海外での「死」の取り扱いPART3〈葬儀編〉NEVER MIND 何があっても没問題！ - 広東総合投稿

ワンストップですべてはALRIGHT！目移り必至の段取りコーナー
海外での「死」の取り扱いPART3〈葬儀編〉

【前回までのあらすじ】

　チーム検視おぢさん刑事（たぶん）に心えぐられながらも、地元のみなさんに助けられながら乗り切った1日目。翌日に待ち構えていることは一体どんな……。

　さて、翌日になり、まずは「銀河園」に連絡しなければなのだが、ぎ、銀河……？あ！ハードル高き電話か！こりゃダメだ。ということで、弊紙広州スタッフのHちゃんにお願いをする。この「銀河園」とは広州市公営の「総合葬儀場」だということが判明。外国人だし、何をどうすればよいのか分からないし、まずは現地にHちゃんと行ってみることにした。

正門　すでに広大

　先方から言われた必須書類（死亡証明書、遺体搬送票、相方のパスポート）と、念のためのその他書類（結婚証明書やらなんやら）を持って一路、銀河園へ。おお！広大な敷地。バス停名にもなっている銀河園は、まるで公園のようだ。緩やかな坂を登っていくと事務手続所がある。受付で必須書類を提示、お話を伺う。なによりも気になったのが「どのくらい火葬待ちができるのか」だったので聞いてみると、「みなさまご事情がおありですから、好きなだけ待てますよー」。え？好きなだけって……？

　遺体も20日間くらいは冷蔵なのだが、それ以上になると防腐剤をがっつり打っての保存になるそうだ。当地での火葬とその時期や自国への搬送など、選択肢はいくつもあるのだが、この時点では確定できない事情もあり、お話だけで一旦帰ることにした。

　そして翌日、改めて銀河園へと向かう。すぐに荼毘に付すことにしたからだ。受付から担当さんを紹介され、コース選択へ。コース、と言っても、最低限の基本プランの他（オプションですね）を自分たちで選ばなければならない。棺や骨壷（ピンキリの幅、3ケタ〜5ケタのお値段）から始まって、ご遺体のお風呂を御家族で、葬儀のお花の追加プラン、など、選択肢の多さ（とお値段）にただただ圧倒される。ちなみに最低限のいくつかはなんと！

　外国人であっても広州市負担である。その額、1270元。自己負担は4560元（オプションかなり少なめ）、微信支払いオッケーでした。

ビバ！広州市政府！

　唯一悩んだのが、葬儀の部屋の内外につける幕の文句である。ん〜無くてもいいような……と言ったら、それまで「はい、はい」と聞いていた担当さん、「これは無いとダメですよ」と力強くプッシュ。きちんと送り出すために欠かせないものだそうだ。とはいえ、どんな文句が相応しいのか困ったので、担当さんにおまかせ。快く請け負ってくれて嬉しかった。当日の相方の服（お気に入りの作務衣と草履）も指定でき、いや〜そのサービスはさすが総合葬儀場、ワンストップで、すべてはALRIGHTなのである。

室外

室内
英語名と中国語四字熟語は少々異彩を放っていた

　当日。正門で待ち合わせたHちゃんから葉っぱをもらう。中国語で榕樹、日本語ならカジュマルが分かりやすいだろう。榕樹は悪いものから守ってくれるとのこと、確かに銀河園は榕樹に囲まれているなあ。ちなみに葉っぱは持って帰らず、園内に置いてくるのがポイントだ。

榕樹（ガジュマル）

　時間となり、指定の葬儀室へ。お風呂（オプション）にも入り、お髭も手入れされ、作務衣でこざっぱりし、出会った頃と変わらずの好い男になった相方。よかった。葬儀室の担当さんに六文銭代わりの英国2ポンドコインと煙草セットも手渡すことができた（ちなみに日本はこの辺の規則が厳しい）。これらが無いと、三途の川も安心して渡れないだろうからなあ。

　お別れの時間がやってきて、相方は焼場へ。お骨拾いはせず、基本プランの3日後引き取りにした。当日オプションだと斎場の人たちはけっこう大変らしい。ワンストップとはいえ、何人もの人たちの助けあっての送り出し。けっこう気ぃ遣いだった相方、そこはゆっくりで没問題と言ってくれたに違いない。こうして数日後に相方は帰宅、今日も相方は写真の中で、やさしい目であてくしに微笑んでいる。

　次回PART4〈総まとめ編〉につづく。

［ヘイワード 順］

母、妻、日本語教師、ライター、女の5足のわらじ（1足減りました）を履いて、今日も広州中をぱたぱたと、なんでもかんでも「なんとかなるさー」で乗り切ります！広州10年目突入、中国語は相も変わらず駄目駄目レベル。夜ごはんの主食はやっぱりビール。