日本企業の海外展開支援のため「JETRO」

2025/06/04

2024年9月末に、現職に着任した杉山玲子所長。シンガポールやアメリカ赴任の経歴を持つなど海外経験豊富な彼女だが、日本好きな国民の多いこの香港マーケットは日系企業にとって依然としてチャンスがあると話す。公的機関としてどのようなサービスを提供しているのか具体的に伺っていこう。

所長 杉山 玲子氏

所長 杉山 玲子氏

-JETROを利用するメリットを教えてください
私たちの業務は、中小企業様の海外展開支援、日本産食品輸出支援、イノベーションの活性化、そして調査の4つを主な柱としています。特に、香港へ進出を考えている企業様にとって一番大事なことは、正確な現地情報ですよね。そのために当機関では情報収集により力を入れ、ウェブ上で随時発信しています。

さらに、上記だけでなく実際に企業様にお会いするブリーフィングサービスも無料で行っています。「公的機関だから敷居が高いのではないか」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、実際そんなことはまったくなく、ホームページからお気軽に申し込みいただけます。企業様には香港視察や出張の際にぜひ足を運んでいただきたいと思います。

香港と言えば国際的な展示会の種類の豊富さと規模が挙げられますが、当機関では特定の展示会に定期的にジャパンパビリオンを組織し、取引先との接点を獲得するサポートも行っています。単独でブースを構えるのはアピール力に欠けてしまったり、手続き上も手間がかかりますが、集合体でなら集客力も期待できますし、何よりも当機関がワンストップで運営のお手伝いをしますから、企業様はより本業に専念していただけるのではないでしょうか。

-コロナ禍を機に始めたプロジェクトとは何でしょうか
日本産食品のサンプルショールーム(※)ですね。やはり食品は、可能な限り実際に見て食べていただくのがバイヤーにとっても最短のルートです。食品メーカー様に商品のみを送っていただき、こちらでオンライン商談会をするなど香港バイヤーが迅速にアクセスできるプラットフォームを作り上げ、双方向のアプローチが可能になっています。オンラインシステムの発展も手伝い、少なめの先行投資で海外マーケットにおいてビジネスをスタートできる仕組みが現代ではより求められていますね。
※本年度より、サンプルショールーム事業を「グローバル・ゲートウェイ事業」に改名

-近年の進出企業数についてどのような変化がありましたか
2024年の新規進出企業数は香港全体で過去最高の9,960社ありました。中でも24年6月時点で日系企業累計数は1,430社と前年よりも増えているのが現状ですね。世界的に不景気と言われていますが、立地のよさ、金融や経済のハブという香港特有のポテンシャルは変わることはないでしょう。

-とはいえ、「北上消費」「円安」などチャレンジングな近年、日系企業はどのような対策が求められますか?
「事業コストが高い」という側面はどの企業様も直面することですが、利用できる制度に目を向けていただきたいと思います。香港政府が在香港企業に対して打ち出している補助金制度は現在約40あり、当機関ではその中から日系企業様に関連のある制度をご紹介することが可能です。個々で申請しようとすると英語の資料や複雑な手続きといったひと手間が生じてしまいますが、そういった場合でも専門家をご紹介していますので安心してお問合せいただければ幸いです。

輸入のハードルの低い香港では商流スピードが速く、またその自由度の高さも魅力的な市場です。クオリティーの高い日本のもの、そしてそれを受け入れる目の肥えた香港人、これらの要素にアグレッシブかつフレキシブルな態勢を持ち続けていけば、また新たな企業価値を作り出せるのではないでしょうか。

-今後注力したい事業はどんなことですか
一つ目がGBAの情報収集および情報提供ですね。24年秋以降開発計画が進んでいる同エリアでは新たな助成金や税制優遇政策が発表されています。当機関も中国側事務所と連携をとりながら対応にあたっております。
二つ目は、香港域内でもサイエンスパークやサイバーポートでスタートアップの支援が行われていますが、新しい技術をもった企業と日系企業様がコラボレーションする「オープンイノベーション」のきっかけを作ること。その他、従来通り、食品・ジュエリー・化粧品展開のサポートも引き続き行ってまいります。

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日本貿易振興機構 (JETRO) 香港
Room 4001, 40/F., Hopewell Ctr.,
183 Queen’s Rd. East, Wan Chai
(852)2526-4067
www.jetro.go.jp/jetro/overseas/cn_hongkong

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