して人事系業務に就き、92年より中国ビジネス、02年香港で独立。香港華南のベテランコンサルタントが集結して16年にAnaxis Ltd.を創業、香港・深セン・広州・上海に拠点を持つ人事労務コンサル会社を経営。


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Vol.68 不正が起こりにくくするには?

M1問い:日本で中古車販売会社の不正やパワハラが問題になっています。海外現地法人でも不正が起こりにくい仕組みを作りたいのですが。

黒崎:日本の報道でも同社はかなりの批判を浴びていますね。トップは不正を知らなかったと答えているようですが、世間は知っていたはずだと思っているでしょう。一方、我々人事コンサルに相談される数々の不正事件では、トップは本当に知らないなかで個人的な不正が起こっていました。社内のことは何があってもトップに責任が問われます。「不正が起こりにくい仕組みを作りたい」というご相談をいただきますが、難しさは理解出来ますが「起こりにくい」ではだめなのです。「不正の起こらない組織文化を創造する」を今回はテーマにします。

今回の事件で考えるのは、一体経営は何を一番大事にしていたのか、ということです。それを理念といい、ミッションであり存在意義であり、昨今ではパーパスという言葉でも語られています。この「理念」、そして「組織文化」、そして「トップのあり方」という3つの視点で今回の事件を「他山の石」として捉えるべきだと考えます。

我々への相談で、中国・香港での不正事件のほとんどは個人によるものでした。もちろん一部は組織的なものもありましたが、不正を起こしてでも売上・利益を追求する組織が続くわけがありません。ただ悪意を持った人物による不正を防ぐことはかなり困難なことも事実です。「鬼を入れるな」という言葉を弊社のセミナーでは使いますが、まずは採用が重要になります。そして人は弱く、その弱さから不正に走らせてしまうケースも多々あります。環境が人を鬼にしてしまうということです。これは組織の責任も大きいのです。「鬼にさせるな」と言っています。

だからこそ「ルールが必要」ということになりやすいのですが、ルールには3つの宿命があります。1つ目は「不完全性」、どこまで詳細にルールを決めても例外は存在し、完全にはならないこと。2つ目が「非効率性」、ルールが増えれば増えるほど、運用に耐えないほどの複雑性が増すこと。最後は「硬直性」、一度定着したルールは前提条件となって、環境変化に耐えられない可能性を持つことです。最低限のルールは必要ですが、ルールだけでは不正は防げないのです。だからこそ不文律を持つ組織文化の創造が必要になると考えます。

それでは揺らぎない信念、理念を持つ組織文化はどうやって創造するのか。まず明確なビジョン・ミッションは第一に問われるはずです。そして倫理的基準・価値観の共有の場も必要でしょう。言える化・見える化と呼んでいる、心理的安全性の確保も条件の1つだと思います。正しいと思えることを言える環境。そして正しくない行動が見えてしまう環境です。人は弱いと言いましたが、私は性弱説派です。「小人閑居して不善を為す」という言葉がありますが、極端に言えば子供の前で不善を為す親はいないはずなのです。と、信じたい。言える化の観点ではコンプライアンスホットラインなども手段としてはありますが、その目的がしっかり共有されていないと不平不満ホットラインと化しますので要注意です。

さらに条件を言えば、やはりトップのリーダーシップであり、教育・育成、運用される評価制度などになります。さまざまな条件はありますが、単純に創れるものでもありません。そして言葉やルールだけではなく、行動で組織文化は創られています。その時に最も大切なのがトップの行動となります。

このトップの行動によってもたらされるものは「経営への信頼」であり、「明確な方向性」や「変革へのスピード」となります。我々現地法人の経営を担うトップマネジメントとしては、今回の事件を他山の石として、再度現地での理念も見直し、自らの行動をメタ認知する必要性を感じます。ただし、トップの強烈なリーダーシップには反作用もあることにも注意です。

それは強いトップへの依存心が生まれることや、その行動への解釈が多様化した場合に誤解が生じてしまうこと、柔軟性や創造性の抑制となってしまう可能性もあることです。上意下達にメリットが大きい製造現場などの組織とイノベーションや創造性が必要な現場のケースでは、リーダーシップの発揮の仕方も変える必要があります。

それでも「不正の起こらない組織文化を創る」という強いリーダーシップは必要でしょう。

 

<黒崎幸良 Anaxis Ltd. グループCEO>
86年より一貫して人事系業務に就き、92年より中国ビジネス、02年香港で独立。香港華南のベテランコンサルタントが集結して16年にAnaxis Ltd.を創業、香港・深セン・広州・上海に拠点を持つ人事労務コンサル会社を経営。


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Vol.67 責任をとらないマネジャー

M1問い:マネジャーというタイトルとやっている職務が合っていないようなのです。等級制度に問題があるのでしょうか?

黒崎:制度とその運用の両方に問題がありそうですね。対外的な役職名・呼称である「マネジャー」と、社内での役割・職務の違いは残念ながらよく起こっている課題です。マネジャーというタイトルが商談を容易にするため、タイトルの乱発など不適切な付与も生まれやすく、また少数人員のマネジメント上ではより柔軟な制度の方が利用しやすいなどの問題もあります。さらにタイトルと現地給与相場が適切にリンクしていないという問題があれば、人事制度の見直しは必要となるでしょう。しかしこういった問題の多くは先送りされてきました。現地進出から年月が経過し制度の修正が必要な企業は多いと感じています。是非見直しをお勧めします。
等級制度は主に3つに分類されます。「能力」をもとに人材をランク付けすれば「職能資格制度」、「職務」の価値をもとにランク付けすると「職務等級制度」、大まかな職務と役割・責任によってランク付けしたものが「役割等級制度」です。日本では従来能力が高ければ上位役職にいけるという「職能資格制度」が主流でした。しかしこれが年功序列的に運用されると現代のマネジメントには不適合となり、Job型雇用が注目されてきています。Job型の定義は企業により異なりますが、本質的には職務等級がベースとなります。元々海外は職務に応じて給与に違いのある職務等級が一般的です。
しかし、職務価値を明確に定義してランク付けすることの難しさと、個別の職務定義書に基づくマネジメントになれてない日系企業にとってはややハードルの高いものだったことから、その折衷案とも言われる「役割等級制度」が日本でも普及してきています。この制度の定義も企業によって異なるため、自社の課題に応じた設計が必要です。
例えば右記にあげた等級例をご覧ください。全体は大まかに経営・管理(・監督)・実行と3つないし4つに分類されています。
ここでは等級を6つに分けて定義していますが、一般的には5つから7つぐらいのグレードで設定され、より詳細に定義されます。これを職務等級と呼ぶか役割等級と呼ぶかは人それぞれですが、従業員10名ぐらいから数1000名規模でも適用できる分類です。昇級昇格を細かくして「昇進した感」をつくるためには、これらグレード内にさらにレベルを設定するのが有効です。
実際には職務はそれぞれ違うわけですが、同一グレードでの役割は営業でも財務経理でも同じとするのがこの役割等級です。この例では4等級を社内的にはマネジャーと呼ぶのが一般的でしょう。対外呼称と社内呼称に違いがある場合があるため、ここでは具体的な役職・ポジション名を入れていません。もし管理の職務・役割をしていないマネジャーが存在しているとしたら、この定義を見直し、新しい役割を求めていくことになるでしょう。あるいはタイトルは社外的な役職名はそのままに、社内での等級を再設定することになります。
いずれにしてもタイトルにこだわる当地の従業員のことを考えれば、制度の十分な検討とその伝達方法が重要になります。
この役割等級制度では、職務記述書がなくても運用可能です。しかし私たちアナシスでは「職場職務記述書」というコンセプトを推奨しています。各職場単位で具体的な職務を記述し、それを役割等級の階層で区分するというものです。これによって、各職場で果たさねばならない職務・役割が見える化されます。
個別職務記述書による「言われたことしかしない」ような弊害を避け、より上位を目指す人への職務の割り当て・挑戦や、チームワークを通じた業務遂行も促進できるはずなので導入をご検討ください。
また、等級制度を構築する際は、本社やグローバルな等級との整合性も検討する必要があります。その際、グループ内で役職名・呼称の違いにも注意が必要です。発言の重みが役職名に影響されるのも問題ですが、誰が責任者なのかが不明なケースは避けたいものです。スクリーンショット (2430)

<黒崎幸良 Anaxis Ltd. グループCEO>
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Vol.66 ChatGPTが注目されてますが、本当に使えますか?

M1問い:ChatGPTが話題ですが、まだ使ったことがありません。ビジネスで活用できるものなのでしょうか?
黒崎:かなり使えるようになるはずです。中国・香港ではまだ正式にChatGPTを使える環境にはなっていませんが、そのうちにそうした生成型AIが登場するでしょう。Microsoft社はOSやオフィスアプリにに「Copilot」と呼ぶAIを投入すると発表しています。開発が驚くほど速く進んでおり、これらのAIによってホワイトカラーの生産性は大幅に改善されるはずです。
さてChatGPTが従来のAIと違うインパクトを持てたのは、自然な言葉で質問に答えてくれるという容易さにあります。その日本語力は本当に驚異的です。ChatGPTの機能としては、文章の作成・添削・校正、文章や概念の要約、思考の壁打ちやブレスト、リサーチ・論点の洗い出し、キーワードやアイデア出し等があります。翻訳などでよくある変な日本語表現は出てきません。
英語はさらに得意なので、校正を頼むと文法の間違いだけでなく、内容の改善点の指摘や修正理由なども教えてくれます。メールの作成も手伝ってくれます。私は思考のヌケモレがないかを確認するときや、セルフコーチングにも使っています。まるで優秀なアシスタントが1人増えたような感覚です。
そもそもこうしたAIは大きく4つに分類出来ます。異常検出や認証に使われる「識別系」、需要予測などに使われる「予測系」、会話ができる「会話系」、そして文章・画像・音楽などを創る「生成系」の4つです。この生成系AIが飛躍的な進化を遂げているのです。
しかし生成系AIにはいくつかの懸念点があります。まず、不正確な情報を出す可能性があるということ。AIが平気で嘘をついてくることがあります。こうした誤情報・偽情報が拡散されると大問題となります。それゆえ、その情報を評価し、修正する「編集力」がAI活用には必要になります。さらに著作権侵害や差別的表現をする可能性もあります。これはコンプライアンスや倫理問題となります。また、セキュリティ問題として、機密情報や個人情報をオンラインに掲載すると悪用される危険性があります。これらの対策として、AI活用のガイドラインの策定が必要です。
またChatGPTでよくある話しが「大した答えが出てこない」というもの。システムの世界では「GIGO:Garbage in, Garbage out」という言葉があるように、入力する質問の質が答えの質に影響します。このChatGPTも同様で、質問力が問われます。AIから望む返答を導き出すための指示を「プロンプト」と言いますが、その例が随分と出回っています。そしてChatGPTにはそうしたプロンプトを作成してくれるプラグインまで登場してきました。ですので、慌てる必要はありません。
しかし、重要なのはそうしたサンプルを活用して、AIに何をやってもらうかという目的を明確にすることです。そしてゼロから1を生み出す「構想力」、そして先ほどの質問力・指示力を組み合わせた「指令力」、正確性の確認と本質的な問題解決へと進める情報の「編集力」が、AI時代に鍛えるべきスキルでしょう。問題解決力とコミュニケーション能力の向上も、AIの活用を考える上で重要です。
実際に、指示の上手な人ほどそもそも生産性が高く、AIをうまく使いこなせる人はさらに生産性が高まります。一方、指示を待つ人や確認も出来ない人は仕事が出来ないと言えるでしょう。
もし「指示待ち」の文化を持つ組織や個人の場合、その仕事はAIに取って代わられる可能性があります。AI導入が人員削減につながると誤解されないようにすることも重要です。経営としてはそんな時代を見越して、職務のアサインメントと育成を構想していく必要があります。
冒頭で述べたように、Microsoft社はAIを「Copilot」(副操縦士)と名付けました。つまり我々ユーザーこそが「Pilot」(操縦士)だということ。目的と意志を持った自律型人材こそが、その操縦士になれるはず。AIの活用を考えるほど、そうした自律型人材の養成が必要になってくると感じます。
まずは実際に使ってみることから始めると良いと思います。そして活用方法の具体的な事例を試しながら、自社・自分に適した活用方法を見つけていくことが大切です。

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●ご契約者向けのウェビナー「ウィークリー・アナシス・オンライン」でも、AIの活用を取り上げていきます。
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Vol.65 賃上げ出来ない中でリテンション策は?

M1問い:この4月に新規赴任してきました。よく分からない状況ですが、4月に賃金改定とそのフィードバックがあります。どうすればいいのでしょうか。

黒崎:香港では強気の経済予測の中、採用に困難さを抱える企業が増えていると思われます。一方華南では経済状況が厳しく、人員整理を余儀なくされている企業もあります。香港華南を双方担当する経営としては、バランス感覚が問われる状況にあります。業績の好/不調を問わず、大事な人には残って欲しいもの。今回は賃上げ以外のリテンション施策について考察します。
原資に余裕があれば、香港華南で最も直接的なリテンション策は賃上げでしょう。しかし香港などでは転職で20%以上の昇給を希望する人も存在し、そこまで出せる企業は希少です。そして既に賃金改定時期も終え、次の一手を打つ必要がある時期だと思われます。残念ながら絶対的なリテンション策などなく、あるのは企業独自の全社へ向けての全体対策と個別人材へ向けての対策です。
よくあるアプローチは離職理由の分析です。その多くは待遇の問題が出てくるでしょう。確かに香港・中国では給与は離職要因の筆頭です。それゆえ市場調査と自社の分析は必須です。
しかし賃上げには原資が必要ですし、待遇以外のモチベーションの分析も重要です。厳しい状況の企業では、そうした非金銭的報酬に目を向ける必要があります。しかもそれは個々の人材によって価値が違うのです。
まず考えるべきは誰がそのリテンション対象かということです。たとえば今いる人材の2割しか残せないとしたら、誰を残すのか?半分しか残せないとしたら、本来はその残したい人材への個別対策の優先順位が高くなり、同時に全体対策の優先順位も決まってくるでしょう。
その残す基準とは何でしょう。ある企業は業績貢献度と会社の価値観への共感度の2軸で判断しています。業績も能力も高く、価値観を共有出来る人材が「大事な人」。価値観は共有出来るが、業績が今ひとつの人は「育成すべき人」。業績は良いが、価値観を共有出来ない人は「困った人」。最後は「不要な人」となりますが、原資が足りなければ人を絞った上で分配し直すという冷徹な判断が経営には必要となります。もちろん、人員整理には用意周到な準備が必要です。
残すべき人とはその組織の「求める人物像」に沿った人でしょう。この意味でもリテンションは実は採用の時から始まっています。スペックだけではなく、タイプマッチングまで含めた適切な採用ができていれば、リテンションの苦労は減ります。さらに「代謝=離職・解雇」も大きな問題です。不適切な人材の存在は、適切な人材のモチベーションを下げ、それを存在させる組織と人への不信感を醸成させることになるのです。
このように入り口と出口、エントリーとイグジットマネジメントを含めたものが、全体のリテンションマネジメントとなります。この連載記事では「トータルリワードの向上」がリテンションにつながるとしてきました。トータルリワードとは、金銭的報酬のみならず、非金銭的報酬(=金銭以外の様々な「報われ方」)を用意することが重要だと。それは例えば、承認や感謝、ワークライフバランスの実現、いい仲間・組織文化、成長支援・学習機会、労働環境の改善、適切なフィードバック、仕事そのものなどなどです。これらのことは、組織への「内発的誘因」となっていきます。安心感・安定感・有能感・成長感・連帯感・自己肯定感・信頼感などがそれです。
そうした非金銭的報酬を感じる機会を右に並べてみました。これらは日常の中での従業員の言動に対する承認や感謝、フィードバックなどのコミュニケーション、あるいは適切な目標設定などを通じても提供できるはずです。より良いマネジメントを目指せば、いろいろな機会が創出されるでしょう。皆さんご自身を含めた「大事な人」に、金銭以外の報酬を感じられる機会提供を是非ご検討ください。

●非金銭的報酬を感じる機会
1. 自己実現:仕事そのものの面白さの実感
2. 利他貢献:誰かの役に立っているという実感
3. 技術習得:市場価値の高い仕事・スキル・ノウハウを習得している実感
4. 信頼獲得:仲間や価値提供した相手からの信頼獲得と人脈形成実感
5. 自己表出:名を残す業績や表彰などにより自己が注目される実感
6. 選択権行使:仕事を選択・希望できる実感
7. 心理的安全性:挑戦・工夫しそれを言っても良い環境、聞いてくれる文化の実感
8. 均衡:ワークライフバランスの実感
9. 理念共感:達成意欲の源泉となる思想や価値観への共感実感


●商工会で配布されている「雇用条例ガイドブック」の講座を毎月無料で開催しております。
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Vol.64「今年の評価フィードバックはどうしたら?

M1

問い:この4月に新規赴任してきました。よく分からない状況ですが、4月に賃金改定とそのフィードバックがあります。どうすればいいのでしょうか。

黒崎:異動なく評価面談に挑む方の準備のポイントは以下の通りですが、これは新任の方にも適用できます。引継ぎをしっかりと受けてください。
①評価期間におけるその評価点とその根拠、
過去の賃金・賞与推移
②前年と比べて異なる従業員の情報・事実およびその要因
③今回の賃金改定・評価結果に対して想定される反応
④人材開発のポイント・ポテンシャル、
リテンションの必要性や可能性について
最後のポイントにおいては、本人のキャリアに関する希望、スキル・知識の強み弱みなども得ておくとベターです。引継ぎの場合、事実以外は前任者の主観として割り切り、ゼロベースで見ることも肝要です。
人事評価は一度決めた事なので、従業員からの反発にあったとしても原則的には変更しません。よほどの事実誤認以外は受け付けられないのです。評価には慎重さが求められます。
しかし今年の香港などは例年よりも、求人市場が活性化しているようです。この4月の賃金改定が引き金となり、人材流出が起こることも想定されます。だからと言って、10%や20%といった賃上げを簡単にするわけにもいかないでしょう。良好なマネ ジメントと信頼関係があったとしても現在は厳しい環境であると覚悟する必要があります。
後から入ってきた人の方が賃金が高くなる傾向があるのが昨今です。上が詰まっていてキャリアを積みにくい組織での離職防止は相当苦しいものです。ここは割り切って新陳代謝だと考えたり、減員のまま業務分担を変えていくこともあるでしょう。そんな内容も含めての評価フィードバックになっていくと想定されます。そこで次に評価面談の進め方を7つのステップでご紹介します。

●評価面談の7つのステップ
ステップ1.事前準備
日々のマネジメントにおいてのフィードバックがあって、はじめて評価面談での内容への理解と納得が生まれます。1年間何も伝えずにやってきて、最後の最後だけの評価というのは避けるべきです。そして過去の全てのデータと、その評価・賃金を決めたロジックの十分な準備をして下さい。どんなシナリオで話すかを事前に企画します。
ステップ2.面談開始(アイスブレイクと面談目的の明示)
自分も部下も緊張を解き、そして面談の目的をしっかりと伝えます。
ステップ3.当初目標の再確認(部下側より)
次は期初に立てた業績目標や行動評価項目などを本人自身に語らせます。いきなり評価結果を伝えるものではありません。
ステップ4.部下の自己評価の確認
まずは自己評価を語らせ、それを「積極的傾聴」します。たとえ違う意見であっても、しっかりと話しを聞いてあげ、受け止めることが大事です。プラスの評価をすべき内容にはその場でもきちんと賞賛してあげてください。
ステップ5.上司側の評価結果を論理的に丁寧に伝える
事前準備したシナリオと、先ほどヒアリングした部下の自己評価情報とを組合せ、再度自分の論理を確認しながら、一致するところから上司側評価を伝えます。
ステップ6.一致点とずれを話し合う
ずれについては、なぜ意見の違いが生まれたのか、その理由を探っていきます。上司の評価を押し付けず、あくまで相手に納得してもらうための努力をすべきです。たとえ納得されなくとも、理解されるまで話すのは上司の役割です。ここでブレれば、他の全ての評価結果にブレが生じる可能性があります。
ステップ7.今後の課題を確認し、支援を約束する
最後にメンバーの次の期間の課題・目標の方向性を決めます。残された課題の解決や身に付けるべき能力やスタンス、次年度の方針や戦略上の目標などを話し合って設定します。そしてそこに必要な支援を上司であるあなたが惜しまないと伝えることも重要です。
今年のフィードバックでは、例年以上にビジョンや戦略を語 ることが必要かも知れません。未来を見せること、その仕事本来の面白さが感じられること、そして従業員がどこに行っても通用するような人材開発への取組などでエンプロイアビリティの向 上に取り組んでいる事など、離職防止につながるあらゆることが求められていくでしょう。

 

<黒崎幸良 Anaxis Ltd. グループCEO>
86年より一貫して人事系業務に就き、92年より中国ビジネス、02年香港で独立。香港華南のベテランコンサルタントが集結して16年にAnaxis Ltd.を創業、香港・深セン・広州・上海に拠点を持つ人事労務コンサル会社を経営。


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Vol.63 香港の賃金改定率も賃金も、高すぎませんか?

M1問い:4月の賃金改定を検討しています。予算は昨年並みにしてありますが、離職されたら困ります。求人しても人がなかなか応募がない状況。しかし相場が上がりすぎていて、賃上げ率も少し高すぎませんか?

黒崎:経営にとっては厳しいシーズンが来てますね。高すぎると感じる方もいらっしゃるかも知れませんが、今年はより「投資」の意識を高めなければならないのではと考えています。おっしゃるように今年の賃金改定はそれほど簡単ではなさそうです。
まず、賃金改定につながる評価前の準備については以下の6つです。
1.評価制度の再確認
2.昇給原資(予算)と市場動向の確認
3.業績データの収集
4.評価期間内のコミュニケーション等の記録・事実の収集
5.過去評価データの確認
6.「逆算評価をしない」などの評価エラー対策の再確認
評価の原理原則を確認しておくことも必要です。評価の対象は「人」そのものにあらず、ある一定の評価期間におけるその人の業績結果や行動・態度・姿勢になります。「能力評価」をするとしても、その人の「保有能力」ではなく、その評価期間においての「発揮能力」が対象です。能力の高い人がいつも高い評価であるという訳ではないのです。
さて、上記準備の6番目に「逆算評価をしない」と書きました。これは最終的な賃金の実額を上げるために、帳尻合わせとしての評価をしてしまうこと。実際は出来てもいないのに出来ていると部下に思わせてしまう評価のことをいいます。
特に今年は求人環境が良く、転職が成功すれば10%から20%、あるいはそれ以上も賃金が上がるような状況です。この環境が特に一般職層に顕著に表れており、賃金の底上げを実施した企業も少なくありません。最終的な総額人件費における日系企業の賃金改定率はそれほど高くはなりそうもありませんが、一部の企業は香港でも7%、8%アップを実施しています。
それだけ上昇させたとしても果たして引き留めに有効かどうかは不明です。確かに先が見えない中で、確約された賃金は魅力的ですが、働きやすさを含めた「非金銭的報酬」も忘れてはなりません。
賃金改定の市場動向は業績の差にも影響されますが、たとえ業績が悪い企業でも消費者物価指数を超えてくる傾向があります。今年は日本も賃上げ圧力が強いので、日系企業の経営においては本社との交渉は例年よりたやすいかもしれません。それでも賃金の上昇は経営を圧迫していくことになりそうです。
そうした賃金改定率と評価は、一旦別物として考えることをお勧めします。評価は評価。約束したことを果たせたかどうか、能力開発されたかどうかなど、事実に対してできる限り客観的に評価するものです。なぜならば評価の目的は処遇の決定のみならず、人材開発などの側面もあるからです。
そして今年の賃金改定は冒頭に書きました「投資」がテーマとなるでしょう。これまでは出したくても出せなかったレベルの賃金を、今年は出しておかないと結局辞められてしまうかもしれません。スタッフの退職後に、リプレイスで後から入社してくる人の方が高い給与となってしまいながら、実はより低いパフォーマンスという残念なケースが出ています。そんな人に高い給与を支給するなら、辞められる前に賃金をもっと上げておけば良かったと後悔するなど。
しかしながら、ただ「言ったもの勝ち」の世界にも未来がありません。言わせるだけでなく、やってもらわないと。賃金通りのパフォーマンスを上げてくれればそれでいいはずなのです。求めるレベルの賃金を払ったからには経営もリターンが欲しい。賃上げするなら生産性を上げて欲しい。稼ぐ力も上げてほしい。そうした稼ぐ力を伸ばす仕掛けを経営もしなければなりません。賃金はコストではなく、投資です。
もっとも、人が足りない企業もなんとか回ってしまうことが多い。ホワイトカラーはまだまだ生産性が低いので、それを見直せば一人や二人分の人件費を浮かせることができる組織は少なくないでしょう。その人件費を賃金の見直しに充てることで総額人件費の増大を防ぐ。
意図せずに、結果としてそうなっている企業もあります。戦略的に「生産性」を再定義し、業務の変革に取り組むことも「投資」の一つとなるでしょう。

<黒崎幸良 Anaxis Ltd. グループCEO>
86年より一貫して人事系業務に就き、92年より中国ビジネス、02年香港で独立。香港華南のベテランコンサルタントが集結して16年にAnaxis Ltd.を創業、香港・深セン・広州・上海に拠点を持つ人事労務コンサル会社を経営。


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Vol.62 中国・香港はどんな『ニューノーマル』に なっていくでしょうか?

M1問い:激変した中国のコロナ対応。香港とも行き来が通常に戻りますが、中国の「ニューノーマル」ってなんでしょう。何を考えればいいですか?

黒崎:「ニューノーマル」という言葉は実は古く、2008年の金融危機後に既に使われています。中国でも2014年に「新常態」という言葉が政府で使われましたが、昨今はいたるところで「コロナ後の新常態」という意味で見るようになりました。さて2月6日からは香港・深セン間では羅湖・皇崗を含む全ての入境ルートが再開、人数枠も撤廃されました。香港・華南でのビジネスをする人にとっても、変な言葉ですが「新たな新常態」となるでしょう。前とおなじではないはず。人によって定義も違う「ニューノーマル」を考えてみたいと思います。
日本やアメリカでもテレワークから出社・対面への揺り戻しが随分とあったようです。その一方でテレワークの快適さを望む人もいて、離職防止の一つのキーとも言われています。この流れは中国・香港にも起こりうるものです。香港のある調査では68%が出社とテレワークのハイブリッドワークを希望しているとのこと。テレワークではより高いレベルのマネジメント力が求められ、成果評価が求められました。テレワークを求めるタイプは、より生産性を高めて成果を出せるか出せないかの二種類に分かれると思われます。そして組織貢献していない人材があぶり出されたのがこの数年だったのではないでしょうか。
そのテレワークもBCPを考えれば、手段として持ち、かつ高い生産性である必要があります。もしハイブリッドワークが常態化していくのであればなおさらです。緊急避難的に行われたテレワークの生産性は低いものでした。ここ数年やってきたことへのレビューが重要です。まだまだ上手にオンラインを活用出来ている人は多くはないように見えます。既に作った在宅勤務ルールも見直しが必要なケースもあるでしょう。
いろいろ変化している中で何が「新常態」かと決めつけることの方が今はリスクがありそうです。となると、走りながら考えるという中国・香港での得意分野で進めていくことになるでしょう。
そのポイントはレビューサイクルを短くすることです。少しやってみて良いものを見つけて小さなルールを作っていく。だめなら修正する。ソフトウエアでいうアジャイル開発の手法です。
お客様向け情報アウトプットの頻度をスタッフに要望することもポイントでしょう。私は毎日メールマガジンを書いていますが、その頻度・量が沢山の人との接点となり、アウトプットするからこそ最新情報も入ってくるという好循環を経験しています。最新情報のアウトプットの多い営業は、この時期価値を発揮しそうです。
そして久しぶりの対面に戸惑う人々もいるので支援が必要です。この時期の新入社員達などは、対面のビジネス経験が不足しています。ビジネスマナーからやり直すところもあるでしょう。会えたは良いが、その後のフォローの仕方を知らないなども。チャットリテラシーに世代間でギャップがあるなど、より良い成果を出すためにはチーム全体でのスキルの見直しも必要です。
新常態ではより成熟したビジネスパーソンが求められるはずです。その成熟さを支えるいくつかのスキルがあります。まずはやはりコミュニケーションスキル。対面とオンラインを的確に使い分け、先述したようなアウトプットの頻度をキープできること。お客様の期待を把握するセンスとヒアリングスキルなどです。さらにテレワークにおけるスキルも必須です。TEAMSには慣れているけれどZOOMだと不慣れであるなどでは、ビジネスチャンスを失いかねません。本質的なところではない部分での失点は無意味です。
スケジューリングのスキルでも、移動手段などを含めたアポイント設定のうまい下手などの差が見られます。情報収集力や先を読む力の差でもあります。またシャドーITなどのセキュリティ問題もそろそろ手をつけないといけない企業は多いでしょう。接待の問題を含め、コンプライアンス問題も再浮上してくると思われます。
日常の中で生産性を向上させる工夫を求めること。さらに変化する可能性のある「新常態」には、本質的な問題解決力が問われると思われます。

<黒崎幸良 Anaxis Ltd. グループCEO>
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Vol.61 出張が増えそうですが考えておくべきことはありますか?

