教えて!総経理!
ゼロイチの達人
香港健康食品業界に日本の技術で挑む
懿生堂(香港)有限公司
CEO 澤原 隆司氏

プロフィール(JETRO香港健康食品コーディネーター)
神戸市出身。1985年大丸百貨入社、マーチャンダイザー、デコレーターを経て、88年ヤマトマネキン立ち上げのため香港へ。98年柴田設計事務所でマレーシアの日系企業の内装デザインを担当し、03年フクシマガリレイ株式会社で海外子会社設立・運営に従事し、12年に香港モスフード社長就任。23年に現E-SEIDOのCEOへ。
大丸百貨店のマーチャンダイザー、デコレーターからキャリアをスタートさせた澤原さん。その後、店舗デザイン、内装設計、厨房機器・設計、飲食コンサルタントなどを経て香港モスフード社長を経験し、2023年に現職であるE-SEIDO(懿生堂)のCEOへ。彼の経歴を履歴書にしたためるならば、何枚、何十枚と要しそうだが、「就職活動をしたことがない」と笑顔で話す澤原さんにご経歴から現在のお仕事内容を伺った。
初めて香港にいらっしゃったのは日系百貨店の黄金期だったとか?
そうですね。1988年の来港当時、三越、大丸など多くの日系百貨店や量販店が軒を連ねていました。大丸退職後にヤマトマネキンに就職し、香港やシンガポールのマネージメント全般、室内装飾業務を行うことに。香港AEON1号店を手がけたことを昨日のように思い出されます。
その後、1998年に日系内装デザイン会社にご縁をいただき、マレーシアで伊勢丹やAEONなどのプロジェクトに従事しました。2012年に香港モスフード社長へ就任し、お隣広州をはじめ、シンガポールやインドネシアも兼任することに。香港では「50店舗展開(実際は49店舗)」をほぼ網羅したことで卒業いたしました。
およそ10年単位でキャリアアップをされているようにお見受けします
意図はしていないのですが、だいたい10年くらいで新規事業が安定し、軌道に乗ってくるんです。自分が今まで培ってきた経験や知識を生かし、会社や人をつなげ新しい価値を生み出すことにやりがいを感じますね。また10年くらいでその会社のスタッフの方が私よりずっと上手にオペレーションできるようになるので、安心して任せることができます。
2023年に現在のE-SEIDO・CEOになったいきさつを教えてください
弊社はもともと1973年に科学者である佐藤一雄によって台湾で創業し、その後中国に、2012年には香港にオフィスと工場を開設しました。佐藤家と私はもともと親戚でしたので、薬剤師・漢方医である二代目現会長(佐藤恵子)がアメリカオフィスを展開するタイミングで、私が香港マーケットの代表になりました。香港に住んでいる方ならおわかりだと思いますが、香港は薬局の数がとても多いですよね。街中でも一軒挟んでまた薬局というような現象をよく見ますし、涼茶や漢方スープを飲む習慣があります。このように香港の方は、世界の中でも健康意識がとても高い地域であるということがわかります。E-SEIDOのオファーをいただいた時に、高齢化に伴いヘルス業界のマーケットは拡大し続けることもわかっておりましたので、次なる挑戦の場に決めた次第です。
澤原さんが就任して開始したプロジェクトはありますか?
一つはハラル認証を受けたことです。みなさんは薬やサプリのカプセルが豚や魚などの動物性たんぱく質から作られていることをご存知ですか? こうした動物由来のカプセルは安価で品質も安定している一方で、原料が牛や豚由来であることから、宗教上の理由で近年では使用を避けるケースが増えてきています。弊社はこの点に着目し、ムスリムの方でも安心して摂取していただける製品開発を進め、認証を受領することができました。
もう一つはOEM製品の強化です。物流網が拡大し、外地から商品が入り競争は激化している昨今、健康志向の高い消費者は日本や香港メイドのクオリティーの高いものを求めるようになっています。以前よりお付き合いのあったcity’super様やA-1 Bakery様と協力しプライベートブランドを展開、小ロットでコスト的にも量的にも気軽に手に取っていただける商品を開発しました。
その他に貴社の売れ筋商品を教えてください
近年では老化防止や健康維持に効果があると期待される「NMM」が人気です。ニコチンアミドモノヌクレオチド(Nicotinamide mononucleotide)というビタミンB3の中に含まれる成分の略で、年齢とともに生成量は減少していくので、サプリなどで補った方がいいとされています。
皆さんは海外製の薬やサプリメントなど、大きさや量で飲みにくいと感じたことはありませんか? 特にサプリの世界では、開封するとカプセル同士や容器と付着していることが散見されます。私が日本の技術に対し驚いたのが、カプセルひとつとっても付着しにくいコーティングや温度管理を徹底して行っているところです。また私たち開発チームは、服用するサプリメントの効能によって、胃や腸などカプセルが溶ける過程を設計しています。やはりこれらの日本技術は香港をはじめ世界にアピールできるものですね。
今後の展望をお聞かせください
上述の通り日本の健康食品技術は本当に素晴らしい。私もこの業界に入り知らないことに出会うと驚き、そしてワクワクするんです。「薬は飲みたくないけれど、長生きしたい」このような誰もが持つ時代のニーズに、弊社の製品がますます応えていけるように頑張りたいと思います。



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懿生堂(香港)有限公司
E-SEIDO(Hong Kong)Limited
Unit 8, 8/F., Block E, Wah Lok Inds. Ctr., 31-35 Shan Mei St., Fo Tan, NT
(852)3996-9746
e-seido.com
CTD作成業界の草分け
日本の高度な医療技術を世界へ

株式会社メディライト
代表取締役 幕田尚幸氏
日本国内にはメディカルライティング専業の会社がほぼ無い2002年に創業して、現在では草分け的存在と言える「株式会社メディライト」。潰瘍性大腸炎、痛風・高尿酸血症、多発性骨髄腫、生殖医療関連治療薬などのCTD(承認申請書類)の作成、不妊症領域を始めとする臨床論文の作成などを行っている。日本での上市が切望された薬剤開発の多くに関与する同社の「先見の明」とは?
Q:さっそくですが、会社勤めから独立して現会社を設立した背景をうかがえますか?
A:はい。大きなターニングポイントは、2002年(平成14年)の薬事法改正です。これにより、申請書の書式が明確化されるとともに、記載事項が大幅に増えました。このため製薬会社は、従来自社内で行っていた申請書類の作成を、積極的に外部に委託するようになりました。この流れをチャンスと捉え、東京でメディカルライティング専業の会社として(株)メディライトを設立しました。
メディカルライティングとは、一般的には医学的な内容を含む文章の作成すべてを指しますが、製薬業界におけるメディカルライティングとは、CTD(Common Technical Document)や医学論文の作成を意味します。このCTDとは、医薬品を開発して各国の規制当局に申請し承認を得る際に求められる、申請書の書式のことです。設立当初は同業者がほぼ皆無に近く、先駆者としての地位を確立できたと自負しています。おかげさまで話題性の高い製剤のCTD作成依頼が、今に至るまで途切れることなく続いている状況です。
Q:香港オフィスの立ち上げはいつ頃でしたか?
A:2017年です。香港メディライトは日本を代表する不妊診療クリニック、C型肝炎治療専門病院、がんの重量子線やサイバーナイフを用いた治療施設等とともに、広くアジア諸国の患者さんを本邦に受け入れる体制を構築することを目的とした、医療ツーリズムを本業とする会社として設立しました。しかしコロナ禍により予定変更を余儀なくされたことから、日本でのメディカルライティング業務を引き継いで行うとともに、臓器癒着防止材(ナノシート)などの医療資材の中継ぎ貿易を行う準備をしています。このナノシートですが、来年に日本で承認を取得する予定であり、弊社は持ち前の申請書作成能力を活かして、同製品をアジア諸国で上市することを目指しています。
Q:メディカルライティングの講師としても活躍されていますね?
A:そうですね、大学や製薬会社からオファーを受け香港と日本を行き来しています。メディカルライティングには文章力よりもむしろ、科学的根拠に基づいた的確な記述が求められます。私たちは「ノンフィクション作家」でなければなりません。申請書として客観的かつ簡潔に、生物統計学に基づくデータを用いて作成します。また、臨床試験結果は症例数の限られたデータであることから、上市後の安全性を100%保証することはできません。このため、同種同効薬のデータに基づいた予測されうる副作用などを検討して記すこともあります。CTDは数百ページに及ぶ専門的な文書なので、作成には薬剤師を始めとする複数の者が数カ月間携わり、作成の報酬は数百万~数千万円とさまざまです。
Q:もともとは医師を目指していたとか?
A:そうですね(笑)。親戚の影響もあり、学生の頃は医者になることを志望していましたが、受験にやぶれ滑り止めで受けた某大学の薬学部へ進学しました。振り返ると、これも今の仕事へ通じる道すじが引かれていたのかもしれません。
卒業後は製薬会社の研究所に入社し2年。その後製薬会社の臨床開発チームに転職しました。当時はまさに遺伝子組み換え製剤など画期的な開発が続いていた時代です。ここでの経験はとてもおもしろく、CTDを作成する私のキャリアの土台になりましたね。独立して大手製薬会社から依頼を受けるようになった今、学会をリードする研究者や医師とつながりを持てることに、ただただ感謝の想いです。
Q:日本の生殖医療の中で画期的なイベントにも貴社が関与されたそうで。
A:2018年、日本産婦人科学会が受精卵の遺伝子検査「着床前診断」を解禁したニュースは、メディアでも取り上げられご存知の方もいらっしゃるでしょう。弊社は当該臨床研究のパイロット試験のプロトコール作成および臨床データの集計作業を受託していましたが、これらの文書作成業務の大半は香港で実施したんですよ。日本の生殖医療のあり方を左右しかねない重要な臨床研究が、香港と東京を結んで行われていたことを知る人は少ないかもしれませんね。
Q:最後に今後の展望をお聞かせください。
A:日本の高度な素材製造技術が集約されたナノシートを始めとする医療用具を、世界に展開していきたいですね。ナノシートは早稲田大学理工学部で開発された素材であり、臓器癒着防止目的以外にも応用範囲の広い素材ですので、Hong Kong Science & Technology Parks Corporation(HKSTP)とコラボできる余地を検討するなどして、日本の大学発技術の商品化をさらに進めたいと思っています。
「人材を大切にして、決して手放さない」これは弊社のモットーです。弊社のスタッフはほぼ創業時から変わらぬ20年以上の古参兵。これからも勤続年数と比例して蓄積したノウハウとともに、業界の先駆者として頑張りたいですね。

