香港防犯セキュリティ白書「Vol. 4 旅行安全‐香港の街中と宿泊施設での安全対策」

2025/07/02

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香港で警備会社を営む、東洋警備(香港)有限公司の岩見です。大ヒット中の香港映画『トワイライト・ウォーリアーズ 決戦 九龍城砦』に魅せられ、この街を訪れる方が増えており大変嬉しいです。そのため、今回は街中と宿泊施設での安全対策のお話をいたします。香港では観光客の増加を受けてスリや詐欺、室内盗難が増加傾向ですが、警察の存在が安心を支えています。加えて、ちょっとした防犯の心構えで旅行中の安心感を高めましょう。

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街中ではスリと詐欺に注意
香港の繁華街はまだ残っているネオンや街の賑わいで観光客を魅了していますが、スリや詐欺が増加傾向にあり、スリ犯罪は年間数千件と言われています。露店や飲食店でも多発しており、混雑時には特に注意が必要です。たとえば、夜市でバッグを盗まれた旅行者が、近くの警察署に届け出て所持品の一部を取り戻した事例があります。香港の夜市は観光客に人気ですが、観光客は繁華街の活気を楽しみながら、常に貴重品に気を配ってください。

香港の安全度と警察力
Numbeoと言う世界の都市の安全や生活費を比較するサービスをご存知でしょうか。この安全指数は犯罪率や安全感に基づく指標であり、値が100に近いほど安全です。
2025年の安全指数では、香港は78.5で6位、例えばロンドンは約45.2で110位前後、東京は約75.2で10位前後となっているので香港はロンドンより安全で、東京に近い水準です。香港には約33,000人の警察官がおり、1平方キロメートルあたり約30人いる計算で、東京の約20人の1.5倍となり、これが香港の安全を支えています。尖沙咀や旺角では数分歩けば警察官に会えるほどです。近年は街の監視カメラが増設されており、尖沙咀のMTR駅近くでスリに遭った旅行者が、監視カメラで犯人を特定し、被害回復につながった事例もあります。また警察官の密度が非情に高いということは、何かがあった時には大きな声で「HELP!」と叫べば近くにいる警察に声が届く可能性も高いのです。
夜間の香港を安心して楽しむには、リュックやショルダーバッグを体の前に抱え、混雑した場所では片手で押さえるといった「油断をしていない」姿勢を見せるのが大事です。多額の現金は持ち歩かず、クレジットカードや安全な電子決済を活用してください。また怪しい偽案内や割引勧誘にも警戒しましょう。

宿泊施設での室内と金庫の管理
ホテルやゲストハウスでも油断は禁物です。室内盗難や金庫の管理ミスが報告されています。たとえば、香港のホテルで金庫の初期設定(0000)がリセットされず、0000で開いたため、旅行者がフロントに通報した事例があります。
宿泊中の安全を確保するには、パスポートや現金は部屋に放置せず、金庫に預け、初期設定(0000)を試して開かないことを確認した後、暗証番号を設定してください。清掃中は貴重品を残さず、心配であれば清掃に立ち会うか「清掃不要」の札を部屋のドアに掛けてください。カードキーは肌身離さず管理するのが基本ですが、4~5つ星ホテルならカードをフロント金庫に預けるのも安心です。複数人なら信頼できる同行者との一括管理も有効です。警察の指導で街のセキュリティは年々向上しておりますが、油断は禁物です。

緊急時の対応
トラブルに遭遇したら迅速な行動が大切です。スリや盗難は直ちに警察署か最寄りの警察官届け出を、999に電話すれば24時間英語で対応可能です。室内盗難や不審者はフロントに連絡し、警察の対応に任せましょう。困ったときは日本領事館(+852-2522-1184)にも相談できます。第三回で紹介したパスポート紛失の手順も忘れずに。

まとめ
スリ、詐欺、室内盗難が増加傾向にありますが、街中や宿泊施設の安全は基本的な対策で守れます。香港の警察力を活かしつつ、安全に対する姿勢をもって香港の夜市や絶景を楽しみ、香港の魅力を存分に味わってください!


 

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岩見龍馬氏岩見 龍馬
東洋警備取締役。銅鑼湾SOGOの警備会社として、父の武夫氏が創業し、二代目の龍馬氏が引き継ぎ、現在40周年を迎える。近年ますます多様化する香港の犯罪・防犯について、幅広い知識を配信中。

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