M1問い:まずは駐在員の出張からではありますが、今後中国香港の行き来が増えると思います。考えておくべきことはありますか?(1月10日中国ビザ発給停止ニュース以前のご質問です。最新情報のアップデートが必要です)

黒崎:ウィズコロナへ大きく舵が切られた中国・香港。多くの従業員が感染し、年末年始もその劇的な変化への対応に追われてしまう企業も多かったのではと思われます。そして急激な正常化。
そんな中1月8日からは中国側の渡航時の隔離も撤廃され、これまで控えられてきた出張・渡航の増加が想定されます。経営・人事としても、できる限りリスクを低くする必要性があります。この環境変化の中で思考を通しておきたいことを取り上げます。ただし、「緩和されたから出張に行け」と単純にはいかないことが想定されます。間違った舵取りをすれば、人は流出し、不必要なコストが増加することとなります。
そもそもの出張の是非から考える必要があります。コロナ禍では「不要不急の出張は控えよ」と言われていました。が、そもそも「不要」の出張はあり得ません。一方の「不急」に関しては、状況変化が激しいときは「行ける時には行っておく」「会えるときに会っておく」ということを、私は経験則として学んだと思っています。さて、これまで出張がなくてもなんとかなってきたのに、なぜここで必要になるのでしょうか。そのメリットが腹落ち出来ないと、命令された従業員達は動かないかもしれません。
それでは対面のメリットとは何か。それはオンラインでは不得手な領域を解決できるからです。たとえば人間関係構築の初期段階や、複雑で抽象的な議論などは、情報量が圧倒的に違いますし対面が優れているものです。営業の新規開拓や担当者変更時の挨拶もそれです。「同じ釡の飯」による関係性構築なども、「ZOOM飲み」よりは成果が出そうです。
また一部には「対面でなければ失礼」と考える人達もいます。感情的なしこりの緩和なども対面にはかなわないでしょう。この辺の考え方が無くならない限り、対面の重要性はなくなりません。それどころか、限られた対面時でのパフォーマンスが問われることになります。
確かに「会いに来る人」と「オンラインで済ませようとする人」とでは、その人達のパフォーマンスにもよりますが、評価はまだ前者の方が高いのが現実かもしれません。
一方でオンラインでもかなりできることが増えました。コロナ感染への恐れや効率性から、対面を嫌がる顧客の存在も無視出来ません。しかしオンラインでは音声のズレやネットトラブルなどによるストレスは未だ存在します。また「場」のファシリテーションにおいては、オンライン上でのスキルはより高いものが求められます。対面型の方がその難度は低く、人材の質に差がある場合は対面の方がパフォーマンスが高くなるでしょう。
デメリットとしては、上述の対面を嫌がる顧客の存在にどう対応するかということと、リセッションが予測されるなかでの経費削減問題でしょう。
さて、出張・渡航においてのリスクも検討しておく必要があります。まず1つ目のリスクはルール変化への対応です。日本の水際対策も刻々と変化します。先日は香港から日本へのフライト制限でドタバタがありましたが、事前の抗原・PCR検査実施ルール等は今後も最新情報のアップデートが必要です。また、渡航前および現地での感染や濃厚接触が発覚すると、決めてあったスケジュールが変更になってしまいます。これがストレスになります。最新情報の確認はどうしても複数の人が重複して実施しますので非効率です。
こうしたストレスが出張を嫌がる従業員を増やします。コロナに対する恐れの温度差による拒否反応もあります。また、香港にはかつてのデモ参加者など中国に出張できない過去を持つ人もいるようです。これらの人達が出張命令によって外部流出してしまうリスクが2つ目です。
3つ目のリスクは受け入れ側の拒否反応です。お客様へは確認しながら進めることになるでしょうが、同じグループ内での関係構築が課題になっている企業もあります。現地スタッフの感情を無視した華南一体化やOne Chinaのコンセプトはなかなかうまく行かないでしょう。コロナ後に中国と香港の間のチームビルディングが必要となっている組織は少なくありません。香港のポジショニング変化がここにも影響してきています。
4つ目のリスクは、万が一の台湾有事です。私はその可能性は極めて低いとみていますが、最悪も想定するのが経営なのでBCPを策定しておく必要性を感じます。中国・香港・台湾の駐在員・従業員の帰任や退避をどうするのか。SCMをどうするのか。偶発的な有事に対応する検討はしておくべきでしょう。

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Vol.60「リスクマネジメントの考え方を教えてください

M1問い:日本本社から現地でのリスクマネジメントを検討せよと言われてまして、、

黒崎:私自身は想定していなかった今年2月のウクライナ侵攻や新型コロナの超長期化など、企業は有事に際し様々な対応に追われました。2019年の香港の抗議運動や、2020年の武漢からチャーター機で在留邦人が避難したことなどもやや遠い昔に感じられます。相変わらず新型コロナの感染は続き、その対応に一部緩和が見られるものの、香港深セン間の行き来などもまだかなり制限されています。こうした中、有事に対する備えを見直す企業も少なくないと思われます。リスクマネジメントにおいては「恐れすぎず侮らず」を基本として、想定すべきことに「思考を通しておく」ことを推奨してきました。今回は一般論としてのリスクマネジメントとして準備しておきたい4つのことを考えていきたいと思います。

1.有事の危機管理体制
緊急事態に慌てないためにも平時にその危機管理体制を整備しておくことが必要です。日本本社などにその体制やマニュアルがあることも多いのですが、見直しが図られていないこともありますので、日本に頼ることなく現地法人で改めて検討・見直すことをお勧めします。
まず重要なことは危機管理責任者・担当者のアサインメントとその序列定義、そして緊急連絡網の整備・更新です。
序列定義とは責任者が感染した場合や出張時不在などの時に、次の責任者がすぐ対応出来るようにしておくことです。実はこの序列づくりで、人としての信頼性と役職がリンクしていないことが起こって困るのが多くの企業の課題です。危機的状況において発揮されるエマージェンシーリーダーシップは人格と能力のかけ算であり、自然と人がついていけるものなのですが、それに見合うリーダーの欠如に直面してしまう組織があるわけです。意思決定できないリーダーに責任者を指名することはすでにリスクとなります。シミュレーションによるトレーニングなども必要となるでしょう。
その責任者のリーダーシップのもと、次に示す様々な準備や遂行がはかられることになります。

2.リスクマネジメントマニュアルの整備・改訂
危機管理対策の基本としては(1)リスクを洗い出し・認識する(2)その影響を予測する(3)対応を選択・実行する、という三つのステップがあります。リスクマネジメントの進んでいる企業と一緒にリスクマネジメントマニュアルを作成した経験からいえば、最も重要に感じたのは責任者達によるリスクの洗い出しでした。それはリスクのヌケモレの確認であり、様々なことを想定して「思考を通す」機会でした。また、生じている「温度差」の調節ともなりました。今中国や香港で起きていることなどにおいても、実際には情報の量と質の違いによって様々な「温度差」が生じていると思います。この事前調整の有無でも有事の際には大きな差が生まれることでしょう。
リスクそのものの完全な消去はできないものの、潜在リスクへの認識とその管理が重要になるので、この「リスクの洗い出し」は非常に有効なのです。オフサイトミーティングなどのテーマにすることも推奨します。そこではゼロベース思考とファシリテーションスキルが求められます。

3.情報収集・分析・共有方法の整備・改革
リスクの洗い出しでもその情報収集力は問われますが、日常における情報収集およびその冷静な分析力は、コトが起こるのかどうかの判断にもつながる重要なスキルとなります。公的機関ルートは最低限抑えておく必要があります。LINEでの「外務省海外安全情報」は、「ゴルゴ13の海外安全対策マニュアル」などを面白く紹介していますが、実はかなり為になります。SNSルートの情報も重要な情報源ではありますが、信頼性チェックも必要であり、また中国内においてVPNを使うことの是非という問題も存在しますので要注意です。
収集した情報の効果的な共有方法にも課題があります。未確認の怪しい情報でもシェアするべきなのかどうか、誰宛に共有するべきなのか。現場の人達それぞれが、注意喚起すべき対象をイメージできるまでにシミュレーションできている状態はかなり進んでいる組織です。

4.トレーニングの実施
何かが起こった時、実際にはマニュアルを読んでいる余裕がないのが実情でしょう。あるいは書かれていない想定外が起きる。そのためには前述のリスクの洗い出しオフサイトミーティングなど、思考を通すためのシミュレーショントレーニングが有効だと思われます。たとえマニュアルがあったとしても、駐在員・担当者の変更によって企業の危機管理能力が落ちてしまうこともあります。責任者達が1度時間を作って話し合うことをお勧めします。

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Vol.59 今度採用する人の給与が、既存社員よりも高くなる

M1問い:今採用予定の人が既存社員よりも高い給与でないと採れそうもありません。しかし、既に数年働いている人の賃金も上げなければならなくなると困ります。どうすればよいのでしょうか?(香港)

黒崎:残念ながら結論は企業の考え方と状況によるというものになり、正解はありません。今年は以前より増して採用難となっています。高い給与で入社後にパフォーマンスがいまひとつということもよく起こっています。
賃金は市場価格とその人に居て欲しいかどうかで決まります。採用し、引き留めたいのであれば市場に合わせる必要があるということです。私も香港に来て20年になりますが、この間、景気の浮き沈みによって高め給与の時の入社とそうでない時とで必要悪的な不公平さが生じてきました。残念ながらそこにシステマチックに対応できる仕組みはないでしょう。
こういう状況にいたる原因はいくつかあります。まず第一に売手市場による市場価格の高騰。市場価格とずれているのであれば、既存社員のリテンションにも課題が生じている可能性があります。それゆえ、現在の賃金レンジを再考することも必要です。
ある企業では特に問題になっていた一般職層の賃金レンジの一律引き上げを実施しました。しかし賃金を上げ続けるわけにもいかないので、「払いがいのある人」を見極める、すなわち誰を残したいのかというアセスメントをしておくことも重要です。
「払いがいのある賃金」という観点では、戦略的な職務のアサインメントが必要になります。多くの求人は、人が辞めたのでその補充という「リプレイスメント」です。今回は香港のケースでお話ししていますが、単純なリプレイスメントを繰り返すことは非常に危険です。組織そのものを見直し、職務の割り当てを検討し直す。たとえば残った社員で分担、この際やめてしまうタスク、マニュアル化、あるいはロボット化や外注化。ここを手抜きせず、しっかりとBPRに取り組むこと。そうすれば単純なリプレイスの代わりに、やや低いレベルの職務を新人にアサインすることで採用ターゲット層を下げて給与レベルを抑える。
逆に既存社員には新しいアサインメントをすることで賃金の見直しをはかってマーケットプライスに合わせる。現実的な結果としてそうなってしまった企業もあります。そこを最初から戦略的な職務アサインメントに変えるということです。単純なリプレイスは戦略性の欠如です。
二つ目の理由としては採用力の低下という原因があります。「採用力=企業力×採用活動」という公式があります。この企業力には企業の知名度や安定性・賃金や福利厚生の良さ・仕事そのものなどが含まれ、そう簡単には変えにくいものです。もう一つの採用活動はまだまだ工夫出来る領域です。例えば書類審査にしても面接の設定にしても、とても採用を優先させているスピードとは思えないケースがあります。面接の手法含め、工夫する努力があれば、たとえ低い賃金であっても成功することがあるのです。採用の優先順位をあげることを経営者は覚悟すべきです。
またせっかく採用してもすぐに辞めるケースも続出しています。他により高い給与の仕事が見つかったからという残念なケースも確かにありますが、入社当日の受入れ態勢の欠如など職場の雰囲気などにも影響されます。「聞いていたことと違った」などのケースは採用時のコミュニケーションミスですが、現場のマネジャーとも採用とオンボーディング(職場への順応)の重要性をシェアしておく必要があります。
以上見てきたように、採用難の時の暫定対策としては(1)採用力を向上させる(2)高めの給与での採用を承認する(せざるを得ないのであれば)(3)試用期間での動機付けとアセスメントを強化する(4)特別なリテンション対象の既存社員の処遇を再考する、ということになるでしょう。
しかしながら恒久対策も検討する必要があります。それは(1)人事ポリシーの確立(2)組織構造の改革の2つです。どんな人を求めるのか、どんな組織にしたいのか。それが人事ポリシーになります。どんな人を残したいのか。その考えの軸にそって既存社員をアセスメントしてポートフォリオマネジメントしていくことになるでしょう。戦略的な職務アサインメントができるような組織構造の改革に着手すること。特に香港は世界の中でのリ・ポジショニングが求められています。最適な組織とは何かを考えながら採用に取り組む必要性を感じます。

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Vol.58 昇給率を考えるにあたって

M1問い:予算案を策定していますが、来年の昇給率はどうなりそうでしょうか。

黒崎:昇給率そのものは現在調査中ですが、それを考えるに当たってと言うことをお話ししたいと思います。
現時点での香港での弊社調査によると、今年の業績予測では、4割弱の企業が昨年よりも好調と答えています。実際には「厳しい」という声もよく聞くのですが、調査上は1割の企業だけが今年の悪化を懸念。来年へ向けてはこの厳しさが増すと考える企業は増えています。その中で基本インフレ率の香港の2022年通年予想値は2%(2022年8月12日香港政府予測)で、騒がれているほど高くありません。
問題なのは求人難です。人が採れない。特にフロントラインのジュニア層の採用と定着がよくないという声を多く聞きます。
そうなると、賃金の底上げも検討されるところがでます。下の階層の賃金をマーケットプライスに合わせようとすると、その上も合わせる必要が生じ、アタマが痛いところです。
これらを総合して検討した結果が来年の昇給率予測となりますが、香港だけを見ていると今年よりは結構上がりそうだと予測しています。
さて、これら昇給率を考えるに当たって必要なことをいくつか述べたいと思います。

(1)過去の平均の昇給率に惑わされないこと
「平均の昇給率」は毎年一人歩きします。しかも従業員達が目にするそれら「平均」は、彼らの期待値の目安になってしまいます。調査団体によってサンプルの取り方が違いますが、毎年同じ傾向がでるようです。欧米系団体は比較的高い数値で、ローカル系はCPIや景気変動に敏感な数値。我々日系は景気が悪くても極端には低くならずに比較的安定といったところ。
そして問題なのは、人は自分の欲しい情報だけを取ろうとする傾向があることです。これは経営側も従業員側もです。そして「平均値」というのは、高い数値も低い数値も含んだ幅のあるものです。あまり平均値にとらわれ過ぎず、データの分布を見るべきです。その分布の中で自社がどの位置につけているのか、つけようとしているのかが重要となります。
また従業員が自社の業績をどう感じているかにも注意が必要です。その業績と昇給率の間の違和感がないような工夫が必要となります。
もうひとつ、その年々においても「%」の意味が違います。ここ数年は低い昇給率でも満足してもらえたケースもありましたが、同じ昇給率を提示しても人の感じ方は違うということです。
(2)引き留めたい個別人材のマーケットプライス情報を集めること
リテンションのためには、昇給後の賃金が市場価格とずれていないかがポイントとなります。昇給率で管理していくと、ここを外しやすいので注意が必要です。マーケットプライスの確認には実際の採用活動や人材エージェントとの上手な関係構築が必要になるでしょう。
(3)非金銭的報酬を検討すること
金銭的報酬には限界があります。このコラムで何度も書いてきました「非金銭的報酬」、金銭以外での報い方を用意する必要性があります。仕事そのもの・仲間達・働きやすさ・心理的安全性・成長の機会などなど、日常の感謝や承認なども含め、こうした非金銭的報酬をしっかりと検討すべきです。
最近、何人かの経営者の方と、中国・香港の資産持ちの幹部クラスの話をしました。家もいくつか持っていて、すこしばかりの金銭的なことでは動かない人達。彼らが目の色を変えるのは、お金ではありません。お金持ちの現地従業員に活き活きと働いてもらうには、この非金銭的報酬のなかでも存在意義や目的といった、働く意味の根源的な議論が必要になるでしょう。私もオフサイトミーティングでそうした幹部達が生まれ変わったケースを見てきました。
(4)賃金を上げるのであれば、それだけの成果も求める仕組みと仕掛けを考えること
例えば3.5%の賃上げを20年続けると賃金は最初の2倍になります。倍になった賃金ですが、果たして仕事の価値・成果は倍になっているでしょうか。賃金をあげるのであれば、経営としてもそれなりの成果を求めるべきだと私は考えます。中国でも香港でも、賃金を毎年あげなければならないという法律はありません。
その成果のあげ方を経営も従業員も問われているのです。
日本から見ると円安を含めても高く見えるかもしれない中国・香港の賃金。成果を上げてくれるのであれば、高い賃金でも構わないのではと思います。

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Vol.57 人的資本経営とは

M1問い:「人的資本経営」とかその情報開示がニュースになっているようです。「人的資本」とは何ですか?

黒崎:8月30日に内閣官房が「人的資本可視化指針」を発表しました。これに先立ち8月25日には日本企業320社が参画する「人的資本コンソーシアム」が設立と、このところ日本では注目の人事キーワードとなっている「人的資本」とは何かを簡単にまとめながら、現地経営に何が関係してくるかを考察してみたいと思います。
そもそも「人的資本」とは何か。実はそれほど新しいコンセプトではありません。ここでは「人が持つ知識や技能・能力・経験・アイデアなどを、付加価値を生み出す資本と見なし、投資の対象とする考え方」とします。一方、「人件費」など「費用」は「コスト」と考えられがちでした。コストから投資へ。その考え方が問われているのです。
なぜ昨今注目されてきているかと言えば、投資家から資金を得るには財務データなどの有形資産だけでなく無形資産の代表であるこの「人的資本」が重要視されてきたからだと言えます。2018年にはISOが世界初の人的資本に関する情報開示ガイドラインとしてISO30414を公開。2020年には米国証券取引委員会が人的資本の情報開示をルール化。日本においても2021年6月に改訂版コーポレートガバナンスコードにおいて、人的資本に関する開示・提示と取締役会による実効的な監督を求められるようになり、また岸田首相の所信表明演説でも触れられ、今回の可視化指針発表へと続いています。資金調達が必要な企業にとっては、避けて通れないテーマなのです。
ですが「人的資本経営」そのものは、海外現地法人においても学ぶべき内容があります。よく取り上げられる「人材版伊藤レポート」(2020年9月)には、人材戦略に求められる「3つの視点・5つの共通要素」が別表のようにまとめられています。「人材版伊藤レポート2.0」(2022年5月)では、それらをさらに具体化させた工夫が載せられ、アイデアの引き出しとして経営に活用して欲しい旨が書かれています。この2つのレポートで最も言いたいことは、「経営戦略と人材戦略の連動」と「CHRO(Chief Human Resource Officer)の設置」でしょう。そして「各社がそれぞれ企業理念や存在意義(パーパス)まで立ち戻り、持続的な企業価値の向上に向け、人材戦略を変革させる」必要を訴えています。
さて現地経営としてはこれらをどう考えれば良いでしょうか。
私の結論は、「人的資本経営」を現地経営者達も理解し、レポート類を参考に現地で活かせるものを実際に検討し実行していくというものです。そして「人的資本」の情報に関する考え方、とくに注目されるであろう人材育成への取り組み方とコンプライアンス関係、およびエンゲージメントに対する考え方を整理しておく必要があります。
またCHROとは「経営者の一員として人材戦略の策定と実行を担う責任者」であり、その条件として本社での戦略スタッフの経験とともに、事業側で成果責任を担った経験が必要と書かれています。現地経営に携わる方々は、この後者を海外で経験することとなり、伊藤レポートで度々使われる「CEO・CHRO」候補となれる可能性が大だと私は考えています。この点からも海外の現場で「人的資本経営」を実践していく必要性を感じるのです。
さて、その人的資本情報を収集するのはそんなに簡単なことではありません。データを取り得るものの例としては「研修時間・研修費用・研修参加率・人材確保や定着の取組の説明」「エンゲージメントサーベイ」等々があげられています。間違ってはいけないのは「人は研修だけで育つもの」ではないということです。それなのにそうしたデータばかりが取り上げられていくと本末転倒ともなりかねません。ポイントは「自社で出すべき情報を考えて特定し、収集し、可視化すること」です。それは単なる研修時間のデータや、投資した金額ではないはずです。将来を見据えて、その時の競争優位性となるものは何かを考え、それらの項目をこそ強化していくべきなのです。
これらレポート類は下記リンク先で入手可能です。是非読んでみてください。
●「人的資本可視化指針」(案)に対するパブリックコメントの結果の公示及び同指針の策定について
www.cas.go.jp/jp/houdou/20220830jintekisihon.html
●人材版伊藤レポート2.0
www.meti.go.jp/press/2022/05/20220513001/20220513001.html
●「人材版伊藤レポート」より、人材戦略に求められる3つの視点・5つの共通要素

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<黒崎幸良 Anaxis Ltd. グループCEO>
86年より一貫して人事系業務に就き、92年より中国ビジネス、02年香港で独立。香港華南のベテランコンサルタントが集結して16年にAnaxis Ltd.を創業、香港・深セン・広州・上海に拠点を持つ人事労務コンサル会社を経営。


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Vol.56 リテンション対策とは

M1問い:人が辞めやすい組織になっている気がします。どう考えればいいでしょうか。

黒崎:リテンション対策とは、会社が求める人材を引き留める諸施策を指します。その会社で働き続けたい理由は、人それぞれです。それゆえ経営としては全体へ向けての対策と個別対策をとることになります。前提として、求める人物像・組織像ができる限り明確になっていることがあります。どんな人材に活躍して欲しいのか。企業によっては階層別に求める人物像も違っていることでしょう。人材ポートフォリオを作っている企業はそのセグメント別でもマネジメントが変わってきます。従業員一律のマネジメントから、個別対応性が増してより複雑化したものになっているのが現在です。しかも、香港・華南では外部環境の変化への対応のため、その求める人物像も変化してきていると思われます。

さて全体対策としてのリテンションとしてまず考えなければならないのは金銭的報酬です。香港・華南でも転職理由の筆頭に上がってくるのは賃金です。納得のいく評価とその結果としての給与・賞与。そして休日休暇を含む福利厚生。それらへの対策としては市場と自社を分析し、十分な予算と制度を準備する必要があります。しかし市場に見合った待遇を付与するのであればそれだけの成果も求めなければなりませんが、そのマネジメントの仕組みにはまだまだ工夫が必要な企業が多いようです。

しかし当地でも給与だけが転職理由ではありません。コロナ禍での香港でのある転職調査では「Prospect(将来性)」という言葉がかなり見受けられました。先が見えにくい現代、企業やその職種の将来性に関心が高まるのは必然です。そんな中で現在の自分の仕事に興味を失ったという理由や、また香港のように海外移住といった理由も多数出てきています。この最後の理由に関しては人生の選択の問題であり、課題も多い越境労働以外に企業としての対応策はなかなか見つかりません。

長期勤務を前提としたマネジメントは見直す必要があるでしょう。小規模組織においては、一般層は2、3年程度で入れ替わっており、そもそもその層では長期前提はないのではないでしょうか。しかし幹部層は安泰のポジションなので長く勤める。その幹部達が定年を迎えてきて、後継者がいないケースが続出しています。

まず誰に残って欲しいのかを明確にすべきでしょう。そしてその人達に残ってもらうためには、彼らのモチベーションがどこにあるのか、組織に貢献する意図をどれだけ持って業務に打ち込んでいるのかなどを知る必要性があります。エンゲージメントサーベイなどはその辺を意図しています。

あるいは採用そのものから見直す必要もあります。会社にとって「適切な人材」の採用が、定着期間を延ばすでしょう。しかしその期間はせめて5年以上ではないかと私は考えます。採用コストを考えても、そして成果を発揮してもらうまでのスピードとピーク、さらにはトップの駐在期間との関係上もそれぐらいは欲しいところです。ピークパフォーマンスを出し続ける期間が5年もあるのであれば、雇用としては成功だという腹のくくりが必要なのが現在だと思います。それ以上やってもらえるときはかなりエンゲージメントが高いスタッフで、現地化に対応できるグローバル人材として全社で育成していく対象となるでしょう。

人事の観点でのリテンションの全体対策では、これまで述べてきたような最適配置・評価・昇格・賃金・賞与・福利厚生・人材開発等諸制度の変更があります。その際、金銭的報酬だけでなく、それ以外の「報われ感」をもたらす非金銭的報酬を含めたトータルリワードのコンセプトが必要です。そこにリーダーシップが問われます。現場でのリーダーシップ・職場の心理的安全性・トップの薫陶・1on1などのコミュニケーション等が、それら非金銭的報酬に影響しています。

今の香港・華南では、「将来性」と「トータルリワード」という2大リテンション要素、会社と職場の人間関係への信頼が問われています。そして仕事そのものの意義や価値も問われます。経営者が従業員達とどうコミュニケートしていくのか。「辞める」と言われてはすでに遅いこの問題、その予防としての対策をしっかりたてておく必要があります。

 


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M1

「Vol.55 福利厚生の見直しを考えるには」

 

問い:福利厚生の調査票をもらったので、見直しを考えることにしました。どのように考えていくものなのでしょうか。
黒崎:香港の混乱やコロナが始まる前、採用力の向上やリテンション対策として、休日・休暇や手当などを含めた福利厚生の改定が話題にあがることがよくありました。その後の度重なる緊急課題への対応の中、実効性や費用対効果が見えにくい福利厚生は置いておかれていた感があります。しかし利益が出ている企業も少なくなく、また働き方改革やコロナ対応などでも、福利厚生は再び注目すべき時ではないかと、弊社でも調査を始めたのです。
福利厚生と一言でいいますが、実は人によってイメージするものが違ってきます。従業員が安全に働き続けられるようにその健康や生活の豊かさを向上させるために行う諸施策を総称して福利厚生と呼びます。各種手当も含まれますが、主には賃金以外のものだと考えてください。
一昔前の日系企業の福利厚生は、「外資企業」であり、良いレベルと言われていました。正直なところ今はそれほど良いというイメージはないでしょう。特に中国では欧米企業・民営企業に差をつけられている感じがあります。
その課題のひとつに「世間相場」に合わせるというこれまでの傾向があります。「世間と比べて明らかに落ちるところのみを是正する」ぐらいに落ち着いてしまうことがあるのです。大事なことなのですがそのやり方では、本来の目的であった採用力の向上やリテンション対策にはなりにくいでしょう。
私は限りある原資を有効に使うという「エッジのたった福利厚生」の推奨派です。一点豪華主義と揶揄されるかも知れませんが、そもそも福利厚生は企業の人に対する思いを伝えるものなのです。たとえば弊社には3年勤続で2週間のリフレッシュ休暇が取得できる制度があります。同じ仕事をしていると3年もすれば飽きます。人生の節目節目を作り、ステップアップを含めて考えてもらうための時間=リフレッシュ休暇。こういうメッセージを込めているわけです。
あるいはアニバーサリー休暇というものもあります。既に誕生日休暇は導入済みの弊社ですが、アニバーサリーはどんなお祝いでも可とするもの。たとえばパートナーの誕生日でもいいし、親の結婚記念日でもいい。家族やパートナーは、従業員が気持ちよく働くための重要なステークホルダー。その人達への日頃の感謝を込めました。皆さんがいてくれているお陰で、弊社は仕事が動いているのですと。
しかし、思いは簡単には伝わりません。制度はすぐ形骸化します。何度でも繰り返し語っていく。たった一日の休みなのに、意味と意図を込める。そうしたやり方が一点豪華主義には必要です。
カフェテリアプランも可能性はあります。それは企業が支援する金額を予め決めておき、複数の選択肢を従業員に示して、彼らが自由にそれを使っていくもの。狭義ではレジャー施設などの選択肢から、広くは住宅や休日まで含めた選択肢を作る企業もあります。モチベーションは人それぞれなので、自由度の高い選択肢の多さは魅力的ではあります。
福利厚生を思い切ってほとんどやめてしまって、その原資を成果給・変動給にあてるやり方もあるでしょう。属性や人それぞれの背景に関係なく、求める責任への成果で判断する割り切った考え方。言い出したらきりがないのが人の事情なので、一切見ない。こういう考え方もありです。全ては企業の人事ポリシー次第です。
しかしそもそも福利厚生はそんなにインパクトがあって魅力的なものなのか? 残念ながらこれまでの福利厚生は「衛生要因」と言って、満たすだけでは不満は解消されるが満足感は得られないものでした。
原点に戻ると、求める人物像・組織像を明確にした上で、その人達が望むことでかつ企業の思いを伝えるものが制度になっていることが求められます。
さらに言えば福利厚生の整備で、不満が多少解消されて、少しは従業員満足度の向上につながったとしても、その満足がそのまま業績の向上につながるわけでは無いことにも注意が必要です。そもそもの戦略に加えて、やはり「動機付け要因」と呼ばれる仕事そのものに対する満足度や、人間関係への満足度なども必要です。
最後に福利厚生にも下方硬直性があることに注意が必要です。一度設定した規則を将来廃止する場合、不利益変更として訴えてくる可能性もあります。既得権益として従業員が認識しますので、慎重な判断が必要です。それでも「人に対する思い」を伝える手段として、トータルリワードの中の福利厚生を考えてみてください。


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Vol.54 「ロックダウン解除後のマネジメントはどうする」

 

問い:上海のロックダウンが解除されましたが、香港・華南でも起こりうるかも知れません。事前準備はしていますが、急に解除された後は何をすればいいのでしょう。
黒崎:上海の皆様、本当にお疲れ様でした。そして解除後に経営は何をどうやっていくのかがさらに問われているという、厳しい状況です。古くは武漢のものからも学ぶべきものがあると思います。香港・華南でも近い環境はあったでしょう。SARSを経験した香港でも、ここまでのものになるとは多くの人は思っていなかったと思います。マネジメント上で大事なことは、組織が経験から学ぶ文化を持つかどうかではないかと考えます。

さて、HarvardBusinessReviewは「武漢に学ぶ、ロックダウン解除後の職場復帰で大切なこと」と題した興味深い記事を今年2月に掲載しています。そこでの結論としては、「意欲とパフォーマンスが最も高いのは、従業員自身が業務復帰に向けて心理的準備をして、なおかつ自分のマネジャーが職場の健康・安全への尽力を行動で示している場合」とありました。

従業員は身体的準備と心理的準備をしてから復帰すること。長い隔離生活が続き身体活動レベルが低下していると、それが仕事にも影響してしまうことがあるでしょう。アメリカ9.11の教訓からも、大きな混乱と精神的痛手を伴う経験後に仕事に戻る従業員は、業務への集中に苦労する場合があったとのこと。

また心理的準備とは、これまでの振り返りや今後の計画を立て直すことです。上海では在宅勤務で通常業務が進められていた企業も多いと思われますが、オフィス復帰後は従前と違うやり方となるケースも多く、改めて短期・中長期の具体的なアクションプランの見直しが必要となるでしょう。

そしてマネジャー側は職場の健康・安全管理への本気度を行動で示すこと。安全への危機意識には従業員によっても温度差がありますが、マネジャー側の意識が低いと組織としては問題となります。私の知る上海の人事マネジャー達はこの点担当意識も強く、かなり用意周到な人が多いと感じています。危機意識を現場マネジャーや駐在員を含め醸成していくことが次の課題かもしれません。

さて、私が職場復帰で大切だと思うことは3つあります。1つ目はこの期間で進んだテレワークの生産性の見直しです。前回のこの記事にも書きましたが、緊急退避的なテレワークの生産性は低いのが当たり前です。従業員のそれぞれがそんな中でどんな工夫をしたのか、これを機に皆で振り返ることをお勧めします。逆にオフィスのネットワークスピードの遅さに驚くケースなども生じています。オフィスは皆で線を使うために、実は家の方が速いというものです。改善出来ることは多いのでは。

2つ目はこれからのアクションプランと優先事項のチームでの再確認。以前からも上司と部下の優先順位がずれることはよく起こっていました。オフィスでは場と空気が共有出来るために「なんとなく分かる」ことが増えたりもしますが、明確な目標の共有は組織マネジメントで最重要事項の一つです。そしてその中には、再度ロックダウンが起こりうることも想定した対策を入れる必要もあります。

3つ目は、これまでの経験を共有する場と時間を創ること。ほとんどの皆さんは何かしら苦労したはず。家族に、食事に、仕事に、様々なストレスにと。その様々な想いをそのままにさせずに対話の機会を持つこと。その苦労の中で工夫をしてきた前向きな行動を見つけること。良いリーダーは、いつどんなところでも学んでいます。この類い希な経験から、何を学んだのか。何を学ぶのか。チームとしてお互いの努力を讃え、チームとしてこれを乗り越えてきたことを確認し合うこと。

その為にチームビルディング研修という機会をもうけた企業が少なからずあります。在宅勤務が長かったからこそ、対面の重要性にも気づけます。これまで築けなかった良い関係性を構築する機会にもなるかもしれません。人間関係の良さは、生産性の向上に必ず貢献します。チームメイトがどんな人でどんな考えでいるのか。隔離下で共通する体験も多くなったはず。厳しさを一緒に乗り越えたチームは強くなります。ファシリテーションが必要ではありますが、話し合える場を作るだけでも相当違いがあるはずです。

危機を転じて、機会とする。いつでもどこでも学ぼうとする組織文化を醸成していく。そしてチームメイト達は話しを聞いてくれる。そんなリーダーシップが望まれているのではと考えます。


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 Vol.53「在宅勤務でのメンタルヘルスが気になります。」

 

問い:ロックダウンで長く外に出られない地域があることなどからも考えさせられましたが、テレワークを定着させる一方でメンタルヘルスも気になります。どう考えていったらいいでしょうか。
黒崎:上海がロックダウンして2ヶ月近くなります。私の部下や友人達含め、関係者の皆様は大変なご苦労をしていらっしゃることと案じております。メンタルヘルス対策は確かに必要です。私はそちらの専門家ではないので、マネジメントにおいてこの問題をどう考えていくかという点を書きたいと思います。
非常事態対応としての在宅勤務から、香港などでは日常の中でのテレワークも一般化してきていると言えるでしょう。ここで経験したテレワークの生産性をより上げるために、施策・ルール・方向性などをまず見直しておくことは非常に重要だと考えます。
ただでさえ「高ストレス」となりがちなコロナですが、 日本の労務行政研究所が行った「メンタルヘルス対策の最新実態」調査によれば、新型コロナ拡大前後の高ストレス者の状況は「横ばい」が68.4%と最多ながら、「増加」が「減少」の3倍となる23.8%の割合を占めました。その悪化した要因のトップ5は以下の通りです。(出典:労政時報)
1位:テレワークなどの就業環境の変化(76.9%)
2位:コミュニケーションの質の変化(72.5%)
3位:コミュニケーションの量の変化(71.4%)
4位:新型コロナウイルス感染症への不安(63.7%)
5位:職場の人間関係の変化(49.5%)
これらは逆に言えば、テレワークをうまく運用することによって改善が可能だとも考えられます。そこでテレワークで直面するストレスを5つにまとめてみました。

(1)仕事の効率の悪さ
在宅勤務ではデータ・資料が手元になかったり、捺印・ 印刷等がすぐにできなかったりと非効率になりやすいものです。また、コミュニケーションの質と量が減ることによるミスの発生や業務遅延なども生産性を落とす要因となっています。

(2)制御不能なことによる(仕事への)妨害
ネットワーク不良などはイラつく要因の一つでしょう。声が聞き取れなかったり、表情が読めなかったり、ネットが落ちてミーティングが中断するなど、数々の高ストレス要素があります。また、家族と同居の場合も制御不能に近い環境となるケースもあり、プライベートとの切り分けなども含めてテレワークの制御はなかなか難しいものがあります。

(3)オンラインによる人間関係の希薄化
コミュニケーションの絶対量が落ちますので、関係性が希薄化しやすくなります。対面では得られた有益な情報に気づけないなどの問題も。そんな中で部下達は正当な評価を受けられるのだろうかと不安になり、「オンラインハラスメント」などが生まれてしまっている職場もあります。

(4)サイバーリーダーシップの困難性
テレワークでは、よりマネジメント能力が問われます。大前研一氏は「サイバーリーダーシップ」という言葉を使いましたが、オンラインにおける言語力・ファシリテーション能力・評価力、人の尊重・ケアなども一層重要になります。リーダー側にも当然ストレスがたまるのです。

(5)その他
単身者の場合は長時間労働になりがちだという傾向も問題です。そして運動不足による心身の不調も出てきています。対策はいろいろあるでしょう。ネットワークをアップグレードする、コミュニケーションの絶対数を担保する、オンラインミーティングに「雑談」を取り入れる、1on1ミーティングを実施するなどなど、すでに実行している企業も多くみられます。

ルール設計で言うならば(a)在宅勤務規定(b)成果型の評価制度(c)情報セキュリティー(d)オンラインコミュニケーションルールの設定――などが必要となります。しかも適切な時に適度に設定し、効果的に運用していかないと、かえってストレスを高めるものになるため十分な準備が必要です。
さて日本では一部でストレスチェックが義務づけられています。オンライン< https://kokoro.mhlw.go.jp/check/>でもできます。これらの質問でご自分のストレスを確認すると同時に、質問そのものにリーダーとしてやるべき事は何かを感じられると思いますのでお勧めです。中国語版も検索すると見つけることができると思います。

 


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Vol.52 「withコロナで見直すべき人事制度は何がありますか?」

 

問い:新規赴任してきました。ここ数年で環境変化は激しいと思いますが、人事制度で見直した方がいいものはありますか?
黒崎:この2年、当地もいろいろありました。この先たとえコロナが落ち着いても、以前と全く同じ組織運営になることはないものと考えます。新しい環境への適応や働き方が求められる中で、人事諸制度を見直しておく必要性を確かに感じます。香港・華南で昨今我々にご相談が多かった事をもとに、再検討しておきたいテーマを見ていきたいと思います。まず全体としては下記の表のように、様々な項目があります。

