メディポート健康コラム:感染症との戦い

2025/06/04

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そろそろ梅雨を迎える日本。高温多湿のこの時季、日本では昔から食中毒予防の啓発が盛んになされたものです。しかし近年、衛生環境が改善されたことに加え、食品流通や保存技術の進歩によって食中毒に関しての環境要因はなくなりつつあります。さらに食生活の多様化もあって、冬の食中毒の発生も珍しくなくなっているのが現状です。食中毒の原因微生物は細菌やウイルスなど非常に多くの種類がありますが、人類の生存を脅かす病原微生物はそのほかにも無数に存在し、我々は目には見えない敵と常に戦いながら生き抜いてきたといっても過言ではありません。

感染症の歴史
紀元前には神の怒りなどと思われていた感染症。その原因が微生物と理解されたのは1800年代になってからのこと。微生物を直接観察できるようになったのは比較的解像度が高い顕微鏡が発明された1600年代後半ですが、それほどまでに小さな生物が病の原因であるという理解には至りませんでした。細菌類と病気の具体的な関係が解明されたのは1800年代になってからですが、香港に住む日本人にとって特筆すべきことは、北里柴三郎が1894年に現在のケネディータウンでペスト菌を発見したことです。同時期に同じ香港でフランス人のアレクサンドル・エルサンもその発見に至っており、どちらが第一発見者なのか意見が分かれるところですが、いずれにしても日本人医学者がその発見に貢献したことは誇らしいことです。
さらに1928年に発見された抗生物質は、人類の医学史に非常に大きな功績として刻まれました。最初のペニシリンは呼吸器感染症や皮膚感染症など幅広い感染症の治療に用いられ、第二次世界大戦では多くの傷病兵士を救いました。さらに1946年に発見されたストレプトマイシンは、それまで死の病として恐れられていた結核の治療に使用され劇的な効果を示しました。
このように細菌類に対して新しい抗生物質が次々に投入されたことで、病原細菌は人類の脅威ではほぼなくなりました。しかし元来、抗生物質が効かないウイルスに対する治療薬はその構造がネックとなって現代においても開発は困難を極めている状況です。またワクチン開発は比較的易しいとはいえ、ウイルスは容易に変異してしまうことも多く、インフルエンザワクチンに代表されるように毎年新しいウイルスへの対応が必要となるものもあります。またヒトに無害であったウイルスが突然ヒトに対する毒性を獲得するなどその身代わりの速さもあって、未だに我々はウイルスに振り回されている状況です。

感染症が拡大しやすい環境
ヒトは2万年ほど前に農耕を始めたころから増えはじめ、近年の医学の進歩によって地球人口は爆発的に増加しました。さらに産業革命を経て長距離の移動が可能となり、現代では多くの人々が日常的に世界中を飛び回っています。ヒトからヒトに感染する病気は、ヒト同士の距離が短くなり、さらに移動も盛んになると、瞬く間に世界中に感染拡大します。SARSや鳥インフルエンザのように、感染症によっては動物からヒトに偶然感染してヒトの感染症として定着するものもあります。人口増加で未踏の地を切り開く必要性が増して野生動物と接触する機会が増えたことも、現代の感染症における大きな問題になっています。さらに地球温暖化の影響でロシアの永久凍土が溶け始めており、そこから現れた太古の哺乳動物から未知のウイルスが見つかっていることも懸念です。感染症を伝搬する蚊などの衛生害虫の生息範囲も広がるなど、温暖化は感染症対策にも大きく影響しています。

これからを健康に生き抜くために
感染症に対する最強の守りは、実は自分自身に備わった免疫です。もちろんすべてに対応できるわけではなく最新医学と協業しなければいけないとはいえ、病原菌がヒトに感染する最初の関門となる免疫システムがとても重要な役割を果たします。医学が未発達だった時代に人類を襲った未知の病、スペイン風邪で人類が滅亡しなかったのは、免疫力に個人差があったからでしょう。免疫力を低下させないためには、基本的な健康状態を維持する努力が求められます。様々な健康法が提唱されていますが、肥満を避けることはもちろんのこと、適度な運動や適切な栄養、更には十分な睡眠が必要ではないでしょうか。現代社会ではとても難しいことですが、ストレッサーから距離を置くことも大切です。その意味で忙しすぎる現代社会生活から少し離れての生活が理想であるのかもしれません。

 


Hori メディポート:堀 眞
藤田医科大学卒業。臨床検査技師。
日本医科大学付属病院勤務の後、青年海外協力隊に参加し、南太平洋ソロモン諸島ガダルカナル島に2年間派遣される。世界保健機関WHOのプログラムの下でマラリア対策プロジェクトに従事。帰国後に就職した巡回健診事業を行う会社にて香港に赴任。健康に対する自身の理念を実現するため、1999年3月メディポートを設立し現在に至る。


Metro Medical Centre医療・健康の総合コンサルタント Mediport International Limited NNIグループ
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