メディポート健康コラム:アレルギーのおはなし

2025/02/05

スクリーンショット 2025-02-04 155536暦の上では春を迎えてもまだまだ厳しい寒さが続く日本。しかし植物の世界は本格的な春を迎えるにあたり決して休むことなくその準備を進めています。例えば桜。晩秋にすっかり葉を落とし、寒風にさらされている裸木はまるで枯れているかのようです。ところがその枝先では、寒さの中でも花芽がわずかずつですが成長しているのです。桜は人々がその開花を待ち望んでいますが、その反対に多くの人に嫌われ厄介者ともいえるスギの花が、今年は早くも1月中旬に咲き始めたようです。とても地味な花で、密集して咲いている小さな花を拡大すると松ぼっくりのような色かたちをしています。ところが可憐とは程遠いこの花(雄花)から飛散する花粉の量はとてつもなく多く、杉林から遠く離れた都会でも花粉症患者を苦しめます。戦後の高度成長期に建材利用目的に大規模植林されたスギはその需要が減って、成長しても放置されることが多くなっています。そのため飛散する花粉量が増えており、その結果スギ花粉症患者は、年齢にもよりますが有病率はなんと40%以上にも達しているそうです。スギと称せられる樹木は世界中に存在するものの、花粉症をもたらすスギは、ヒノキ科スギ亜種スギ属の植物で日本固有種です。当然ですがスギ花粉症は海外には存在せず、海外在住の患者は春には絶対に帰国したくないと言います。

アレルギーとは
免疫はウイルスや細菌(抗原)の侵入から生体を守る働きで、基本的には自身と異物を区別する生体機能です。現代の進んだ医学の下であっても臓器移植がとても難しいのも、また輸血も厳格にその型を合わせなければいけないのも、すべてこの免疫が関係します。免疫は正常に働いている分には我々の生存のためになくてはならないシステムですが、過剰に反応してアレルギー症状が起きると、時には命を脅かす危険をはらみます。また自然界に存在して通常はまったく反応しないものでも、例えば花粉アレルギーのように、ある時を境に激しい症状を起こすものもあります。アレルギーは、その症状や抗原の種類によってタイプが分類されますが、いずれにしても免疫が何らかの原因で正常に機能しなくなる「システムの暴走」ともいえる現象です。

食物アレルギー
近年食物アレルギーの患者数が著しく増加しています。そのため食事するたびにアレルギー関連食材が使われていないかどうかを気にしなければいけない人も少なくありません。これは食生活が変化して、以前は食べることがなかった食品を摂取する頻度が高くなったことと関連するようです。食生活が豊かになることは幸福につながるものと思いたいのですが、反対に苦痛をもたらす一面もあるとはなんとも皮肉なお話です。それにしても日本人の主食である米に対するアレルギーが増えていることに説明がつきません。60年ほど前の日本人一人当たりの米の消費量は現在の倍以上であったにもかかわらず、当時米アレルギー患者がなかったのはとても不思議です。実はこれも食生活の欧米化と無関係ではなく、共通するアレルゲンを持つ麦の摂取が増えていることと関係しているそうです。食物アレルギーには、飲食直後に比較的激しい症状が現れて時には死亡リスクもある「即時型アレルギー」と、喫食後ある程度時間経過してから現れる「遅延型アレルギー」の大きく2種類に分けられます。特に蕎麦や甲殻類アレルギーに代表される即時型アレルギーは非常に危険といえるものである反面、原因食品がわかりやすく対策しやすくもあります。それに対して遅延型アレルギーは原因食品の特定が難しく、慎重にアレルゲン(アレルギーの原因物質)を含む食品を特定する作業が必要になります。

アレルギー検査と対策
代表的なアレルギー症状は皮膚や粘膜あるいは呼吸器などに現れるわかりやすいものですが、自身のアレルギーの原因を知っておくことはその症状を抑えたり、発症を予防したりするためにとても重要です。もちろん即時型のアナフィラキシーショックなどに対してはアドレナリン自己注射液(エピペン)を携帯するなど、より一層踏み込んだ対策が必要です。
アレルギー検査はわずかな血液で幅広い項目が検査できるので、気になる人は一度検査してみると良いでしょう。ただし血液検査で疑いが分かったとしても必ずしもアレルギーとは関係ない場合もあるので、その結果をもとに闇雲に対応しても意味がないこともあります。また原因が判明した場合の対処法も様々なので、そこは医師と相談して最適な治療を選択したいところです。

ところで白血球成分のひとつである好酸球はアレルギー体質と関連しており、健康診断の結果でその割合が増えているケースを頻繁に見かけます。その多くは本人もアレルギー体質を自覚していますが、好酸球数に変化がなくてもアレルギー体質の人は一般的な認識以上に多いのは明らかです。また小児期のアレルギーは成長とともに改善していくことが多いのですが、大人になってからのアレルギーは耐性獲得しにくいと言われます。アレルギー疾患はがんと並んで現代病とも呼べるとても身近な病気です。時にはやっかいですが、うまく付き合っていくべき病気です。


Hori メディポート:堀 眞
藤田医科大学卒業。臨床検査技師。
日本医科大学付属病院勤務の後、青年海外協力隊に参加し、南太平洋ソロモン諸島ガダルカナル島に2年間派遣される。世界保健機関WHOのプログラムの下でマラリア対策プロジェクトに従事。帰国後に就職した巡回健診事業を行う会社にて香港に赴任。健康に対する自身の理念を実現するため、1999年3月メディポートを設立し現在に至る。


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