大学での講義の様子
株式会社メディライト
製薬会社出身の代表取締役・幕田氏によって2002年に日本、2017年に香港で創業。医薬品・医療機器の申請書および臨床論文作成のほか、香港を拠点に日本の医療関連技術および商材の海外展開を目指している。
http://mediwrite.life.coocan.jp
120年以上続く日本のブランド
正露丸がアジア圏でヒットした理由とは
大幸藥品(亜洲太平洋)有限公司
総経理 李少程氏
私たちの生活に深く根付いている家庭常備薬「ラッパのマークの正露丸」。販売開始から120年以上経つ今でも、競合他社を引き離し、日本だけでなく海外でも多くのファンを獲得しつづけている。今回は香港をはじめ台湾、中国、その他アジアを統括する大幸藥品(亜洲太平洋)有限公司の総経理、李少程氏にお話を伺った。
Q:ご入社のきっかけからお聞かせください。
A:日本との出会いは19歳の時です。80年代当時はまさに留学ブーム。その波に乗り、日本にいた親戚をたより若い好奇心片手に大阪へ参りました。関西エリアで、関西大学、大阪大学(修士課程)で学びながら、香港貿易発展局大阪事務所で通訳のアルバイトをしたり、カラオケ店の店長として大学生スタッフをまとめるなど、若いうちからいろいろな体験をしました。そして卒業前に、大学の就職課から大幸薬品のお話をいただき入社を決めた次第です。
1996年入社後、海外課に配属された私は、同年に開設された深圳事務所、98年には台湾事務所の立ち上げなどに奔走しました。当時は中華圏で正露丸のコピー商品が出回っていたので、その対策として各地にオフィスを構えた次第です。その後、香港には04年に進出し、現在に至るまで香港を拠点にしながら、アジア地域を統括しています。
Q:着任後、どのような大きなイベントがありましたか?
A:2002年に正露丸100周年記念イベントがあり、アジア各都市で盛大に式典が開かれました。富士山が描かれた会場で着物を大勢で着たりと親日のムードの中、また新たなスタートをきれたと思います。
また、以前まで扱う商品によって対立していた代理店と協議し、「Co-Marketing」のコンセプトを導入。弊社の2大商品である正露丸と糖衣Aの両方を店舗に置いていただくことで、知名度、流通網などの面から相乗効果を生み出すことに成功しました。これは日系企業としては初の試みとなりました。
Q:貴社のシンボル「正露丸」ですが、世界中で浸透している理由は何ですか?
A:2つありますね。まずは、製品やサービスを通して、お客様から「ないと困る」と思っていただける会社になるという企業ビジョンがあります。そのためには研究から商品づくりまで一貫して真摯に向き合い、確かな商品を生産することに尽きます。弊社が扱う商品は厳選された天然の原料のみを使い、すべて日本で生産されています。正露丸の主成分である木クレオソートの単味剤として、米国食品医薬品局(FDA)へフェーズⅠの臨床試験通過や、中国CFDA(日本の厚生労働省に相当)に臨床許可を取り、GCP基準に基づき臨床試験実施済みなど、科学技術面からも立証されているんですよ。処方箋のいらない薬OTC(Over The Counter)の中で、日本製での飲み薬という分野では弊社だけに許された唯一のライセンスです。
もう一つは、皆さんも「ラッパのマークの正露丸」というキャッチコピーを聞いたことがあると思います。海外展開を開始した当時からプロモーションを精力的に行ってきました。私自身も幼少の頃からテレビCMを頻繁に見るなど正露丸が身近にあり、香港の薬だとさえ思っていました(笑)。このように香港・広東で「喇叭牌正露丸」として次第に知名度を上げていった同商品は、華僑の手によってさらに世界各地へ広められたのです。
Q:貴社のスタッフは離職率が低いと伺いました。
A:そうですね、立ち上げ時から長く働いてくれるスタッフや、入社したら長年勤続してくれる人ばかりです。人材不足が叫ばれる香港では特に「人材は企業の宝」であるという考えが重要だと思います。賃金の面も大事ですが、私がスタッフに奨励しているのは専門分野以外にも自らのスキルアップを図り、自信をつけてほしいということです。弊社で働いてもらうからには、我が子のように育ってほしい。そのためには常にトレーニング機会を持ってもらうようにしています。社員とその家族が幸せでいることが企業活動の一番の目的だと思います。
もちろん結果重視でスタッフに厳しく指摘することもありますよ。しかし、皆で揃ってランチをとったり、スタッフの誕生日にはケーキを用意したり、懇親会を開催するなど交流を非常に大事にしています。
Q:近年注目を浴びる「クレベリン」について活動を教えてください。
A:コロナ禍で人々の衛生意識が高まったことで弊社の感染管理製品の空間除菌グッズ「クレベリン」の需要が伸びました。香港では引き続きBtoB販路を拡大し、医療の現場などにも浸透していくように邁進する所存です。また、置き型だけでなくスプレータイプの商品をBtoC向けに販売網を拡大し、存在感をアピールできたらと思います。ジャパンクオリティの商品を今後も、中華圏をはじめ海外市場でシェア拡大を図ってまいります。


社員旅行や代理店との会合の様子。礼儀を重んじ、人とのコミュニケーションを大事にする李氏の周りにはいつも笑顔が溢れている。
大幸藥品(亜洲太平洋)有限公司
1902年から販売開始されていた「正露丸」を46年に前身である柴田製薬所が継承、大幸薬品株式会社を設立した。54年正露丸の海外輸出がスタート、海外事務所は96年深圳、98年台湾、04年に香港進出した。李氏は日々各地をまわりアジア地域取り分け中華圏市場の運営を統括している。
Office No.2, 16/F., No.148 Electric Rd., North Point
(852)2907-7300
「ダイヤをカジュアルに身につけてほしい」
日系ジュエリーメーカーが世界に挑み続ける
Unison Manufacturing HK Ltd.
董事総経理 赤星 誠氏
国際規模のジュエリー展示会開催地として有名な香港。無関税かつ最小限のライセンスしか必要とされないフリーポートとして、世界中から多くのサプライヤーやバイヤーが行き交うマーケットであることは周知の通り。そのような世界的な舞台で、ある日系ブランドが競合に負けじと挑み続けている。会社設立から歩んできた8年を振り返りながら、顧客層の拡大を続ける秘訣を総経理である赤星氏に伺った。
Q:香港での会社設立までの背景を教えてください。
A:大学卒業後は福岡でジュエリーや時計を扱う専門商社にてバイヤーの仕事をしておりました。買い付けの仕事だけでなく、製造も手掛ける中で職人の方とのやりとりを通し、必然と自らの会社を立ち上げる青写真を描いていました。そんな折、後に現在の共同経営者となる日本人とインド人パートナーとの出会いがあり、2013年にUNISONを立ち上げる運びとなりました。バイヤー時代から香港との往来を繰り返していましたが、ジュエリー製造業として世界的なマーケットである香港を拠点に展開することは自然な流れで決まりましたね。
Q:ジュエリー業界の中で香港の位置づけとは?
A:実質関税はゼロではないですが、輸出入が比較的自由に行える香港はやはり唯一無二の都市です。多くの業者も集中して出店しており、ファシリティが揃っていることも魅力的ですね。中国と陸続きであることから、いくつかのメーカーは中国で製造するところも多いのですが、弊社はインド、日本、バンコク、ベトナムの4ヶ所で製造しています。それら完成品をここ香港へ集積し、タグ付けや登録作業を行い、また世界の提携先へ輸送する流れです。

