顧客の課題解決を加速する「AIGenie」を新発表【キヤノン香港】

2024/08/14

Image Caption 5. AI Booth8月初旬、キヤノン香港は製品発表会「THINK BIG ‒ The Power of Future」を主催し、独自の大規模言語モデルを搭載した生成AIソリューションを披露した。同イベントはもともとキヤノン・シンガポールで10年前から始まったもので、単なる製品展示会ではなく、インタラクティブな展示や、デモンストレーションを行い、来場者の新商品への理解を深めるもの。今最も注目を集める分野だけに、会場には金融、法律や会計等の法人サービス、流通・外食、医療・介護、製造業など幅広い業界に携わる人々が詰めかけ、スタッフの説明に熱心に耳を傾けていた。

プレゼンするデジタルイメージソリューションGMのフィリップ・チャン氏

プレゼンするデジタルイメージソリューションGMのフィリップ・チャン氏

パネルディスカッションを通し、製品への理解を深めた

パネルディスカッションを通し、製品への理解を深めた

今や多くの企業が開発や導入を急いでいる人工知能(AI)。作業の効率化や人的ミス防止などさまざまなメリットがあるが、実際その導入方法やセキュリティ、コストへの懸念があり、従来通りの業務フローを継続している企業は少なくない。この度、最先端の光学技術をバックグラウンドに持つ優位性を生かしたドキュメントサービスの延長として、キヤノン香港では独自のソリューションシステム「AIGenie」を発表した。他社に差をつける同製品の特長を見ていこう。

すべての業界に活用できる未来型モデル
1)ドキュメント文字認識や情報収集の正確性
キヤノン香港独自の大量データおよびディープラーニング技術で構築された大規模言語モデルで、認識率が低いといわれてきた手書き文字はもちろん、英語・中国語・日本語など多言語文書に対応する。既存の技術では英語のみ、中国語のみ、または英語/中国語対応など、言語の制限があったが、同社の新サービスでは3カ国語以上に対応し、手書きで無造作に訂正された文字でも瞬時にデータ化が可能となった。
また、大規模言語モデル(LLM)を組み込んだ同「AIGenie」は、保存済みの膨大なドキュメントから必要なデータを抽出し即座に要約するため、日々の報告書作成の効率化を促進する。

2)発注フローを最適化
飲食や小売シーンでは、InSnap & e-Procurement Solutionが大変便利。同機能は本部とレストランや店舗を直接つなぎ、注文情報を共有する。人的な介入を最小限に抑えるため、作業ミスや現場判断から招く発注ミスを防ぎ、業務フローとコストの両方で効率を上げる仕組みだ。

RFIDやロボットを利用した固定資産の管理
例えばオフィス内の全PCやキーボード、デスクやイスなどの固定資産にRFIDタグを貼付し、RFIDリーダでスキャンしクラウドでデータを管理することで、日常の管理業務や監査の効率化をサポートする。同技術は倉庫や物流シーンで商品・在庫管理としても役立ち、労働力不足を解決する手立てにもなる。

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医療現場のクオリティーをUP
レントゲンフィルム等の検査結果をキヤノンのスキャナーで電子化することで、医療情報処理の最適化を図る。電子化した医療情報は必要に応じて印刷し、診療レポートとして患者に渡すことができる。また、院内に設置された安全カメラが患者の動向をチェックし、転倒などの緊急事態を即座にスタッフへ通知、命のリスクを減らすことに貢献できる。

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遠隔のセキュリティガードや接客にも
アクセス・コントロール・システムは、Bluetooth、指紋、NFC、PINコードの4要素に対応できる認証システムで、オフィスエントランスの安全を強化。また、多機能セキュリティ・システムにより、スタッフは自席にいながらスマホ一台で来客をカメラで確認、音声で会議室に案内するなど迅速な応対を可能とし、受付業務の省人化を実現する。

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【インタビュー】
最先端の技術を追うだけではない ニーズに応えるソリューションを提案
左からキヤノン香港・尾澤一弘氏(董事長)とキヤノンシンガポール・片桐紀宏氏(SVP)

左からキヤノン香港・尾澤一弘氏(董事長)とキヤノンシンガポール・片桐紀宏氏(SVP)

キヤノンのテクノロジー史にまた新たな1ページが加わる画期的な同イベントには、シンガポール地域本社からもSVPの片桐氏が駆け付け、キヤノン香港の董事長・尾澤氏とともに弊紙インタビューに応対した。アジアの経済ハブである二都市を管轄するトップたちは、どんな未来を見据えているのか。(以下敬称省略)

「AIGenie」の開発はいつからスタートしましたか?
尾澤:今年の2月からでしたが、構想はCovid-19より以前からありました。パンデミックを受け、業務の自動化・簡素化を求めるニーズが増えたことで、この度のローンチとなりました。
弊社ではもともとプリンターサービスにおいてOCR(文字認識)機能がありました。しかし多言語対応は難しかった同機能に対して、AIは日々自動的に学習をするので多言語を可能にし、さらには香港の印鑑に見られる篆書体などの古い文字も認識できます。常に進化するポイントが大規模言語モデルの優位性ですね。

「AIGenie」は中小企業にも導入しやすいソリューションですか?
尾澤:そうですね。どのように導入開始すればいいかわからない、コストがかかるのでは、という声も多く寄せられますが、「AIGenie」にはすぐ始められるスタートパッケージを準備しています。スモールスタートで始めていただいた企業さまから、導入までの速さや便利さを実感していただき、業務効率が上がったと喜んでいただきました。

セキュリティ対策について教えてください。
尾澤:銀行や法律、会計を筆頭に、またそのほか顧客情報を扱う企業さまにも安心して使っていただけるように、ISO27001をはじめさまざまな認証を取得していますので、万全な体制を整えています。一般的に使われているパブリックAIに対し、弊社ではプライベートAIを使用していますので、多くの企業さまが懸念する情報漏洩のリスクを低減することができます。

これからの課題はなんですか?
片桐:文字認識を得意とする性質がある製品ですが、今後はグラフやエクセルなどのデータ認識・再現性を強化することです。そのために、AIへ強化学習を実施し、日々精度を高めていく必要があります。

キヤノンといえば、カメラやプリンターを思い浮かべる方が多いかもしれませんが、お客様の問題解決に向けて貢献することが弊社の一番のゴールです。ハードウェアも含め、必要なソリューションを提案・提供することが最大の任務であると自負しています。多国籍企業の集う国際都市の香港・シンガポールからまずは新製品・ソリューションを普及し、顧客満足度を上げていきたいと思います。

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