メディポート健康コラム:ハイキングの勧め

2024/10/01

スクリーンショット (2657)高層ビルが林立する大都会のイメージしかなかった香港。先進国など、すでに出来上がってしまった国には興味がなかった私にとって、来港前までは香港には惹かれるものはないと一方的に決めつけていた。ひょんなことから某社の駐在員となり赴任してきた。もともと海外生活を望んでいたのでもちろん快諾して赴任してきたわけだが、それでも心の隅に香港という場所に対して「しぶしぶ」という気持ちはゼロでなかった。
初めて住んだマンションの裏手は小高い山になっていた。これといった趣味もなく、週末は夫婦で買物に出かける程度だったが、あるとき多くの人が山に入って行くことに気付いた。何があるのかと地元の人たちの後ろを興味半分についていったところ、すぐに緑に囲まれて街の喧騒は消え去り、野鳥のさえずりと風の音に入れ替わった。香港に対する印象が変わり好感度が一気に増した瞬間で、それからというもの香港の自然にすっかりと魅せられるまでにさほど時間はかからなかった。大都会と自然が表裏一体となって、人々の生活にも密接にかかわっている香港は、素晴らしい居住環境であることに違いなく、これは香港人の長寿にも関連がないとは言えない気がする。

ベストシーズン
香港のベストシーズンといわれる季節は10月から12月。この時期、乾燥した穏やかな天気が続き、運動するにはもっとも適した季節だ。健康のために運動を始めるにはこれからが最適だ。ただし夏は過酷な環境だ。自然が多いといっても都市型気候である香港は夜間の気温が下がらないという特徴がある。最近では温暖化の影響なのか、場所によっては37、38度に達することもあるし、夜間でも街中では30℃近い気温が維持される。それでも9月に入ると吹く風にわずかながらも秋を感じるようになり、さらに10月を迎えると、まだ強い日差しが残るものの、湿度が下がることと相まって快適さが増す。12月に入ると寒い日もあるが、クリスマスくらいまでは過ごしやすい季節が続く。例年春節頃から雲が多くなり湿度も上がってくる。気温が上がらず底冷えするのもこの季節だが、雨が比較的少ないので助かる。そう考えるとハイキングに適した季節は10月から3月となるが、好天に恵まれるのは年内、あるいは春節までと思っていたほうが良いだろう。この時季にいろいろな場所に出かけ、香港を楽しんでもらいたいものだ。

ハイキングの勧め
運動したいが何をしようかと迷っている人には、手っ取り早くハイキングを勧めたい。これまで運動とは縁がなかった人にとって、ハイキングといってしまうとまだ敷居が高いと感じるかもしれないが、「散歩」と思えばどうだろうか。30分くらい歩いてみようという気持ちで十分。手ぶらでもかまわない。最初から靴やリュックなど特別にそろえる必要はない。私が香港の山の虜になったきっかけも、初めは街歩きの靴で、しかも手ぶらだったのだから、とにかく最初の一歩を近くの丘に向けてみることだ。香港島であれば、近くの小さな坂を登っていけば、きっとどこかのハイキングコースに出会う。様子を見に行くつもりで行って、小道が続くことを確認して戻ってくれば迷う心配もないだろう。住宅地に近いところであれば地域のお年寄りもふくめ、特に週末には多くの人が歩いているので何も心配することはない。
再度同じ道を行こうと思い立ったらもう少し先まで足を延ばそう。小高いところまで登ると、自分が住むマンションを眼下に見下ろす場所もあるかもしれないが、私はそんな何でもないことに、初めはいたく感激していたものだ。香港は大都会だというイメージを持っている人にとって、ちょっとでも自然に触れることができるハイキングは、香港に対してまた違った印象を持てる絶好の機会になるだろう。

運動としてのハイキング
運動不足を嘆く人は少なくないが、急な運動は長続きしないばかりか身体を壊す原因にもなりかねない。英国人のある研究者は歩行について深く探っている。どのような歩き方が健康に最も良いのかも研究しており、歩行時の心拍数や呼吸の変化、酸素摂取量など、状況を変えて多くのデータを取っている。その結果、健康維持増進のためには低山ハイキングが最も効果的であるという結論に達している。登りで心拍数や呼吸数が上がり、平坦な所ではクールダウンし、また下り坂では登りとは異なる筋肉を使う。ジョギングなど一定の運動負荷が継続するのではなく、様々なパターンで使用される筋肉が異なり、またその強度も常に変化する。さらに競争ではないので自分のペースを維持できることもその利点の一つといえる。基本的に歩行は全身の筋肉を使う運動だ。距離はともかくハイキングは誰にとっても最も身近な運動だ。

自然界で、歩くこと、飛ぶこと、泳ぐことは、それぞれの生きものにとって生存の基本行動だ。ヒトは当然ながら歩行が基本。その意味では、日常生活においていかに歩く時間を確保するかが大切であり、更に週に一度くらいは少し長い距離を自然に触れながらゆっくりと歩けば、運動になるだけでなく、ストレスマネージメントの観点からもとても効果的に作用すると期待できる。さあ、この週末からでも思い切って歩こう!


堀様1藤田医科大学卒業。臨床検査技師。
日本医科大学付属病院勤務の後、青年海外協力隊に参加し、南太平洋ソロモン諸島ガダルカナル島に2年間派遣される。世界保健機関WHOのプログラムの下でマラリア対策プロジェクトに従事。帰国後に就職した巡回健診事業を行う会社にて香港に赴任。健康に対する自身の理念を実現するため、1999年3月メディポートを設立し現在に至る。


Metro Medical Centre医療・健康の総合コンサルタント Mediport International Limited
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