オフィスにはショールームも完備
Q:近年、NYやドバイなどにも精力的に展開しましたね。
A:はい、弊社の売上の中でも大部分を占めるのが、世界的なジュエリー購入シェアを誇るアメリカや中東です。ジュエリーショーに出展する中で、長年に渡りアメリカや中東のお客様のニーズの高さや展開する必要性を感じていましたので、2017年にNY、20年にドバイにオフィスを構えました。やはり現地のスタッフを置き、直接管理することで業務効率も上がり、マーケット動向をいち早くキャッチすることにもつながりました。
Q:各マーケットごとの特徴はどのようなものですか?
A:例えば日本や香港は少し似ており、デザインに関してコンサバティブなニーズが多いですね。肌に馴染むシンプルなデザインが受け入れられる傾向にあります。
一方で、アメリカでは存在感のある比較的大きな石やチェーンなどが好まれたり、中東ではきらびやかなデザインが求められるなど、エリアによってトレンドが異なります。また、ご自身のファッションの一部として身につける方もいれば、人に見せるために買い求める方もいて、その目的は人それぞれです。私が全商品のデザインを担当していますが、大切なことは、マーケットをよく見ること、そしてそれに合わせたコンセプト作りやローカライズが重要だと言えます。
Q:貴社のジュエリーをひとことで言うと?
A:基本的に私自身がシンプルなものが好きなので、心掛けているのはシンプルさです。何よりも「ダイヤ=冠婚葬祭や特別なオケージョンの時に身につけるもの」という固定概念を払拭したいという思いで取り組んできました。もちろん使う素材に妥協はなく、ダイヤモンド、18金、そして貴石しか扱いません。しかしながら、ジュエリーを毎日洋服を着るように楽しんでいただきたい、そしてシンプルさの中にも、モダンでエレガントなエッセンスを取り入れ、長く使っていただけるようなデザインと価格設定のもとに展開しています。
Q:現在までの道のりの中で苦労されたことは?
A:世界からバイヤーが集まる香港ジュエリーショーに出展したての頃は、小さくこぢんまりとしたブースを構えており、他社と横並びでなかなか独自色が出せずにおりました。そんな中、16年よりUNISONの存在感をもっとアピールし差別化を図りたいとの想いで、以前より2.5倍の大きさのブースを構え、ブランディングを強化。その結果、新たな顧客を獲得できたことが今に繋がっていると思います。それまで取引のなかった各国のお客様の見る目が変わったことをはっきりと確認できたイベントでしたね。

「ダイヤを普段着に」デザイナーでもある赤星氏の想いが込められた商品
Q:設立から今まで持ち続ける信念を教えてください。
A:マーケットやお客様に対して謙虚で誠実でありたいと考えています。どのような仕事であれ、相手があって成り立つものですから、先方の要望をいかに早く察知でき、それに対する答えを準備できるかということが大切だと思います。日系メーカーとしての繊細さや自信を忘れず、新しいデザインを生み出し続け、顧客を飽きさせないよう工夫していきたいですね。
ありがたいことに香港でビジネスをしていると、いろいろな方にお会いできるのも醍醐味です。今朝もサウジアラビアから、お客様が中国での用事ついでにと、オフィスを訪ねてきてくれました。ジュエリー業界では特に信頼関係が大事ですから。
Q:今後注力する分野はどのようなことですか?
A:ジュエリー卸業者としてある程度の手ごたえを掴んだ今、目を向けているのは小売展開です。その第一歩として2年前より始めたことのひとつに、「LUMI」というオンラインショップがあります。アメリカなどは国土が広いがゆえ、オンラインでジュエリーを購入することに慣れている国民性ですが、香港では実物を見て決めたいという方が多いですね。そのためにもオンラインショップと実店舗を同時並行することも構想中です。
また、弊社では世界で年間30本の展示ショーに参加しています。9月末には、毎年恒例、香港のジュエリー&ジェムフェアに出展しますので、ぜひお越しください。お待ちしています!
Unison Manufacturing HK Ltd.
2013年に香港にて会社設立後、17年にNY、20年にドバイへもオフィスを展開する。もとはジュエリーのバイヤーとして活躍していた赤星氏だが、UNISON設立以降は会社経営をしながらデザインもこなしている。
Room 100., 10/F, Harbour Centre, Tower 1, No.1 Cheung St., Hung Hom
会社HP www.unison.com.hk
オンラインショップ https://lumijewels.com
安心を守り続けて38年
香港を熟知した日系警備会社ができること
東洋警備(香港)有限公司
取締役 岩見 龍馬氏
香港が長い方なら「香港柔道館」の名を耳にしたことがあるだろう。1966年に岩見武夫氏によって開設され、50年以上に渡り香港に住む日本人や香港人、欧米人などに柔道の技と心を伝えてきた。厳しくも優しい人格者の武夫氏は2022年に多くの弟子や友人に看取られ永眠。父が築き上げた柔道館(22年閉館)および日系警備会社である東洋警備を継いだのはご子息の龍馬氏である。今回は香港で安全を守り続けて38年の同社についてお話を伺った。
Q:ご経歴をお聞かせください。
A:岩見武夫を父に、香港人の母のもと一人息子として生まれました。幼少期から柔道を始め、柔道館では子どもたちに指導を行っていましたよ。日本語と広東語が飛び交う家庭の中で育ち、日本人中学校を卒業後は、香港のインター校へ、その後は米国と日本の大学へ就学しました。
香港に柔道を広めた第一人者の父の背中を見ながら成長しましたので、柔道はもちろんですが、父が創業した警備会社でも、二人三脚で事業を拡大してまいりました。
Q:主な業務内容を教えてください。
A:日系企業を主な顧客として、住宅、オフィス、学校、店舗、倉庫など、日中や夜間および無人の時間帯の防犯アラームによる安全確保や、ガードマンの派遣を行っております。その他には、ローカル企業をメインに自社の清掃チームが赴きクリーニングや害虫駆除業務も行なっています。弊社は、非常時にガードマンの緊急出動を初めて香港で開始ました。弊社制御室内では24時間対応でモニタリングを行っています。
Q:警備業界のトレンドの変化はありましたか?
A:昔は今ほどアラームの精度がよくなく、虫やペットなどが接近するだけでも誤発動してしまうケースが多かったのですが、現在では機器の感知精度も上がりましたので誤作動は減りました。また香港返還の頃に比べ治安もかなり良くなってきているので、強盗案件数は減りましたが、やはり時代の変遷にかかわらず警備の必要性はありますね。
近年ではコロナの影響でビル清掃業務も増えてきています。時代の変化に伴ってフレキシブルに展開することが大事です。
Q:在香港日本国総領事館や大手銀行など大きな組織を顧客に持つ貴社ですが、強みはどのようなところですか?
A:弊社は日系の警備会社として、香港で38年の実績があります。80~90年代に多くの日系企業が出店を始めた当初から、現在にいたるまで変わらぬことは、堅実な警備にあたることです。香港育ちの私含め、弊社のスタッフは香港の事情を熟知している者ばかりです。主たる警備業務はもちろん、ビル管理業務にいたる様々な情報にも顔が広く、香港に進出される企業のご担当者が安心して業務に専念できるように、役立つ情報をお届けしていますよ。
また、緊急時でも日本語でコミュニケーションを取れるというところも挙げられます。アラームが発動した場合、上述したように弊社のガードマンが駆け付けるだけでなく、必ず日本人スタッフも同行し、警察と共に現場確認をします。言語面でのストレスを感じる必要はございません。
Q:警備はマンパワーが重要だと思いますが、工夫していることはありますか?
A:例えばガードマンの人選では、ライセンス保持者を最低基準とし、勤勉な方を採用するようにしています。近年の情勢で移民が増え、働き手の確保は多くの企業にとって頭を悩ませていることだと思いますが、弊社でも引き続き慎重な採用を心掛け、実習を徹底してまいります。また、ガードマン派遣会社や清掃チームとは、数十年の付き合いがあり、培ってきた信頼関係もございます。広東語で話しかけると気さくに心を開いてくれる香港人とビジネスをするのは面白いですよ。
Q:今後注力されるAI検知システムとはどのようなものですか?
A:はい、弊社は現在までお客様のセキュリティを守る保守的かつ堅実な警備業務を行ってまいりましたが、最新技術であるAI分析検知システムの導入なども検討しています。AIカメラが怪しい動きをしている人物にフォーカスし、モニター室に信号を送り、売り場にいるガードマンへ指令を出すことで、少ない人員で業務効率を上げるメリットがあります。
また、最近試験導入を開始しました「万引き防止用セキュリティゲート」や在庫管理もできる「電子タグ」も取り扱い規模を増やしていく所存です。IT技術を駆使し、ワークフローをスムーズにすることは、人材の減っている香港で今一番求められていることだからです。
Q:日系企業の用心棒として持ち続ける信念とは?
A:上記のように最新技術を追い求める風潮はどの業界でも見られますが、警備の面では人間が持つ勘の部分に頼るところもまだまだ大きいです。それはAIやロボットが防止できない案件が依然としてあることや、事件を防ぐ最終的な手段にはマンパワーが必要となることがあります。弊社ではソフトとハードの両面から体制を整えるよう今後とも精進していく所存です。