スクリーンショット (923)
等級制度に関してはここ2年ぐらい「Job型雇用」が叫ばれながら、未だ半数以上が「職能資格制度」を運営している日本に対し、香港・華南では職務給の考え方がベースであり、日系企業でも役割等級・職務等級を導入している企業も多くなっていると思われます。何を等級の基礎とするかという考え方が、何に対して賃金を支給するのか、どんな賃金データと比較するのかというもととなり、賃金体系・賃金格差を説明するための論理となるので、しっかりとした議論と運用の知恵が必要です。
賃金制度は相場との比較なども問題となりますが、コロナ対応で始まった在宅勤務時の手当や通勤交通費なども見直す企業があります。在宅勤務が出来ない職務の人との公平性の担保なども企業が直面している問題です。
賞与に関しては、この3月に史上最高益を上げた香港の日系企業が多数あるとお聞きしております。その利益への貢献が誰によるものなのかが測りづらく、またそうした利益の分配に関して高い期待を持つ従業員に対してどういうロジックで賞与を支給するのかなどが検討されました。
評価制度においてはテレワーク下での成果目標の設定と、対面していない中での行動評価などで苦労された企業も少なくなかったようです。働き方が随分変わってきているのであれば、改めて評価項目を設定し直す必要があるでしょう。4月にスタートしたばかりですが、下半期には間に合うように企画することも考えられます。
昇格に関しては「人」の現地化がよくテーマにあがります。駐在員を減らし、現地人材を登用する。海外現地法人の長年の課題が、コロナのお陰と言っても過言ではない形で進んでいる企業もあります。その為に誰に任せるかを決めるアセスメント設計や人材育成、またはポスト不足回避のための複線型人事制度などもテーマです。
各種規則系に関しては労働時間が問題になりました。時差出勤・フレックスタイムなどは香港では一度は議論されているはずですが、効果的な運用ルール策定が必要です。在宅勤務制度も通り一遍の制度から、生産性が下がらないような制度設計が必要になるでしょう。テレワークを進めると、会社が許可していないモバイルの利用など「シャドーIT」の問題など情報セキュリティルールの見直しも必要となります。
エンゲージメントとは「人と組織が一体となり、共に成長と変革に貢献し合う関係性」と定義しておきますが、働きやすさや「心理的安全性」といった昨今のキーワードへの対応が求められていくでしょう。
研修の大半はオンライン化した企業が多いでしょう。弊社のオンライン講座や研修もここ2年で4,000名を超えるご参加をいただいております。次はどう持続的に学習する環境を創造出来るか、どう日常の中でその成果を発揮させられるかがテーマです。人材育成の基本は成長する仕事のアサインメントであり、この部分はオンライン化もできず、マネジャーの力量が問われます。また高年齢層が増える日系企業も多く、定年・再雇用・サクセッサープランも昨今は多くご相談いただきます。
その他あげればキリがないほどのテーマがあります。新年度を迎えている企業におかれては、経済の先行きは相変わらず不透明ではありますが、成果を上げ続けるための「人と組織」の成長と変革のテーマを、是非一度見直してみてください。


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Vol.51 「『報連相』より『雑相』」ってなんですか??」

 

問い:コロナ対応で情報シェアを強化したいのですが、なかなかうまく行きません。また「『報連相』より『雑相』だ」ということを聞いたのですが、なんのことでしょうか?
黒崎:香港では感染者数が一時期ものすごく増え、この記事を書いている現在中国でも一部でロックダウンが始まるなど気を緩められない状況です。そこへウクライナ情勢の影響で経済も先行き不透明感が増し、従業員が不安を覚えるような状況もあるようです。オフィスワークなどはシフト勤務態勢など在宅勤務も多くなっていると思います。そんな状況を乗り越えるためにも、従業員間のコミュニケーションの質と量、そして経営者が従業員の率直な話を聞ける環境の創造が重要になって来ると考えています。そのスキルと仕組み・仕掛けの一つとしての「報連相」と「雑相」についてお話しします。
さて、今さらかもしれませんが「報連相」とは何か。私どもはこんな説明をしています。全ての業務は指示・命令に始まって報告で終わる。そして指令を受けてPDCAサイクルを回し、その途中の所々で報連相が必要となる。義務である報告、情報のシェアである連絡、人の意見や知恵も統合して問題を解決する相談。どれもがチームとしての成果を出していくために必要なもの。そして「報連相」にはレベルがあって、それぞれの立場によって求められるレベルが違うものだとしています。
しかしコロナ感染状況やワクチン接種の有無などの報告に関しては、個人情報の取扱や考え方の違いに直面して制度化に苦労している企業もあります。こうした基本的な報告と情報共有などはチームとしてやっていくために必要最低限のルールだとは思うのですが、出来る企業と出来ない企業に差が出ているようです。報告と情報共有の妥当性を論理的に説明出来る準備と同時に、従業員のそれぞれの想いを大切にすることも必要でしょう。
一方「報連相」が時代に合っていないという人も出てきています。「報連相」不要論者の論理は(1)責任の所在が曖昧になることがある(2)スピードが削がれる(3)子供扱いと感じてモチベーションが下がる、などの三つが主なものです。上司は「報連相」で状況を知ることとなり、責任を負うこととなります。そのため部下達は責任転嫁しやすく、現場での決断力が削がれていくと。またある上司は全てを報告せよと、部下を信頼せずにコントロールしようとして、部下の集中力を削ぎ、時間のムダを生じさせていると。あるいは部下が相談に行ったら「自分で考えろ」と突き放され、実は上司も知識経験なく全く役に立たなかったなどのケースも。これら全てに共通しているのは「報連相」が、上司が部下をコントロールするためのものでしかない点です。
それでも、アジアにおける組織の統制には「報連相」がまだまだ必要でしょう。それには「報連相」が上司と部下が共に成果を上げるためのものだという共通理解も重要です。
さらに昨今は「報連相」より「雑相」だと言う人も出てきています。テレワークがもたらした課題の一つに、オフィスワークのときにはあった雑談が失われたことがあげられます。偶然発生する何気ない会話がチームの潤滑油となったり不安を解消したり、あるいは新しい発想を生み出したりもする。そして相談しやすい環境を生んでいく。こうした雑談と相談を組み合わせた言葉が「雑相」です。これを意図的に仕掛ける工夫がテレワークでは必要となってきます。
感染者が少なかった中国では在宅勤務の経験不足が課題となっている企業もあるようです。在宅勤務は原則的には生産性が落ちます。生産性を落とさない仕組みと仕掛けを作れない企業では、ずっと落ちたままとなるでしょう。この働き方も一般的となっていくことを想定し、テレワークの目的の明確化と最低限の運用ルールの設定、そしてそのリーダーシップの発揮の仕方を再度検討しておく重要性を感じます。
「報連相」を世に広めた『ほうれんそうが会社を強くする』を書いた山崎氏によれば「下の意見を吸い上げ、働きやすい環境を作り、良好な人間関係をつくるためにほうれんそうがある」とのこと。本来の「報連相」には雑談のような気軽に話せる関係性、あるいは最近の言葉でいえば「心理的安全性」の意味も含んでいたと思えます。本来なら「ざっそう」は摘んでしまって、「ほうれんそう」をこそ立派に育てたいものなのですが。


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Vol.50 「評価の季節が来ていますが、コロナ禍での評価で注意することはありますか?」

 

問い:コロナ対応の中、4月に賃金改定があり評価は実施しなければなりません。こうした環境下での評価で注意することはありますか?
黒崎:評価の原則は、環境が変わろうとも大きな違いはありません。予め決められたルールで、事実をベースとして論理的に、バイアスに囚われることなく実施するものです。コロナ対応の影響でテレワーク下の評価となるケースも多くなるかも知れませんが、それでも評価の対象(成果)がしっかり定義できていれば、対面でなくとも評価はできるはずのものです。ただし「成果」があいまいになっていれば、それも難しい。そもそも評価は完全なる客観性などは実現できないものです。
コロナ対応での業務の制約条件により、成果の出かたも職種によっても大きな差が出たり、業績も企業によって差が出たりしました。そうした中で従業員から求められる「公平性」を担保するのは、日常からコミュニケーションを積み上げられてこなかった企業は辛いはず。評価は最後の最後だけすればいいものではないからです。ただ、明らかにコロナのせいで成果を出せなかったという職務であれば、そこへのできる限りの配慮は必要となるでしょう。それでも冷たく言えばその人材が組織に必要かどうかでもその配慮も変わってきます。
今年の評価で注意するとすれば、3末までの利益が大きく出ている企業でしょうか。昇給・賞与原資にはそれが影響するかも知れませんが、ここぞとばかりに「逆算評価」をしてはいけません。中国・香港の評価者研修で私が真っ先に取り上げるエラーはこの「逆算評価」です。昇給率や賞与などの処遇を念頭に置いて総合評価をまず決めてしまい、そこから逆算してつじつまを合わせた評価をしてしまう傾向のこと。これはデメリットも多いのです。評価項目の細部の理由がこじつけとなり、本人にも周囲にも納得いくものにならなかったり、せっかく立てた目標への達成意欲をそいだりすることにもなりえます。評価は処遇の決定だけではなく、人材育成という重要な目的もあります。それを忘れて処遇だけに結びつけてはいけないのです。
また賃金には「現在価値評価・市場価値評価」という側面があるために、「過去評価」である人事制度上の評価結果と矛盾することがあることもこの問題の一つです。評価は評価として、いいも悪いもしっかりフィードバックした上で、もし原資に余裕があるのであれば、市場価格との調整を行うことはあり得るでしょう。
評価の注意点と言うことでは、こうした評価エラーはいつも考えなければならないポイントです。その代表例は「ハロー効果」でしょう。一面的な強い印象だけで、全体の評価を決定してしまうもの。目立つ部分しか目に入らなくなって、それだけを取り上げて評価をしてしまう典型的な失敗例です。「ハロー効果」はあまりにも有名な評価エラーなので、多くのマネジャーは「知っている・分かっている」と思ってしまうのですが、人が自然に持ってしまうバイアスが影響しているものなので、あえて自覚する必要があります。
「ピークエンド効果」というバイアスもこれに関係しています。パフォーマンスのピークと最後のものが出来事全体の印象を決めてしまうというバイアスです。最後のものは「期末効果」とも言われます。春節前後に急に態度が変わってニコニコしてくる人は、この効果をよく知っているのでしょう。部下側も評価では一番良い時をアピールして来ることが多いので、評価期間全体にわたっての良い時・悪い時・普通の時のそれぞれの事実を冷静に客観的に見なければいけません。
これらのバイアスも人が無意識に持っているもののひとつです。昨今「ダイバーシティ&インクルージョン」という文脈の中で、この「アンコンシャス・バイアス」が語られますが、日常のみならず人事評価においても自覚すべきテーマなのです。評価はマネジメントそのものです。目標や評価項目の適切な設定から始まり、日常からのフィードバックがあるからこそ、その評価に納得してもらえます。日頃よりバイアスから離れ、部下達との対話を重ねてみてください。


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 Vol.49「オミクロン株への対応で、在宅勤務やシフト勤務をさせるべきなのでしょうか?」

 

問い:市中感染が発生し、在宅勤務やシフト勤務が始まっています。業務上、出勤して欲しいという本音がありますが、在宅勤務等をさせるべきなのでしょうか。
黒崎:この記事が出る頃には、状況の変化が起こっている可能性も大きいとは思いますが、どんなときにも適応出来る原理原則となる考え方はあるのではと考えます。
さて、ご質問に関しては企業によって制約条件が違いますので、一概に在宅勤務させるべき・させなくていい、とは言えません。そしてこの問題は従前と変わらず人によって「温度差」のあるものです。ある人は「大げさだ」と楽天的に構え、ある人は悲観的に準備を進めます。経営側と従業員側の意識の差などもあるでしょう。原則は「恐れすぎず、侮らず」です。温度差がある中でどう判断し、どうマネジメントするかが問われています。
コロナ対応には三つのキーワードがあります。「安全性」「ビジネスの継続性」そして「社会的責任」。なかでも従業員・関係者の安全性の担保という観点がまず第一に問われるでしょう。そのリスクマネジメントにおいては「プロアクティブの原則」というものがあります。
原則1:疑わしいときは行動せよ
原則2:最悪の事態を想定して行動せよ
原則3:空振りは許されるが見逃しは許されない
極論でまとめると、分からないうちは大げさにしておけということです。危機に対する温度差が違う人達の中でのそうした行動は、異様とまでに感じられるかもしれません。オミクロンは重症化しにくいとの報道もあります。しかしリーダーは「早すぎる判断」という批判を恐れずに行動出来るかどうかが問われるものです。その時にはこの「プロアクティブの原則」を持ち出すことになるでしょう。
実際、1月10日頃からは公務員が在宅勤務をまだしていない状況下で、早めに在宅勤務やシフト勤務を始めた企業もあります。そのころ政府は一般企業にはそれを奨励しておりましたが、多くの日系企業は様子見から始まりました。一部の香港の金融機関などは、従業員を二つや三つのチームに分けて接触させないシフト勤務制をスタートさせました。私は当時、緊急時のリハーサルを兼ねて、在宅勤務やシフト勤務を試験的・一時的に再び実行することは有効だと問いかけました。
ただし在宅勤務そのものは、企業ごとに異なる意見があります。それは、業務特性の問題と、「ビジネスの継続性」に関係する生産性の問題です。業務上どうしても出勤が前提の業務の場合、従業員の安全性に大いに気を遣いながらも出勤を要請することになります。安全かどうかは主観の影響を大きく受けます。従業員の心理状態をよく見て一人一人をケアし、尊重する姿勢を見せることが重要です。不安が高まっている慎重派は在宅勤務を希望してくるでしょう。これを機に休みたい、楽をしたいといった不埒な怠慢派とでもいう人が在宅を希望するかもしれません。一方、自分だけは大丈夫だろうという正常性バイアスを持つケアレスな人や、家が狭いなど在宅勤務で仕事にならない人などは出勤を希望するかもしれません。
様々なタイプはいるものの、大事なのは第一に人を尊重するということ。その上でビジネスの継続性のために、生産性の高さを基準として各種制度などを決めていくというのは合理的であると考えます。経営は継続しなければなりません。
オフィスワークでは、過去の在宅勤務が成功裏におわっているかどうかが、ここに影響します。緊急避難的に実施した在宅勤務では、なかなか生産性の高い業務遂行はできなかったでしょう。制度化した企業も複数社ありますが、より高い生産性を出せるまでに至ってない企業もあるのでは。これまでのやり方を進化させるか、あるいはやはり出勤させるか。これを機に再度在宅勤務の制度化・発展に取り組むことも重要です。
どんなタイミングで在宅勤務やシフト勤務に切り替えるかの判断基準は、外的基準と内的基準とに分かれますが最後は経営者の決断。悔いの無いご決断を。業績を落とさないことを前提にすれば、「大げさ」な決断は攻撃されないでしょう。
最後に社会的責任について。経営者は従業員達を被害者にも加害者にもしてはいけません。そして傍観者にもさせてはいけないのだと思います。一緒にこの状況を克服する。この危機を機会と捉え、チーム力の向上をはかりたいものです。

 

 


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 Vol.48「ダイバーシティ&インクルージョンって、人事に影響しますか?」

 

問い:日本でダイバーシティやインクルージョンという言葉を聞きます。どんな意味ですか?人事マネジメントに影響しますか?

黒崎:女性の管理職登用や外国人採用などでも遅れていた日本でも「ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)」という言葉が使われて久しくなりました。ですが、海外で異文化マネジメントに取り組む我々にとって「ダイバーシティ」などは当たり前のことでしょう。

ダイバーシティは大きく分けて「デモグラフィー型」と「タスク型」があります。目につきやすい違いである性別・人種・年齢など、一般的なダイバーシティとして取り上げられるのがデモグラフィー型です。香港では性・人種・障害者差別などは差別条例でも禁止されていますので、労務管理上でも取り組むべき課題です。さらに性的マイノリティ(LGBT+ないしはLGBTQIA+など)なども視野に入れる必要があるでしょう。

一方のタスク型とは目に見えにくい能力・知識・経験など直接業務に関わる違いのことを指します。さらに「オピニオン・ダイバーシティ」といった意見の違いに注目するものもあります。これらを含めて、多様な人・価値観・考え方などを含んでいくこと全てを「ダイバーシティ:多様性」と考えておくことがまず前提となります。

ではダイバーシティ推進のメリットとはなんでしょうか。

(1)イノベーションの創出

(2)集団浅慮の回避

(3)採用競争力の向上

(4)働きがいの向上

などが上げられます。多様なキャリアパスや、多様な人が活躍するための心理的安全性も確保されることになるでしょう。特に先の見えない時代のイノベーションの創出には、ダイバーシティが寄与するものと考えます。「集団浅慮の回避」とは、同質的な集団が愚かな決定をしてしまうのを避ける事。多様性があるがために、違う意見がそれを防いでくれるわけです。

しかしながらデメリットも当然あります。多種多様であるがために、混乱・誤解などコミュニケーションの障害、そこからの摩擦・軋轢によるチームワーク低下、結果としての生産性の低下など、マネジメントに失敗すれば逆効果です。推進していくための制度やルール策定・人材育成へのパワーもかかります。何より、人は「変化」を嫌います。

実際、組織においては均質性が高い方が一時的な成果は出しやすいのでしょう。海外現地法人で、オペレーション中心でイノベーションが必要の無い業務などでは、ダイバーシティが足を引っ張ることも起こります。マネジメントの複雑化に対応できず、生産性が落ちるといったことは多々あります。それでも、現在のような環境激変のときには、現地においてもイノベーションは必要とされてきているのではないでしょうか。このジレンマをどう乗り越えるのか。

ダイバーシティにおいて、企業のとる行動は抵抗・同化・多様性の尊重・分離・統合の5つの段階があると言われています。違いを拒否する「抵抗」から、違いを無視あるいは「同化」させる、やがてその多様性を受け入れ「尊重」し、局所的な成果をあげ(「分離」)、違いを戦略的に活かし競争優位性を生む「統合」の段階へ。この最後の段階がインクルージョンです。多様な人材が存在するだけではなく、相互に機能していること。「包括」とも訳されるインクルージョンは、多様な人材が相互依存しながら、一人一人が個性を活かしつつチームへの帰属を感じられていること。とても理想的で「きれいごと」に聞こえるかもしれません。そしてその段階のマネジメントはかなり高度なものとなっているはずなので、リソースが限られた組織では現実性が薄いかもしれません。

現地経営においては、この「きれいごと」と現実の両方を見すえながら、少し先の未来へのビジョンを掲げていく必要性を感じます。特に華南・香港では多くの企業が組織変革を問われてきている状況だと思います。このダイバーシティ&インクルージョン(D&I)には、経営側の「余裕」が必要でしょう。業績が回復基調である企業も多い現在、「余裕」創造への「投資」をすべきときではないかと考えます。それは新しい組織文化の創造への投資です。人の入れ替えもあるかもしれません。仕組みや仕掛けを構築する必要もあるでしょう。これも経営者としての実力が問われるテーマのひとつです。

 


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 Vol.47「SDGsって、踊らされていませんか?」

 

 

問い:COP26とか脱炭素とかSDGsとか。なんか踊らされている感がありますが、人事マネジメントにはどう影響がありますか?

黒崎:SDGsに絞ってお話しします。それは持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals)、2015年9月の国連サミットで加盟国の全会一致で採択された2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標のことです。17のゴール・169のターゲットから構成され、地球上の「誰一人を取り残さない」ことを誓い、全世界で取り組むものとしています。この趣旨に賛同し、本社の意向含めて遂行しようとする方がいらっしゃる一方で、私の周囲にも懐疑派が少なからず見受けられます。曰く、「内容が抽象的であいまい」「17の目標は多すぎて、よく分からない」「目標設定の根拠が不明」「大手企業だけのもので、中堅中小企業には関係ないのでは?」などなど。

 「踊らされていないか?」とメタ認知しながら考えることが肝要となるでしょうが、将来的に経営リスクとなり得る無視できない課題として突きつけられています。と同時に、未来のビジネス獲得のための機会として捉える必要性を感じます。

 ただし、その目的が重要です。周りがやっているからなどと、腹落ちしないで手をつけると危険です。特に現地法人においては、日本本社からの要請などで動かされることもあり、どうしても主体的に関われないこともあるでしょう。なぜ本社が真剣かと言えば、投資の判断材料となっていることもその一つです。ESG投資と言われ、環境・社会・ガバナンスに配慮されている企業に投資が集まるような動きがあります。

 SDGsに取り組む企業のメリットはよく三つ取り上げられます。ブランドイメージの向上、投資家含むステークホルダーからの評価の向上、そして採用力の向上。社会貢献度を見て就職を考える人々が増加してくると言われています。人権や環境などSDGsの目標に配慮しないと、投資も人もビジネスも失う可能性があるということです。

 SDGsが単なる社会貢献と違うのは、本業を活かした目標達成を目指すものだということです。3,500兆円と言われる新しいビジネスの糧になる可能性があるわけですが、主体的に取り組まないとコストとストレスに倒れてしまいます。将来儲かるかも知れませんが、今ではない。だからこそ現地法人マネジメントでは難しい。期限付きの駐在では、その期間内では成果を上げにくいのです。不確実で先が見えない時代に、とりあえずは2030年までの国連お墨付きの課題は見えている。それが17の目標と169のターゲットという経営のヒントであり、そこからバックキャスティングしてアクションプランをたてることは有効だと思われます。

 その中で直接人事的にかかわる課題は4つと言われています。

(1)健康経営

  17の目標で言えば、「3.すべての人に健康と福祉を」の目標。たとえばジムの利用料補助やメンタルヘルスに関する研修などが考えられます。

(2)ダイバーシティ

 「5.ジェンダー平等を実現しよう」から、男女差別問題や仕事と育児の両立支援、あるいはダイバーシティに関連する研修など。

(3)働き方・人材育成

 「8.働きがいも経済成長も」という目標。仕事に意義を感じていない現地スタッフは少なくありません。この分野は是非とも進めていくテーマです。

(4)障害者・地域間差別をなくす

 「10.人や国の不平等をなくそう」という目標ですが、香港・華南では二つの地域での賃金レベルや権限の差が存在するケースがあります。これをどう埋めていくのかは、今後注目されるところです。そして香港では4つの差別条例がありますので、それを侵害しないマネジメントも当然求められます。

 以上17の目標の中で人事に関連すると思われるのはこの4つです。そしてなによりも理念との関連性です。理念やミッション・ビジョンといったものの実現に、このSDGsの目標がしっかり組み込まれていくと、企業と社会の関係性が明確になって、その理念の実現である日常の仕事へのコミットメントが生まれるのではないか。それが、このテーマを考えることの最も深いところにあると私は考えます。このSDGsの全体像は、現地経営マネジメントの「軸」となるものへのヒントとなりますので、一度思考を通しておくことをお勧めします。経済産業省の『SDGs経営ガイド』は一読の価値ありです。


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 Vol.46「10月に半期振り返りを実施するのですが、いい方法はありますか?」

 

 

問い:年1回の評価制度で、半期での振り返りがあります。そのポイントとなることや、いい方法があれば教えてください。

黒崎:10月は下半期のスタートにする企業も多いようです。年に1回の評価・フィードバックだけでは部下が評価に納得いかないということが出ることが多いものです。いつでもどこでも評価、リアルタイムフィードバックで日常からコミュニケーションを取っておくことが非常に重要です。毎日は無理でも、毎月・毎四半期などにも中間レビューを入れたいものです。それは上司と部下の間での考え方のすり合わせです。その結果、目標達成へ向けてそのまま続けるもの、軌道修正をはかるものと分けていくわけです。こうした考えのもとで、半期面談を考えます。面談という形式では、半期振り返りも評価面談のステップと大きく変わりはありません。

■中間レビューのステップ
1)アイスブレイク
(2)当初の目標の確認
(3)現在の状況確認(KPT・YWTなど)
(4)課題の共有・必要なら修正目標
(5)支援の約束・激励

 あくまでも中間レビューですので、評価というよりも部下が目標達成するために一緒に考えることやアドバイス、レビューとなります。しかしながら上司側の準備としては、実際に評価項目への点数をつけておいてから面談に臨むことをお勧めします。この時点で部下に望むこと、改善してもらうことを明確にイメージするためです。

 そもそも目標設定がきちんとなされている場合は、その目標に対してオントラックなのかギャップがでているのかを確認し、うまくいっているなら褒め、必要なら軌道修正するのが原則です。が、状況確認のステップの中では、以下に説明するKPTなどのフレームなども有効です。

 

●KPT(Keep/Problem/Try)

 目標に対してうまくいっているかどうかという観点で振り返るものです。そのまま続けていくもの:Keep。うまくいっていないもの:Problem。次に取り組むこと:Try。面談のときにフレームワークすることもあれば、あらかじめ部下にこれをまとめておいてもらうこともあります。

 また、これを毎月のミーティングなどにとりいれて、ホワイトボードなどでチーム全体のKPTを張り出して議論するケースもあります。

 注意点としては、Problemに目が行きがちなことです。うまくいっていること(Keep)を、さらに伸ばすというTryがキーです。MBOでの目標設定だけでなく、行動評価項目を持っている場合も、このKPTで振り返ることができます。

●YWT

 やったこと・わかったこと・ためすこと。日本能率協会コンサルティングが提唱したもので日本語をローマ字にした頭文字からです。主に育成の観点で使うときに良いと思います。「やったこと」は褒めるポイントです。そしてその「やったこと」を振り返って「分かったこと」は何か。何をすれば、どんな成果がでるのかとか、何をするとお客様を失うのかなど、経験学習を問うわけです。そしてKPTのTと同じように、次に「ためすこと」を決めてアクションプランとします。英語ならDone/Awareness/Tryでしょうか。

 レビューの手法には、このほかにもPMD(Plus/Minus/Delta改善点)や、AAR(After/Action/Review)などもあります。KPT含め、これらは個人レビューというよりも、むしろチームレビューに向いている手法です。チームで追いかけている目標はチーム全体で振り返る場をオフサイトなどで創った方がよいでしょう。その際にはリーダーのファシリテーションスキルが問われることになります。

 さて、香港・華南では中間レビュー時でも自己評価がものすごく高い部下がいることがあります。Keepの項目だらけでProblemがない。これは目標設定の問題もあるかもしれません。高い自己評価の場合は、その具体例を聞き出し、この期間において1番良いとき・普通のとき・悪いときの3ケースを全て話してもらいます。良いときだけを言っていることが多いのが自己評価の高い人の傾向です。行動評価項目などは、この3ケースを話してもらう事で、少しは偏りが治る可能性があります。

 そして中間レビューの締めくくりは、課題の共有と支援の約束と励ましです。上司と部下とで今後何をやっていくのかという課題の共有ができれば、あとはまた実行のみ。お互いを承認し、支援の約束が交わせれば、よりよい人間関係が築け、目標達成にまた一歩近づくのだと思います。これらのやり方は日常のフィードバックの中にも取り入れていきたいものです。


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 Vol.45 「「香港で『心理的安全性』は必要ですか?」

 

 

問い:最近よく聞く「心理的安全性」とはなんですか? 香港や華南に必要ですか?

黒崎:2015年にGoogleが「生産性の高いチームに共通しているのは心理的安全性の高さだ」と発表して大いに注目を浴びたのがこの「心理的安全性」ですね。Googleのホームページを見ると「対人関係においてリスクある行動を取ったときの結果に対する個人の認知の仕方、つまり『無知、無能、ネガティブ、邪魔だと思われる可能性のある行動をしても、このチームなら大丈夫だ』と信じられるかどうかを意味する」と書いてあります。弊社は「地位や経験に関わらず、誰もが建設的な意見を率直に言え、行動できる状態・程度」と定義しています。

 「心理的安全性」という言葉は、日本では一昨年ぐらいからよく目につくようになりました。古くはエドガー・シャインとウォーレン・ベニスという組織マネジメントの大御所である教授達が提唱し、その後このテーマの現在のリーダーと言えるエイミー・エドモンドソン教授が研究を進め、今年2月にエドモンドソン教授の『恐れのない組織』が日本語で出版され、売れているようです。

 「心理的安全性」という言葉は、各団体の調査でデータが異なるのですが、明らかに認知度が上がってきています。先日このテーマで香港でのウェビナーを実施した時は、4割の方が初めてこのコンセプトを知るという状況でした。

 正直なところ言葉の響きから来るネガティブさがあって、私自身も「そんなぬるま湯でマネジメントが出来るわけがない」などという誤解をしていた時期があります。その誤解の多くはこうです。

・好きなことが言える(わけではない)
・提案したらいつも取り上げてくれる(わけではない)
・わがままにふるまえる(わけではない)
・心理的安全性がなければ業績はあがらない(わけではない)
など

 特に香港・華南では、思慮の足りない思いつきの発言などに上司側が辟易しているケースもあり、「心理的安全性なんて」などという否定的意見も見られます。確かにそんな発言をいちいち許している余裕はないのかもしれません。プロのチームに必要なのが心理的安全性であって、アマチュアの集団には必要がないのかも、と。

 しかしながら人がプロに育つ課程において、自分の考えを言える環境かどうかはその人の成長に大いに関係してくるでしょう。発言し、そしてそれを実行し、成功か失敗かを重ねる。そのプロセスで人が経験し、自分の頭で考え育つ。この為にも、まだ発展途上中の人達にも「言える」環境を用意することは無駄ではありません。私はそれを「見える化」に対して、「言える化」と呼んできました。

 この「言える化」に必要なことはいくつもあります。特に重要なのはリーダーの日常の言動。いつも否定から入るリーダーなど、報連相しにくい上司は論外となります。対人レベルでの「言える化」、チームレベルや組織レベルでの「言える化」とその全てに関わるのがリーダーの存在です。先ほどのアマチュアな部下の不用意な発言に対してなどに、不用意な返答をしようものなら、次からはどんな良いアイデアがあったとしてもあがってこないでしょう。リーダーにはまず、適切なフィードバックスキルの向上が求められるのです。そして多数の意見がでてくるようになれば、それを合理的に意志決定するスキルも必要となります。会議を効果的に運営するファシリテーションスキルも必要でしょう。そうした条件がそろってなお、心理的安全性を担保するのはなかなか困難です。再度弊社の定義に戻れば、「誰もが建設的な意見を率直に言え」の「建設的な意見」であることもキーなので、部下達がそうした意見を作れるスキルの開発も必要です。それでも「心理的安全性」はパフォーマンスの向上と成長と変革のためには香港でも中国でも必要だと考えています。

 ところが経営トップ達にはこう思う人がいます。「みんな私には意見を言ってくれる」「私は言いやすいボスのはずだ」等々、自分の存在を肯定的に捉えているケース。「自分は世界を正しく客観的に認識していると考える傾向」のことをナイーブ・リアリティと言いますが、こういう「謙虚さ」が欠けるときには「心理的安全性」は担保されません。「あなたたちは何も分かっていない」というムードが漂い、この上司は「最初から正解を持っている」と思われ、自由で創造的な意見が出てくる可能性が下がるのです。

 当地ではさらに「言っても無駄」だという歴史を引きずる企業もあります。以前提案をしたがすべて却下されたか、駐在員の異動で全てが変わってしまったという現地スタッフにとっての苦い経験。あるいはそれを言い訳にした思考停止。

 そして「辞められたら困るから」という理由での、上司から部下への「心理的安全性」の低さ、「言えなさ」もあります。

 一度組織の皆で議論すべきコンテンツだと思います。


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人事労務のアナシスによる誌上相談会

 

Vol.44 「台風になったら香港は休みですか?」

 

 

問い:台風になったらいろいろルールがあると聞きました。会社は休みになるのですか?

