目から鱗の中国法律事情「中国食品チェーン安全監督の強化 その2」

2025/07/02

中国の法律を解り易く解説。

法律を知れば見えて来るこの国のコト。

 

Vol.101 中国の食品チェーン安全監督の強化 その2

前回から、2025年3月13日に発布された「中共中央および国務院による食品安全のチェーン監督の一層強化に関する意見(中共中央弁公庁国務院弁公庁関于進一歩強化食品安全全鍵条監管的意見)」という、食品を生産者から消費者の口に入るまで連続したチェーン的な食品安全の強化を目的とした意見について見ています。今回は、前回の続きで、この意見の二から見ていきましょう。

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(二)食用農産物の原産地と市場参入の関係を強化する。農業・農村部門と市場監督部門は、調整と協力を強化し、合格証の表示が食用農産品の産地から搬出することと市場搬入の間の架け橋となる作用を持つようにするものとする。農業・農村部門が合格証を表示することを承諾した場合、関連する業務の指導サービスおよび監督検査を経て、市場に並べることができ、規定された市場へ並べることを許される合格証を表示していない場合は、法によって調査され、食品農産物が市場に出る前に禁止薬品および規制を超えた薬品の残留がないか測定を強化するものとする。市場監督部門は、食品採算経営者へ商品検査の強化を通知し、食用農産品を市場で法にしたがって展開し、検査もしくはサンプリング検査をし、禁止薬品および規制を超えた薬品の残留がないか測定を行うものとする。食品生産経営者が、合格証の表示を許された食用農産品を優先的に取り扱うことを奨励する。合格証を表示することを承諾する問題について、通報し、捜査する制度を確立し、不合格商品の処置過程についても改善を行う。

(三)食肉製品検査検疫証明書の検証を強化する。農業・農村部門は、食肉製品の検査と検疫証明書の管理を強化し、食肉処理と検疫証明書の情報体系を確立し、肉類製品のペーパーレス証明書の品質検査を促進し、検査検疫証明を公開し、明確に検索できるようにしなければならない。家畜や家禽に水や他の物質の注入を禁止する関連規定を完全なものとする。市場監督部門は、食品生産経営者に対して、食肉製品の検査検疫証明書を食肉製品購入検査の基本的な証明書とするよう促さなければならない。積極的に情報技術手段の応用を模索し、農業・農村部門との情報共有と相互接続を強化するものとする。

これらの規定からまず食品に貼られているラベル(品質に関する合格証)の信頼を大きくあげようとしている姿勢が見えます。(続く)


高橋孝治〈高橋 孝治(たかはし こうじ)氏プロフィール〉
立教大学アジア地域研究所特任研究員
北京にある中国政法大学博士課程修了(法学博士)、国会議員政策担当秘書有資格者、法律諮詢師(中国の国家資格「法律コンサル士」。初の外国人合格者)。中国法研究の傍ら、講演活動などもしている。韓国・壇国大学校、東アジア人文融複合研究所、海外研究諮問委員や市民大学「御祓川大学」の教授でもある。著書に『ビジネスマンのための中国労働法』、『中国社会の法社会学』他多数。『時事速報(中華版)』(時事通信社)にて「高橋孝治の中国法教室」連載中。

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