銅鑼湾のオフィスにはかつて交流のあった中曾根元首相から送られた直筆の書も飾られている。

1984年、三越オープン当時の同社警備の様子
東洋警備(香港)有限公司
1984年、銅鑼湾SOGOの警備会社として東洋警備は創業した。父の武夫氏が導いた道を、息子の龍馬氏が引き継ぎ、より強固な道へと展開中だ。柔道家であり実業家だった武夫氏のことを龍馬氏は「子どもには甘い父親でした」と語る。
Rooms 1206, East Point Cntre, 555 Hennessy Rd., CWB
(852)2891-0851
http://toyosecurity.com.hk/
面白いことを仕掛け続けていく
急速に伸びる旅行の需要に
日系ならではのホスピタリティを忘れずに
JTB(Hong Kong)Ltd.
董事総経理 増本 斉氏
日本最大手旅行会社として誰もがその名を知るJTB。だがそんな同社にもデモやコロナの大打撃は容赦なくのしかかり、不穏な影を投げかけた。そして全世界で往来が再開した今、旅行・観光業は急激に膨れ上がる需要に、必死で対応を迫られている。人員削減や事業縮小をしたコロナ禍から、どのように回復し利益を生み出していくか。今まさに正念場と言える旅行業界だが、この道33年のプロは現状をどう俯瞰しているのだろうか。
Q:ご経歴をお聞かせください。
A:1991年の入社以降、15年近く法人営業を担当してまいりました。2005年より新規事業セクションに異動になり、企業向けの販売プロモーションをお手伝いする事業に従事。
転機は2008年。企業向け営業をするにあたって、グローバル市場へ対応の必要性を実感し、以降の自身の指針として掲げてまいりました。その後、社内で小さなグローバルプロジェクトを立ち上げ、2010年に上海万博の中で弊社独自のイベントを企画・実行しました。この3ヶ月の長期滞在が私にとって初の海外体験となりました。
2011年には、本社プロジェクトメンバーとしてシンガポールのアジアパシフィック本社へ異動。以降シンガポールと日本との往来を繰り返しながら、21年2月にJTB香港社長として着任し、現在に至ります。
Q:旅行業にとってデモやコロナは大打撃だったと思いますが、当時の様子を教えてください。
A:そうですね、我々の事業は大きく、インバウンド事業とアウトバウンド事業という2つの柱に分かれます。弊社の場合は、日本からのお客様をお迎えしてホテルや送迎などをアレンジする事業をインバウンド、一方で香港にある企業や個人のお客様の日本旅行のお手伝いをする事業をアウトバウンドと呼んでいます。
2019年に始まったデモにより、同年下半期におけるインバウンドは壊滅的な影響を受けることとなりました。通常では、往来が再開することによりネガティブなイメージが払拭されますが、そのままコロナに突入してしまい往来が断絶され、3年以上に渡り、売上が伸びない時期を経験しました。
弊社にとって、そして、私にとっても苦渋の決断となったのが22年。諸外国がウィズコロナへシフトする中、香港は依然として旅客の入境を禁止していましたので、いよいよ厳しい内部改革をせざるを得ませんでした。具体的には、バス部門会社の清算や一部事業部門からの撤退、そしてスタッフ数についても大幅な整理を行いました。現在残ってくれている社員、また状況を理解して会社を去ってくれた社員には感謝の気持ちしかありません。
Q:そのような苦境下で始めた新事業があると伺いました。
A:はい、我々が着目したのは、人流は途絶えた一方、需要が伸びつつある物流、ひいては日本に行くことのできない香港人の日本熱に応えるべく、日本産食品のプロモーションや、訪日インバウンド事業の強化でした。おかげさまで、香港にいながらも日本を体験できると、多くの香港の方に喜んでいただき、確かな実績にもつながりました。
Q:今後、旅行業界で注目されることは何ですか?
A:短中期の視点では「エコに配慮した旅行」や、「仮想現実(VR技術)を活用した新たな旅行スタイル」など、様々な注目のキーワードはありますが、喫緊ではやはり「コロナからの旅行業界の復活の仕方」が最注目です。
香港においても昨年末から想像以上に早いスピードで水際対策が緩和され、世界中でほぼ往来が可能となり、コロナ以前に戻ったような状態になりつつあります。このように、旅行需要は急激に回復している一方で、需要に対する供給の回復が急務となっています。コロナの際に削減した人手不足が要因となって、航空便もホテルもバスも手配が厳しくなっていたり、または手配できても非常に高額になっていたりと、取り組むべき様々な課題が目の前にあります。新たに人員を確保したとしても、トレーニング期間が必要になるなど、コロナ前に戻るのはまだまだこれからと言えるでしょう。このような傾向がいつ落ち着きを見せて、本当の意味でのノーマル時期に入れるのか我々もできる限りの努力をしてまいります。
Q:貴社の強みを教えてください。
A:弊社はおかげさまで日本最大手旅行会社の香港支店として、ネットワーク規模・サービスの質ともに、日本と変わらない対応を強みとしております。日本からいらっしゃるお客様には、安心・安全かつ快適な香港の旅をご提供しますし、香港から日本へ団体旅行へ行かれる企業様にも、日系ならではのホスピタリティサービスをモットーとしています。
Q:香港でのビジネスの難しさはどのような点がありますか?
A:香港は、2019年の訪日者数299万人と、人口約750万人の約4割弱の方が日本を旅行した経験も持つ、つまり訪日リピーター率は世界ナンバーワンの地域です。このように、消費者の目が肥えていること、そしてそれにより競合他社が多いという点が特殊ですね。また、香港は経費が高いので、収益性を上げにくい点が挙げられます。
Q:お仕事を行う上で、信念や理念がありましたら教えてください。
A:私は就職するにあたって、「面白い仕事ができること」「世界を股にかける仕事ができること」を基準に会社選びをしました。最終的に現在まで勤続33年の歴史の中で、つらいことや大変なこともたくさんありましたが、「面白い仕事」をし続けてこれたと思っております。
常々若い社員には、「面白いことをやろう、そのためにJTBを選んだんだろ」と言い続けていますし、私自身も引退するまで、仕事への興味や好奇心を忘れず、何か面白いことを仕掛け続けていきたいと思います。
Q:貴社の直近の活動や今後の展望をお聞かせください。
A:先月約250名の日本の社員が来港し、添乗員資格を取得するために必須な海外実踏経験を積む目的の研修旅行を行いました。この取り組みに賛同いただいた香港政府観光局が、第1班参加者約90名を対象に歓迎セレモニーを実施し、日本総領事館の岡田大使もご臨席いただきました。名だたるステークホルダーの皆様には貴重な機会をいただき大変感謝しております。
私たちJTB香港は1967年に設立、アメリカに続いて歴史ある支店です。コロナ後の今がまさに正念場なので、新たな創業の気持ちで頑張っていきたい。そして会社経営を安定させ、まずは苦労してきた社員が勤めていてよかったと実感できる会社にしていきたいと思います。
JTB (Hong Kong) Ltd.
1912年、たった8名の社員でスタートした会社は、現在では国内外に19,000人の従業員を持つ旅行会社最大手となった。世界では35の国と地域をカバーする81都市に187もの拠点を設け、アジア一のグローバル旅行会社として君臨し続けている。香港では1967年の事務所開設以来、今に至るまで長い歴史のバトンを引き継いできた。
Rooms 101A & 102, 1/F, Two Harbourfront, 22 Tak Fung St., Hung Hom
(852)2731-7174
www.jtb.com.hk
“マグマはまだ固まっていない-”
世界の金融界へ挑む日本最大手ネット証券会社
SBI Securities (Hong Kong) Limited
CEO 草野 潤氏
日本最大手のインターネット総合証券会社で、国内・外国株式、債券、投資信託、FXなど幅広い金融商品を扱う株式会社SBI証券。その子会社であるSBI Securities(Hong Kong)Limited(以下SBI香港)は、機関投資家と呼ばれるプロの運用会社に対して、日本株式の投資情報を提供するためのコーポレートアクセス業務などを担っている。今回は同社のCEO・草野潤氏にお話を伺った。