黒崎:会社で休みだと規定していなければ、多くの場合は「自宅待機」となるでしょう。それを休みだと受け取るかどうかが問題なのです。

 香港では労工處が台風・豪雨時のガイドライン「Code of Practice in Times of Typhoons and Rainstorms」を発行しています。これはあくまでガイドラインであり、実は法的強制力はありません。つまり、極端に言えば香港では台風の日に働かせても、労働者への安全の配慮があれば許されるわけです。しかしながら就業規則で「休み」と規定していれば話は別となります。

 今年5月には深センでも「深セン市気象災害公衆防災ガイドライン」が試行されており、そうしたものは再度確認することをお勧めします。また香港では在宅勤務ルールとの整合性の問題などもでてきております。今回はその考え方を整理しておきたいと思います。

 問題は香港などでは「台風=休み」と勘違いしている人の多さと、一部日本の台風に対する考え方と現地のそれとの差があるときです。そこへ昨年からコロナ対応による在宅勤務が始まると、在宅勤務できるのに「休み」なのかと議論が一部で起こったのです。元々その日に在宅勤務予定だった人と、シフト勤務で出社予定だった人とで、不公平ではないかという声が挙がったりしました。

 その対策としては、事前のアナウンスメントを明確にしておくこと。どんなシグナルが発令した時に自宅待機になるのか、あるいは在宅勤務なのか休みなのか。また、警報解除時の出退勤はどうなるのか、交通機関の混雑を考慮するのか。在宅勤務が可能なのであれば、そんな時にわざわざ出社させるのは生産性が低いとは思います。

 台風に関しては事前にある程度の予測がつくものです。それゆえ使用者側は先読みして判断し、最善の策を事前アナウンスすると良いでしょう。その際最優先されるのは労働者の安全の確保。そして、お客様への出来る範囲での継続的なサービス。この後者の点で、過剰なサービスになっていないかを見直す機会となったのがコロナ対応だったかも知れません。

 これらのことを明確化したとき、既存の就業規則と不整合を起こすようであれば、たとえば「台風の日は在宅勤務」などとするのであれば、その修正も必要となります。その際、在宅勤務ができる・できないで在宅勤務か自宅待機かと分かれることにも注意が必要です。労働者側はその二つの区別がつかないことも多いようです。

 筆者は2002年より香港在住となりましたが、当初は「台風=休み」というコンセプトに反感を覚え、自宅待機時に課題図書を出したことがあります。しかし、激しく反発されました。慣習というものを変えることは、相当な障害があります。自宅待機時のオンライン研修などを用意していても、活用する企業は本当に少ないものです。それを実行するには、「明確な経営方針」「トップの覚悟と労働者との信頼関係」「在宅勤務制度の有無」「労働者の仕事に対する成熟度」が必要です。

 そもそも出社そのものや在宅勤務そのものを要望するのではなく、成果を求めていれば、こんな問題も起こらないのかも知れません。休もうが休むまいが、成果さえ出ていればいい。そういう考え方もあるでしょう。しかしそこへさらにチームワークを求めるにはどうしたらいいのか。在宅勤務できない職務にはどう対応すればいいのか。この辺りを管理職者達としっかり話し合っておく機会が来たのではないかと考えています。

 今から3年前、2018年9月に大型台風「山竹」が香港で猛威をふるいました。その時は翌日には3号に警報が引き下がっていたのですが、交通機関は大いに麻痺して出退勤に大きな影響が出ました。そこから翌年新ガイドラインが登場しています。そこには台風8号警報を3号に変更する前に「極端な状況:Extreme conditions」が発令・公布された際の労働者の出退勤について追加されました。また労工處は悪天候下において「労働者の安全確保」が最優先事項であること、また使用者は個別状況に基づいて、より「柔軟な対応を行うこと」を強調しています。

 日本ではその昔、台風であろうがなんとしてでも出勤するような雰囲気がありました。それもテレワークができるようになって変化が出ているはずです。台風への考え方は誰もが見ています。積極的な先手を打つことをお勧めします。


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人事労務のアナシスによる誌上相談会

 

 Vol.43 「1on1ミーティングって、どうやるのですか?」

 

 

問い:1on1ミーティングがマネジメントに有効だと聞きました。改めてやろうとしてもどうやっていいか分かりません。

黒崎:1on1ミーティングは、より業績を向上させるため、上司と部下の関係性を強化する手法の一つであり、評価・目標面談などとも違うものです。

 1on1とは、「上司と部下の間で、毎週あるいは月2度ぐらい、30分から1時間程度、定期的に行う1対1の対話」のことです。シリコンバレーでは一般的となりグーグルやヤフーでも導入、日本でも随分取り上げられてきています。

 さて、いわゆる「面談」とは何が違うのかといえば、目的と頻度が大きく違っています。面談とは主に評価面談等でしょうし、多くても四半期に一度、通常なら年に1,2回ではないでしょうか。1on1なら推奨はせめて月2回です。さらに目的と話すテーマが大部違ってきます

 1on1の主なテーマは「中長期的な、非緊急かつ重要な話」です。例えば、

1)キャリア形成
2)業務における内省・経験学習
3)日常では相談しづらい仕事の悩み
4)同僚・他部署との人間関係
5)経営理念・戦略
6)その他プライベート等
となります。その目的は「中長期的な部下育成・職場の心理的安全性の確保・経験学習支援・部下との人間関係構築」です。この最後の人間関係構築を、最近はエンゲージメントと呼ぶことがあります。私の言葉で訳すと「絆」「愛着」であり「心の契約」です。1on1の最大の効果はエンゲージメントを高めるものとされています。これが高まると、「意欲とスキルの向上・ビジネススピード向上・理念や戦略への方向付け・問題の早期発見と対応・離職防止」に有効とされています。なんだか良いことずくめで、香港・華南においては是非取り組むべきことなのではないでしょうか。うまくできれば。しかし現場では「時間がない」「何を話していいか分からない」という理由で、それほど多くの企業では導入されていないようです。

 私は多くの会社で上司と部下の接触回数と評価の高さが比例していると見ています。一緒にいる時間の多い部下の評価は高く、余り接触しない部下の評価は低くなるか、あまり評価できないために中心化傾向となります。多忙を理由にすると評価にも悪影響がでるのです。心理学ではザイオンス効果と呼ばれ、接触回数が増えるほど、好感度は高くなります。ですので上司の役割はまずできる限り均等に部下と接触し、その頻度を増やすことです。コミュニケーションは長さよりも回数です。そしてその頻度に加えて、この1on1が有効だと思うわけです。本当は日常の対話を増やせれば良いのだと思いますが、日常ではそんなに簡単に中長期の話しには触れられないでしょう。それゆえ1on1というやや非日常を作り出すわけです。

 これまでセミナー等で1on1を推奨してきたのですが、幾つかの注意点があります。いきなり始めると、「クビですか」と訝られるケースがありました。「面談」は何か悪いときにやるものという思い込みが部下側にある場合があります。例えばセミナーを受けた後などに「シリコンバレーでもグーグルでもやっているらしいから始めることにした」などと、形から入ることを厭わないことです。全社で公式に導入するのは、まず幹部層へ導入した後などがいいでしょう。

 そしてやり始めると直面するのは上司側の対話力の課題です。1on1なのにいつものように「結論から言え」などと始めては、部下はものが言えなくなります。目的は「絆」を作って、中長期的な目標を達成することと部下の成長を支援すること。まず上司からOpenになることが必要です。30分のミーティングにも基本的なシナリオは必要です。たとえば、こうです。

【チェックイン(導入)】5分
1.アイスブレイク  3.前回のミーティングのレビュー
2.いい話のシェア  4.当日のテーマ決め
【対話】20分
・積極的傾聴を実行する
【チェックアウト】5分
1.次のアクションプランの確認
2.上司の協力・支援の宣言(出来ることならば)
3.当日のレビュー

 全体を通して上司は部下の存在を「承認」することが求められるでしょう。このうち傾聴の技術・質問のスキルなどは上司が磨かねばならないものです。弊社の講座・研修などをご活用ください。


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Vol.42 「マネジャーの職務と賃金が合っていない気がするのですが?」

 

 

問い:会社ができた当時から頑張ってくれているスタッフがマネジャーなのですが、どうも管理職とは言えない気がするのです。またマーケットプライスで賃金を払っているのですが高く感じてしまうのですが?

黒崎:残念ながら年功序列的な賃上げと昇格によるマネジャーのポジションであるから、そういう感想を持たれてしまうのではないでしょうか。タイトルと賃金だけがマネジャーであり、その役割の本来の責務は果たしてないものと思われます。経験年数が長いだけで「便利」だからそのポジションを与えてきて、実際には管理職としての役割も要望せず、しかし給与は現地の管理職の水準を支給してきたケースは数知れずあります。

 これは当人の問題というよりも、経営側の問題。約2~3年で変わる駐在員派遣という制度と、人事課題を先送りしてきたツケとも言えるでしょう。新型コロナの影響もあって駐在員の数はさらに減っていく傾向もある中、現地管理者の育成は待ったなしの企業が増えています。しかしその定義がされてないか、あるいは周知徹底・人材開発がなされてないことが非常に多いのです。

 あらためて自社の管理職の定義をご確認ください。例えば「課の目標策定に参加し、実行計画を立案し、担当チームを指揮・監督・指導・育成して当該目標を達成する」「会社の戦略や方針についての概要の指示に基づき、課またはそれに準じる組織の業務について、自主的に企画・運営し、かつ実施上の実質的責任をもって部下を管理する」などがあります。あるいはごく簡単に「担当組織の基本計画・管理・成果責任」ということもあるでしょう。決して言われたことだけをする、ベテラン社員のことを意味しません。

 その管理職の賃金にも課題があります。例えば香港の日系企業の管理職の給与レンジは月給で3万から4.2万香港ドルぐらいが全体の5割です(アナシス調べ)。一方日本の課長クラスの平均は香港ドル換算すると、月約4.1万香港ドル(『労政時報』発表の2020年度の平均年収829.4万円を元に、年で14ヶ月分の月収とした計算による)。同じく日本の係長クラスでおよそ3万香港ドルとなり、まさに上述のレンジとほぼ同じとなります。

 日本の課長クラスが現地では部長や社長となり、その人達からみれば「香港の給与は高い」と思ってしまうのもある意味理解できます。昨今香港の賃金が割高なのではとも言われますが、それなりの職務価値を発揮すればいいのだと考えます。その為にも本来の役割をしっかり定義し、それを要求し続けていかないと、その部下達は市場での雇用され続ける能力=エンプロイヤビリティを失っていくことになるのではないかと危惧しています。日系企業に勤めることで、外で通用しなくなるなんてことが起こらないようにしたいものです。

 さらに現地化も本格的に進めなければならないという状況もあるのであれば、一歩進んで経営層の育成が必要になります。「個人の管理」から「組織の管理」へ移れるかどうか。一番難題となるのが「本社と現地法人」「自社と顧客」「経営と現場」など、利害が対立する場面やトレードオフ下での判断ができるかどうか。管理職の仕事もままならない人にこのあたりまで任せるのは無理だと、これまでずっと先送りされてきた課題です。

 また、香港などでは小さな組織の中で、「持ち上がり昇進」が起こります。いままで同僚だった仲間のうちの1人がいきなりその中の上司になるという状況。すると「ポストは課長だが、心とスキルは一般層」というケースが起こりやすいのです。そして知っている領域はマイクロマネジメントとなって部下が成長せず、知らない領域は何の貢献もできないなどということも起こります。組織が大きければ、人事異動で違う職場のマネジメントをさせるということもあるでしょうが、多くの職場ではその職務経験者を昇格させるという考えでしょう。その場合、昇進した階層の意識を持ってどう行動してもらうか、その変革の時期をどう創造していくかが現地トップの役割のひとつです。外部の研修だけでは当然足りません。研修に頼るという考えでは現地管理者は育たないのです。

 こうした現地管理者の育成そのものが、現地トップの成長そのものにもつながります。そして彼ら現地管理者を、「点」ではなく「面」で日本からサポートできる体制も創造していく必要性があるのです。

 


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Vol.41 「新規赴任者のマネジメント上の注意点は?」

 

 

問い:21日の隔離期間も終え、やっと香港へ着任できました。激動の香港、新規赴任者への注意点はありますか? 

黒崎: コロナ対応で異動時期が変則になっているケースも多いと思いますが、ここ最近で香港・華南に異動された方もいらっしゃると思います。そしていきなり賃金改定や査定のフィードバックをしなければならなくなるなど、引継業務と共に人事労務上の課題に取り組まれている方もいらっしゃいます。今回は赴任直後の確認ポイントを取り上げます。コロナ対応もありますので、長く当地にいらっしゃる方も初心に戻ってお考えいただければと思います。

1.異文化への早期適応、赴任ミッションの把握

当地の文化にいち早く適応していくための知識を得て、理解することです。日本をいつも持ち込む「日本出羽守(「にほんでは」のかみ)」にならないように気をつけましょう。一方で文化の違いにばかり目を向けないことも重要です。マネジメントの原則は当地でもその大半が適用可能です。

そして与えられた赴任ミッションを把握し直す。任期内でやりきることの早期見極めと自分の言葉による目標の再設定。組織変革が必要であれば、いつ取り組み始めるのかを決めることです。あっという間に赴任期間は終わります。そして「先送り」しないように、先手を打てる体制づくりが肝要です。

2.必要な労働法規と自社ルールの確認

中国においては労働法・労働契約法の最低限の理解を。労働契約・無固定・残業ルールなどの定義などを、一通り学んでおくことは必須です。香港では雇用条例を中心として、差別条例など雇用関連条例の把握を。やってはいけないことをまず知っておきます。

ここでの詳述は避けますが、解雇・賃下げ・降格など労働条件の改悪に関することは、人事や専門家との事前相談を必ず行って下さい。

そして自社の就業規則の理解も重要です。赴任者自らがコンプライアンス違反とならないために、それ以外の最低限のルールも把握しておきます。

3.地域の人事労務上の課題と自社の比較。現地相場の把握

現地企業が直面している課題を客観的に把握します。自社のそれと相対化することで、課題の優先順位を認識するためでもあります。現地での給与相場・福利厚生・採用環境等の把握。若手人材の流動性が高いことなども理解しておきます。

4.自社の人的資源の把握

与えられた赴任ミッションの達成へ向けて、その人的資源をいち早く把握しておくこと。前任から引き継いだ評価も参考としながら、意欲・能力・職務適性、そして賃金の妥当性などを把握していきます。

特に香港は日本からそのポジショニングを問われています。香港の独自性を考える時、その組織・人材のポテンシャルを言語化していく必要があります。是非「ポジティブ」な眼で、人材を見なおしてください。

5.コロナ対応の状況把握と基準の設定

インドや日本などでなお感染が拡大している中で、やや落ち着きを見せた中国・香港でも、入境規制が日々変化しています。それでも中国ではビジネスが急拡大していく可能性もあります。香港・中国間の行き来がワクチンバブル他の対策で増加する可能性があるなか、従業員心理にも差があることが前提で、マネジメントの基準が問われます。以下のテーマは事前に思考を通しておくべきものです。「ワクチン接種の是非」「中国・香港間等の出張の取扱」「在宅勤務の取扱」「期中の目標変更」「BCP」などです。

リスクマネジメントに関しては、既に再確認されたことと思います。「万が一」が起こってしまったのが新型コロナ。緊急事態への対応は、思考を通しておくことで慌てることがなくなるはずのものです。

華南の行き来が出来るようになっても、完全に昔と同じだと言うことはあり得ません。古い体制とシステムではなく、新しい仕組みと仕掛けが必要になるでしょう。通常、人事労務上の課題の多くはボディブローのように後から効いてくるものが多いといわれます。しかしながら、今回のコロナ対応では即ビジネスチャンスを失うなどということが起こりえるものとして認識してください。賃金や評価、採用や人材育成といったものも、今手を打たないと後からじわじわ効いてきますので要注意です。

赴任者の方々は、現地諸先輩がここ数年でどんなマネジメントに取り組んで来たのか、是非話を聞いてみてください。弊社でもセミナーは実施していますのでご参加ください。


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その一つ「新規赴任者の心得」は6月18日に有料公開されます。「テレワーク」「報連相」など充実したコース内容も弊社までお問い合わせ下さい。

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Vol.40 「従業員にワクチン接種を強制できますか?」

 

 

問い:業務上、必要性を感じるのですが、新型コロナ対応ワクチンの接種を強制することはできませんよね?(香港)

黒崎:お察しの通り、強制は出来ません。推奨することは可能ですが、非常にセンシティブなトピックです。人によって何を重要視するのかが違うので、従業員との対話を十分にする必要性があります。

 香港での新型コロナ対応ワクチンの接種が人口の4月13日で9%を超えました。まだ低いようですが、これからまだまだ伸びるでしょう。接種の是非をめぐっては様々な考え方がありますが、私は医学の専門家ではありませんので、マネジメントの観点で思考を通しておくべき事は何かを香港を例に取り上げたいと思います。

 香港の方を対象にワクチン接種に関する調査を弊社で実施しましたが、そこでも経営側より従業員へ向けてワクチン接種を推奨する・する予定の企業は限られていました。多くの企業では会社としての意志は表明していません。これはワクチン接種が「何を最重要のリスクとするか」という問いに対して、全ての関係者を対象としたときの絶対的な正解がないことに起因しているものだと考えます。人によって大事にすることが違う。医学や科学、論理というものだけで解決するものではない、「思想」の違いによるものだという認識をまず持つことが必要なのだと私は考えています。

 それゆえ、たとえワクチン接種を推奨したいと経営が考えたとしても(もちろん強制はできませんが)、その考え方を組織に浸透させることに成功できるかどうかは別問題です。これはワクチン接種を推奨する各国政府の対応も経営側にとっては参考となるでしょう。

 ワクチン接種推奨派の論理は主に二つです。

(1)新型コロナに感染しないと同時に感染させない、ということは社会的責任である
(2)統計的には「有害事象」となる可能性は低く、かつビジネス活動に制限がかかりにくくなる可能性が高い。あるいは来客者には安心感を与えるものとなる。

 中国ワクチンは中国ビザ取得時に便宜が図られるといわれています。また欧州などでもいわゆるワクチンパスポートという可能性がでてきており、出張が想定される場合には接種がビジネスに影響する可能性があります。また、接客業ではワクチン接種が半ば義務のようになることもあるかもしれません。実際弊社には、中国出張を増やす戦略がある場合にワクチン接種の是非をどう考えるかというご相談も来ています。この場合、経営が求めているものは「ワクチン接種」でも「出張」でもなく、「仕事の成果」であることに注意が必要です。その職務にどんな成果を求めているのか。その成果をきちんと評価できる設計ができているかということを準備しておく必要があります。

 一方ワクチン接種を否とするのは反ワクチン派・不要派・不安派と大きくわけて三つあります。「反ワクチン派」とは、歴史的な薬害などからの考えを持っている人や宗教的な理由、あるいは政府に対して不信を持つ人などを含むグループです。

 「不要派」とは「かかったとしても軽症で終わるのでは」「感染対策をしっかりしているので不安はない」「感染者数が減っており、差し迫ったものとは思えない」といった理由で、今ワクチンを打つ必要を感じない人達です。

 「不安派」は一番多いかも知れません。100%効果が得られて副反応が0%の安全なワクチンなど存在しません。この誰でも分かる論理に加え、様々なニュースが誤報・デマを含めて我々を取り巻いており、それがさらなる不安を呼びます。ワクチンの副反応は扇情的に報道されやすく、一方安全性をうたうものはあまりニュースになりません。誤報道の訂正は滅多にされず、SNSではデマが流れていきます。ここから安全への信憑性が疑われ、不安・不信からワクチンへの拒否反応を持つ人も生まれてきているようです。

 これら不要派・不安派を、「最重要のリスク」が人によって違う中で論理的に説得するのは難しいものがあるでしょう。まずはできるだけ正確な情報収集が必要です。そして接種のベネフィットとリスクを、従業員と丁寧に対話する必要があります。安全性の観点からのワクチンの有効性と副反応リスク、そしてビジネス戦略上の観点を含めて判断することになります。

 香港ではまだ様子見の人も多いようです。中国製とドイツ製のどちらを打つのかということも今の香港ではセンシティブな話題です。情報の正確さだけでは解決できないこの問題。労務上ではワクチン接種の時間を賃金控除するのか否か、具合が悪くなった時はどう対応するのかなども検討しておいた方が良いテーマです。

 


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Vol.39 「在宅勤務があったこの1年の評価はどうすればいいのでしょうか」


問い:新型コロナ対応で明け暮れた1年が終わり、評価をする時期が来ています。どんな考え方、準備が必要でしょうか。

黒崎:結論から言えば、人事評価は本質的には何も変わっていません。4月から3月の評価期間の場合、ここまで長期化するとは考えられなかったかも知れませんが、既に新型コロナ対応を含めた計画だったはずでもあります。

 ほとんどの企業は新型コロナ対応であっても評価は従来の制度のまま、目標設定などを修正して取り組んできたようです。評価制度というものは組織課題を解決するためにあるものなので、コロナ対応を含めて新しい戦略で組織に問題が起こったのなら再構築が必要ですが、これまで通りのビジネスを遂行するということであれば同じ制度でも原則問題はありません。ましてや評価をする直前でのルール変更などはやってはいけません。

 それでも出てくるご質問とは、「在宅勤務で会えていないので行動評価がつけられない」「当初の目標に対して結果が大きくずれたが救済は必要か」「期中目標を変更した場合の評価は」「従業員は頑張っているのだが昇給はできない時の評価は」等々です。

(1)在宅勤務でも行動評価はつけられる

 この誌上相談会Vol.27では、在宅勤務でのマネジメントでのポイントとして、以下を取り上げました。

1.短期間の成果目標を明確に設定する
2.業務開始をはっきり分かってもらうための朝ミーティングを実施する
3.アウトプットしていないと上司にも仲間にも認められにくい事や在宅勤務のコツなどを教育する
4.上司のオンラインミーティングの運営力をあげる
5.Slackなどのビジネスチャットを活用する ほか

 これだけやっていれば、日々の報連相はオンラインでもできていたはずで、行動評価は可能です。会えていなければ評価できないというのは、毎日会っていても評価できないマネジャーの言い訳にすぎません。

(2)期中で変更した目標は、新目標で評価する

 当初の目標・予算で最終評価をしないと、評価結果による賞与・昇給等を決められないというケースがあります。それは評価とその結果による昇給などを完全一致させようとするから起こる問題です。評価そのものと結果の昇給等は切り分けてください。その結果に対し、会社の業績が加味されて最終の昇給等が決まるわけで、「絶対評価の絶対配分」がなされるわけではないのです。途中で変更した新しい目標とそのプロセスと結果(=成果)を見てあげないと、次に設定する目標への達成意欲は下がっていくでしょう。

(3)救済措置や賃金凍結があっても、まずは論理的に評価する

 例え賃金を凍結するとしても、評価は評価で実施しなければなりません。また外部環境要因によって業績が上がらなかった場合でも、それは全従業員にほぼ同じ条件下でのものだったのではないでしょうか。個別性を取り上げればきりが無くなります。ここはぶれない論理を作り上げなければなりません。そして厳しい環境の中での努力は行動評価に反映させることになります。

 ただし経営が環境に適応しようとして戦略・戦術を変更した時に、柔軟に対応してその方向性をよくフォローしてきた人は、それなりに高い評価をすることになるでしょう。そうしたことが目標ないしは行動評価項目に入っていればなおいいのですが、現在と未来へ貢献できるこうした人材を正しく評価しないと、この後も続くかも知れない環境変化に対応できなくなります。そして昨年4月以降はコロナ対応下での目標設定なので、マネジャーも言い訳はできないはずです。

 最後に、この時期の評価への準備をまとめておきます。

1.自社の評価制度の再確認
2.昇給原資・基本となる昇給%の確認
.業績データの収集
4.評価期間内のコミュニケーション等の記録・事実の収集
5.過去評価データの確認
6.「逆算評価をしない」などの評価エラー対策の再確認

 この期間に異動してこられた方は、前任者からきちんと情報をもらってください。そして今からでも遅くはないので、部下達とのコミュニケーションを増やしてください。来期目標を検討するところから、部下と組織の将来を話し合っておくことも、後々フィードバックする際に有効となることでしょう。

 


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Vol.38 「Withコロナでも一部で採用が復活しているというのは本当でしょうか」
問い:弊社の業績は悪く、また報道でも経済環境の厳しさが聞こえる一方で、採用が活発化しているという声を聞きます。実態はどうなのでしょうか。

黒崎:ご質問のように厳しい経営状況の企業がある一方で、業容を拡大している企業があるのは事実です。そこに必要なのは人材の引き留め(リテンション)と採用の成功。業績に格差がでている現在、雇用に対する考え方にも差が出ていますが、成長の機会を逃さないためにも検討しておくべきテーマです。

 実は弊社でも昨年末からこの3月までの間で上海に2名増員しています。香港も全般的な景気の低迷感はあるものの、一部の企業は営業職など積極的な採用活動をおこなっています。悪いニュースは取り上げられやすいものですが、景気のいい話は遅れてやってきます。「こんな環境下でも人が辞めていくのか!」という驚きの声とともに辞職願が飛び交うという話が入っています。

 一方でなかなか応募者が集まらないという声も少なくありません。リスク回避でなかなか動かない人達もいるでしょう。離職理由の中で増えていると思われるのが将来への不安です。先行き不透明感からの企業の「安定性」「安全性」を求めての退職などが、これまでのような待遇や人間関係問題以外にも出てきています。特に一昨年からいろいろあった香港ではここはキーとなると考えます。

 私が採用に関していつも強調するのは、「欲しい人材はいつだって売手市場にいる」という認識を持つということ。解雇も増え、失業率が上がり、賃金上昇は昨年よりも低くなるなど、多くの従業員にとっては厳しい昨年から今年でしたが、だからといって「転職しないだろう」という思い込みは厳禁です。全社のリテンション戦略と方針を検討しておくことと、採用力を上げるという不断の努力は必要なのです。

 リテンションに関して言えば、そのターゲットを定め、優先順位をつけておく必要があります。そしてどれくらい長く勤めて欲しいのかという問いを、現実を見ながら考えてみてください。転職は当たり前なのが香港・華南です。採用・育成コストを考えれば、すぐ辞められては困りますが、キャリアパスもないのに長く勤められてもその職務に対してオーバーペイとなってしまうという組織は多いでしょう。安住してしまった従業員が、組織にネガティブなリーダーシップを発揮してしまうことも多々見られます。

 リテンションはどんな人をどれくらいの長さで引き留めておきたいかによって、全体対策も個別対策も変わってきます。人によって求める報酬は違います。その報酬とは金銭的報酬もあれば、戦略、仕事そのものや仲間達、成長機会や日々の存在価値の承認といった非金銭的報酬も含まれます。それがトータルリワードと呼ばれるコンセプトです。

 さて、次は採用を考えてみます。厳しい経済状況というニュースの一方で、物不足や対応しきれないオーダー、華南では春節明けのワーカーの確保問題など、課題は山積み。採用はそのひとつ。そこには採用力の向上という経営の永遠のテーマがあります。採用力とは「企業力x採用活動x熱意」で表せます。募集する魅力ある仕事とその待遇、職場環境や福利厚生、知名度や規模といった企業力。賃金を上げれば良いというモノではありません。しかも限界があります。しかし採用活動にはまだまだ工夫の余地があるでしょう。採用担当者の魅力や熱意が採用を成功させることは、当地でも見受けられます。それら要素のかけ算が採用力を上げることになります。

 withコロナでの採用での注意点としては、香港が少し特殊です。香港ではなかなか転職出来ていない人達が、希望給与を前職より下げてくるケースも見られます。下がった額はリーズナブルに見えますが、昔の給与に戻れる他のオファーがあればすぐに動いてしまうこともあり得ますので本音を探る必要があるでしょう。また、香港では在宅勤務がある程度一般化してきていると思われますが、その適応力の確認なども必要です。あるいは移民問題や政治問題などもセンシティブな話題です。そうした未来への展望を転職に掛け合わせて応募者は考えています。経営側として、どんなビジョンを見せられるのか。今の採用はそう簡単ではないのです。用意周到でリテンションと採用をお考えください。

 


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人事労務のアナシスによる誌上相談会

Vol.37『賃上げ率からの逆算評価は何が問題でしょうか?』
問い:今年の賃上げを考えるのが難しく、個人別に先にUP率を決めてからそれを評価として反映させようと考えてますが、何が問題となるでしょうか?

黒崎:明けましておめでとうございます。まさに賃金改定対応中の方もいらっしゃるのではと思います。昨年末より各団体が次々に「昇給率」を発表しています。新型コロナの経済影響もあり、現時点では悲観的なデータが多く見受けられます。今年が例年に増して予測が難しいのは、各社の業績に大きな差があることです。一部では急激な業績回復も見受けられますので、平均データである昇給率はあくまでも参考として見るものになるでしょう。

 さて、それでもそうした公表された数値というものは従業員側の期待値へ影響します。全般的には賃上げにそれほど期待できないというムードでしょうが、自分の仕事の忙しさと共に自社の業績が回復していることが分かる場合には、期待値もあがりますので注意です。それでも限られた予算の場合、今回のテーマである「逆算評価」が発生しやすくなってしまいます。結論から言えば、逆算評価は避けるべきです。

 人事制度のご相談をしていると実態としてよくあるのがこの逆算評価です。専門用語では「逆算化傾向」という評価エラーのひとつで、昇給率や賞与などの処遇を念頭に置き、逆算してつじつまを合わせて評価をしてしまう傾向のこと。「最終的に6%以上賃上げしないと辞めてしまうからA評価だ」「B評価がついたらモチベーションが下がるからつけられない」などなど。

 この原因はマネジメント力の無さ・弱さにあります。確かに中国・香港では賃金がモチベーションの大きな要素であることは確かです。しかしその価値観が強すぎて評価の目的を「処遇の決定のみ」と評価者が勘違いしていることがその原因のひとつです。評価の目的は「(1)処遇の決定(2)人材の育成(3)目標達成の為の日々の軌道修正」の三つ。年に1回の賃金改定の為にだけにあると考えてはいけません。特に人材育成という観点は忘れられがちです。さらに日々のマネジメントとして、いつでもどこでも評価なのです。

 

 逆算評価をしてしまう原因はこのように、

1.「評価は処遇決定の為だ」という意識が強すぎる
2.人材育成という目的を理解していない
3.日々の軌道修正・フィードバックが行われていない
4.評価項目そのものが深く検討されていない
5.部下から不平不満がでるのが怖い

などがあげられます。

 

 評価項目ごとに適切にフィードバックできない管理者の中には、総合評価を高くすることで面子を保ち、部下から感謝を受けたいという心理を持つ人もいました。逆算評価の予防策としては人事制度・賃金制度の見直しと、人事のポリシーを明確にした組織文化の醸成、評価者自身の育成などがあげられます。

 制度としては予め評価のルールを従業員に知らせておき、評価項目も組織戦略に合わせて基準をできる限り明確化しておくことが求められるでしょう。

 

 そして評価者は、

1.評価の目的をまずしっかり理解すること
2.処遇のことを最初に考えずに、部下に日々フィードバックしながら、事実を観察・記録しておくこと
3.多面評価などにしてできる限り客観性を担保すること
4.個別の項目のみ評価し、総合評価をつけさせない

などがあげられます。

 

 賃金改定のこの時期へ来て慌てても、残念ながらもう遅いのです。「評価の達人」たちはそれを見越して目標設定から用意周到です。そして日々評価し、フィードバックしています。この時期へ来ても、この1年言い続けてきた評価を伝えるだけです。ずっと言い続けてきたものであれば、部下の理解や納得性は高いはずです。そして処遇そのものは組織全体の台所事情によることも伝えておかなければなりません。

 今からでもきちんと振り返り、事実と論理を持って評価と処遇をお考え下さい。「情」はその後です。そして次年度こそは「評価の達人」になっていただきたいと思います。

 


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Vol.36『環境変化に適応していくために従業員の意識改革をしたい』
問い:来期予算・計画を作成中です。そこで必要になると思われるのが従業員に危機感を持ってもらい、意識改革をしていきたいのです。どう考えていけばいいでしょうか。

黒崎:来期予算案の策定が佳境、あるいは終わった企業も多いと思われますが、ご質問いただいたように、多くの企業で「従業員の意識改革」も必要だと、改めてテーマ化されているとも聞きます。

 香港・華南でこれまでもよく聞こえた経営者側の不満に、「主体性がない」「言われたことしかしない」などというものがあります。こうした現状維持バイアスのかかった人と組織の行動を変えるのは、なかなか骨が折れるものです。そこへ新型コロナの影響もでてきて、従来と同じことをし続けていい企業など一つもないでしょう。すると出てくるのがこの「意識改革」というテーマです。しかし人の意識は変われと言われて変われるものではないのが問題なのです。

 「意識改革」が起こるのは、人が「自ら変わろうと心から思う時」です。では、どうやったらそう思うようになるのか。ここでまず大切なことは、誰の意識改革からスタートするのかということです。答えはトップからです。「従業員の意識を変えなければ」と研修を部下達だけにしているケースでうまくいくものはないと考えてください。そうした従業員の意識を生んだマネジメントを長年やってきたのはトップやマネジメント側の責任なのです。そして意識改革はトップや管理層だけでもなく、全社でやっていくものです。この意味で意識改革は「意識を変えろ」ではなく、自分から「意識を変える」「変わる」なのです。

 さてこのテーマですが、改めて「どんな意識をどう変えたいのですか?」と尋ねると、答えに詰まる方がいます。もともと抽象度が高い「意識」の話なのですが、具体例をあげられない時は、まだ現状把握も分析もできていないことが多いと思われます。意識改革のプロセスは、現状把握(従業員やお客様の声を聞くなど)とあるべき姿の確認から始まります。それらのギャップを分析し、ゴールを定め、具体的なアクションプランを作成し実行していくことが最初のステップになります。

 しかし意識は見ることができません。それゆえ言動をもって、はかることになるでしょう。つまり意識改革とは行動改革・態度変容なのです。しかもその行動が習慣化して、組織文化になっていくようになるまでやり続けること。実際、意識改革の最終ゴールは組織変革です。組織文化の創造、企業理念・ビジョン・ミッションの浸透などがその結果です。

 さて、「意識が変われば行動が変わる。行動が変われば習慣が変わる。習慣が変われば成果や人格が変わる、、、」などと言われてはいますが、その最初の意識はどう変えるのか。

 今年、テレワークが進みました。これは意識が突然変わったわけでは無く、やむにやまれず行動し、その行動が習慣化し成果を生みました。「思ったよりもできる」といった成果が、逆に意識を変えた例です。意識がないのなら、小さな成功を積ませて「いいな」と思ってもらう。そのためには仕掛けと仕組み、そして従業員の日常の行動への「承認」が必要になります。その小さな改善でいいのだよ、それを続けていくのだよと言う日常のフィードバックと、経営者自らのリードが必要になるのです。

 会社が要望したい行動が、評価項目になっていればなおいいでしょう。その行動を取らねば評価があがらず、成果もでないわけです。その行動をトップ自らが遂行していくなかで、現場も行動するようになり、それが習慣化されたときに、「意識が変わってきた」となっていきます。それゆえ意識改革を考えるならば、評価制度を考え直すことは一つの大きな手段となるのです。

 さて、そろそろ各調査団体の2021年の賃金改定予測が出てきております。中国で市場が一部活性化してきており、業績にも格差が見られ、例年よりも賃金改定の難しさを感じます。12月以降、香港などでは一部整理解雇が例年より多くなるのではと予想されていますが、一方で3末へ向けた利益にはそれほど悪い影響が出ていないという声も少なくありません。その中での賃金改定や賞与は、従業員の意識へも大きく影響します。難しい「サキヨミ」ですが、採用なども手遅れになることのないようにしたいものです

 


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Vol.35『「駐在員を減らす=現地化」でしょうか?』
問い:新型コロナ対応の結果、「人の現地化」が進んでいると聞きます。具体的には駐在員を帰国させ、後任が来ないなどのケースです。現地化で考えておくことはどんなことがありますか。

黒崎:新型コロナ対応でテレワークなども進み、職務・役割の再検討や人件費削減などの検討が進む中で、確かに駐在員を帰国させるケースも見られます。これまで総論賛成・各論反対で遅々として進まなかった「現地化」も、いよいよ本格化するかというと、そこには違和感を感じています。

 まず現地化とは人の現地化だけを指すものではありません。この言葉は人によって相当定義が違うので注意が必要です。人・モノ・金・技術・情報といった経営資源に関する現地化もあれば、管理・商品企画・開発・生産・販売といった機能に関する現地化もあります。さらに企業理念や意思決定システムといった経営方式の現地化も。人の現地化だけを取り上げても、現地トップおよび経営層人材と一般マネジャー層でも、考え方に大きく違いがあります。

 さらにグローバル化の目的によっても、また海外事業のステージによっても、求める現地化は変わります。例えば市場開拓型の進出であれば、現地情報がより重要になるので人の現地化がより進んでいるわけです。

 さて、人の現地化の本音レベルでの動機は、一番にはコスト削減が挙げられるでしょう。駐在員の総コストはアジアにおいても未だ高いものがあります。新型コロナ対応で往来が難しくなったことで、「いなくても意外と回る」ことに気づいた組織もあります。

 二つ目には取引先窓口のローカル化が進んでいることです。さらに非日系企業との取引拡大も含めれば、日本人同士の関係性がビジネスに大きく影響しなくなってきています。

 三つ目は権限委譲による現地人材のモラル向上ですが、これは効果がすぐに見えにくい点でどうしても後回しになっていると思います。他にも隠れた理由としては、日本のグローバル人材の枯渇という問題もあるでしょう。

 その他のメリットも多いのに、なぜ人の現地化はできてこなかったかというと、現地経営人材が養成されていなかったことと、権限委譲する勇気が足りなかったこと、そのスキルがないことなどが要因です。

 駐在員をゼロにするケースではまさにその要因、任せられる人材がいるのか、どう任せるのかがはっきりしているのかが課題です。完璧に任せられる人材など最初からいるわけもありません。これは覚悟の問題です。ポテンシャルのある人材を見つけ、任せ、本国からバックアップ出来る体制を作る。そのためには意思決定プロセスや権限規定、情報の見える化などの準備が必要になります。

 現地化後の課題への準備もあります。社長を現地化したとき、業績的には成果を上げた後、やがて独裁化して統制が効かなくなるというガバナンス問題がおこるケースがあります。「見えない化・言えない化」が増えることで、不正・横領も起こり易くなることも。また、長期政権が続くと後任問題や独立されて事業を失うといったことも起こっています。結果重視型のマネジメントに変わった場合、企業理念やコンプライアンスは守られるのかといった、経営方式の課題も見られます。

 そんな悪いケースだけではなく、当初はうまくいっていたものの元駐在員達の異動に伴い、現地経営層と本社との人間関係が希薄になってサポートも薄れ、本来のパフォーマンスがあがらなくなった企業もあります。現地トップを抜擢する時には「点」の関係ではなく、多数の人が関わる「面」の関係性を作っておく必要性を強く感じます。文書の契約だけでなく、裏切られることを前提としながらのそうした人々との「心の契約」が、日系企業には必要なのだと考えます。そして現地経営人材がモチベーションがあがる仕掛けと仕組みも用意しなければ貴重な人材を失うことになるでしょう。

 さて現地トップの現地化をすることのデメリットに、日本本社としてのグローバル経営人材の育成チャンスを失うという大問題があります。海外で全責任を負って経営していく経験は非常に貴重です。経営層として成長機会の大きいそのポジションを本当に現地人材にすることが優先されるべきなのでしょうか。私はそこは国籍ではなく「最適な人材の配置」なのだと考えています。それゆえ「現地化=現地人材をトップに据えること」という考えをまず捨てて、ゼロベースで現地化を考えたいと思うわけです

 


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Vol.34「ジョブ型雇用って何ですか?」
問い:日本のニュースで「ジョブ型雇用」「メンバーシップ型雇用」という言葉を聞きますが、何のことでしょうか?