Q:事業内容についてお聞かせください。
A:SBI香港は、株式会社SBI証券の現地法人として2015年に誕生しました。日本のSBI証券は、個人投資家を相手としたインターネットによるビジネスを中核としており、現在、国内株式個人取引シェアNo.1となっています。
一方、SBI香港では機関投資家のみを相手に取引を行っており、香港にオフィスのあるヘッジファンドや投資運用会社を相手に、SBI香港を通して日本株を買っていただくため、日本にいる企業リサーチアナリストと機関投資家を繋ぐ仕事をしています。現在、海外では香港以外にシンガポールとロンドンに拠点がありますが、日本のSBIとは違い個人投資家の方へのサービスは行っていないので、海外在住の方にはあまり馴染みがないかも知れませんね。
Q:貴社の強みは何ですか?
A:どこを通して日本株を買っても基本的に手数料は変わりません。また我々は香港進出7年目と、業界内ではかなり後発です。機関投資家が、リサーチ力や小回りの効く営業力など各社それぞれ強みを持つ大手証券会社と既に取引を行っているなか、SBI香港がそこに食い込めている理由のひとつは、我々が絶対的な日本の個人投資家のフローを持っていることにあります。またSBIグループでは、将来的に成長が見込めるベンチャー企業やスタートアップ企業など、未上場の新興企業へ投資するベンチャーキャピタル事業を積極的に展開してきました。そこから育ち最近上場したような非常に小さな銘柄をご紹介できる点も、SBI香港の強みであると言えます。
Q:草野さんの経歴をお聞かせください。
A:SBI証券に入社したのは、今からまだ3年前の2020年なんです。1986年に新卒入社したのは日本の大手証券会社でしたが、当時はちょうどバブルが始まった頃で、3~4年は営業マンとして寝る暇もないほど働きましたね。その後1年間のアメリカ留学を終えて、組織を変えながらも約15年間、スイス、ドイツ、ロンドンなどヨーロッパ各地を渡り歩きました。リーマンショック後に4年ほど東京にいましたが、2016年、当時在籍していた会社からの辞令により香港に着任しました。その後、縁があり現在のSBI香港にCEOとして就任し、今に至ります。
Q:長年のヨーロッパ生活から一転して、香港はいかがでしたか?
A:正直、アジア自体に全く興味がなかったんです。香港は昔父親が赴任していた土地でもあり、当時遊びにこないかと誘われたこともあったのですが、その時も断ったくらい無秩序なイメージに何となく苦手意識が働いて…。でもいざ来港してみると、第一印象はものすごく良かったことを覚えています。私は1962年生まれの東京育ちなのですが、子どものころは都内といえどもまだ草っぱらが残っているような時代です。香港にはその頃に戻ったような懐かしさを感じましたし、人との距離感が近いことも好印象でした。今まで駐在してきた経験からすると、スイス人は誰とでも仲良くなり、ドイツ人は割合個人主義、香港人は明るく楽しい人が多いというイメージです。
Q:取締役という立場で大切にされていることは何ですか?
A:トップとして私がとにかく大切にしているのは、人材です。実は以前、別の会社で働いていた際に、業績悪化で部下を切らなくてはいけなくなったことがありました。組織としては仕方がないと苦渋の決断で何人も辞めてもらったのですが、その後本社から「日本に良いポジションを用意したから」と言われたんです。その時、一緒に働いてきた仲間を捨て自分だけ偉くなって帰国するなんてできないと思い、その会社を去りました。その点、SBIは本社の社長とも何でも相談できるような間柄で、距離の近さを感じる社風ですし、私自身もスタッフの働きやすさや健康をいつも第一に考えています。転職してキャリアアップすることが当たり前の香港では珍しいことのようですが、私が着任してからほぼ全てのスタッフが辞めていません。先日香港人スタッフに「あなたがCEOで良かった」と言われ、改めて一緒に働く仲間を大切にすることが使命だと感じました。
Q:今まで様々な国の方たちとお仕事をされてきた草野さんですが、これからを生きるビジネスマンに必要なことはどのようなことだと思いますか?
A:客観的な分析力だと思います。様々な情報が周りに溢れている今の時代、何が正しいのか判断が難しいこともありますよね。マスコミの偏向報道や他人の意見に流されることなく、自分が納得する方向を向くこと、バイアスをかけず本質を見抜くことがより求められてくると思います。
Q:今後の展望をお聞かせください。
A:現在は17名程度の少数精鋭で運営していますが、今後は小さな日本銘柄も紹介できるという我々の強みを活かしながら、さらに規模を拡大していきたいと考えています。昨年60歳になったので一般的には定年ともいえる歳ですが、現在のSBI香港は、マグマがまだ固まっていないような状態なので、これからも私にはやれることがありそうです。
SBI Securities (Hong Kong) Limited
www.sbisec.com.hk
社員が元気な会社づくりを
時代にあったニーズ解決とともに
キヤノン香港カンパニーリミテッド
董事長 尾澤 一弘氏
カメラやビデオなどの映像機器、およびプリンタや複合機などの事務機器メーカーとして、誰もがその名を知るジャパンブランド「キヤノン」。スマートフォンの普及でデジタルカメラの市場は縮小傾向にある中でも、同社の製品は世界でもトップシェアであり続ける。また、オフィス複合機においても同社の強みである技術力の高さを武器に、競合の日系メーカーと肩を並べ販路を広げて来た。
今回弊紙では、今年9月に着任した同社の董事長、尾澤氏にインタビューを行ない、前任地や香港での新生活について、またご自身の信念などを伺った。
Q:ご入社からの経歴と前任地についてお聞かせください。
A:今年で勤続33年となりますが、入社当時はセールス畑におりました。日本本社を経て、オランダ4年、ドバイ2年、日本帰国後に再赴任となり、シンガポール5年、フィリピン5年の赴任から、今年9月に香港へ着任となりました。
入社当時を振り返ると、大学を卒業したばかりの若かった私は、本社へ配属され期待で胸がいっぱいでした。しかし、当時の仕組みでは1年間営業部で経験を積むことが義務付けられていましたから、入社すぐオフィスビルの上階から飛び込み営業を行う日々でした。管理部に配属された同期は、入社初日から空調の効いたオフィスで働く一方、自分は汗水たらしアポイントなしで企業をまわる日々。つらくなかったと言えば嘘になりますね(笑)。公園のベンチで落ち込んだことも今となってはいい思い出です。
Q:日本本社を経て初めての駐在地へ行かれたのはいつですか?
A:1996年ですね。当時のキヤノンでは全世界の販売子会社経由でビジネスを展開する中、中東は本社が直接担当するエリアでした。この販売管轄の欧州子会社への移管とともにオランダに赴任となり、中東地域を管轄することに。その後は、ドバイ赴任にて中東拠点立ち上げ、アジアのヘッドクォーターであるシンガポール赴任、その後フィリピンへ異動となりました。フィリピン駐在当初は治安面などの心配もありましたが、気をつけるポイントさえ押さえていたら快適でしたよ。また、今回は香港駐在ですが、日本の物が何でも手に入る利便性はアジア全般に言えることだと思います。
Q:在宅勤務やペーパーレス化が叫ばれる時代ですが、貴社ではどのような取り組みを?
A:オフィス複合機の分野では、コロナ禍で在宅勤務が増えたことや、ペーパーレスが奨励される潮流など、弊社にとって少なからず影響はありました。しかしその一方で、財務決済の仕組みの中で書類が必要であることに変わりはありません。それら書類の電子化はもちろんですが、弊社独自システムにより効率的なワークフローソリューションを提供しています。
またお客様からよくいただくお悩みに、自社以外の、外部から送付された文書を取り込むことが難しいとの声も届きます。弊社では前述のシステムにより外部文書をスキャンしデータベースとして蓄積可能な技術があります。いわゆるインプットからアウトプットまで、一括で行えることが強みでもあります。
また、コロナ禍で在宅勤務や家庭学習のための家庭用プリンターの需要が増えました。一部地域では生産が追い付かないほどのニーズがありましたね。私たちはその時代のニーズに寄り添うプロダクトやサービスを常に提供することを心掛けています。



Q:印刷業界からも注目される新製品プリンタが発売されたと伺いました。
A:はい、「imagePRESS V1000」ですね。同製品は、ネオンサインのような蛍光カラーや淡いパステルカラー、自然なグラデーションなど、ポスターやパンフレットなどの印刷物に最適な超高発色の印刷を実現させました。また、チラシや封筒から高級名刺、グリーティングカードなどの重厚感ある印刷物まで幅広く作成することができます。さらに、一冊の冊子に厚紙と普通紙が混在するような印刷でも、機器を分けずに効率よく連続印刷することが可能となっています。今まで外注でオフセット印刷を行っていたお客様が、自社で必要な少量ロットベースのオンデマンド印刷を行えるようになり、コストセービングにつながったとの声もいただいています。

Q:カメラなどイメージング事業の近年の動向はいかがですか?
A:ここ香港で言えば、観光客が戻ってきていない現在では、やはり以前のような勢いはありません。また、加工技術の進歩でスマホで撮影した写真でも十分と考える方も多いでしょう。
弊社の原点はカメラ事業です。創業より培ってきた光学精密技術が強みと言えます。弊社のカメラは、人物撮影であれば「加工ツールに頼らず、自然な表情をより自然に美しく残せる」ということ。被写体によって使うレンズは違うので、一般の方でもいろいろなレンズを気軽にお試しいただけるレンズ貸し出しプログラムなどもあります。いい写真を撮るためのノウハウを伝えるワークショップや故障時の保証制度なども整っています。カメラをただの製品として販売するのではなく、カメラを通してたくさんのお客様のライフスタイルを豊かにするお手伝いをすることが我々のゴールです。
Q:オフィススタッフとの交流を大事にされている背景を伺えますか。
A:私自身が大事にしている信念が2つあります。一つ目は「一緒に考えよう(Think Together)」ということ。定期的にマネジャーたちとランチに行き、自己紹介や直面している問題などをヒアリングしています。中には新人が入社してすぐに退職してしまうこと、定着率の悪さに悩むマネジャーがいたこともありました。話を聞くと、オフィスがシーンとしていて居心地が悪く感じた社員がいたそうです。私自身も以前の赴任地で見かけた光景でしたが、隣同士の席に座っているスタッフがPCでチャットをして業務を行っているんです。職場はもっとガヤガヤと活気があるべき場所だと思います。人と人が一緒に働いている以上は、声にして交流を行うべきなんです。
また、このようなマネジャーたちとのランチは私にとっても社員の顔を覚えるいい機会となっています。ヒアリングでは、口外しないことを約束に部署や上司に対する不満や意見も受け付けていますよ(笑)。これら交流を通して、各部署が直面する課題や対応策をまとめた資料を各マネジャーにシェアし、意識共有を図っています。
二つ目は「Never x 5 Give Up!」。文字だけを見るとアツい精神論に響くかもしれませんが、今までのやり方にこだわらず、いろいろな方法を模索し、フレキシブルに対応しようというものです。目標に向かって簡単にあきらめず、様々なアプローチをできるか否かが現代でも必要とされる要素ですね。
日本の食文化を広めたい
新事業を立ち上げる仕掛け人
香港オールアバウトイート ケータリング リミテッド
製品販促ヘッドマネジャー
平岡 洋二氏
日本の食文化やノウハウを香港に伝え、数々の飲食事業に携わってきた食のプロフェッショナル、平岡氏が今回の主役。
実家が飲食店を営んでいたというバックグラウンドを持つ彼は、幼少期から食と密接にかかわってきた。振り返れば30年もの月日を飲食業界に費やした氏の、食に対するこだわりや、現在進めているプロジェクトについてお話を伺った。
Q:来港したきっかけと現在の会社について教えてください。
A:日本で全国展開する飲食チェーン店で、料理長として運営やメニュー開発、新店の立ち上げなどに携わってきました。13年目を迎えた年に、自分の今までの経験が、日本とは勝手の違う海外でどのくらい通用するのか挑戦したい思いから、海外初出店のタイミングで、2015年に北京行きを決意。その後、2018年に香港へ異動になった際に、現在の母体会社である「Skywise」の新事業立ち上げの話があり、それを機に転職を決めました。
この「Skywise」は金融業や、IT業、カーリース事業、不動産業、飲食事業など幅広く運営する香港系の会社です。日本の食文化を香港でさらに広めたいという会長からの声掛けがあり、現在は傘下で飲食店や生産管理を行う「香港オールアバウトイート ケータリング リミテッド」のマネジャーを勤めています。
Q:新事業として平岡氏が手掛けたことは何ですか?
A:「和牛焼肉 一郎(食べ放題焼肉)」や「香江花月(火鍋)」などのレストラン立ち上げのため、メニュー開発に携わりました。また、葵涌にセントラルキッチンを新設し、ISO2200も取得。19歳からホテルや日系飲食チェーンで培ったノウハウや経験を活かし、日本水準の衛生管理を行っています。
また最近では、弁当の自動販売機事業「谷弁当(谷之握米)」も稼働しました。設置場所はランチ難民のいる郊外のオフィスビルや、大学校内、病院内などで、直近3ヶ月で30ヶ所に設置を増やしていく予定です。この背景には、日本のハイクオリティな弁当を、常にあたたかい状態かつリーズナブルな価格で、香港の人々に手にとってもらいたいという思いがあります。


Q:ローカル企業ならではのマネジメントの難しさや、やりがいはありますか?
A:例えば、「谷弁当(谷之握米)」を見ていただくとわかる通り、カラフルなおかずや栄養のバランスという中身はもちろん、曲げわっぱ風の容器デザインや、のしをあしえらたり、蓋を止めるテープにもロゴの印刷をしたりとパッケージデザインにもこだわりました。この細部にいたる心配りを、はじめのうちは香港人スタッフに説明するのに苦労しましたね(笑)。また、弁当の温かさをキープし、なおかつお米を劣化させずおいしい状態でお客様に購入いただくレベルにするまで、チームで議論を繰り返しながら、商品開発に約半年の歳月を費やしました。
スタッフには常に現状で完結ではなく、さらにそこからブラッシュアップできるということを日々伝えるようにしています。できる限り「個」の能力を向上させることで、チームを牽引し、様々な利益を最大化させていく。そして、チームが意見を出し合い、個々がステップアップできる仕組みのある会社なので、ひとつの事業を成し遂げた時は、感無量ですね。

Q:貴社の今後の展望を教えてください。
A:まずは年内にグループ全体で30店舗へのレストラン拡大ですね。富裕層がメインターゲットとなる弊社の飲食店ですが、今後はニュースタイルのファストフードにも参入していきたいです。もっと幅広い層に、カジュアルだけどクオリティは落とさない飲食体験をお届けできたらと思います。
また、飲食を基盤とする新しいビジネスをもっと考案していきたいですね。もともとゼロから新しく何かをスタートさせることが好きなんです。今後も進化する弊社をよろしくお願いします。
Hong Kong All About Eat Catering Ltd.
Sky Wise Catering Ltd.
現在は「和牛焼肉 一郎」を4店舗、「香江花月」を4店舗、「三郎(おまかせ焼肉)」を1店舗展開するが、目標は年内トータル30店舗と、飛ぶ鳥を落とす勢いの同社。また、弁当自動販売機業態も30ヶ所に増設される予定だ。母体の会社「Skywise」の巨大なネットワークやノウハウがあるからこそ、資金やスピードにおいても高パフォーマンスを誇る。
Room 19, 15/F., Vanta Ind. Ctr., 21-33 Tai Lin Pai Rd., Kwai Chung
(852)2813-1986
スタッフは「店舗の顔」だからこそ
社内選挙制で自主性を育みたい
OWNDAYS株式会社
台湾香港リージョナルディレクター
濵地 美紗氏
日本をはじめ、シンガポール、台湾、タイ、インドなど13ヶ国に450店舗を展開するメガネ製造・販売「OWNDAYS株式会社(以下、OWNDAYS)」。香港には2018年に出店し、22年現在では、Langham Place、K11 Art Mall、Hysan Placeほか全14店を展開している。年内にはさらに店舗を増やす予定だという同社、そんな勢いのある同社の台湾香港リージョナルディレクターである濵地 美紗氏にインタビューを行なった。
Q:さっそくですが貴社の歴史と特長を教えてください。
A:2008年に債務超過で倒産危機に追い込まれていたところを、現社長の田中 修治が買収し立て直しました。メガネ業界での経験がなかったにもかかわらず、高品質、低価格の商品づくりに邁進し、お客様の信頼と評価を得てきました。
弊社は、前述の社長やほか役員たちと社員の距離がとても近く、風通しのいい会社です。役員を役職では呼ばないフラットな雰囲気が、社員各々の自主性を育んでいると思います。現に私が入社した当時、入社20日後というスピード昇格で神奈川県川崎市の店長を任せてもらいました。店長は社内選挙制となっており、やる気さえあればどんどん手を挙げ、結果を出していけるのです。