黒崎:香港・華南で長く働く我々にとっては驚く必要のないコンセプトです。「ジョブ型雇用」は一部大手企業が導入するなど、日本のニュースでもよく取り上げられてきました。日本は雇用をジョブ型にするべきとの論調が多く聞こえてくる一方で、日本における課題も多数取り上げられています。それらの多くは当地でも起こりうるものです。日本から派遣される駐在員達が「メンバーシップ型雇用」の中で育ち、今もその環境下にある中では、その違いを理解して、より高い生産性を生む組織マネジメントに取り組む必要性を感じます。

 さて、下記にジョブ型雇用とメンバーシップ型雇用の対比表を作成しました。

 

P05 Anaxis_761

 

 「メンバーシップ型」とは人材に対して仕事を割り当てていくもので、日本に従来からあるスタイルです。職務を限定せず、様々な仕事をローテーションし、その経験を通して能力が向上する考え方です。一方ジョブ型とは仕事を人に割り当てるもの。当地では職種毎に給与水準が違うことなどに直面するので、このジョブ型であることは肌感覚で理解できると思います。日本の「職能給」に対して海外では「職務給」が中心であるとこれまで説明されてきたことが、「メンバーシップ型」「ジョブ型」と言われ始めたと、大まかに理解されても良いかと思います。しかし、左記の表を見ていただくと、当地の日系企業におけるジョブ型は、ところどころほころびがあるケースが多いことに気づかれると思います。良い言い方をすればハイブリッド、悪く言えばいいとこ取りですが、それゆえに様々なひずみが出てしまった企業もあります。たとえば、賃金はジョブ型で同じ仕事でも毎年上がってきました。職務記述書(Job description)がうまく運用されていなかったり、仕事がなくなっても契約解除をせずに職務変更をしようとしたりすることが挙げられます。簡単に解雇にしたくないが故の善意のオファーによる職務変更も、本人達はやりたくないものだったりするのです。

 それでもこのジョブ型が日本で注目されるのは、変化する環境に適応しやすいからです。外部環境の変化に対応した戦略の実現に必要な組織能力を確保しやすいという点です。コロナの影響でテレワークなども恒常化した結果、不必要な業務などがあぶり出され、より柔軟な組織運営が要請されたこと、「同一労働同一賃金」のルール施行なども影響したものと思われます。

 ジョブ型では、戦略に必要な役割をジョブとして定義し、そこに必要な人材を獲得し、外部との競争優位性を高めて人材を引き留めかつ育成し、場合によっては雇用そのものを調整する。つまり人材の流動性を前提としたマネジメントなのです。それゆえ海外の我々にはなじみのある話となるわけです。

 解雇も辞さない厳しいマネジメントであるがゆえに、「ジョブ型にぬるま湯はない」などというコメントが日本内で見受けられますが、そうとも限りません。何をぬるま湯と言うのかという定義もありますが、海外の日系企業はメンバーシップ型マネジメントを運用して矛盾を生み出し、不必要な人材が現れても解雇出来ないなど、それがぬるま湯的となってしまっているケースは沢山あるでしょう。ジョブ型が必ずしも日系企業の課題解決をできるわけではありません。

 当地では、まずマーケットにならいジョブ型が前提です。その上で自社の組織戦略・組織課題を解決するためのものが人事制度です。そこではルールの変更だけでなく、日本本社・現地経営・現地マネジャー・スタッフそれぞれのマインドセット改革も必要になっていくでしょう。異文化マネジメントを経験してきた我々は、日本のジョブ型マネジメント変革へリーダーシップを発揮できますし、また発揮していくべきだと私は考えます

 


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講座「報連相をほどよくさせる達人」が好評につき再企画されています。その他の充実したコース内容は弊社までお問い合わせ下さい。

● 10月は香港、11月は中国で賃金調査が始まります。
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Vol.33「テレワークで評価されるにはどうすればいいでしょうか」
問い:テレワークではきちんと評価されるのか心配です。どうすればより高い評価を得られるようになりますか?

黒崎:この誌上相談会は主に管理者側からのご質問に対してお答えしてきましたが、前回の「賃下げ」同様に今回も部下側視点でのご質問に対し、管理者側向けを含めた内容でお答えしたいと思います。

 テレワーク時代では、より成果主義になると言われています。多くの方はそれを目標に対する数値的な結果そのものをイメージするようです。ご質問の方はまずこの「結果」を出すことに集中してください。何と言っても結果が出ていなければ評価が下がるのは事実です。

 しかしもう一つの評価対象である、行動・態度・姿勢・コンピテンシーといったものは、いわゆる「情意評価」「プロセス評価」項目として「結果」とは区別され、見えにくいものであることも確かです。本来我々の考える「パフォーマンス:成果」とはこれらの総合です。つまりプロセス+結果。行動という形で出したパフォーマンスも成果として評価する。状況やタイミングによっては未だ結果の出ない行動もあり、それを管理者が評価するかどうかという問題です。評価しないのであれば「結果主義」、プロセスも評価するのであれば「成果主義」とここでは定義しておきます。

 結果主義には弊害があります。例えば売りにくい新規商品などは結果が出にくいために敬遠されがちなこと、個人主義的となりチームワークがとりにくくなることなどが挙げられます。それゆえ多くの日系企業では望まれる行動もプロセス評価項目として取り入れているわけです。そのプロセスがテレワークでは見えにくいことが、ご質問者の心配につながるわけです。

 現在のように外的要因から結果が出にくいという場合、部下達の努力をどう評価するのか。ここでこのプロセス評価の重要性を感じます。しかしプロセスを評価しても、結果が伴わなければ昇給や賞与へ反映できないのでは、という管理者側からの質問があります。実際来期へ向けては昇給・賞与が凍結となる企業は増加すると考えられます。それだけでなく整理解雇も増えるでしょう。経営としては原資がない中で、努力にどう報いるのか。従業員側としては、どう経営に貢献し、それを評価してもらうのか。

 従業員の皆さんは、まず経営が目指していることが何かを確認してください。それはどんな時代であってもぶれない軸を持っているもの。すなわち経営の理念のはずです。そして最新の経営戦略をよく理解し、その上位目的に沿った自分の役割と目標を上司とじっくり話してください。その目標には数値などの業績目標と、具体的なアクションプランが含まれます。そしてそれら目標はできる限り短期あるいは小さく分けて設定してください。その一つ一つを着実に実行すると同時に報告・連絡・相談の頻度を増やすのです。オンラインでも報連相は可能です。上司はその報連相を見ることでプロセスを評価することができるのです。そして、それが今報われるかどうかは不明ですが、今この経済環境下でどんな行動をとったのかが、いずれ問われる時代がやってくることを覚悟しておいてください。

 管理者側も部下達の業績と行動の目標設定ができており、上記のような報連相があれば対面でなくても評価出来るという体制を作らねばなりません。テレワーク時代の三種の神器とは「オンライン会議・ビジネスチャット・スケジュール」であり、それらによって目視できない分をコミュニケーションで補う必要があります。1on1ミーティングなどを導入し、定期的に報告しフィードバックし合える環境を作ることも求められるでしょう。社内コミュニケーションをより効果的にするためにアナシスがご提供した「報連相研修」などを取り入れる企業もありました。

 さて昨今では社内の改革プロジェクトへのアサインメントをすることで、新しい業績目標あるいは行動評価として項目を立てるというケースが見られます。これは評価の対象となることと同時に、今後のビジョン達成へ向けて本当に必要な人材が誰なのかというアセスメントにもなっています。従業員の皆さんは、積極的に参加して存在価値を示す必要があるでしょう。そうしたプロジェクトは自分の市場価値を上げる経験となりますので、活用すべき機会です。

 原資がない中で従業員の努力に経営が報いるには、従業員達の能力向上機会などの非金銭的な報酬を含めた「トータルリワード」が問われることでしょう。コロナで組織も個人も変革を求められています。新しいビジョンの構築、そのビジョン実現とそのトータルリワードを考慮した人事制度の再構築などが、経営と従業員側の共通の危機感を持つことにつながるはずです。下半期がスタートする企業は、来期へ向けて新しいビジョンとプロジェクトの運営を今からスタートさせることをお薦めします

 


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● プロジェクトのサポートはご案内できる社数が限られます。
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Vol.32「賃下げはできるのでしょうか」
問い:経営が厳しい中で賃金を下げる話がありますが、合法なのでしょうか。

黒崎:この誌上相談会では、主に使用者側からのご質問に対して答えてきましたが、今回は労働者側の方々も理解しておく必要があるという観点でお答えしたいと思います。昨年からの香港の混乱や米中貿易摩擦、そして新型コロナの影響がなかなか収まらないなかで、かなり厳しい経営状況となっている企業も出てきています。その中で「コロナ賃下げ」なる言葉も春先からちらほら見かけます。その賃下げですが、結論から言えば香港でも中国でも労使の同意があれば賃下げも可能です。ですが、労使双方に注意が必要です。

そもそも賃下げは、経営悪化にともなう様々なコスト削減の中で、総額人件費削減のさらに具体的な手段の一つです。人員削減というコストダウンに至らせないために取る福利厚生費削減やその他のコストダウン策の中でも、賃下げは総額人件費削減策の最後のものとなるでしょう。大きな定義の中では、残業代削減や裁量賞与の減額・カットなども含まれますし、昨今見られる無給休暇等による調整も実質的な賃下げの一種です。しかしよく議論になるのは、基本給における賃下げです。

先ほど同意があれば賃下げも可能だと書きましたが、条件改悪なので当然困難が予想されます。中国労働契約法第35条には「使用者と労働者が協議一致の上、労働契約に定める内容を変更することができる」とあり、協議一致があれば賃金の引き下げが可能となります。香港でも賃下げそのものは違法でありません。しかし中国でも香港でもその合意が取りにくいこともあり、実質的な賃金の下方硬直性が起こっていたわけです。そしてそれが簡単な事ではないことにも留意してください。

これらを考えるときには、賃下げ前の企業姿勢がまず問われることに注意してください。営業努力、生産性の向上や原価削減、財務リストラ等の様々な経営努力があってさえなお、労働者側の大幅モラル低下を招きやすいのが賃下げです。納得はなかなか得られにくいものです。

ところが今年3月ごろには既に中国系企業に賃金カットのニュースが相次ぎました。そこでは結果としての業績連動給減額や一時帰休なども含まれていましたが、人員削減には慎重な姿勢ながらも素早い対応が目立ちました。香港でも、スタンダード・チャータード銀行の7月の調査では28%の人に収入の減少があったとのこと。香港の3分の1強の人達が、今後解雇や賃金カットがあるだろうと予測しているというものでした。先行き不透明な中で企業がどういう選択肢をとるのか。使用者側にその意思決定が求められる一方で、労働者側にも使用者側と共に状況を乗り切っていく姿勢が問われるのが今でしょう。

新型コロナの影響で在宅勤務を余儀なくされている人達もいます。緊急的なテレワークでは生産性は確実に落ちます。そうならないように仕事を工夫して組織へ貢献している人と、文句ばかりで成果を出せていない人とでは、後日明らかに評価に差が出るはずです。在宅勤務・自宅待機は「休み」ではありません。残念ながら解雇や賃下げのご相談が来る昨今のケースでは、自己中心的な判断と権利の主張ばかりをする方々へのものが多くなっていますが、それは自然なことでしょう。

現地では使用者側である事が多い駐在員の人達も、本社が大変な状況になることも考えられます。これまでよりも、レベルのより高いマネジメントが求められるとき、その足を引っ張る人へは厳しい評価をすることになるでしょう。

一方でこんな状況下でもなんとか成果を出し、評価の高い人達も沢山います。そんな人達はどこでも通用する人達。問題解決力とヒューマンスキルを、困難に直面して磨いている人達です。彼らはたとえ一時的に賃金が下がっても、いずれ復活できるはず。労使双方共にそんな機会として今を捉え、希望を失わない組織でありたいものです。

「共にウイルスと戦おう」というスローガンを香港の衛生署が掲げています。組織の仲間と共に、地域と共に戦う。乗り越える。経営と個人にとって、様々なことが問われています。そして使用者側・経営者側には、より深く広く早い判断が求められています。本当に必要なら、賃下げもやむなし。それは今の状況下でなくてもそうなのです。その賃下げは本当に必要なのでしょうか。

 


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人事労務のアナシスによる誌上相談会

Vol.31「新規赴任者へのアドバイスを」
問い
少し時期がずれて赴任してきました。当地のマネジメントにおいての注意点はありますか?

黒崎:私が新規赴任者向けの研修・セミナーなどをさせていただくときに、まず申し上げるのは一刻も早く「適応」のフェーズから「進化」のフェーズへ移っていただきたいということです。「適応」のフェーズとは、期待や役割等の与えられた出向ミッションを自分のビジョンに落として、一刻も早く現状を把握して現場の信頼を勝ち取る期間、「進化」のフェーズとは持続的成長に向けて、さらに経営発想で主体的に変革に取り組む期間としています。2、3年の赴任期間はあまりにも短く、いざ変革を志す「進化」のフェーズのときにはそれが終わっているなどということも多いのです。

 そして新型コロナを含め、当地香港華南を取り巻く環境も大きく変わり、拠点のポジショニングを再構築せよというミッションを持った方も多数いらっしゃるでしょう。その際に「適応」フェーズを長引かせることはできません。

 

「適応」フェーズのテーマは以下の5つです。

 

1.赴任ミッションと現状の把握

・ 与えられた赴任ミッションの把握。任期内でやりきれることの早期見極めと自分の言葉による目標の再設定。

・ その目標達成へのリソースの確認。お客様や取引先も含まれますが、特に自社の人的資源に関しては、前任から引き継いだ評価などのみならず、いち早く部下の状況を把握し、目標達成へむけて日常業務に活かしていく必要があります。モチベーション・能力・職務適性、そして個々の賃金の妥当性などを把握したいものです。

 

2.必要な現地労働法規と自社ルールの確認

・ 中国においては労働法・労働契約法の最低限の理解。労働契約・無固定・残業ルールなどの定義などを、一通り学んでおくことをお勧めします。香港では雇用条例を中心として、差別条例など雇用関連条例の把握。やってはいけないことをまず知っておきます。

・ ここでの詳述は避けますが、解雇・賃下げ・降格など労働条件の改悪に関することは、人事や専門家との事前相談を必ず行って下さい。

・ 自社の就業規則の理解。赴任者自らがコンプライアンス違反とならないために、それ以外の最低限のルールも把握しておく。

 

3.地域の人事労務上の課題と自社の比較。現地相場の把握

・ 現地の他の企業が直面している課題を把握。自社のそれと相対化することで、課題の優先順位を認識する。

・ 現地での給与相場、福利厚生、採用環境等の把握。若手人材の流動性が高いことなども理解しておく。

・ 賃金相場に関しては、人材紹介会社や転職サイトの賃金情報を参考にしながら、まずは自社の人材の賃金とその職務をしっかりと把握しておく。

 

4.異文化への適応と発展

・ 当地が日本とは違う文化であることを改めて認識する。いち早く適応していくための知識を得て受け止める・理解する。日本をいつも持ち込む「日本出羽守(にほんではのかみ)」にならないように気をつける。一方で違いにばかり目を向けないことも重要。マネジメントの本質的な部分に大きな差はありません。

 

5.信頼関係の構築

 最後は従業員達や取引先との信頼関係の構築です。そして重要なのは本社との信頼関係や上を動かす力。社内政治力も高めなければ、やりたいことは出来ないのが現地マネジメントになります。1に戻りますが、赴任ミッションを上司とよくすりあわせてください。

 部下は上司を3日で見極め、上司は部下の理解に3ヶ月も1年もかかると言われます。赴任最初の3ヶ月がまず勝負と言っておりますが、それは上記のような5つのポイントを押さえた上で、自分のマネジメントの原理原則を部下達に伝え、理解してもらうファーストステップがその時期だと考えるからです。赴任時は全スタッフと話す良い機会となります。とりわけ今の香港などではセンシティブな話題も多く、1on1ミーティングを習慣化させて現状を把握していくことが重要となると思います。

 

 最後になりますが、赴任者にしていただきたくないことの筆頭は単なる「先送り」です。今と未来の組織のために、この時期を大切にして未来へ準備して下さい。赴任者向けのセミナーを、弊社や商工会議所が開いていますのでご参加をお勧めします。

 


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人事労務のアナシスによる誌上相談会

Vol.30「危機感を醸成したいのだが…」
問い
新型コロナも落ち着きつつありますが、第2波も気になるところ。経済の先行きも見えず、経営的にも厳しい状況だと思うのですが、今ひとつ従業員に危機感を感じられません。どうすればいいでしょう。

黒崎:他のところにも書かせていただいたのですが、「どうしたら危機感を伝えられるのか」というご質問はよくいただきます。「危機感」という言葉はその「伝える」よりも「醸成」するという言葉が良く共に使われ、今回もタイトルにはそれを使わせていただきました。

 本当の危機に陥ってから危機感をあおる人を経営者とは言いません。名経営者はうまくいっている時こそ危機意識を共有しているものです。一方で現在のような環境の中でも、本来なら自分から持つべき危機意識を持たない管理職などが会社に存在してしまうことも現実としてよくあります。背景はいろいろあるでしょうが、当地では「沈む船なら乗り換えろ」が生き抜くための術のようにも思えます。もう一つ、「自分は大丈夫」という「自己正当化バイアス」がある場合です。そこへ経営がへたに危機感をあおるメッセージを出して不安を増殖すれば、一刻も早く乗り換えねばという思考が生まれるリスクもあるわけです。

 そもそも以前から、また昨年からの香港の動きや新型コロナへの対応で、香港・華南の企業は世界の中でのポジショニングの再考を迫られてきました。本社でさえ当地からの縮小や撤退などを水面下で検討しているケースもあるのであれば、現場のリーダーはどんなメッセージを伝えればいいのでしょうか。

 自分だけは大丈夫だろうという根拠のない思い込みも、危機感の醸成にはマイナスです。新型コロナが発生した頃も危機意識にはずいぶんと温度差がありました。身近なところに影響が出始め、「自分ゴト」になっていくプロセスが危機感の醸成には必要なのです。その醸成には「徹底的・客観的な現状把握」と「その状態が継続していくことの未来へのインパクトの認識」が必要です。その二つが現状を変革していく「必要性」を腹落ちさせることになります。現状把握としては、経営は様々な情報開示と従業員との対話を実行していく必要があるでしょう。利益などの数値の社内での公開も、この際考え直しておくべきだと思います。現地法人としては、人件費の考え方が売上・利益の中でどう位置づけられ、賃金・賞与はどういう基準で支給しているのかという原理原則が問われてくるでしょう。ここをトップが理解せずに経営状況を話しても、納得してもらえる情報開示にはなりません。すべて透明化せよという話ではなく、どこまで話すか、そしてその論理の組み立てをしておくべきであるということです。

 「現状把握」と「未来へのインパクトの認識」という二つのプロセスは必要なものの、それでも企業が乗り続けるべき船として認識してもらえないのであれば、ただ危機感をあおることと一緒です。私は危機感を伝えることよりも大事なものがあるのだと考えます。それはまず従業員達が何を大切にして働いているのか、そのモチベーションの源泉は何なのかを経営側が認識していくこと。それは賃金だけではないはずです。これだけ先が見えない中で、一緒に働いてくれる従業員達がどんな不安を抱え、どんなことに意味を見いだしているのか。その源泉が分かれば、変革への勇気やパワーとなる可能性があるからです。

 危機感とは結局変化を生み出すためのもの。変化には希望と勇気と能力が必要であり、それらを発揮してもらうための環境創造を経営が仕掛けることです。そしてその勇気ある行動や能力の発揮に応えるのは日常の承認と評価です。その結果としての賃金・賞与・昇格といった金銭的報酬とともに、危機を共に乗り越えるという生涯の経験にもなる非金銭的報酬を与えることができます。そこへ経営のメッセージを込めるわけです。

 見えない未来に現場ができることは、理念実現の為にやれることをこつこつとやり抜くことと、現場のイノベーションに挑戦することではないでしょうか。それゆえ理念やビジョン、自分たちの仕事の意義を再度語っていくことが、危機感よりも重要だと考えています。乗りこみたい船となるようなビジョンまでは創れなくとも、この時代を共に生きる高揚感を前向きに伝えていくのはいかがでしょうか。

 


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Vol.29「アフターコロナのマネジメントは?」
問い
香港も中国も少しコロナの影響が落ち着いてきています(5月12日現在)。アフターコロナのマネジメントにおける注意点はどんなものがありますか?

黒崎:この記事がでるころにはまた状況が変化しているのでしょうね。出版物ですとタイムラグがあるのが怖いのですが、第2波3波にも備えなければならないものの、「アフターコロナ」という局面は必ずやってきます。「Withコロナ」となって行くかも知れませんが。

 さてまず、感染症対策の基本方針は「失ってはならないこと・ものは何か」という視点から、「安全性の確保」と「経営の継続性」であったと考えます。そこにもう一つ「社会的責任」というテーマもありました。この三つのポイントはアフターコロナにおいても変わりません。いつまたぶり返すか分からず、引き続きの抜かりない「安全確保」対策は必要です。しかし臨時の対応としてきた在宅勤務やシフト勤務などは、多くの企業で通常に戻っていると思います。ここで気をつけなければならないのは、人によって不安や恐怖感が違うことです。適度なメンタルケアの必要性があり、経営からのそれらメッセージには十分な注意がいるのです。またここで経験したテレワークなどは、リスクマネジメントを再考する中では一時的なものから本格稼働を検討することになっていくのが流れです。コロナ対応で、デジタルトランスフォーメーション(DX)は加速していくでしょう。クラウドシフトなど、現地経営でもアフターコロナを見据えたインフラの整備も組織体制も再考していくことになります。

 この「収束期」により重要なテーマとなるのが「経営の継続性」です。リーマンショックを超えるインパクトがあるかも知れないとされる中、コロナ不況・コロナ倒産・コロナ失業などの言葉が歩き始めています。大きなダメージを受けた後にどういち早く復活していくのか。「レジリエンス」という言葉もキーワード化していますが、継続性担保のためには売上を確保し、コストを削減してキャッシュフローをよくしていくことが求められます。政府の支援策・補助金なども有効活用しながら、経営資源の確保と再配分の方法を考えること。現地従業員達は先行きに不安を感じていることが少なくありません。会社はこの先大丈夫なのか。自分たちは解雇されないのだろうか。さらに香港の多くの日系現地法人は、香港の位置づけを再考せよというテーマが与えられています。現地従業員たちもそれを感じ始めているのです。華南もそうなるでしょう。ここでも経営からのメッセージ、あるいはアフターコロナへのビジョンが必要となるでしょう。

 コロナ以前に完全に戻ることはありません。今後現地経営に間違いなく起こってくることは、中期経営計画の見直し・今期予算の見直し・リスクマネジメントの見直し。それらから、ビジネスモデルの見直しと人員体制の見直しなどが挙がってくるはずです。今期立てたMBOでの目標設定は、もうずれ始めています。目標も基準も決まっていない中でマネジメントができるのでしょうか。

 「そんなことを言っても本社も何も方向性を出せていない」という声があるでしょう。グローバルサプライチェーンはどうなっていくのか。抗議活動が復活するとしたら、香港はどうなるのか…。

 出来ることに集中するしかありません。まずこれから必要とされる組織・人材を検討してください。現地従業員に求められること。現地経営層や駐在員に求められること。アフターコロナでは、よりマネジメント能力が求められていきます。テレワークでは、成果目標を部下と握れていないマネジャーは評価ができませんでした。現地に有能なマネジャーがいない組織は、うまくいっていませんでした。言われたことだけをする人材は不要だというマネジャーは多いのですが、マネジャー自身が新しい価値を創造できず、経営課題の先送りをしていたケースも少なくはありませんでした。またテレワークでは言語力・表現力・アウトプットの量も要求されました。コミュニケーション力もより一段高いレベルが必要になるでしょう。

 かくして、テレワークという新しい働き方にも対応し、スタッフのメンタルもケアし、しかも複数拠点を束ねられ、新しい価値を創造できるマネジャーが評価されていくことになるのだと考えます。「先送り」はできなくなりますね。

 


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Vol.28「オンライン評価面談を「受ける側」の注意は?」
問い
マネジメント側でなく、部下側としての質問です。在宅勤務で一般化しましたがオンラインでの上司との面談のこつ、特に評価面談などを教えてください。

黒崎:これまでマネジメント側のご相談を受けてきましたが、確かに現地駐在の方々も日本に上司がいて評価される側でもあり、上司・部下という二つの視点でこのオンラインの1対1の面談を考えてみたいと思います(オンライン会議ではなく、面談という意味で)。新型コロナの影響がなくても、多数の拠点を束ねている経営者の方は、これまでもオンラインによる個別面談は活用されてきたと思います。かくいう私も中国・香港・台湾の12拠点を担当しているときは、すべてを直接回れずにオンラインでやっておりました。その経験から言えば、この手のミーティングのうまい下手も、評価には少なからず影響すると思います。なにしろ常に一緒にはいられない上司です。各拠点長とのオンライン面談と経営データはかなり重要な要素になります。

 「優秀だな」と思った人は、面談の事前準備もよくできています。それは日常のホウレンソウから始まっていました。特に中間報告がしっかりしています。そういうアウトプットの絶対量が、まずはできない部下との大きな差となっていました。その上で、そのオンライン面談のアジェンダや資料が事前に用意されて予め送ってきてあること、その資料も読み込めないほどの大量なものなどではなく適度にまとまっているものでした。相当な時間をかけたと思わせる資料は、ダメなときには逆効果。上司としては「余計なことに時間を使うならお客様へ使うべき」と思う人も少なくないものです。

 さて、そんなことを誌面では足りませんがまとめてみました。

 

● オンライン面談のヒント

 1. ITリテラシーを高めておく
・ 複数のオンライン会議を使えるようにしておく
・ 上司のITリテラシーを知っておく。教えられるぐらいにはなりたい
・ カメラは目の高さに。うまく使えるヘッドホンセットの事前確認 ほか

 

2. 事前準備を万端に
・ アジェンダと資料の事前送付
・ どうしても伝えたいことのリストアップ
・ 上司より先にオンライン
・ 部屋の確保、背景やライトなど
・ 紙とペン(タイピングの音が気になる人も) ほか

 

3. コミュニケーション力高く
・ 説明スキル高く、結論・理由・具体例・ポイントのCREPの順番で・オンラインでの資料共有を上手に。ページやどこを話しているかを指し示す

・ 会話編

 ・ 語尾をはっきり、自信を持って発言
 ・ 相づちは声で
 ・ 聞こえていない場合ははっきり確認
 ・ 相手にかぶせて話をしない
 ・ 最後はまとめる。まとめてメールすれば尚可

・ 雑談をいれられるように
 在宅勤務が増えて、この雑談が減っています。日頃の上司とのメール・チャットの中に、「余談ですが」と雑談を入れられるようにしておくのも手。雑談の中に人間関係構築やビジネスの芽を見つけられることもあります。逆に上司側の方は、脱線しすぎない程度に部下に雑談をさせる余裕を。

 

 さて、人事評価面談の場合はどうかというご質問でした。本来、人事評価のフィードバック面談はオンラインはお薦めしていません。部下側としてもフェイストゥフェイスで話したい内容でしょう。どうしてもという場合、通常の評価面談と同じく、評価を受ける側としての準備が重要です。それは自己評価の正当性を示す事実と論理の準備。事実でしか評価への説明はできません。そして本来の自分のミッションとそれを実現させるための未来への展望の具体策を準備しておくこと。

 しかしながら多くの評価フィードバック面談では結論は決まっています。それをひっくり返すことは、人事制度や経営層決定までも否定することになるので、なかなか難しいのです。それでも評価のポイントを確認し、何をすれば評価が上がるのかの念を押しておきましょう。そして自分の成果のうち、認めてもらうべきものは事実をもって説明しておきましょう。上司は結論は変えなくとも、客観的に理解できうることであれば負い目を持って次の評価期間を迎えることにもなるでしょう。ですので諦めず、未来・肯定・目的志向で、明るく将来を語ってください。

 新型コロナの影響で、厳しくなる環境かと思います。皆さん、一緒に乗り切っていきましょう。

 

 


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Vol.27「在宅勤務の効果的な運用方法は?」
問い
新型肺炎への対応で始めた在宅勤務を本格的に検討しています。効果的な運用方法を教えて下さい。

黒崎:まず、今回の新型肺炎で「自宅待機」と「在宅勤務」が混同されているケースもあることに注意です。「自宅待機」とは文字通り出勤せずに「待機」し、危険を回避することですが、これを休みと混同してしまう従業員も存在します。先日香港の某銀行の若手従業員が在宅勤務中にハイキングに繰り出して厳重注意された報道がありました。職務に対するプロ意識、成熟度の問題かもしれません。そうした在宅勤務の準備ができている人材と制度上の準備の双方が本格稼働には必要となります。対象者・期間・労働時間・残業・労災・通信費コストの取り決めなどなど、労務的に取り決めておいた方が良いことが沢山あります。情報セキュリティルールの再設定なども課題です。こうした基本となるルールの整備がまず効果を出す前の前提となるでしょう。一時的な在宅勤務であっても、基本は決めておくことをお勧めします。既に「不公平だ」などという不平不満が出て、善意で設定した在宅勤務を取りやめるなどのケースも出ています。

 さて、在宅勤務を実行するときに出てくる上司側が感じる課題は(1)手を抜く人がでるのではないか(2)労働時間の把握が難しい(3)生産性が落ちる(4)見ていないので評価できない(5)セキュリティ問題、などが挙がっています。

 一つ目は信頼関係です。在宅勤務で手を抜く人は、いつも手を抜いています。在宅勤務だからではないのです。しかしマネジメントの基本は信頼すること。まずは部下を信頼することになるでしょう。二つ目は労働時間の管理です。これは賃金が労働時間に対して支給されているのかどうかを考え直す良い機会だと思います。在宅勤務をすると公私の区別がつきにくくなります。自己管理が出来てない人は生産性が落ちるかもしれません。しかし本来の在宅勤務の目的は、通勤時間が取られないこと、家族への対応も可能で勤務の柔軟性が担保できること、集中することで得られる定型業務や創造的業務の生産性の向上など、非常に前向きなものがあります。そしてその目的のひとつにBCPとして事業の継続性を担保させることもあるわけです。「見てないから評価できない」というのは、上司側に問題があるといえます。もともと見るべきことを見ていないのです。ここでは明確な成果目標を共有していないこととそのプロセスにおけるコミュニケーション不足が課題です。ただし過度な成果主義に走ると組織として違う問題も発生してきますので、成果の中身として「結果」と「プロセス」のバランスをよく検討しておくことが必要になります。本来の評価制度はそこを考慮してあるはずなので、在宅だろうと出社だろうと、評価項目を変えることなく運用できるものなのです。

 では、まだ成熟度が低いと思われる人材は在宅勤務をさせられないのでしょうか。正直なところ、できない人材はどこでも生産性をあげられません。今回、従業員の存在価値がはっきりしてしまう機会となると予測しています。それでもそうした人材にも在宅勤務をアサインしなければならないのであれば、(1)短期間の成果目標を明確に設定する(2)業務開始をはっきり分かってもらうための朝ミーティングを実施する(3)アウトプットしていないと上司にも仲間にも認められにくい事や在宅勤務のコツなどを教育する(4)上司のオンラインミーティングの運営力をあげる(5)Slackなどのビジネスチャットを活用する、などなどを検討しておくことをお勧めします。

 さらに香港・華南の若手従業員の「在宅」環境が、勤務には適していないケースが多いことにも注意です。ワンルームでパートナーと暮らしているなどの場合、双方在宅ならオンライン会議は同居人に筒抜けとなります。

 最後に従業員にシェアすべき、在宅勤務のTipsをピックアップしてみます。それは(1)集中できる環境を作る(2)目標を明確にする(3)上司・同僚とのコミュニケーションを増やす、といった大きく三つのテーマがあります。例えば「きちんと着替えて勤務を始める」とか「始業時間のミーティングを入れる」、「家族の理解を得る」などなど、あげればキリがなく、最近はウェブ上にも様々なヒントが出ていますので参考にするとよいでしょう。

 しかし在宅を含むテレワーク成功の最大のポイントは上司側です。上司側のテレワーク・リテラシーを向上させること。従業員を尊重し、より働きやすい環境を作ること。在宅勤務を始めることは、マネジメントそのものを見直す事に繋がると考えます。

 


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4月以降については随時広報いたします。在宅勤務のコツも入った「タイムマネジメント講座(広東語)」、多数の方が受講してきた「新規赴任者向け講座」など、充実したコース内容は弊社までお問い合わせ下さい。

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Vol.26「新型肺炎対応と経営の継続性を両立させるには?」
問い
新型肺炎への対応で困っています。従業員が不安で在宅勤務したいとか自宅待機とか、強制隔離になった場合はどうしようとか、もろもろ判断に迷います。一方、現地経営そのものをどうやって継続させるのかが現在の課題です。何か軸になるような考え方はありますか?

黒崎:この記事が出るころにはまた状況が変わっていると思うので、新型肺炎への対応は最新情報を常に確認することが必要です。中国・香港当局の示す法令やガイドラインをよく見て、そして自社の人的・物的資源を見て経営判断をしていくことになります。

 さて、そのうえで基本となる考え方を述べたいと思います。従業員及び関係者の安全確保がまず第一であることに異議はないと思います。しかしながら、「よく分からない」「怖い」などという状態からの「不安」に全て対応していては、経営が成り立ちません。小売業などの対面販売では、お客様がいなくても出勤させなければならず、製造業では操業開始がしたくてもできないことがあるなどという、経営には非常に厳しい状況です。いたるところでお話している内容ですが、基本となる考え方は「人命の尊重・経営の継続性確保・社会的責任」の3つのテーマです。それらを総合的に判断の上、継続するべき業務を絞ることが事業継続性へのキーとなります。その重要業務の継続に人的・物的資源を集中させ、その他の業務を一次的に縮小・休止することによって、従業員と訪問者・顧客の感染リスクを低減することになります。

 実際、既に業務縮小のために無給休暇をはじめとする様々な労務コストの削減を検討されているところもあります。キャセイ航空は希望する従業員に3週間の無給休暇取得を認める無給休暇取得計画を発表しました。大幅な人員削減を発表した企業もあります。運輸、そして大打撃を受けている小売業などでは、先の見えない現在、さらなる人員整理も進むかも知れません。その一方で4月に賃金改定を実施する企業が多くあります。景気が回復してきた時の為に必要な人員のリテンションには、一部選ばれた人材への昇給も検討することになるでしょう。人事労務的には非常時の出退勤対応へのルールを整えたら、次はそうした賃金改定の検討になります。香港はこの記事が掲載される228日締切で賃金調査を実施していますので、間に合えばぜひ弊社調査にご協力ください。最新の賃金改定動向が入手できます。新型肺炎の影響の有無もその質問にいれていますが、影響があるかどうかは業種業態と個別の経営状況によることになるでしょう。

 

 さて、ご質問にあった「経営の継続性の確保」としては、以下の項目がチェックポイントになります。

・ 顧客への継続的な価値提供
・ サプライチェーン全体の事前調整と関係会社との協力体制の構築
・ 財務・経理業務、賃金の支払い等の継続性確保
・ 重要業務遂行のためのビジネスインフラ整備(人事・
ITシステム・施設管理等)
・ 在宅勤務の整備(賃金・時間ルールの設定や対応する職務その他)
・ 長期化したり、従業員が万が一感染したときの代替策の準備・人員計画
・ 社内外のコミュニケーション回路整備 など

 

 経営を継続させるために最も重要な事は何か。その遂行のための最低限のインフラは何か。それらを担う人材は誰か。万が一感染者が出た場合でも、業務が継続できるようにするためには、どうすればいいのか。それらについての思考を通しておくことが肝要です。

 業種・地域によって多いに違いがあります。また香港の位置づけをどう考えるかというご相談も多くいただいています。経営そのものを見直すということです。当地で事業を継続することそのものが問われてきているという現在、より大局的な視点と現場の視点を併せ持つことが重要になるでしょう。

 

 ドラッカーの有名な5つの質問があります。

1.我々のミッションは何か
2.我々のお客様は誰か
3.お客様にとっての価値は何か
4.我々にとっての成果は何か
5.我々の計画は何か

 原点はここに戻ると思います。

 

 「我々の事業は何か」を問い、その問いに対する答えを考え、明確にすることによって成功がもたらされている。byピーター・ドラッカー

 連帯して、この危機を是非乗り切りましょう。

 


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人事労務のアナシスによる誌上相談会

Vol.25「メリハリのある昇給にしたいのですが」
問い:不公平さを感じるので、昇給にもっとメリハリをつけたいのです。どれくらい差をつけるとモチベーションアップになりますか?

黒崎:貢献度が高い人へより報いたい。経営側としては当然の思いだと思います。しかしどれだけ差がつけばモチベートされるかというのは、一概には言えません。ここでは賃金のメリハリを「業績を上げていて今後も期待できる従業員に高い賃金を支払う一方で、あまり貢献しないあるいは今後の期待度が低い従業員には昇給や賞与を抑えて、明確な賃金の差をつけること」と定義します。「やってもやらなくても一緒」を避けるためですね。

 しかしメリハリがあることが有効なときとそうでないケースがあります。例えば「業績が良かった」「会社への貢献度が高い」人材たちは当然差のある賃上げ率を求めるでしょうから、こうした人材には有効でしょう。しかし納得できる高さの賃上げ率ならばいいのですが、結果として転職したときの賃上げ率よりも低くなるケースも多く、実はあまりモチベーションアップには繋がっていない事もあるのです。やる気が上がっても瞬間で終わる可能性もあります。ひとつ言えるのは「評価されている」という有能感や承認欲求を満たすことは出来得ると言うことです。業績は賃金よりも賞与に連動させた方が効果的でしょう。

 また「行動評価の悪い人材」にも有効と思われます。行動・態度の変容を促すことになり得るからです。あるいは自主的に離職を考える要因にもなるでしょう。一方、有効とは思われない人達もいます。外部環境要因等で業績が悪い場合などは賃上げ率の低さでモチベーションが下がり、逆効果となるケースもあります。辞めてもらってもいいケースならば別ですが、賃金は内部格差の妥当性と外部競争優位性の双方で納得を呼ぶものですので、リテンションには大きく影響します。賃金がレンジの天井となっていてそもそも賃上げも期待できない人などは、結果として「何をしても一緒」となってしまいます。普通なら辞めてしまうかも知れませんが、会社にしがみつく人も実際には存在します。賃下げなどの不利益変更や契約の解除は、出来ないわけではありませんが慎重な対応が要求されます。

 「メリハリ」をより有効にするには、過去評価の結果だけでなく現在評価や未来の可能性評価などを含めた市場価値による賃金を検討せざるを得ないのではと思われます。人事評価は原則過去の評価です。ある一定の期間の中での成果(業績や行動)あるいは能力など各社が定めた評価項目によって決められるものです。先述したように賃金は外部競争優位性でも決まってきますが、それは過去評価ではなく現在評価なのです。だからといって市場賃金に合わせるように過去評価を変えることは「逆算評価」となって、評価としての論理が合わなくなります。

 それゆえ、「評価=賃金改定」とならないようなマネジメントをする必要があります。評価の目的には処遇の決定だけでなく、人材育成や目標達成のための日々の軌道修正というものがあるのです。

 その他にも、職務とチームによってはメリハリをつけない方がよいケースもあり、単にメリハリをつければうまくいくというわけではないのです。それでも能力の高い人材・貢献度の高い人材へのリテンションにある程度のメリハリは必要です。組織目的と現状分析の上で導入が必要です。日系企業では、標準の評価を1とすると、最高評価でもその1.5倍から2倍程度の賃上げ率の差となるケースが多いようです。標準が3%なら良くても6%ということです。それでモチベーションはあがるでしょうか。昇格させてもっと給与をあげないとリテンションできないかもしれませんね。

 

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人事労務のアナシスによる誌上相談会

 Vol.24「できれば賃金上昇を抑えたいのですが賃金調査結果は高すぎませんか?」
問い:業績も厳しく賃金上昇を抑えたいと考えています。聞こえてくる賃上げ率が高すぎる気がするのですが。

黒崎:賃金改定の時期が来ています。弊社を含めて各種団体や大企業・官庁などが賃上げ率を発表してます。そのデータをどう見るか・使うかということと、賃金上昇を抑えるということを分けて考えたいと思います。
まず賃上げ率は「平均値」で語られますので注意してください。これがまず誤解の一つ。確かに例年の賃上げ率推移をみれば、ほとんどは景気や消費者物価指数とこの平均値が連動していることは分かります。しかし、平均値にはマジックがあります。例えば100社が賃上げを5%と答え、他の100社が1%と答えても、かなりの差があるのに平均賃上げ率は3%となります。自社がその調査結果分布の中のどの位置にいるのかということを確認することが重要です。そのポジショニングへの意図と意志は、今年の賃上げの従業員へのメッセージになります。高く払える企業はその3%より高いと言えますし、払えない企業は調査分布のなかでは最低水準の1%よりは良いということになるでしょう。
さて、高いか低いかは主観で決まるものです。何と比べて高いのか。多くは「思っていたよりも高い」という自分の想定値との差となるでしょう。しかしそれは企業業績によっても差が出ている事と、調査時期の問題もあります。早い時期の調査であればあるほど、昨年予算と同等という答えをしやすく、直近10月でさえ、多くの企業はまだ本決まりの数値ではなかったはずです。するとどうしても過去データが参照され、「昨年同等」あるいは「それよりもやや低め」ぐらいの回答が集められている可能性が高いと考えています。景気停滞や後退期には、調査が進んで実際の支給時期に近づけば近づくほど数値は下がっていきます。今年はその傾向にあるでしょう。これらの意味で、現在の数値をやや高めだと主観的に感じることを間違っているとは思いません。
ただやはり企業格差はかなりあります。中には香港でも5%や6%という会社もあります。さらにその年の業績だけでなく、企業ごとにここ数年の賃上げ推移は違い、昨年まで抑えてきたので今年は上げるというような企業もあります。さらに職種による差も生まれます。何が影響するかといえば、マーケットプライスとリテンションの重要度です。どれだけ引き留めたいのか。それが絶対命題となれば、昇格を含めて高く払わざるを得ず、業績とは別に企業全体の賃上げ率は高くなるわけです。
さて、一方の賃金上昇を抑えたいというのは目的によって対応が変わってきます。確かに無駄な賃金上昇は抑えなければなりません。中国も低い労働コストという役割を終えつつあり、払う賃金に見合った生産性が望まれています。今年は厳しいので賃金を抑えなければならないのか、未来永劫賃金を抑えなければならないのか。抑えることで何を生もうとしているのか。全体は抑えても、必要な人材には相応の待遇を与えられているのか。そもそも何に対して賃金を支払っているのか。この問題には、賃金に対する会社のポリシー、哲学が必要になるでしょう。
私は昨今「払い甲斐のある賃金を」というコンセプトをお話しさせていただいています。人件費はコストではなく投資の対象だと思います。経営が厳しい中でも、「賃金を抑える」という発想より、払い甲斐のある賃金とそのリターンを得られる仕組みと仕掛けを考えたいものです。

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【費用】無料(一般公開)

※中国も各種講座がございます。お問い合わせ・書籍ご購入お申込み等はアナシス香港の牧野までご連絡ください。(hkinfo@anaxis-asia.com)


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Vol.23「評価者訓練は必要ですか?」
問い:年度末が近づき評価の時期です。毎年「不公平だ」とか「部門間によって差がありすぎる」とかの不満があります。マネジャーには評価スキルを向上してもらいたいのですが、評価者の訓練はどうすればいいでしょうか?研修が必要ですか?

 

黒崎:マネジャーに対する評価者訓練は必要です。ただし、外部に丸投げするのではなく、自社でしっかり取り組んで行く必要があります。組織の規模や課題によってもその手法は異なってきますが、その目的は以下の5つです。
【評価者トレーニングの目的】

①自社の評価の仕組みや考え方、処遇への反映方法を理解する
②演習を通して、実践で活かせるようなその組織にとっての論理思考を身につける
③評価者が陥りやすいエラーを避けて、不信を招かないようにする
④フィードバック面談スキルを磨く
⑤マネジメント能力を磨く
これらの目的にそったプログラムが必要になります。
 これまで数々の評価者研修を請負ってきましたが、マネジャー達が評価テクニックだけをいくら学んでも、組織課題の解決にはならないことをまずお伝えしたいと思います。評価は管理能力の全てが問われるもの。日常の部下とのコミュニケーションのあり方、目標設定の仕方、仕事の割当て方、部下育成のあり方、面談・コーチングのスキル等々、ありとあらゆるマネジメントの集大成がそこで問われます。ですので、本来は自社の評価制度に合わせたケーススタディを議論するだけでは、なかなかその目的を達成できないものなのです。
 それゆえ、マネジメントの原則を学びなおし、その上で評価においてその原則を発揮してきたかどうかを問い直す場となるのが評価者訓練です。マネジメントとは何かについての理解のない人を、そもそも評価者に位置付けてはなりません。
 現地マネジャーだけの評価者訓練を要望するトップがいらっしゃいます。そのトップが考える評価基準が重要になりますから、丸投げをしてはいけません。事前の打ち合わせが非常にポイントとなり、ケーススタディなどへは自分のポリシーにそった妥当解を出す必要性があります。そしてその論理の「厳しさ」と、現実の自分の評価に私情が交じっていないかなども検討しておく必要があります。部下達はその組織のトップの方向性に導かれるはずなのです。
 当地の部下達が上司に期待するのは、評価よりも賃上げや賞与といった金銭的報酬かもしれません。しかし評価の目的は処遇の決定だけではありません。金銭的報酬の原資が限られる中、評価を通して部下の能力を開発し、またより良い業績が上げられるように軌道修正して目標を達成させるという第2第3の評価目的も非常に重要です。
 自社の評価制度をしっかり理解し、それを日常のなかで率先垂範し、実践させるのがマネジャーです。評価はマネジャー自身の能力開発そのもの。それゆえ評価会議そのものがマネジャー育成となるのです。私は最近その評価会議のファシリテーションをさせていただくようになりました。そのままマネジメント研修となるからです。評価面談を多数実施してきた経営者やコンサルタントなら、そうした会議をリードしていけるでしょう。トップのビジョンや経営への覚悟がそこに活かされます。

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●  香港賃金調査実施中です。詳しくは弊社までご連絡ください。

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12月開催は満席です。最新講座日程は弊社までお問い合わせください。最新の弊社香港賃金調査やCP(I消費者物価指数)・失業率など
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【日時】12月20日(金):16:30-18:00
【定員】10名

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【日時】12月18日(水):16:30-18:00 
【講師】牧野祥子 アナシス香港董事総経理 
【費用】無料(一般公開)

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Vol.22「来年の予算作成上で賃金改定率を考えたいのですが」
問い:2020年の賃金調査が始まっています。来期予算策定時期にも来ていますが、この時期に各社はどうやって来期賃金改定率を決めているのでしょう。

黒崎:昨年のこの時期とは大部状況が違いますが、昨年同様にお答えしたいと思います。この時期の賃金調査はあくまでも予測を集めています。ある意味まだまだ「いい加減」な数値だということです。しかし予算作成上は、来期の人件費を何%アップさせるかを検討し、その予算に組み込むことになります。その直観に近い数値が「思惑」として集められるのがこの時期なのです。こうした調査は、年末や年明けに実施されます。景気や求人動向などでもその数値が時期内でも変化していきます。

 直観とはいいながらも、5つの要素が考えられます。(1)過去の賃金改定率実績(2)GDP・CPI・失業率などの各種マーケットデータ(3)求人環境とマーケットプライス(4)自社の業績予測(5)組織戦略の5つです。これに(6)現地の賃金改定情報が入れば、賃金改定をさらに深く検討できるわけです。

 通常の予算作成時では、多くの企業は「今年並み」とまず数値を置くでしょう。今年の賃上げ率実績をそのまま予算に入れてしまうということが、実際には行われてきているようです。しかし今年は中国も香港もかなりの環境の変化があり、各社予測が難しいところになると思われます。それでも「賃上げ実績」は従業員が期待するベースになるものでもあり、まずはそれまでの賃金改定実績の歴史をしっかり確認する必要があります。もし、マーケットの上昇率と自社の上昇率推移との差があれば、それは蓄積されると結果として従業員給与のマーケットとの乖離を引き起こすことになるからです。

 混乱の香港のGDPは第1Q・第2Qも0.6%とかなり厳しく、来期予想もかなりの厳しい予測となるでしょうが、CPIは逆に現在3.5%アップと昨年より高くなってきていることに注意が必要です。中国は米中貿易摩擦の影響をどこまで予測するか。業界によって随分受け止め方に差を感じます。

 そして最も大きいものは自社の業績予測でしょう。今年度の着地がプラスかどうか。そして賃上げが直接影響する来期業績予測。そこが強気か弱気かで、過去改定率に対してプラスするかどうかが「直感的に」決まります。香港では今年はムードとしての「凍結」が、久々に出てくるかもしれません。

 さらに組織戦略を加えて、上記の5つの決定要素が予算策定時には使われます。そしてさらに現地の賃金調査結果などで他社と比較したうえで、賃金改定率を決定していきます。

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●  香港賃金調査実施中です。
ご協力いただいた企業様には、賃金改定率予測・賃金レンジのレポートが配布されます。詳しくは弊社までご連絡ください。

●【今季NEW】香港賃金改定講座(90分)日本語・広東語
最新の弊社香港賃金調査やCPI(I消費者物価指数)・失業率など政府統計データの情報を交え、香港における賃金改定の考え方・実施方法などをお話いたします。
【日時】日本語:12月12日(木):16:30-18:00(90分)
広東語:12月19日(木):16:00-17:00(60分)
(期間限定ですが、その後の日程は随時ご案内いたします)
【定員】各10名
【費用】HK$800/名(アナシス香港ご契約企業様:無料)

●【今季New】講座「評価の達人」(90分)<香港> 
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【日時】11月21日(木):16:30-18:00
【定員】10名

【費用】HK$800/名(アナシス香港ご契約企業様:無料)

●「雇用条例ガイドブック」解説講座(90分)<香港>
日本人商工会議所で配布されている「雇用条例ガイドブック」の解説講座です。香港の各種雇用関連条例のポイントおよび最新の条例改定動向をご案内いたします。 
【日時】11月13日(水):16:30-18:00
12月18日(水):16:30-18:00 

【講師】牧野祥子 アナシス香港董事総経理 
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人事労務のアナシスによる誌上相談会

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Vol.21「報連相なんて要らないという意見も聞きますが、

どうなんでしょうか」

 

 

問い:Googleをはじめ「報連相は要らない」という意見があると聞きます。私は必要だと思っているのですが、香港・華南ではどうなんでしょうか。

黒崎:この地域では中間報告を要望すると「任せたのではないのか?信頼していないという意味か?」などと、反論されるケースもありますね。Googleをはじめおっしゃるような不要論もあります。しかし多くの日系企業では「報連相」を重要視しているのではないでしょうか。今回は報連相の意義と課題を整理してみたいと思います。

 さて、報連相とは何か。全ての業務は指示命令に始まって報告で終わる。そして指示を受けてPlan・Do・Seeを行う、その途中の所々で報連相は必要である。これは「新入社員」に教える基本であり、これに異を唱える方はいないのではないでしょうか。義務である報告、情報のシェアである連絡、人の意見や知恵を借りて問題を解決する相談。どれもが成果を出すために必要なものだと思います。しかし「新入社員」と書いた通り、指示が無くても動けるシニアとなれば、報連相の意義は変わってきます。シニアにも必要な報連相とは何でしょうか。

 ここで不要論を見ておきたいと思います。Googleはカレンダーを見れば部下が何をしているのかが分かるなどの理由を含め報連相不要と言っているようです。Googleカレンダーの営業上も必要な広報でしょうね。そして結果重視の仕事で、それなりの能力のあるメンバー達のお話しです。一般的な会社とは一緒にはできません。
 「社員が日本一幸せ」ともいわれる未来工業。創業者の故山田昭男氏は「ホウレンソウ禁止」としていました。それは製品開発が命の会社で、個別製品に詳しくない上司が、下手に口出しするのを防ぐためでもありました。「ダメな上司ほど部下を管理したがる」と。

 不要論者の論理は大きくは(1)責任の所在が曖昧になることがある(2)スピードが削がれる(3)子供扱いと感じてのデモチベーション、の三つです。上司は報連相で状況を知ることとなり、当然なのですが責任を負うこととなります。そのため部下達は責任転嫁しやすく、また現場での決断力が削がれていくと。ある上司は全てを報告せよと、部下を信頼せずにコントロールしようとして、部下の集中力を削ぎ、時間のムダも生じさせています。あるいは部下が相談に行ったら「自分で考えろ」と突き放され、実は上司も知識経験なく全く役に立たなかったなどのケースも。これら全てに共通しているのは報連相が、上司が部下をコントロールするためのものである点です。報連相は成果を上げるためのものです。そのために上司と部下が共に必要とするもの。その部下のレベルによっても求めるものが違うものです。新人や部下側だけに必要なものではなく、上司も報連相する必要があります。私が提唱した報連相3段階のレベルは、コピーされてかなり多くの人に使われていると思います。しかし、それも上司側のコントロールの為のものと伝わっているケースもあるので注意が必要です。それは上司にしろ部下にしろ、本人やチームが成果を出すためのものなのです。

 報連相を世に広めた『ほうれんそうが会社を強くする』を書いた山崎氏によればさらに深い意味がありました。「下の意見を吸い上げ、働きやすい環境を作り、良好な人間関係をつくるためにほうれんそうがある」としているとのこと。その「ほうれんそう」が立派に育っているかどうかの目安は、上司にとって嫌な情報・悪いデータが粉飾されずに上に伝えられているかどうか。ある大手企業トップは嘘が多い報告などは役に立たないから、報連相には意味が無いと言い切っていましたが、それは従業員を信じないという天に唾するようなものでした。また、下のまともな意見を吸い上げられない組織にも報連相は不要でしょう。立派に育てなければならないのが「HO-REN-SO」なのです。(漢字・ひらがな・カタカナ・英語で使い分けました)

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●【New】ビジネススキルアップ講座:広東語版「報連相」(90分)<香港>
不要論もある「報連相」。記事にもあったとおり、成果を出すための報連 相ができていれば、仕事の質は確実に上がります。本講座では、報告・ 連絡・相談それぞれのコツを広東語でお教えします。
【日時】10月18日(金):16:00-17:30 ・11月07日(木):16:00-17:30
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Vol.20「組織活性にオフサイト・ミーティングの導入を検討しています」

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問い:組織の活性化を考えています。オフサイト・ミーティングが効果的と聞きましたが、どんなものなのでしょうか。

黒崎:オフサイト・ミーティングとは、いつもとは違う環境で「気軽に真面目な話し合い」をし「言える化」することです。組織の活性化には確かに有効ですが、実施方法は良く検討する必要があります。
 組織は「慣性の法則」で老化していきます。特に古くから香港・華南に進出された企業では現地幹部層が安定してしまい、「硬直化」「安住」「現状維持傾向」などの組織課題が出てくることがあります。こうした状況を打破するために、いつもとは違う場所などの環境を用意し、いつもと違う視点を持ってもらう。そして新しい発想で日常を改善改革していく。そうした組織の活性化、体質改善、組織文化変革等のきっかけとなるのがこのオフサイト・ミーティングです。
 基本的には会社の外で実施します。それゆえコストもかかります。海辺のホテル、海外、広い草原あるいは万里の長城などというケースもありました。地平線の見えるところでリーダーシップを語るなんて、想像するだけで何かが違ってくると思いませんか?オフサイトの良さの一つは、非日常の中で新しい視点が自分の中から沸き上がってくることです。
 しかし、社内でやって成功したケースもあります。それはオフサイトの本質が、非日常の環境ということだからです。いつもは言えない事なのに、「今日は言ってもいいんだ」という環境があれば、人は話し始めることがあります。ここで重要なのは「言ってもいい」という安心感です。日常の組織では思っていても「言えない」環境がある。あるいは「言えても届かない」。彼らの言うことが単なる不満や愚痴となっている場合は経営側も受け止めたくなくなりますが、これは「言えない環境」と同じになってしまう危険性があります。これを「言える化」するために、オフサイトは有効となります。それには不満や愚痴が、論理的で建設的な意見へ変化するための時間や仕掛けも必要です。
 そのためには様々な工夫が必要です。事前準備としての場所・メンバー・テーマの選定、チームビルディング、有効なブレスト方法、そしてファシリテーターの存在です。「どうやって話しやすい環境を創るか」「より意見を言いやすい働きかけは」などはこのファシリテーターの出来不出来に左右されることも多いのです。
 一般的には意見を出し合う「発散」が中心となるのがオフサイトです。通常のミーティングのように、結論や成果をださねばという力がどうしても働き始めますが、オフサイトは「収束」させたり結論を出さないことが普通なのです。言いたいことを言える、違う意見を聞ける、違う視点で発想し考える。そんな場となって、日常に戻っても考えるようになる。それが次のムーブメントを生み出していく。そうなればオフサイトも成功といえるでしょう。(企画によってはある程度の結論や方向性を出させることもあります。)
 さて、華南香港で日系企業が実行する場合の注意点ですが、最初から日本人経営層の参加機会を想定することが必要だと考えます。いきなり日本人トップをメンバーにいれても「言えない」環境を創りやすいので、そこは工夫が必要です。しかし結局意見が届かないといった「言えない化」を創らないためにも参加が必要になります。1回だけのオフサイトでの成果を求めることもやめましょう。現地スタッフだけのオフサイトで不満と愚痴と関係の悪化を呼ぶだけにならないように、我々のようなプロにもご依頼いただければと思います。「見える化」に加えて、「言える化」も是非ご検討下さい。

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  • 【NEW】講座「組織風土改革の達人」(90分)<香港>
    香港や中国で、様々な仕掛けでその組織風土・組織文化をリードし創ってきた黒崎が、風土改革をしていくための原理原則や、オフサイトミーティングの手法・Kudosカードの活用などさまざまな組織活性策の事例を含めて語ります。
    【日時】9月06日(金)16:30-18:009月20日(金)16:30-18:00
    【講師】黒崎幸良アナシスグループCEO
    【費用】HK$800(一般公開)アナシス香港ご契約企業様は無料です。

 

  • 「雇用条例ガイドブック」解説講座(90分)<香港>
    日本人商工会議所で配布されている「雇用条例ガイドブック」の解説講座です。香港の各種雇用関連条例のポイントおよび最新の条例改定動向をご案内いたします。
    【日時】9月18日(水)16:30ー18:00
    【講師】牧野祥子アナシス香港董事総経理
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Vol.19「評価制度の変更では、どれくらいの期間で誰にアサインすればいいでしょうか」

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問い:人事評価制度の変更を考えています。どれくらいの期間がかかるものでしょうか。また、人事とトップだけで作っていってもいいものなのでしょうか。

黒崎:一日で作れると豪語する方もおりますが、Easy Come,Easy Go.です。かけた時間よりも、議論する中身・プロセスが重要だと考えます。また、組織戦略の変更の困難さ、変革のフェーズによっても違ってきます。人事制度と一言で言っても、等級制度や評価制度、賃金や昇格ルールなどどこまで作り込むのかによっても時間のかかり方が違ってきます。それゆえ組織課題の分析から導入までのフルパッケージであれば、一般的には6ヶ月は見ておいた方が無難でしょう。さらにビジネス年度との関係を考えると、来年4月運用開始なら遅くとも10月から始めた方がベターです。ミーティングの回数を増やすなどして、期間を短くすることももちろん可能ではありますが。

さて、最初から良い人事制度はなく、うまく運用して始めて良い人事制度となっていくものです。この点、現場のマネジャーを巻き込んで制度を構築した方が、その後の運用への責任感も芽生えることになり一石二鳥となります。ですがこれも時間がかかる理由のひとつです。プロジェクトそのものがマネジャー育成機会となるのですが。誰をプロジェクトにアサインするのかというご質問ですが、基本構成は「現地トップ+現地人事+現場マネジャー」です。そこへ日本やアジア統轄の人事や外部コンサルタントが、事務局やファシリテーションをサポートするケースもあります。

ご質問のように、人事とトップだけで制度を作るケースもないわけではありません。それは評価制度を実際に運用するマネジャー層の存在やレベルによります。ただ当然経営トップの理解と関わり方は重要になります。人事制度は理念・戦略実現の為のツールであり、経営からのメッセージです。一方現場人事だけで制度構築しようとするときには、他の制度やシステムとの関連性・整合性を考慮する必要があります。システムは、ひとつ触るとその他のシステムにも影響が出るものなのです。また実際に運用するマネジャー達の納得や理解が得られないことも多々起きます。

現場のマネジャーを巻き込む場合、そのプロジェクトメンバー選抜は評価者全員参加が原則です。なぜなら、後々その制度を使う人の納得と理解が重要となるからです。その際、会社に対してポジティブな人もいればネガティブな意見の持ち主もいるでしょう。実はどちらもパワーがあるので、プロジェクトメンバーにいれることをお勧めしています。ネガティブなリーダーは、一度方向性がそろってくれば組織変革の強いパワーとなるでしょう。もちろん容易ではありません。しかし何も意見がない人はもっと無力ですし、ネガティブなパワーが変わってもらえなければ、結局組織は良い方向へ動きません。

このネガティブな人を巻き込むからこそプロジェクトの価値があるのですが、それを運営するためには良いファシリテーターが必要になります。プロジェクトのミーティングの場を活用して、ネガティブパワーもポジティブパワーへ変えていくのですから、相当骨の折れるものです。

ですが、これを避けて人事制度を作成しても、いずれそのネガティブリーダーが立ちふさがります。いつやるかの問題でもあるのです。去ってもらう人が出てくることもあるでしょう。こうしたことは経験豊富なアナシスにご相談下さい。

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●【NEW】講座「新規赴任者の『心得』」(90分)<香港>
香港や中国で、様々な仕掛けでその組織風土・組織文化をリードし創ってきた黒崎が、風土改革をしていくための原理原則や、オフサイトミーティングの手法・Kudosカードの活用などさまざまな組織活性策の事例を含めて語ります。
【日時】8月22日(木)16:30-18:00
9月06日(金)16:30-18:00
9月20日(金)16:30-18:00
【講師】黒崎幸良アナシスグループCEO
【費用】HK$800(一般公開)アナシス香港ご契約企業様は無料です

●「雇用条例ガイドブック」解説講座(90分)<香港>
日本人商工会議所で配布されている「雇用条例ガイドブック」の解説講座です。香港の労働関連法のポイントおよび最新の条例改定動向をご案内しています。
【日時】7月19日(水)16:30~18:00
【講師】牧野祥子
【費用】無料(一般公開)

●【NEW】講座「経営層の心得」(90分)<黒崎>
新しくダイレクターとなった現地雇用の人材、経営を担う人材等を対象 に、単なる管理職と違う経営層の役割と責任を自覚できるようにプログ ラムしました。現地トップの発掘・育成と任命を経験してきた、弊社CEO の黒崎が拙くも中身のある英語で語ります。
【日時】7月25日(金):16:30‘~17:30
【講師】黒崎幸良(英語)
【費用】HK$2,300/名(一般公開)アナシス香港ご契約企業様は無料です


※中国も各種講座がございます。
お問い合わせ・書籍ご購入お申込み等 はアナシス香港の牧野までご連絡ください。(hkinfo@anaxis-asia.com)


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人事労務のアナシスによる誌上相談会

Vol 18「外部環境変化で目標の修正を余儀なくされそうです。 その注意点を教えて下さい。」

M1

問い:中間レビューの時期です。外部環境のせいだけには出来ませんが、
個人の業績目標の修正をする場合の注意点を 教えて下さい

 

黒崎:いったん決定した業績目標を変更することは、あまりお勧めできるものではありません。上方修正するときは特に納得感を得られにくいものです。「下方修正」であれば楽ができそうな人の理解は得られます。ですが、安易な下方修正の組織文化を創るのは危険です。

外部環境は激変していますから、修正はある意味想定内かもしれませんが、大きくは、(1)想定より早く目標を達成(2)想定どおりには達成の見込みが立たなくなった(3)戦略の変更、と三つの状況があります。

(1)の場合はそもそもの目標設定が甘いという上司側の問題や、市場の成長にリードされた形でのものがあります。後者は市場と自社の成長率の比較を見ないと、本当に自社が好調なのかが分かりません。いずれにしても上方修正しないと、マーケットシェアへも影響する可能性もありますが、チャレンジ目標へ修正するなど部下側の納得を得られるかどうかがキーとなります。

今は米中貿易摩擦などの環境悪化による(2)のケースも多いかもしれません。ここでもそもそも高すぎる目標設定というケースや、それらと関係なく個人要因によるパフォーマンスの悪さというケース、そして本人の力が及ばない環境悪化というケースの3パターンが主なものです。

最後のケースは、与えられた権限・階層によって状況が異なることには注意が必要です。権限が大きい人は、環境変化に対抗できる領域も大きいため、よほどの変化のない限り修正なしが原則です。ただ現地マネジャーの権限は企業によってもかなり差があり、多くの日系企業ではマネジャーの自由な領域は少ない事も事実です。そうした中で下方修正が必要な場合でも、それが目標未達の人への単なる「救済」となっていないかはよくよく考えなければなりません。

(3)の戦略変更による目標修正は、当初定めた目標と期間で一旦評価することとして、残り期間の目標を再設定することになるでしょう。しかし明確な目標とその実行と評価が原則ですので、曖昧性のあるものやルールの期中変更は、難易度の高いマネジメントなのです。

達成不可能と思えば、モチベーションは落ちやすいものです。それゆえ修正はやむを得ない場合もあるでしょう。修正をする場合、数値を変更したり評価軸を変更したり、定量目標から定性目標へスイッチさせたりするなど目標のテーマそのものを変えることと、目標のウエイトの変更などが取られます。実施する場合には個人と組織全体の双方をにらんで、目標の透明性が担保されるかどうかも課題です。誰かに偏った修正では納得は得られにくいものです。

そして修正後の評価を、それでも当初目標の軸でするのか、修正後の軸で実施するのかも、予め決めておく必要があります。本来は修正後の最新目標で評価でしょう。しかしそれまでの期間と分けるやり方、当初の軸であくまでも評価を決めるやり方など、実は正解はありません。その組織の目的を果たすために目標があり、その評価軸は再検討する必要があります。

最後に話題のOKR(Objective&KeyResults)の運用では、野心的な目標達成に力を集中させるために、期中の変更を柔軟にしていることをお知らせしておきます。MBOにおいても、アクションプランのような目標であれば、より良い方法がみつかったときは臨機応変に修正できるようなマネジメントが、環境変化に強い組織だと考えます。

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●【NEW】講座「新規赴任者の『心得』」(90分)<香港>
新しく香港へ赴任して来られた方や初めて部下を持つ方々を対象に、異文化におけるマネジメントの注意点、マネジメントの原理原則など、できるだけ現地に早く適応し、本来の赴任ミッションをいち早く達成するためのヒントを学びます。『心得』シリーズのひとつです。
【日時】7月12日(金):16:30~18:00
【講師】黒崎幸良
【費用】HK$800(一般公開)、アナシス香港ご契約企業様は無料です

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日本人商工会議所で配布されている「雇用条例ガイドブック」の解説講座です。香港の労働関連法のポイントおよび最新の条例改定動向をご案内しています。
【日時】7月19日(水)16:30~18:00
【講師】牧野祥子
【費用】無料(一般公開)

●【NEW】講座「経営層の心得」(90分)<黒崎>
新しくダイレクターとなった現地雇用の人材、経営を担う人材等を対象 に、単なる管理職と違う経営層の役割と責任を自覚できるようにプログ ラムしました。現地トップの発掘・育成と任命を経験してきた、弊社CEO の黒崎が拙くも中身のある英語で語ります。
【日時】7月25日(金):16:30‘~17:30
【講師】黒崎幸良(英語)
【費用】HK$2,300/名(一般公開)アナシス香港ご契約企業様は無料です


※中国も各種講座がございます。
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人事労務のアナシスによる誌上相談会

Vol 17「新規赴任ですが、実は部下を持つのが初めてです。」

 

問い:赴任してきたばかりですが、管理職の経験がなく部下を持つのは初めてです。
どんな注意すべきことがありますか?