Q:香港での現職着任の経緯を教えてください。
A:香港出店は2018年なので、日本のメーカーの中で割と最近の進出ということに驚かれる方もいるかもしれません。海外ではまずシンガポール、次いで台湾に出店し、アジアでの実績を積んできました。そしていよいよ台湾と香港を統括する現職に着任し、今に至ります。弊社は基本、通訳はつかないので、台湾時代に必死で中国語を勉強しましたよ(笑)。その成果もあり、今でも香港人スタッフとのやりとりは中国語で行っています。
Q:香港ビジネスの難しさはどのようなところですか?
A:他のエリアにも言えることですが、スタッフの管理ですね。店舗運営が根幹業務の弊社にとって、スタッフは店舗の顔です。彼らに楽しく前向きに働いてもらえるような環境を作るように工夫しています。例えば、先述の社内選挙制もその一環。立候補者自らがプレゼンテーションを行い、自分ならどのようなプロモーションや店づくりをしていきたいかを仲間に向けて表現します。同時に、出されたさまざまなアイデアが互いに刺激となり、社内の新陳代謝が活性化する仕組みです。
Q:香港人のニーズは日本と比較してどのような特徴がありますか?
A:香港のお客様は日本のサービスを期待して来店する方がほとんどです。そのため、スタッフへの教育には力を入れています。接客の仕方はもちろんのこと、コロナがピークアウトした中でも消毒を徹底し、衛生面に気を使っています。また、これは香港人の特性なのか、視力検査時に実際よりも度が強いメガネを好む方もいるため、スタッフには慎重に検査を進め、視力に適した度数を何度も試着していただくように伝えています。
Q:貴社の今後の展望をお聞かせください。
A:ガラスケースにメガネが並べられているトラディショナルなお店では、メガネ=高級品というイメージがあり、メガネを買うことがストレスに感じてしまうお客様の声もよく耳にします。弊社ではフレーム価格に追加料金なしで作れる薄型非球面レンズを採用し、薄い仕上がりの軽量メガネを実現。メガネもファッションアイテムのひとつとして気軽に楽しんでいただきたいと思います。
香港では、年内中に新店舗をオープンする予定で準備をしています。また、今年6月にはインド最大手アイウェアチェーン「Lenskart(レンズカート)」にグループ入りしたことを受け、弊社の信頼性の高いサービスと、Lenskartの先進的なIT技術を融合させ、全世界でさらに店舗を拡大していきます。個人的には、インドの会社へグループ統合後、英語のミーティングが増えたので英語の学校にも通い始めました。PPWの皆様もぜひOWNDAYSの店舗に足を運んでくださいね! スタッフ一同、心よりお待ちしています。

OWNDAYS Hong Kong Limited
日本では2002年に設立され、08年に現社長・田中修治氏によって買収された。社長の著書に『破天荒フェニックス オンデーズ再生物語』があり、経営者のバイブルとして今でも定評がある。店舗展開の他に、芸能人を起用したCMやファッションショーへの参加などPR活動にも注力。
21/F., Dorset House, Taikoo Place, 979 King’s Rd., Quarry Bay
www.owndays.com
NECとNXグループのノウハウを併せ持つ
電子部品のトップ物流企業
日通NECロジスティクス(香港)
総経理 森川 香織氏
日通NECロジスティクス株式会社の香港現地法人として1997年に設立、九龍湾にオフィスを、そして荃湾に総面積3万㎡の自社倉庫(全棟借り)を構える。NECが持つ物流ノウハウとNXグループの物流インフラを併せ持つ半導体や電機精密部品に特化したプロ集団だ。今回は、業界内では数少ない女性総経理の森川 香織氏(以下、森川氏)にお話を伺った。
Q.貴社の業務内容を教えてください。
輸出入手続き代行、陸・海・空の貨物輸送、倉庫運営などが主な業務です。
現在は日本からの駐在員が4名、倉庫のスタッフを含めると200名超の大所帯です。そういった中でも弊社のこだわりは、社員構成を正社員100%としている点。精密機器や半導体電子部品といった繊細なものを取り扱うため、いわば電子部品の専門家である必要があります。その為、業務・製品両方の知識を養う社内トレーニングを徹底する必要があり、ただ単に貨物を輸送するだけでない、お客様に付加価値をご実感いただけるオペレーションを実現しています。

専門スタッフがICトレイに移載、小分けを行う

小分け作業が終わると真空梱包を施し完了

乾燥用シリカゲルと湿度インジケーター
Q.荃湾にある貴社倉庫の特徴は何ですか?
半導体商社をはじめ、電子部品、時計、電子機器メーカーなど日系企業45社以上の製品を保管・管理しています。倉庫は空調機等により取扱製品に最適な温湿度管理を行っており、床はダスト対策として防塵塗装が施されています。全10フロアからなる各フロア天井の高さは8mと倉庫にしては低いですが、当社の取り扱い製品が電子精密部品であり細かなピッキングと大量の入出荷トランザクションが必要である事から、より作業効率を重視したレイアウトとなっています。
また、物流ハブとしての立地から、この倉庫より全世界に製品を輸送するゲートウェイとしての役割があり、強固な梱包を行う必要があります。そのため経験を積んだスタッフが、オペレーションフローに従って的確に梱包作業に当たっています。
私どもが得意とするのは、お客さまに代わり最適な物流を行うこと。例えば、インボイス作成など書類作成代行のほか、製品を開梱し、仕向地用のラベル貼付、検査、組み立て、ソフトウェアへの書き込み作業などが挙げられます。時計メーカーのケースならば、出荷前に倉庫内の施設にてソーラー腕時計の充電といった作業にも対応し、配送を行っています。また、一部稼働し始めたサービスとして、お客様の電子部品を弊社で分析・解析しいち早く不具合を見つけ、修理のために輸送を繰り返す手間と時間の節約を図っています。

棚積みされた商品は個別包装をし管理
Q.環境要因に弱い電子精密部品に対する特別な対策をしているそうですね?
はい。私どもの扱う半導体などの電子部品は静電気による損傷を受けやすい特徴があります。倉庫内の静電気放電(ESD)管理エリアでは、専門スタッフが静電気対策を行った上で、半導体の小分けもしくはアルミバック破損の場合はアルミバック交換を行っています。その手順は真空梱包を破り、移載、ICトレイからの小分け、選別などを行い、新しい乾燥用シリカゲルと湿度インジケーターを入れて、再度真空梱包をします。お客様の商品品質を落とさず管理することが私たちの使命ですね。

左から竹内経理とピーター倉庫長。現場をまとめている
Q.貴社の今後の展望を教えてください。
駐在員の竹内と倉庫長のピーターがタッグを組んで現場をまとめていますが、香港人スタッフはしっかりとトレーニングをし、方針を伝えると応えてくれる優秀な人材です。またお客様のサプライチェーンを止めないことを使命としているので、コロナ禍ではスタッフ同士の接触を少なくする等、スタッフの自発的な提案によりBCP対策をとりました。スタッフを1/3と2/3のグループに分ける同対策はスタッフが自発的に提案してくれたものです。今後も現場のスタッフの声が通る風通しのいい職場環境を目指していきたいですね。また更なる差別化として倉庫の自動化やDX化による業務効率化などNECのDNAを持つ当社ならではのサービスモデルを検討していきたいと思います。