Mr.Kurosaki

黒崎:部下を持つのが初めてではなくても、駐在員の方においでいただきたい私の講座「心得シリーズ」の一つで「新規赴任者の心得」というものがあります。

「心得」というと説教臭く聞こえますが、内容は駐在員が直面する7つの課題を克服するためのヒントをお話して、いち早く現地に適応し、さらなる進化のフェーズに踏み込むためのマインドセットとスキルアップをテーマにしています。その中では日常のマネジメントスキルの向上も意図したマネジメントの原理原則も取り上げています。

今回のご質問に対しては、本来であればそのスキルにフォーカスし、「初めての管理職」への注意的なことを書きたいところですが、駐在員の場合それだけでは不足なのです。

 

さて駐在員の七つの課題とは、

①経営能力(政治力含む)

②問題解決力

③異文化コミュニケーション力

④法や税制・慣習への理解と対応力

⑤不正と権力への誘惑

⑥家族マネジメント

⑦帰国後のジレンマへの準備、としています。

この中で部下マネジメントの観点では最初の5つが対象です。

 

初めて部下を持つ方に、いきなり「経営能力」を要望するのは酷かも知れません。ですが駐在員は現地スタッフからみればミドル・トップマネジメントと認識される場合が多いのです。そうした経営層のマネジャーに求められるスキルに「コンセプチュアルスキル」があります。具体的には現地法人の経営戦略・事業戦略、あるいは経営理念の浸透、ビジョンの創造など、それまでやったこともなかったようなことが本来は要望されます。概念化能力、総合判断力と呼ばれています。

こうした一段上のマネジメントスキルを視野に入れつつ、基本となる原理原則を学んで下さい。香港でも中国でも、それらは大きくは変わりません。まず自分自身の信頼性を確保すること。その信頼性とは全人格と持っている能力で担保されます。

そして部下を信頼し、信頼関係を構築すること。その関係の上で目標を設定し、日々フィードバックし、成長する仕事をアサインし(OJT)、PDCAを回し、評価し、次への意思決定をする、、、。といった一連のマネジメントサイクルが回っていくはずです。そうしたプロセスの中で自分も部下も育っていきます。

海外赴任の方にはさらに次のことにご注意いただきたいと考えています。

①部下は自分の召使いではないこと(尊重すること)

②母国語でない第2言語では、言いたいことの10分の1も伝わらないこと(根気よく伝えること)

③何でも自分でやってしまう病にかからないこと(任せること)

④なるべく早く「決める」こと

⑤しっかりと部下の話しを聞く機会と時間をつくること。などなど。

私も中国ビジネス27年、香港在住17年になりましたが、まだまだ奥が深いと感じる異文化マネジメント。失敗経験も豊富な私の講座においでいただければ、ご参考になるナレッジをシェアします。7月は経営層向け講座も開きます。

 

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●【NEW】講座「新規赴任者の『心得』」(90分)<香港>
新しく香港へ赴任して来られた方や初めて部下を持つ方々を対象に、異文化におけるマネジメントの注意点、マネジメントの原理原則など、できるだけ現地に早く適応し、本来の赴任ミッションをいち早く達成するためのヒントを学びます。『心得』シリーズのひとつです。
【日時】6月6日(木):16:30~18:00
【講師】黒崎幸良
【費用】HK$800(一般公開)、アナシス香港ご契約企業様は無料です

●「雇用条例ガイドブック」解説講座(90分)<香港>
日本人商工会議所で配布されている「雇用条例ガイドブック」の解説講座です。香港の労働関連法のポイントおよび最新の条例改定動向をご案内しています。
【日時】6月19日(水)16:30~18:00
【講師】牧野祥子
【費用】無料(一般公開)

●【NEW】講座「経営層の心得」(90分)<黒崎>
新しくダイレクターとなった現地雇用の人材、経営を担う人材等を対象 に、単なる管理職と違う経営層の役割と責任を自覚できるようにプログ ラムしました。現地トップの発掘・育成と任命を経験してきた、弊社CEO の黒崎が拙くも中身のある英語で語ります。
【日時】7月5日(金):16:00-17:30
【講師】黒崎幸良(英語)
【費用】HK$2,300/名(一般公開)アナシス香港ご契約企業様は無料です


※中国も各種講座がございます。
お問い合わせ・書籍ご購入お申込み等 はアナシス香港の牧野までご連絡ください。(hkinfo@anaxis-asia.com)


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人事労務のアナシスによる誌上相談会
Vol 16「4月に新規赴任してきました。人事マネジメントで気をつけることはなんですか?」

 

問い:新しく香港・華南に赴任してきました。人事労務上で気をつけることはありますか?

黒崎:人によってテーマは変わってきますが、いつものように一般論でお答えします。気をつけることはたくさんあります。

もし海外が初めての方であれば「異文化」の中での働き方がまず最初のテーマとなるでしょう。責任の考え方、職務や時間に対する考え方、様々な違いを感じると思います。もしマネジメントをする立場であれば異文化マネジメント、初めて部下を持つ方ならばそもそもマネジメントとは何かから始まります。

「人事労務上」といえば、香港・中国では適応される労働関係の法律が日本とは当然違います。中国では労働法および労働契約法、香港では雇用条例が日本の労働基準法にあたるものです。人事労務上の課題の多くはボディブローのように後から効いてくるものが多いのですが、法令違反は即影響しますので、法令の基本的な理解は必須です。

また4月は多くの企業が賃金改定をしますが、赴任してすぐこの対応をする必要がある方もいらっしゃるかもしれません。当地の賃金の仕組みなども理解しておく必要があるでしょう。日本にある多くの企業が「職能給」で能力をベースとした人事制度であるのに対して、香港・華南は職務・役割をベースにした範囲職務給が一般的です。職種によっても違う賃金や、賃金へのこだわりなども日本とは大部違います。

私がやらせていただいている赴任者向けのセミナーは、今年は「新規赴任者の心得」と題しましたが、異文化のなかでのマネジメントを学ぶもので説教ではありませんので是非ご参加を。その他にも香港の労働関連法の大枠を理解する講座、中国労働法や中国での採用・評価を学ぶものなど様々な講座・研修を有料・無料で用意しております。是非ご活用ください。

 

 


●【NEW】講座「新規赴任者の『心得』」(90分)<香港>
新しく香港へ赴任して来られた方や初めて部下を持つ方々を対象に、異文化におけるマネジメントの注意点、マネジメントの原理原則など、できるだけ現地に早く適応し、本来の赴任ミッションをいち早く達成するためのヒントを学びます。『心得』シリーズのひとつです。
【日時】5月10日(金):16:30~18:00、6月6日(木):16:30~18:00
【講師】黒崎幸良
【費用】HK$800(一般公開)、アナシス香港ご契約企業様は無料です

●「雇用条例ガイドブック」解説講座(90分)<香港>
日本人商工会議所で配布されている「雇用条例ガイドブック」の解説講座です。香港の労働関連法のポイントおよび最新の条例改定動向をご案内しています。
【日時】5月22日(水)16:30~18:00
【講師】牧野祥子
【費用】無料(一般公開)

●【NEW】講座「採用の達人」(90分)<香港>
アナシス開発のトータルリワードカードを使って、応募者の仕事選びの判断基準を確認し、かつ動機付けするポイントを明確にします。より早く戦力化し、少しでも長く勤める人を採用するためのヒントを学びます。
【日時】5月21日(火)16:30~18:00
【講師】黒崎幸良
【費用】HK$800/名(一般公開)アナシス香港ご契約企業様は無料です

 

 

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「雇用条例ガイドブック」発売中
A4判・日本語
HK$500/冊
(香港ご契約企業様:1冊目無料・2冊目以降 HK$300/冊となります)
内容:香港の雇用条例・休日条例・労働者災害補償条例・差別条例・強制退職積立金(MPF)条例・個人情報保護条例・職業安全衛生条例・最低賃金条例・台風豪雨警報時の出退勤ガイドライン・雇用に関する調停・裁判の仕組み

※お問い合わせ・書籍ご購入お申込み等はアナシス香港の牧野までご連絡ください。(hkinfo@anaxis-asia.com)

 

 

 

会員制の人事労務コンサルティングファームです。地場に根ざす、経験と実績のあるコンサルタントが対応いたします。香港・深圳・広州でトータルサポートいたしております。詳しくはアナシス香港の牧野までご連絡ください。


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人事労務のアナシスによる誌上相談会
Vol 15「採用した人が直ぐ辞めてしまうのはなぜですか?」

 

問い:採用した人が直ぐ辞めてしまいます。入社して1週間で辞めたことも。何が問題なのでしょう?

 

黒崎:お話しを伺わないとその会社ごとの課題は分かりませんので、一般論でお話ししますが残念ながらそれは結局そのポジションに魅力がないからです。真正面からこれを申し上げると問題ですが、時折人材紹介会社に「なぜそんなにすぐ辞める人を紹介したのだ」と詰め寄る方もいらっしゃいますが、残念ながらその方を含めて会社に魅力がないからなんです。転職が当たり前のマーケットです。人をコントロールすることは、紹介会社にはできません。

つまり採用力が低いのです。採用力とは、待遇・企業力・仕事内容・人等々といったそれぞれの魅力と、効果的な採用活動のかけ算で成り立っています。この総合的な採用力を上げていかなければ、なかなか適切な人材は採れません。

さて、入社早々に人が辞めてしまう理由は大きく三つあります。①他社からのより魅力的なオファーによる転職②入社前後での認識のズレ③社内の受入れ態勢の不備、です。

転職してきた人は、普通は他社にも応募しています。第1希望の会社から後からでもオファーが来た場合などは、入社後の動機付けが不足していれば辞めてしまうでしょう。この場合なぜ第1希望になれなかったのかを反省しなければなりません。採用活動上でもある程度まで本当の希望を把握しておけたかも知れません。コンサルタントの中には、ここを上手に掴んでいる人もいます。ただ応募者も紹介会社を掛け持ちしていますから注意です。

2つ目の認識のズレに関しては、採用活動の質を向上させることである程度まで対応可能です。そのズレとは、①仕事内容②待遇・福利厚生③キャリアパス④規則や組織風土の4つに分類できます。「思ったより忙しかった」「多すぎる業務量」などの仕事の認識のずれ。有給・残業代などの条件面。「入社後に昇格チャンスがないことが分かったから」などというものもあります。「ルールがありすぎ」「静かすぎて」なども。

「思っていたのと違っていた」の一言でかたづけられてしまうこれらのズレですが、面接やオファーを出すときにきっちりと伝え、ズレがないかを確認しておくことは非常に重要です。しかもそこまでやっても、ズレは生じてしまうものなのです。

応募者が何を転職の条件としているのか、どんなモチベーションリソースをもっているのかを知り、それぞれに対して会社がどれだけ対応できるのかを説明する採用の手法があります。ズレにくくする。アナシスの講座でもそのツールと共にご紹介していきますのでご利用下さい。

最後の3つめは受入れ態勢です。初日が最も重要ですが、マネジャー不在などいい加減な初日を迎える企業も多いのです。サポート・指導体制などの差でも人は辞めやすいものです。

誰かが働いていたということは、そのポジションのどこかに何かの良さがあったはず。それを見つけ、さらに伸ばしていくこと。そして総合的な採用力をつけて、早期退職を未然に防いで下さい。

 

 


● 香港賃金改定講座(90分)<香港>
最新の香港賃金調査やCPI・GDPなど政府統計データの情報を交え、香港における賃金改定の考え方・やり方などをお話いたします。
【日時】4月12日(金)16:30~18:00
【講師】黒崎幸良
【費用】HK$800(一般公開)アナシス香港ご契約企業様は無料です

● 「雇用条例ガイドブック」解説講座(90分)<香港>
日本人商工会議所で配布されている「雇用条例ガイドブック」の解説講座です。香港の各種雇用関連条例のポイントおよび最新の条例改定動向をご案内いたします。賃下げも取り上げています。
【日時】4月15日(月)16:30~18:00
【講師】牧野祥子
【費用】無料(一般公開)

● 【NEW】講座「フィードバックの達人」(90分)<黒崎>
昨年ご好評いただいた「フィードバック講座」を達人シリーズとしてリニューアルしました。フィードバックとは、情報伝達のためのティーチング的なアプローチと、振り返り・立て直しのためのコーチング的アプローチのふたつを包含する人材育成の一手法です。
【日時】4月18日(木)16:30~18:00
【講師】黒崎幸良
【費用】HK$800/名(一般公開)アナシス香港ご契約企業様は無料です

 

本文中の採用ツールを含めた講座については後日のご案内です。
※お問い合わせ・講座ご参加お申込み等はアナシス香港の牧野までご連絡ください。(hkinfo@anaxis-asia.com)

 

 


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Vol 14「賃下げは違法ですか?」

 

問い:景気見通しが悪い中、評価が低い従業員の給与を下げたいと考えています。これは違法なのでしょうか?

黒崎:これはこうして記事にされると、誤解も多い事項なので非常に注意が必要です。まず、賃金は簡単に下げられるものではありません。が、賃下げそのものが違法だというわけではありません。これは香港でも中国でも言えることです。労使の合意があれば成り立ちはします。中国では「協議一致」ですね。しかしその合意はそんなに容易ではないでしょう。

中国でも香港でも、本人の同意無く、労働・雇用契約の内容を一方的に改悪変更はできません。では、賃下げがあり得ることを、労働契約書にどう書けばいいのか?というご質問もよくいただきますが、個別にご相談ください。ただ、契約書でどう約定しようと、書面上のテクニックを駆使して賃下げを実行しようとしても合意には至らないでしょう。労使の信頼関係があって、その賃下げが納得できるものであるなら、合意もあり得えます。

実際、私も中国で賃下げをした経験があります。しかし、その部下を信じ、賃下げした後もフォローし続け、やがて自信と業績を取り戻したその部下は、賃金額も取り戻しました。決めてあったルールに従っての賃下げでしたので、それを実行しなければマネジメントの軸がぶれてしまうところだったのでぎりぎりの選択でした。

香港においての賃下げをさらに取り上げてみます。賃下げ・降格など、「雇用条例により労働者に与えられた、あるいは与えられるべき権利・恩恵・保護を消滅または減少させる意図をもって使用者が労働者の雇用契約の条件を変更する場合」、つまり改悪変更する場合には、労働者は雇用保護の救済を請求することが可能です。そしてその労働者の救済が認められた場合には、使用者に労働者の復職あるいは再雇用、あるいは雇用終止金の支払いが命じられます。

賃下げは非常にセンシティブな問題なので、是非我々専門家とご相談下さい。直近では厳しい評価の仕組みを取り入れ、賃下げを含んだ人事制度の導入サポートもいたしました。賃金の下方硬直性を避ける仕組みです。しかしそれもフォーカスすべきは賃下げではなく、適切な原資の分配という目的のためです。

なぜ賃下げまでしなければならなくなるのか。使用者側のそれまでのマネジメントの責任も問われてくる問題です。できれば避けたい賃下げ。環境の変化への対応と、メリハリをつけるために一度は思考を通していただきたいテーマでもあります。

 


● 講座「評価の達人」(90分)<香港>
~「その評価、正しいです」~
自分の評価が甘いか辛いか、正しいのかを考えていただき、評価の達人になっていただく機会とする講座です。
【日時】3月8日(金)16:30~18:00
【講師】黒崎幸良
【費用】HK$800/名( 一般公開)アナシス香港ご契約企業様は無料です

● 香港賃金改定講座(90分)<香港>
最新の香港賃金調査やCPI・GDPなど政府統計データの情報を交え、香港における賃金改定の考え方・やり方などをお話いたします。
【日時】3月15日(金)16:30~18:00
【講師】黒崎幸良
【費用】HK$800(一般公開)アナシス香港ご契約企業様は無料です

● 「雇用条例ガイドブック」解説講座(90分)<香港>
日本人商工会議所で配布されている「雇用条例ガイドブック」の解説講座です。香港の各種雇用関連条例のポイントおよび最新の条例改定動向をご案内いたします。賃下げも取り上げています。
【日時】3月19日(火)16:30~18:00
【講師】牧野祥子
【費用】無料(一般公開)

 

 

Photo③(revised)

「雇用条例ガイドブック」発売中
A4判・日本語
HK$500/冊
(香港ご契約企業様:1冊目無料・2冊目以降 HK$300/冊となります)
内容:香港の雇用条例・休日条例・労働者災害補償条例・差別条例・強制退職積立金(MPF)条例・個人情報保護条例・職業安全衛生条例・最低賃金条例・台風豪雨警報時の出退勤ガイドライン・雇用に関する調停・裁判の仕組み

※お問い合わせ・書籍ご購入お申込み等はアナシス香港の牧野までご連絡ください。(hkinfo@anaxis-asia.com)

 

 

 


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人事労務のアナシスによる誌上相談会
Vol 13「逆算評価がダメな理由とはなんですか?」

 

問い:最終的な賃上げ率を決めて、そこから逆算して評価をAとかBとかにしてきました。良くないとは思いながらも現実的だとしてきましたが、何が不都合なのでしょうか?

黒崎:先日某所に「逆算評価はしないほうがいい」という記事を書いてから、賛同のご意見やご質問を同様にいただいております。その多くは反省させられたというものでした。逆算評価とは「逆算化傾向」という評価エラーのひとつで、昇給率や賞与などの処遇を念頭に置き、逆算してつじつまを合わせて評価をしてしまう傾向のことです。打算の働きやすいこの評価は香港・華南では非常に多く見られるもので、もはやエラーではなくて確信犯的に行われています。

この原因はマネジメント力の無さ・弱さにあります。確かに当地では賃金がモチベーションの大きな要素であることは確かです。しかしその価値観が強すぎて評価の目的を「処遇の決定のみ」と評価者が勘違いしていることがその原因のひとつです。評価の目的は「(1)処遇の決定(2)人材の育成(3)目標達成の為の日々の軌道修正」の三つです。年に1回の賃金改定の為にだけにあると考えてはいけないのです。特に人材育成という観点は忘れられがちです。さらに日々のマネジメントとして、いつでもどこでも評価なのです。

何が不都合かといえば、評価は人材育成のためにもあるわけで、つじつまを合わせる評価では何が良くて何を改善させるべきなのかが不明瞭になってしまうからです。「部下から嫌われずに、気分良く働いてもらうため」というご意見もあるのですが、部下は正しく評価されることなく時を過ごしていくことになります。それで成長があるのでしょうか。なにより、そうした茶を濁す評価をする人自身が、マネジャーとしてそれで育つのでしょうか。真剣勝負の評価の経験がマネジャーを鍛えます。逆算評価でもいいですよ、その場しのぎでもいいのであれば。しかしそうした茶を濁す決断は癖になります。癖はなかなか直りません。

評価は「人」を対象とするものでは無く、その人の行動や態度・姿勢が対象です。個別評価をまとめた「総合評価」が、ともするとその「人」を評価することになってしまうとき、この逆算評価も生まれやすいのです。

この予防策としては人事制度・賃金制度の見直しと、人事のポリシーを明確にした組織文化の醸成、評価項目の再考、評価者自身の育成などがあげられます。私の講座「評価の達人」に、しごかれに来て下さい。(笑)

 


●講座「評価の達人」(90分)<香港>
~「その評価、正しいです」~
自分の評価が甘いか辛いか、正しいのかを考えていただき、評価の達人になっていただく機会とする講座です。
【日時】2月8日(金)16:30~18:00
【講師】黒崎幸良
【費用】HK$800/名( 一般公開)アナシス香港ご契約企業様は無料です

 

●香港賃金改定講座(90分)<香港>
10月9日~11月7日まで実施いたしました香港賃金調査やCPI・失業率など政府統計データの情報を交え、香港における賃金改定の考え方・やり方などをお話いたします。
【日時】2月15日(金)16:30~18:00
【講師】黒崎幸良
【費用】HK$800(一般公開)アナシス香港ご契約企業様は無料です

 

●「雇用条例ガイドブック」解説講座(90分)<香港>
香港の雇用条例および雇用関連条例の解説
香港の各種関連条例のポイントおよび最新の条例改定動向をご案内いたします。
【日時】1月25日(金)16:30~18:00
【講師】牧野祥子
【費用】無料(一般公開)

 

 

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「雇用条例ガイドブック」発売中
A4判・日本語
HK$500/冊
(香港ご契約企業様:1冊目無料・2冊目以降 HK$300/冊となります)
内容:香港の雇用条例・休日条例・労働者災害補償条例・差別条例・強制退職積立金(MPF)条例・個人情報保護条例・職業安全衛生条例・最低賃金条例・台風豪雨警報時の出退勤ガイドライン・雇用に関する調停・裁判の仕組み

※お問い合わせ・書籍ご購入お申込み等はアナシス香港の牧野までご連絡ください。(hkinfo@anaxis-asia.com)

 

 

 


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住所 : Suite 8, 12/F., Tower 2, China Hong Kong City,33 Canton Rd., TST
電話 : (852)2180-2005
メール:hkinfo@anaxis-asia.com
ウェブ:www.anaxis-asia.com

 

 


人事労務のアナシスによる誌上相談会
Vol 12「評価の甘辛調整はどうしたらいいですか?」

 

問い:マネジャーによって評価の甘辛があるのですが、どう調整したらいいですか?そして大半のマネジャーは厳しい評価をさけようとするのですが。

黒崎:ご質問の意図は「事後調整」だと思いますが、そもそも評価の基準はできているのでしょうか。その基準設定がないこと、あるいは不明瞭であることなどが甘辛を招くケースは非常に多いものです。そしてその設定に対してマネジャーそれぞれの解釈が違い、共通の軸を持っていないことが課題です。

評価は目標設定から始まっています。その目標設定、つまり評価基準をできる限り測定しやすい様にまず設計しておくことが要諦です。これを「事前調整」といいます。その他には部門間基準の調整・2次評価などの評価プロセス設定・評価者会議や評価者研修の設定などなどです。

もう一つのご質問にマネジャーの「寛大化傾向」がありました。それは、部下をよく知らない・嫌われたくない・管理職としての自信がない・知らない職務・ハロー効果に陥るなどの上司の能力や態度姿勢、そして厳しい求人環境で部下を失いたくない背景なども影響していると思います。

評価をさせる前に、これらを是正していくことが重要ですね。評価者としての選抜・育成も「事前調整」しておきたいところです。

さて、それでも生じた甘辛を事後調整するにはどうするのか。大きくは三つあります。(1)統計的・数学的アプローチによる修正(2)2次・3次評価者による調整(3)評価者会議による調整です。

(1)統計的アプローチによる修正では、部門ごとの平均点を全社平均に合わせる形で各評価点を調整する「部門平均点調整法」や、標準偏差を使って中心化傾向なども修正する「標準偏差調整法」、部門毎に正規分布で相対評価化させる方法など2次評価や評価会議前の数値的調整方法として採用されていることがあります。あくまでも数値による調整なので、評価者の軸そのものは修正されておりません。が、評価者たちも自分の傾向を認知できるようにはなるでしょう。

実際にはより上位役職の2次評価者や評価者会議などによる、部門にまたがった調整が行われるのが普通です。特に評価者会議でその評価の論理を確認するプロセスは、会社全体の軸あわせと管理職育成が一緒にできる良い機会となります。

評価は年に1回やるペーパーワークではありません。常に、どこでもやるものです。それが積み重なって、最後の評点にいたるだけです。上司と部下との間で、日常から話し合われていないから、評価に納得が生まれないのです。

 


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評価基準設定にも使えます。
【日時】12月7日(金)16:30~18:00
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【費用】HK$800( 一般公開)アナシス香港ご契約企業様は無料です

 

●香港賃金改定講座(90分)<香港>
10月9日~11月7日まで実施いたしました香港賃金調査やCPI・失業率など政府統計データの情報を交え、香港における賃金改定の考え方・やり方などをお話いたします。
【日時】12月14日(金)16:30~18:00
【講師】牧野祥子
【費用】HK$800(一般公開)アナシス香港ご契約企業様は無料です

 

●「雇用条例ガイドブック」解説講座(90分)<香港>
香港の雇用条例および雇用関連条例の解説
香港の各種関連条例のポイントおよび最新の条例改定動向をご案内いたします。
【日時】12月18日(火)16:30~18:00
【講師】牧野祥子
【費用】無料(一般公開)

 

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人事労務のアナシスによる誌上相談会
Vol 11「来年の予算作成上で賃金改定率を決めたいのですが」

 

問い:2019年予算策定時期に来ています。まだ来年の賃金に関しても調査の依頼が来ている時期なのですが、各社はどうやって決めているのでしょう。なぜ来年の予算もまだ決まってないのに、今実施中の賃金改定調査に答えられるのでしょう?

黒崎:この時期の賃金調査はあくまでも予測を集めています。ひどい言い方をすれば、ある意味まだまだ「いい加減」な数値です。しかし予算作成上は、来期の人件費を何%アップさせるかを検討することになります。その直観に近い数値が「思惑」として集められるのがこの時期なのです。こうした調査は、年末や年明けに実施されます。景気や求人動向などでもその数値が時期内でも変化していきます。

直観とはいいながらも、5つの要素が考えられます。(1)過去の賃金改定率実績(2)GDP・CPI・失業率などの各種マーケットデータ(3)求人環境とマーケットプライス(4)自社の業績予測(5)組織戦略の5つです。これに(6)現地の賃金改定情報が入れば、賃金改定をさらに深く検討できるわけです。

予算作成時では、多くの企業は今年並みとまず数値を置くでしょう。環境の激変がない限り、なかなか大きくは変わってきません。ちなみに香港では3.4%、中国では約6%が今年のデータでした。深センと広州でも違いがありますし、自動車業界などではさらに1%増しといったような業界の差もありました。

そこに自社の過去経緯が加わってきます。「ここ数年抑えてきたのでそろそろ少し多めに」という企業も少なくありません。マーケットの上昇率と自社の上昇率推移との差は、蓄積されると結果として従業員給与のマーケットとの乖離が引き起こされていきます。

GDPなどのデータに関しては、昨今の米中経済戦争の影響含め各種団体は来期はやや厳しめにみているようですので、それをからめて検討することになるでしょう。また、現在の企業の採用意欲は引き続き堅調で、当然賃上げへの圧力となります。ここにも注目する必要があります。

そして最も大きいものは自社の業績予測でしょう。今年度の着地がプラスかどうか。そして来期業績予測。強気か弱気かで、過去改定率に対してプラスするかどうかが「直感的に」決まります。そしてそれがほぼ結論となることが多いようです。組織戦略を加えたこれら5つの決定要素が予算策定時には使われ、さらに現地の賃金調査などで他社と比較したうえで、賃金改定率が決定していきます。

 


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RGF社と共同で香港の賃金改定および賃金レンジの調査を実施中です。詳しくは弊社までお問い合わせ下さい。

●「雇用条例ガイドブック」解説講座(90分)<香港>
香港の雇用条例および雇用関連条例の解説
香港の各種関連条例のポイントおよび最新の条例改定動向をご案内いたします。
【日時】11月16日(金)16:30~18:00
【講師】牧野祥子
【費用】無料(一般公開)

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~少し背伸びをした目標設定をする・させる技術、OKRをヒントとして~
【日時】11月9日(金):16:30~18:00、12月7日(金):16:30~18:00
【講師】黒崎幸良
【費用】HK$900( 一般公開)アナシス香港ご契約企業様は無料です

 

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(香港ご契約企業様:1冊目無料・2冊目以降 HK$300/冊となります)
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人事労務のアナシスによる誌上相談会
Vol 10「OKRって何ですか?」

 

問い:OKRという言葉を聞きました。MBOと何が違うのですか?

黒崎:OKR=ObjectivesandKeyResultsとは、「野心的な目標を全社員に共有・展開し、達成へ向けた活動にフォーカスするマネジメントツール」です。グーグルやメルカリ、株式公開するIT企業等が取り組んで注目されてきました。
一方のMBO=Managementbyobjectivesandself-controlは、ドラッカー提唱の組織マネジメントのコンセプトです。「目標管理制度」と訳される事が多いのですが、もともとは「目標と自己統制によるマネジメント」であって、目標を管理するだけの仕組みではありません。昨今では人事評価での重みが増して、人材育成や目標達成の為のマネジメントという側面が失われ、うまく運用できていない組織が多いのも事実です。
さて、この二つの違いを下記の表にまとめました。

Capture_ANAXIS

実現によって大きなインパクトがもたらされるようなワクワクする目標・挑戦を設定することが、MBOとの大きな違いです。ですので、達成率は100%になることはまずありません。目標は達成することが当たり前のマネジメントから見ると、違和感のある考え方です。しかしもう一歩踏み出したい、挑戦させたい香港・華南の上司達にとっては良いツールになるのではと思います。その目標のレベル設定が勝負となります。そもそもストレッチ目標にはストレスを感じる人が多いもの。経営層の目標設定能力が問われます。そして目標達成が待遇に直接反映されない中でのマネジメントも、リーダーの力量が問われます。一次的なブームではなく、真剣なMBOへの取り組みの一つとして、このOKRを検討することは多いに意義があります。組織課題と組織の状況によって有効性がかわりますので、ご相談いただけたらと思います。まずはMBOの見直しからです。

 


●「香港福利厚生セミナー」<香港>
福利厚生調査結果をもとに、現状と今後のトレンドを解説。
トータルリワードのコンセプトを学び、新制度構築のヒントを探ります。
満員御礼の為、新日程を検討中です。
【日時】10月5日(金):16:00ー18:00(キャンセル待ち)
【費用】HK$800(一般公開)・アナシス香港ご契約企業様は無料です

●「雇用条例ガイドブック」解説講座(90分)<香港>
香港の雇用条例および雇用関連条例の解説
香港の各種関連条例のポイントおよび最新の条例改定動向をご案内いたします。
【日時】10月19日(金)16:30~18:00
【講師】牧野祥子
【費用】無料(一般公開)

●赴任者向けマネジメントワークショップ(2時間)<香港>
異文化マネジメントのヒントと現地必須の知識をお教えします。
新規赴任者の方は是非ともご参加ください。
【日時】10月4日(木)16:00~18:00
【講師】黒崎幸良
【費用】HK$900( 一般公開)・アナシス香港ご契約企業様は無料です

 

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「雇用条例ガイドブック」発売中
A4判・日本語
香港ご契約企業様:1冊目無料・2冊目以降 HK$300/冊
非ご契約企業様:HK$500/冊
内容:香港の雇用条例・休日条例・労働者災害・補償条例・差別条例・強制退職積立金(MPF)・条例・個人情報保護条例・職業安全・衛生条例・最低賃金条例・台風豪雨警報時の出退勤ガイドライン・雇用に関する調停・裁判の仕組み

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人事労務のアナシスによる誌上相談会
Vol 9「労働条件や福利厚生の改善はどう考えればいいですか?」

 

PPW:「労働条件や福利厚生の改善はどう考えればいいですか?」・子育て支援・時差通勤・フレックスなど、働き易い環境を用意するには?・定年後の再雇用はどういう形態が一般的ですか?・健康診断や予防接種などは、どのくらいの企業が実施していますか?・残業の割増率に法的規制はありますか?etc.