全10フロアの自社倉庫
日通日電物流香港有限公司(NECL)
1994年に香港で業務を開始し、97年に現地法人化された。NECの物流子会社で培った物流サービス(ソフト)に、日本通運の物流インフラ(ハード)が加わり、現在では8ヶ国に21拠点のグローバル体制を敷いている。
董事総経理 竹下 敦
オフィス
Suite 2002, Exchange Tower, 33 Wang Chiu Rd., Kowloon Bay
(852)2723-1569
倉庫
G/F., 100 Texaco, Tsuen Wan, New Territories
(852)3447-3800
www.nipponexpress-necl.com.hk
防犯セキュリティシステムのプロフェッショナル
セコムグループ ADTアラームモニタリング香港 常務董事・馬場氏
香港の街を歩いていると、店頭に青と白のステッカーやアイコンをよく目にする。飲食店や小売店、両替ショップなどに貼られたそれは、防犯セキュリティシステム会社「ADTアラームモニタリング香港」のロゴだ。もとは香港で20年以上の歴史ある米国企業の同社だが、2021年よりセコムグルームの仲間入りをし、セコムの幅広い海外展開をさらに強化する役目を担う。
今回は昨年5月に着任した、常務董事の馬場氏に、同社についてお話を伺った。
内部改革に挑戦
Q:まずは昨年セコムグループ入りした御社について教えてください。
A:アメリカで創業し、その香港拠点として業界をリードしてきました。香港警察当局より10年連続で低誤報率の表彰をされるなど、香港では強固な地固めをしてきた弊社です。2021年2月に組織変更がなされ、セコムの傘下入りをしました。ちょうどその頃は香港もコロナ禍、着任の挨拶をオンラインミーティングにて行いました。オフィスを茘枝角へ移転し、システムを一新、従業員とともに新たなスタートを切り、ようやく内部革新の成果が出てきました。
香港でシェア2位の実力
Q:御社の製品およびサービスについて教えてください。
A:みなさんがセコムと言われて思い浮かべるのは、警備員が駆けつけるというイメージがあるかと思いますが、弊社では、企業や家庭用の防犯システムの提供やモニタリングがメインです。弊社は業界2位のシェア率を誇ります。
一般的に諸外国に比べ治安がよいとされる香港ですが、犯罪の数はさほど変わりません。キャッシュレスの時代の流れで、店先に多額の現金が置かれるケースは少なくなってきてはいますが、PCや商品の在庫など、盗難のリスクは常に隣り合わせです。香港の街中でよく見かける両替ショップのほか、オフィス、レストラン、小売店などに弊社のセンサーを設置しています。弊社のモニタールームでは24時間スタッフが監視カメラをチェック。アラームが反応したら迅速に状況を確認把握し、異常と判断された場合はすぐに警察に通報します。
誤報が少ないのはノウハウがあるから
Q:御社の強みはどんなことですか?
A:防犯システムを使っていただく中で、やはり否定できないのは誤報があることです。例えば、窓に設置していたセンサーが鳥に反応して警報が作動したり、ペットの猫が家具を動かしてしまってセンサーが反応するケースもあります。
弊社の防犯システムは品質においても問題ありませんが、何よりもセンサーを設置するノウハウが豊富だということ。専門スタッフがまず設置前の場所や角度など入念な調査を行い、お客様に提案します。そして、誤作動を起こしやすい小さな可能性を一つずつ取り除いていきます。そうすることで、防ぎたい事件だけに本当の人力を費やしていけるのです。他社と比較すると弊社の誤報案件は11年連続で半分以下なんですよ。
セコムの香港拠点として邁進する
Q:北京、上海、蘇州、そして今回は香港での着任。香港のビジネスや生活はいかがですか?
A:おもしろいですよ。国際都市だけにビジネス制度がしっかりしている。企業にとってはビジネスがしやすいです。30名いるスタッフも、日本のセコムという安心感のもと業務にあたってくれています。社員の安心感がとても大事だと思っています。
また、日系スーパーが所々にある香港は本当に住みやすい。もともと色々な土地を経験してきました。住めば都という言葉通り、その土地にはその土地のよさがある。どんな場所でも楽しむことが私のポリシーですね。
昨年は内部の土台を固めた、いわば種まきおよび発芽期でした。香港でセコムがあるということを皆様に知っていただく、これが今後の目標です。そのために、建築、設計デザイン会社などと密に連携し、今後も企業や家庭に「安全・安心」なセキュリティサービスをお届けしていきたいと思います。
ADT Alarm Monitoring HK Ltd(セコムグループ)
もとはジョンソンコントロールズインターナショナルPLC(本社:アイルランド・コーク)傘下のセキュリティ会社。香港で大企業、家庭や中小規模の法人など幅広い分野に最先端のセキュリティシステムを提供してきた。海外13ヶ国と地域でセキュリティ事業を展開し、法人施設などを中心に、高度なセキュリティサービスを提供するセコムにとって、昨年の子会社化により香港をはじめアジア全域でのさらなるプレゼンス向上へと邁進していく。
www.adt.com.hk
Unit2701-3, 27/F., Saxon Tower, 7 Cheung Shun St., Lai Chi Kok
24時間ホットライン:(852)2155-0222
代表Eメール:adthk-cs@adt.com.hk
常務董事 馬場直樹氏プロフィール
1987年 住友銀行入社
▼北京や蘇州、上海などへの駐在を経て
2019年 セコム入社、セコム(中国)着任
2021年 ADTアラームモニタリング香港着任
5,000万人以上の利用実績を誇る 「内田クレペリン検査」セールスサポーター
人材紹介会社「e-Job」 高橋氏
人事担当者なら必ず直面する問題。履歴書や面接での印象はよかったのに、いざ試用期間が始まると実際の働きがいまいちな応募者がいるケースだ。人事の目的、それは適正な人材を採用し、適性な部署へ配置すること。そして企業の業務を効率化していくことだ。しかし、香港という異国の地で、言葉の問題などもあり、なかなか応募者の特徴を事前に知ることは難しいのも現状としてある。
今回は企業と人材のミスマッチを防ぐ適性検査「内田クレペリン検査」について、香港のセールスサポーターであるe-Jobの総経理・高橋氏にお話を伺った。
Q:まず「内田クレペリン検査」について教えてください。
A:同検査は日本国内では90年以上の歴史と累計5,000万人以上の利用実績があります。もとはドイツの精神医学者、エミール・クレペリン(1856~1926)が行なった作業心理の研究に着想を得て、日本の心理学者、内田勇三郎(1894~1966)が、1920年代から研究を始め、検査方法と妥当性について研究を重ね開発したものです。
Q:長い歴史と大変多くの実績がありますが、利用機関はどんなところですか?
A:製造業、流通業、金融業、サービス業などで、年間70万人の利用実績を誇っています。官公庁や企業では採用時の選抜や適正配置の参考資料として利用され、また学校では、教育指導として利用されています。さらに、旧国鉄(現JR)では、1948年より運転適性や事故ミス予防のため、適性検査として導入しています。
Q:御社と「内田クレペリン検査」の出会いは何ですか?
A:2017年会社設立後、19年よりセールスサポーターを担っています。もとは中国・香港・フィリピン販売店のN-ERVE TECHNOLOGY、中津晃一さんと和僑会で出会い、香港エリアを任せていただくことになったのがきっかけです。
Q:フィリピンではどのように活用されているのでしょうか?
A:中津さんからのエピソードを紹介しますね。中津さんは、技能実習生、特定技能生、留学生などへの日本語教育をおこなっています。日本の企業とフィリピン人の実習生の間でミスマッチをできるだけ少なくするために出会ったのが「内田クレペリン検査」だったそうです。聞けば日本の大手企業や政府機関で多用されている信頼性の高い検査。それ以降同検査の販売店となり、フィリピンの鉄道会社にも同検査が採用され、鉄道従事者に検査をし、未然に防げる事故を減らすことに貢献できたそうです。
Q:海外での採用で同検査を行うことのメリットを教えてください。
A:ひとつは文化や言葉の壁を越えて、応募者の特徴を知ることができます。簡単な一桁の足し算を計30分行なうだけなので、言語は関係しません。弊社ではヘルパーさんの紹介業も行なっていますが、そのヘルパーさんにも同検査を使って、その方の特徴を把握し、利用者に共有しています。
ふたつめは、SPIや面接では測ることのできない心理的な面も数値化できることです。限られた時間の中でひたすら足し算を行い、脳に少しの負荷をかけながら答えをアウトプットしていきます。その結果見えてくる、受検者の発動性や柔軟性などを5段階で分析して報告します。
Q:採用前に応募者の特徴を把握できるのは人事にとっては非常に助かりますね。
A:そうですね。香港の人材紹介コストは非常に高く、企業にとってかなりの負担です。また、コストだけでななく、試用期間の中で会社のスタッフが新しい方に教育する時間が一番もったいないと思っています。このような点から、労力や時間も節約できるのが同検査のメリットでもあります。
Q:採用以外ではどんな使用例がありますか?
A:実は組織内での配置転換の際にも活用できます。パフォーマンスの悪かったスタッフに検査を実施したところ、現部署の業務とその方の特性がそぐわないことがわかりました。適宜、配置を変え、得意な分野に異動を決めることのできる科学的な根拠にもなります。また、全社員に検査を行ない、マネジャークラスに結果をシェア。それぞれの部下の特性を共有することで、どんな時にどんな声掛けをすればいいかがわかり、組織の雰囲気や団結力が上がったケースもありました。
スポーツ界でも採用されており、スタートダッシュが遅い選手には十分なウォームアップを施すなどの具体的なパフォーマンス向上に役立っています。また、多忙な医療業界や福祉施設などでも検査結果の曲線がウツ傾向と見られる職員には、配置換えやメンタルケアを行うなど、業務改善への近道にもなっています。
Q:検査の単価が約3,000円(日本円)と経済的ですが。
A:はい、検査は解答用紙とえんぴつさえあればどこでも可能です。時間も40~50分で終わりますので、受検者の負担にはならないと思います。長くかかる試用期間に比べたら、検査は短時間かつ一回で終わるので効率的ですよ。


検査所要時間約 50分
実施場所 会議室など、静かな環境
実施人数 1名~数百人
用意するもの (1)検査用紙 (2)鉛筆 (3)検査実施実地用動画(音声)
検査方法 簡単な一桁の足算を、1分ごとに行を変えながら行います。
5分の休憩をはさみ、計30分間足し算を行います。
Q:ありがとうございます。御社の今後の目標を教えてください。
A:弊社の就職支援サービス、ビジネスマッチングは引き続き力をいれていく一方で、日系だけでない香港の鉄道や航空会社など現地企業にもこの「内田クレペリン検査」の正確性・信頼性を理解し実施していただけたらと思います。
内田クレペリン検査の詳細はこちらから

e-Job Agency Limited
2017年設立当初より「人と人のベストマッチング」をモットーに企業へ多くの優秀人材を紹介してきた同社。仲介手数料の高い香港の相場の中で、手数料1ヶ月分のみを頂戴する良心的な価格設定なのも、総経理の人柄がにじみ出ている。高橋氏はもともと和僑会のメンバーでもあるため幅広い人脈を持つ。「人の夢を応援するのが大好きなんです」と優しい笑顔で語ってくれた。採用者にはお祝い金をプレゼントするサービスもある。同社のさらなる飛躍に注目したい。
https://e-job.hk
Flat 1, 5/F., Cammer Comm. Bldg., 30-32 Cameron Rd., TST
(852)2506-3118
WhatsApp:5223-3382
Email:contact@e-job.hk


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