黒崎:アナシスには、上記の様にさまざまな労働条件・福利厚生の改善、労働法規に関するご質問もいただきます。「一般的にはどうなっているのでしょうか?」「どうすれば制度化できますか?」といったご質問です。先月も「福利厚生制度は定着率向上に役立つか?」というご質問がありましたが、本当はその組織が何をしたいのか、従業員が本当に求めることは何かなどなどによって答えは違ってきます。

多くの日系企業は、現地相場との比較を求めます。突出した良い条件を設定するケースは多くはありません。また労働条件においては法定の最低限をベースにしている企業も多いようです。それは日本本社に説明がしやすいからという背景もあるようです。例えば年次有給休暇が7日スタートの企業がまだまだ多い理由はそこにあるでしょう。説明のしやすさで生まれた最低限の設定で構成された制度では、採用も定着も苦しくなるのは当然です。しかし原資には限度もありますから、その企業にできうる制度設計が必要になるでしょう。古くからあるシステムが見直しの時期に来ている企業は沢山あります。そういったことを先送りするかしないかも、現地経営の課題となっています。

こうした人事の制度は、本来組織課題を解決するために設計されます。時代が変わっていけば、その時々の戦略や環境に応じて再構築するのは当然のことだと思います。例えば、ある企業では女性中心の従業員で、活躍の中心となる多くの人達が子育ての時期に来ている。それゆえその人達がより活き活きと働き易い環境を造るために、時短やフレックスなど子育て支援の制度を設計するケースもあります。ある企業では、定年となるがまだまだ現役で頑張って欲しい管理職の雇用を延長するのか再雇用するのかを検討しています。ある企業は残業時間と残業代の見直しをはかりました。確かに制度変更をするときには、現地相場がその参考になるでしょう。さらに制度変更をするとどんな事が起こるのかは、我々のような経験豊富なコンサルタントが、その水先案内を務められるかも知れません。

しかし、賃金や福利厚生はトータルシステムとして考えて行く必要があります。フレックス制度や子育て支援制度といった特定の項目だけを比較して調整しても、何を目指すのかという軸がないとなかなかうまくはいきません。どれか一つだけ変えても、そう簡単に組織は変わらないのです。

今回の例に挙げたご質問は紙面の都合で答えられませんが、アナシスでは今夏実施した福利厚生調査結果をもとに公開セミナーを開催します。企業が既に取りいれている事とその背景や、今後のトレンドを読みながら、人事のトータルシステムを考える機会にしていただければと考えています。

 


●「香港福利厚生セミナー」<香港>
福利厚生調査結果をもとに、現状と今後のトレンドを解説。
新制度構築のヒントを探ります。
自社の人事諸制度を見直す機会として是非ご参加ください。
【日時】9月13日(木)16:00~18:00、9月27日(木)16:00~18:00、10月5日(金) 16:00~18:00
【費用】HK$800(一般公開)・アナシス香港ご契約企業様は無料です

●「雇用条例ガイドブック」解説講座(90分)<香港>
香港の雇用条例および雇用関連条例の解説:香港の各種関連条例のポイントおよび最新の条例改定動向をご案内いたします。
【日時】9月21日(金)16:30~18:00
【講師】牧野祥子
【費用】無料(一般公開)

●赴任者向けマネジメントワークショップ(2時間)<香港>
異文化マネジメントのヒントと現地必須の知識をお教えします。
新規赴任者の方は是非ともご参加ください。
【日時】9月18日(火)16:30~18:00
【講師】黒崎幸良
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人事労務のアナシスによる誌上相談会
Vol 8「福利厚生制度は定着率向上に役立ちますか?」 

 

PPW:人材の定着対策として賃金以外に福利厚生にも注目してみたいと思います。実際に役に立ちますか?

黒崎:リテンション対策は、全体対応と個別対応に分けられます。福利厚生は全体対応の施策です。役に立つかどうかといえば「人によります」。モチベーションの源泉は人によって違いますので。

ハーズバーグという心理学者が、「動機づけ要因」(Motivator Factors)と「衛生要因」(Hygiene Factors)というものにわけて説明しているのですが、福利厚生はこの衛生要因と言われているひとつです。福利厚生の他には賃金・経営方針・管理体制、同僚との人間関係などがその要因にあげられています。これらは不足・悪化すると不満がつのりますが、求める水準を超えて改善しても、労働意欲にはそれほどの影響はでないものと言われています。不満の原因とはなりますが、満足の原因にはなりにくいというものです。香港や華南でも、友人が勤める企業などと相対的な比較が行われており、自分の会社に不足しているものは必ずなにかあるもので、少なからずの不満が湧いてきています。

一方「動機づけ要因」とは仕事の満足度に関わるもので、仕事内容・達成感・承認・責任、昇進・成長の可能性などを指します。これらの要因が十分であれば、意欲が高まっていくと言われています。これら二つの要因は異質のものなので、定着性を考えるのであれば双方への対応が必要になるでしょう。衛生要因はその前提条件のようなものと考えてもいいかもしれません。もちろん賃金が離職の直接の原因ということはかなりの比重を占めるでしょう。

日系企業も進出後随分年月が経っている企業も多く、古くからある福利厚生制度も見直す時期に来ていることもあります。よく話題にのぼる「誕生日休暇」でも、香港の日系企業の実績は全体の8%ぐらいです。しかし現在調査中の中間データによれば4%の企業が検討中であり、7%の企業が「あるといいな」と考えています。つまりいずれ2割近くの企業が実施するかも知れないということです。これを多いとみるか少ないとみるかは企業次第ですが、差別化を図るという観点からはあってもいいのでは。例えば弊社では、どんな日でもいいので「アニバーサリー」としての休暇を誕生日休暇にさらに加えて実施しています。それが定着に影響するかと問われれば、NOと言わざるを得ないでしょう。

ハーズバーグの理論も既に60年ぐらい経っています。それでも「動機付け要因」が未だ重要視されているのはその難しさを表しています。アナシスの提供する新しいリーダーシップのコンセプト「マネジメント3.0」などもそこを改善改革していくものです。

衛生要因としての福利厚生も、全ての条件の改善をするわけにもいかないでしょうから、現地のトレンドを見ながら自社の組織課題を解決できるようなエッジのたった施策を検討するのはいかがでしょうか。現在実施中の福利厚生調査にご参加いただければ、そのトレンドを知ることが出来ますので是非ご参加ください。

 


■□ 香港福利厚生調査(7末締切) ■□
「香港福利厚生調査2018(事務所系)~現状と今後の方向性~」
(アナシス香港/RGF香港共同調査)
ご回答いただきました企業様には、調査報告書(PDF)を9月初旬に配信させていただきます。今すぐアナシスまでご連絡ください。

●「雇用条例ガイドブック」解説講座(90分)<香港>
香港の雇用関連条例および最新条例改定動向をご案内します。
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人事労務のアナシスによる誌上相談会

Vol 7「台風の時は休みだと聞きましたが本当でしょうか?」

 

PPW:香港に赴任してきました。これから台風シーズンだと聞きましたが、台風になると休みになると聞きました。日本と違うようですが、本当ですか?

 

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結論から言えば、休みではなく台風・豪雨時の出退勤についてのガイドラインが出ていますが、会社によっても対応は違います。

日本の台風時には、どんなに豪雨でもなんとか会社に辿り着き、そして平然と仕事をするようなことがあるかもしれません。しかし、ここ香港での台風や豪雨時には、本当に危険なときもあるのです。高層ビルからエアコンの室外機や看板が落ちてくる、古い大木が倒れて巻き込まれたり、道が封鎖されたりする。そんなことで死亡・負傷することが現実に起こっています。それゆえ、台風や豪雨などのときのマネジメントの原則はまず従業員の安全確保です。

台風や豪雨時の出退勤については、日本の労働基準監督署に相当する労工處がそのガイドラインを作成・配布していますが、実は法律ではないため法的強制力はありません。ただ、本ガイドラインに沿った台風・豪雨警報発令時の出退勤についての規定を策定し運用している企業が一般的です。概要は以下の通りです。

・始業時刻前に台風8号以上の警報あるいは豪雨黒色警報が発令された場合:自宅待機
・終業時刻前に台風3号警報以下あるいは豪雨赤色警報以下に警報レベルが低下した場合:2時間以内に出社
・就業時間中に発令された場合:
– 台風8号以上の警報の場合:帰宅
– 豪雨黒色警報の場合:屋内で就業している場合は業務を継続、屋外で就業している場合は安全な場所へ避難

詳しくは弊社発行の「雇用条例ガイドブック」に日本語で解説していますのでご覧いただくか、その講座を弊社で無料開催していますので是非ご参加下さい。また、労工處ホームページ(http://www.labour.gov.hk)でガイドラインが掲載されていますので確認していただければと思います。

上記の通りあくまでもガイドラインであり、また「自宅待機」であってその日が「休日」になるというわけではありません。しかし、香港の人達も“休み”になると思っている人が多いので、その認識のギャップには戸惑ってしまいます。台風8号警報発令中に映画館やカラオケが流行るという噂もあります。つまり自宅待機していないわけです。会社としては「従業員の安全確保」を原則とし、従業員としては「自分のことは自分で守る」という自己責任の原則のもと、従業員自身が十分に気をつけることを労使双方が周知徹底しておく必要もあるでしょう。

もう一つ重要な事は、台風は突然来るわけではありません。遠いところで発生し、いつ頃やってくるのかは前もってある程度分かるわけですから、その準備ができるはずです。従業員の安全確保と同時に、お客様満足の視点でのビジネス遂行上の代替案を事前に作成する必要があります。人の配置などもそこに当然含まれるでしょう。さらに台風8号以上の警報発令前に準備を呼びかける目的で警報予告 (Pre-No.8 Special Announcement)が発令されますので、それが最後の準備チャンスとなります。

休みなのか自宅待機なのか、という意識に関しては、まだまだ経営側と従業員側ではギャップがあります。自社のルールを再読したうえで、マネジャー達と一度ゼロベースで話し合ってみて下さい。私は自宅待機時には本を読めといって嫌われたことがありますが(笑)。

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  • 「雇用条例ガイドブック」解説講座(90分)<香港>
    香港の雇用条例および雇用関連条例の解説:香港の各種関連条例のポイントおよび最新の条例改定動向をご案内いたします。
    【日時】7月 6日(金):16:30~18:00
    【講師】牧野祥子
    【費用】会員様・非会員様ともに無料

 

  • 赴任者向けマネジメントワークショップ(2時間)<香港>
    異文化マネジメントのヒントと現地必須の知識をお教えします。新規赴任者の方は是非とも ご参加ください。
    【日時】7月10日(火):16:00〜18:00
    【講師】黒崎幸良
    【費用】会員様無料・非会員様HK$300-

 

 

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人事労務のアナシスによる誌上相談会

Vol 6「初めての海外赴任ですが、異文化マネジメントに戸惑っています。」

 

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PPW:4月に香港・華南に赴任してきました。やや戸惑っています。香港人、中国人は何を考えているのでしょう。

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黒崎氏

戸惑いは普通です。そもそも違う国です。「中国人とは」などと大上段から話すとステレオタイプで考える事になりがちなのでそれも注意が必要です。それでも違うところは最初から違うと認識しているだけでも、ストレスを溜めないコツになるでしょう。

一番違うと思われるのは、職務と責任の考え方です。日本は与えられた職務そのものがはっきりしていないケースが多いなかで、言われたこと以上をすることをあたりまえ、「責任」と捉える傾向があります。一方当地を含む海外では、職務記述書(JD)に書いてあることが責任範囲です(JDの無い会社も多いです)。言われたことをやり遂げていれば本来は褒められこそすれ咎められないはずですが、日本人からは「言われたことしかしない」と言われがちです。この職務と責任の考えの違いは組織文化によっても違ってきますが、新規赴任の方は最初に気をつけるべき視点の違いでしょう。言われたこと以上をやってもらうには工夫が必要になります。

もっと身近な違いを見ますと、例えば会議の運営があります。遅刻にもうるさい日本では時間通りに始め、結論をもって終わりたい方が多いのではと思います。ところがなかなか始まらない。中国では紛糾してくると、主題から外れていって終わらなくなることもあります。香港ではそもそも発言が少なく冷めていて、内職をやっている人さえも出現するなど、その参加意欲を言及される方も多いようです。日本人は開始時間にはうるさいが、終了時間にはだらしないと言われていることにも注意してください。

外線電話の対応なども、日本的にはストレスが溜まることの一つです。3度鳴るうちに取れない企業がかなり多い。直通電話とその留守電が増えたことも理由の一つかもしれませんし、そもそも日本のビジネスマナーを教えていない企業もあります。そのマナーの必要性の有無も納得できる理由が必要でしょう。業務中のチャットの多さにも驚かれるかも知れません。業務でも使われ始めていますので、一律禁止というよりも、セキュリティを含め利用方法の見直しが求められています。

時間の考え方でも戸惑います。始業5分前には準備完了するのが当たり前という日本的マネジメントと、それならば始業時刻を5分前からとすべきだという当地。考え方の相違ですが、こんなところまでストレスを溜めると仕事になりません。終業時刻30分前から帰る準備を始める部下にあきれるケースもあります。仕事そのものが暇なのか、アサインミスかもしれません。残業を沢山している会社と社員がいる一方で、全くしない人と組織も存在します。ある方は「残業しませんね」といい、ある方は「よく残業してくれます」という。中国では法的に残業代は必須ですが、香港では残業代は無しという雇用契約も可能です。彼らを残業させるモチベーションは何なのかということも考えなければなりません。

これらに加え、労務などの法的な違いなどもありますね。こうした異文化ギャップを乗り越えるには三つのステップが必要です。まず価値観の違いを理解し、尊重すること。そして自分の考えも論理的に主張し、そのうえで自社組織での最適解である「第三の解」を一緒に考えることです。

さて、それら文化の違いもありますが、マネジメントという観点では共通する部分がたくさんあります。人を信頼し、人を通して事業の成功を目指す。できることも沢山あります。

●「雇用条例ガイドブック」解説講座(90分)<香港>
香港の雇用条例および雇用関連条例の解説:
香港の各種関連条例のポイントおよび最新の条例改定動向をご案内いたします。
【日程】6月8日(金)・6月21日(木):いずれも16:30~18:00
【講師】牧野祥子
【費用】無料(一般公開)

●赴任者向けマネジメントワークショップ(2時間)<香港>
異文化マネジメントのヒントと現地必須の知識をお教えします。新規赴任者の方は是非ともご参加ください。
【日時】6月22日(金):16:00~18:00
【講師】黒崎幸良
【費用】アナシス香港ご契約企業様無料・非ご契約企業様

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「雇用条例ガイドブック」発売中
A4判・日本語
香港ご契約企業様:1冊目無料・2冊目以降
HK$300/冊
非ご契約企業様:HK$500/冊
内容:香港の雇用条例・休日条例・労働者災害
補償条例・差別条例・強制退職積立金(MPF)
条例・個人情報保護条例・職業安全衛生条例・
最低賃金条例・台風豪雨警報時の出退勤ガイドライン・雇用に関する調停・裁判の仕組み
※お問い合わせ・書籍ご購入お申込み等はアナシス香港の牧野までご連絡ください。(hkinfo@anaxis-asia.com)

アナシス香港では、弊社発行の「雇用条例ガイドブック」の講座を毎月無料開催しています。香港の最新の条例改定動向を含め、雇用に関連する各種条例のポイントを解説していますので、是非ご参加ください。

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住所 : Suite 8, 12/F., Tower 2, China Hong Kong City,33 Canton Rd., TST
電話 : (852)2180-2005
メール:hkinfo@anaxis-asia.com
ウェブ:www.anaxis-asia.com

 

 


人事労務のアナシスによる誌上相談会

Vol 5「4月に新規赴任してきました。人事労務上で気をつけることは何ですか?」

PPW:新しく香港・華南に赴任してきました。人事労務上で気をつけることはありますか?

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たくさんありますが、人によっても、企業や組織の成長ステージによっても気をつけるテーマは変わってきます。

もし海外が初めての方であれば「異文化」の中での働き方がまず最初のテーマとなるでしょう。責任の考え方、職務や時間に対する考え方、様々な違いを感じると思います。マネジメントをされる立場の方であれば異文化マネジメント、そもそもマネジメントとは何か?から始まる方もいらっしゃるかも知れません。

IMG_2019董事総経理 牧野祥子氏

労務上といえば、香港・中国では適用される労働関係の法律が日本とはもちろん異なります。中国では労働法および労働契約法、香港では雇用条例が日本の労働基準法に相当する法律です。人事労務上の課題の多くはボディブローのように後から効いてくるものが多いのですが、法律違反はすぐに企業の経営に影響しますので、基本的な法律知識の理解は必須です。たとえば「家族は何をしているの?」「結婚する予定は?」などの質問は、香港ですと差別条例に基づき訴えられる可能性もあるのです。

また、4月は多くの日系企業が賃金改定を実施しますので、赴任していきなり賃金改定を行わなければならない方もいらっしゃるかと思います。昨年のパフォーマンスを実際に見ていませんし、引き継ぎも時間が足りなかったりでお困りのお声もよく伺います。評価もそうですが、そもそも当地の賃金の仕組みも理解しておく必要があるでしょう。日本ではまだ多くの企業が「職能給」の考え方で、能力をベースとした人事制度であるのに対して、香港・華南は職務・役割をベースにした「範囲職務給」が一般的です。職務・役割をベースにすると本来「年功給」は採らないのですが、一部の日系企業では運用してしまっているケースもあります。

新規赴任者向けには香港日本人商工会議所がセミナーを開催していますのでご参加をお勧めします。また弊社アナシスでご用意しているのは、異文化マネジメントを学ぶ赴任者向けのマネジメントワークショップ、香港の雇用条例をはじめとした雇用関連条例の大枠を理解する講座、評価やそのフィードバックを学ぶもの、中国労働法や中国での採用、評価を学ぶものなど様々な講座・研修を有料・無料でご用意しております。是非ご活用ください。

●赴任者向けマネジメントワークショップ(2時間)<香港>
異文化マネジメントのヒントと現地必須の知識をお教えします。
新規赴任者の方は是非ともご参加ください。
【日時】5月18日(金):16:00~18:00
【費用】アナシス香港ご契約企業様無料・非ご契約企業様HKD300-

●フィードバック講座(90分)<香港>
フィードバックとは、情報伝達のためのティーチング的なアプローチと、
振り返り・立て直しのためのコーチング的アプローチの2つを包含する
コンセプトの人材育成の一手法です。耳に痛いことも伝えねばならない
管理者の方へ、このフィードバックの入門編をレクチャーします。
賃金改定時にも活用できるものにします。
【日時】5月10日(木):16:30~18:00
【費用】アナシス香港ご契約企業様・非ご契約企業様ともに無料

いずれも講師は黒崎幸良(アナシスグループCEO)、開催場所は弊社会議室です。

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人事労務のアナシスによる誌上相談会

Vol 4「低い評価はどうフィードバックすればいいのか?」

 

PPW:パフォーマンスのよくない社員に低い評価をしたいのですが、フィードバックは必要でしょうか?どうすればよいのでしょうか。

評価を行う目的に戻って考えてみましょう。昇給や賞与を抑えたい、ということもあるかもしれません。ただ、評価は賃金・賞与などの待遇決定だけでなく、従業員の育成も意図しています。会社としてとって欲しい行動を指し示していくものです。そこで ここで は「 低 い 評 価 の 人 へ のチャンスを与えること」という文脈で回答していきます。

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低い評価を部下が理解するには条件があります。それは「1.評価基準が予め設定し伝えられていること 2.評価の根拠となる事実があること 3.上司が評価者として受け入れられ、信頼されていること 4.日常上司とコミュニケーションがとれていること 5.次はどうすれば評価が高くなるかの具体案を部下が納得できること」

これは日常のマネジメントそのものです。納得のいく目標の共有と日常からのフィードバックがあってこそ、はじめて理解されます。これらの条件があったうえで、なおかつ低い評価である場合には事実をベースにした論理的な説明が必要となります。

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さて、実際にその低い評価を伝える時の鉄則には二つあります。ひとつは「悪い重い話は詳細が先、結論が後」ということです。ビジネスの世界では「結論から言う」のがコミュニケーションの鉄則だと思います。しかし重い話は別です。詳細を話していると結論を相手が想像できるようになり、突然結論を言われた場合と比べ、聞く側も心の準備ができると言われています。もうひとつの鉄則はサンドイッチ話法。悪い評価をいい評価に挟んで話すというものです。まず高い評価の中でできることから話します。そして低い評価へ。そしてもう一度良い評価の話に戻って、その部下の全体評価と将来への動機付けをするというステップとなります。

それでも低い評価結果は、部下達にとってはなかなか受け入れられないものです。昇給や賞与の額にも影響が出ますので、当然その論理性・公正さを求めてきます。あらゆる角度から反論してくるかも知れません。事実の見方への反論、「なぜあの人は?」といった他者との比較、そもそもの目標の妥当性、あるいは全く関係ない私的な状況の訴えまで、本当にさまざまです。だからこそ事前準備が必要なのです。

 部下達の成長を心から願い、その成長の可能性を信じること。これができる上司ならば、部下がその低い評価を受け入れることもあるでしょう。可能性を信じるからこそ勇気を持って、耳の痛いフィードバックができるのです。当面の人間関係の悪化回避が最優先であれば、フィードバックしないという選択肢もあります。ただ、茶を濁す決断はクセになる。癖になったマネジメントは、なかなか変わらないものです。低い評価の人を奮起させるのもマネジメントの醍醐味ではないでしょうか。

● 【新企画】フィードバック講座(90分) (公開講座)
ここで言うフィードバックとは、情報伝達のためのティーチング的なアプローチと、振り返り・立て直しのためのコーチング的アプローチの2つを包含するコンセプトの人材育成の一手法です。耳の痛い事柄も伝えねばならない管理者の方へ、このフィードバックの入門編をレクチャーします。

【日時】4月12日(木):16:30~18:00 
【言語】日本語
【講師】黒崎幸良 アナシスグループCEO
【費用】新企画として、どなた様も無料でご参加いただけます

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香港ご契約企業様:1冊目無料・2冊目以降HKD300/冊
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内容:香港の雇用条例・休日条例・労働者災害補償条例・差別条例・強制退職積立金(MPF)条例・個人情報保護条例・職業安全衛生条例・最低賃金条例・台風豪雨警報時の出退勤ガイドライン・雇用に関する調停・裁判の仕組み

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人事労務のアナシスによる誌上相談会 Vol 3

 

PPW:年に1回の賃金改定のフィードバックをしたいのですが、初めてなのでどうしたらいいか分かりません。どうすればいいですか?

Photo ①董事総経理 牧野祥子氏

誌上相談会3回目は、評価面談についてです。赴任されてすぐの評価で、全くこれまでの行動を見ていない中でのものは、前任の評価を信じてその内容をフィードバックして理解を得るしかなく、どんなに反論されても説得は難しいかも知れません。ある意味、人事には言い切りも必要です。次の節に記載の準備を前任者にしっかり聞いてから面談してください。

一方初めてでも、ほぼ1年間の評価期間マネジメントしてきた場合、次の準備をして面談に臨んで下さい。その事前準備とは、(1)評価基準のある目標(2)日々のマネジメントと事実データ(3)評価結果とそこへいたる論理(4)個々の賃金情報とマーケットプライスの把握(5)個々のミーティングシナリオ(6)次期目標案(7)その他のマネジメントスケジュールです。

そして、十分な面談シナリオを用意した上で面談に臨みます。評価面談の目的は、「その期間での仕事の評価について話し合い、双方の認識を一致させる」「メンバーの成長のための目標や課題を明らかにする」「評価結果としての新しい待遇を知らせる」の3つです。

面談には6つのステップがあります。(1)アイスブレークしてから面談目的を知らせる(2)期初目標を本人に確認する(3)部下の自己評価を聞く(4)上司の評価を論理的に説明する(5)一致点とズレのすり合わせ(6)今後の課題を確認する。賃金の提示がある場合はこの最後がいいでしょう。

まず(2)で当初の約束を本人に思い出してもらい、自分の口から話してもらいます。「まず評価結果だが、Bだ」などと上司が結論から話すのは、ここでは避けたいところです。上司と部下の評価はずれているのが残念ながら普通です。評価が一致しているとすれば、それは日常のマネジメントがよくできているということです。目指すべき状態ですが、なかなかそうはなりません。

上記の様なステップを踏みながら、部下の言い分をしっかり聞いてあげる事が大切です。

そこへの理解を示しながらも、目指すべき目的や目標に戻って説明し納得してもらう。納得出来なくても、少なくとも理解はしてもらうことを目指す事になるのがこの面談です。

期初の目標設定が本当に重要なのだと改めて気付くのも、日頃のマネジメントができていなかったなと困るのもこの時期です。1年に1回の真剣勝負ではなく、毎日のマネジメントが真剣勝負なのです。

この面談一つで、人が残るか去るかも決まる事があります。その意味では本当に真剣勝負。ただ、評価は処遇決定だけが目的ではありません。部下の能力開発という大事な目的もあります。また、日々の評価は「目標達成への軌道修正」という役割もあります。この三つの目的を考慮して、面談してください。

アナシス香港ではこうした評価についてのアドバイスの他、評価者研修や評価制度構築のサポートをしておりますのでお問い合わせ下さい。

●中国総経理の王鋭による評価者研修(中国語)
個別企業に合わせてプログラムをご提案しています。

●評価者研修(日本語)
・ご契約企業様向け公開評価者研修
・講師:黒崎幸良 アナシスグループCEO
2018年3月2日(金曜日):14:00~18:00
・費用:アドバイザリープラン HKD900/名
   エントリープラン  HKD1,800/名
(ご契約企業様のみの研修になります。個別企業向けもご提案しています)

Photo③

「雇用条例ガイドブック」発売中
A4判・日本語
香港ご契約企業様:1冊目無料・
2冊目以降HKD300/冊
非ご契約企業様:HKD500/冊
内容:香港の雇用条例・休日条例・労働者災害補償条例・差別条例・強制退職積立金(MPF)条例・個人情報保護条例・職業安全衛生条例・最低賃金条例・台風豪雨警報時の出退勤ガイドライン・雇用に関する調停・裁判の仕組み

「雇用条例ガイドブック」講座
2018年3月8日(木曜日):16:30~18:00
講師:牧野祥子
費用:香港ご契約企業様・非ご契約企業様ともに無料です。
※お問い合わせ・書籍ご購入お申込み等はアナシス香港の牧野までご連絡ください。(hkinfo@anaxis-asia.com)

アナシス香港では、弊社発行の「雇用条例ガイドブック」の講座を毎月無料開催しています。香港の最新の条例改定動向を含め、雇用に関連する各種条例のポイントを解説していますので、是非ご参加ください。

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住所 : Suite 8, 12/F., Tower 2,China Hong Kong City,33 Canton Rd., TST
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Vol 2「最新の雇用関連の条例改定動向は?」

 

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董事総経理 牧野祥子氏

PPW:香港の産前産後休暇の日数が増加されると聞いたのですが?

数回に渡って、誌上でご質問にお答えしていきます。第2回目は、香港の労務関連のご質問です。お問い合わせの産前産後休暇については、2017年10月に行政長官が発表した「施政報告」の中で取り上げられました。その後も度々メディア報道で取り上げられ、日数増加は確定ですか?何日になりますか?いつから施行されますか?というお問い合わせもいただいています。順を追って動向を見ていきます。

産前産後休暇(Maternity Leave):《雇用条例》第12条
•連続10週間の産前産後休暇;
•出産日が出産予定日より遅れた場合、出産予定日の翌日から実際の出産日までの期間;
•労働者が妊娠および出産を理由として疾病あるいは就労不能の状態が生じた場合、最高4週間の追加の期間。

2017年10月、行政長官は「施政報告」の中で、上記の内の連続10週間の産前産後休暇日数増加案を提示し、今後3年程度の時間をかけて調査・研究を行うと発表しました。2017年12月には、労工・福利局局長がブログの中で、国際労働機関(ILO: International Labour Organization)が提唱する14週間を政府初期案として産前産後休暇日数の増加について調査・研究を進める意向であるとコメントしました。

条例が改定・施行されるまでには、情報収集・政府官報・立法会での第1回審議・第2回審議・第3回審議の過程を経ます。産前産後休暇日数の増加については、まだ情報収集段階で、これから調査・研究が始まるところです。

また「施政報告」の中では、父親向けの育児休暇日数の増加についても取り上げられました。

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父親向け育児休暇(Paternity Leave):《雇用条例》第15E条
•配偶者/パートナーの毎回の出産につき3日間

2017年10月の「施政報告」では現行の3日間から5日間へ増加させる案が提示されました。2017年12月には、労工顧問委員会が政府案に賛成し、2018年1月にも立法会へ案を提出するとメディアで報道されました。政府は2018年内の改定・施行を目指すとしており、父親向け育児休暇の日数増加については比較的はやく改定・施行されるのではないかと思われます。日数増加にともない、雇用契約書や就業規則で規定している既存ルールの内容確認、法律よりも良い条件でルール設定している場合などは会社方針の決定、雇用契約書・就業規則や申請フォームの改定、労働者への説明・通知の準備など、改定施行前に社内における事前準備を行っておくことをお勧めいたします。

その他、MPF会社側積立金の解雇補償金・長期服務金への充当廃止案がホットトピックとして注目されています。かねてより挙げられていた案件ですが、昨年1月から具体的に検討されるようになり、2017年10月の「施政報告」でも、充当廃止による中小企業への影響を考慮し、政府として財政面での補助を行うことを強調するとともに具体的な方策を発表すると言及されました。2017年末までに具体策が発表される予定でしたが、その後の報道で政府は発表までにはもうしばらく時間がかかるとコメントしています。充当廃止の方向性はほぼ確定といえそうですが、本件もまだ情報収集・調査・研究段階です。《MPF条例》をはじめ、《雇用条例》の解雇補償金・長期服務金の計算方法や上限金額といった関連条項など、今後どのように改定されることになるのか動向が注目されます。(2018/1/10時点)

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2018年2月8日(木曜日):16:30~18:00
講師:牧野祥子
費用:香港ご契約企業様・非ご契約企業様ともに無料です

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Vol 1 黒崎幸良氏と牧野祥子氏に伺った

 

PPW:現地管理者に自分の頭で考えるようになってもらうには、どんな研修をしてけばいいでしょうか?

48798自分の考えを語らせるツールとして、GoogleやIKEAなどがトレーニングや人材開発のツールとして導入している「Points of You®」もアナシスでご紹介しています。

数回に渡って、誌上でご質問にお答えしていきます。第1回目は、現地化を進めたい企業様からよくいただくご質問です。そこには「研修」とありますが、外部の研修だけでは、中々自分で考えるようにはならない事はお分かりだと思います。日常の現場の中が常に考える場となっているかどうかという、環境が課題となります。その環境が人を考えさせていくのです。

そもそも他人の頭で考える事なんて出来ないのに、あえて「自分の頭で」という理由はなんでしょうか。「他人の頭で考えた知識」を得る事が考えることだと勘違いしている人がいます。知識を思考だと間違った認識をしている人は、答えを探してきます。知識は思考ではありません。逆に知識がバイアスになって思考を間違えさせたり、思考の代用となって思考力を低下させることさえあります。

思考とは、インプットである情報をアウトプットである結論に変える事。すなわち何かを決めることが含まれています。この定義にしたがうなら、管理職には問題が起こったときの対応のジャッジをさせる、目標設定そのものを任せてみる、意思決定をさせるなどなどの、何かを決めさせるプロセスを体験させていく事が、「自分の頭で考える」環境となるでしょう。日々が思考訓練です。

もしそれを疑似体験させることを「研修」とするならば、思考訓練的なもののプログラムはできるでしょう。しかし日常の中で、現場で使える判断をさせていかないと能力としては身につきません。

そしてこの課題を考えるときは、そもそも論に戻って思考する三つのことが重要だと思います。そもそもご質問いただいた上司の方も、自分で考えているのでしょうか。我々はその上司の部下育成能力開発から提案します。自分たちで「自分で考える部下を育成」するテーマを考え抜く。その上司の日常の部下への関わり方で、部下の考える力が変わるわけですから。部下本人の「研修」よりも重要性は高くなるのです。分からないことはすぐ外に聞き、1から10まで指示命令だしている上司のもとで、考える人材は生まれません。

そして次の「そもそも」には、稚拙な答えに上司は耐えられるのかと言う課題があります。自分の頭で考えさせればさせるほど、稚拙だったり間違ったりした答えがでてきますが、果たしてそのレベルを許せるのでしょうか?そして考えさせることを諦めていく人も多いのです。今結果を出さねばならない上司に待てるのでしょうか?

最後の「そもそも」は、「自分で考える人材」が育った時に、自分や会社にその人をつなぎ止める力はあるのでしょうかというものです。結構なパワーが必要です。

それでもなお「自分の頭で考える管理職」が必要な理由があるのだと思います。それを明確にしていく過程を経て、上司自らが変わり、部下を取り巻く日常を変え、部下へ具体的な要望をしつづけて、部下の要望にも応えていくことになるでしょう。

黒崎幸良
アナシスグループCEO 黒崎幸良氏

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董事総経理 牧野祥子氏

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