深センものがたり 第10回

2019/04/30
吾輩は犬である

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吾輩は犬である。名前はまだ無い。野良犬なので当たり前である。日本に自分を吾輩と言う猫がいたらしいので、ここではボクと言うことにする。ボクは深センに長く暮らすが家(犬小屋)は無く、今は人間たちが羅湖と呼ぶ街で自由気ままに暮らしている。ここは住みやすい街である。

えっ、食い物?それがけっこうウマいものにありつけるんだ。この街には美味い店がたくさんある。朝、昼、晩、夜食含めて苦労したことはない。どの店へ立ち寄ってもヤマほどのメシがあるのさ。ところで、人間たちはたくさん残すのになぜあんなに食いきれない量を注文するんだろ?注文しなきゃいいのに。

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今日は湖南料理と四川料理を食った。いささか辛かったので、明日は海鮮街へでも行ってみようかと思う。どぉだ、いい生活だろう。

 

 

 

犬も歩けば…

犬も歩けば棒にあたる、じゃなく糞に当たるってか!近頃、街中に犬の糞が増え続けている。言っとくがありゃぁペットの連中のモノだ。だけどアイツらに責任はねぇ。ペットたちは野生の本能を忘れてるもんで仕方ねぇのさ。野生の世界じゃ、あんなに所かまわずやっちゃぁ長生きできねぇ。自然界にはそれなりのルールってものがあるのさ。コンクリートに排泄すると砂をかけられねぇ、自然に帰らねぇんだ。クソみたいな飼い主が責任もって処理しなきゃならねぇクソだ。ボクたち野良は歩道の目立つところではしねぇ、安心しなって。

 

 

道路事情

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電動バイクが歩道を走ったら危ないやろ!街に自転車や電動バイクが急に増えた。昨日もはねられそうになった。(そうでなくても短い)寿命が縮んだわ。ボクたちは遠慮して道の端を歩くけど、そこらじゅうに放置自転車が山積みで歩けない。おまけに自転車の多くは潰れてるやないか。なんで借りモンを大切にせえへんの?お金払ったらなにしてもええんか?

最近は道が不便や!広い道路の横断もそうや、簡単に道路を渡られへん。人間かてそうやろが、はるか遠くまで歩かんな横断歩道があらへん。道を渡るのに長い階段を上り下りして橋を渡らなアカンねん。はっきり言うて、この街は車優先社会やんけ―!

ボクはべらんめぇ調にもなるが、ホンマに怒った時は大阪弁になるねん。すんまへん。

 

 

禁断の愛

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近頃お気に入りの散歩ルートがある。高台のマンションまで足と手をのばす。えっ、なぜ手って?あんたたち人間はボクたちに「お手っ」て教えるだろうが。ボクたちにとっては前の足なのだが、このコラムは人間が読むから手にしたんだよ。

 

 

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話は横道に逸れたが、その高級マンションに住むメァリーと名付けられた美人(犬)のコリーがいる。毎日同じ時間に近くの公園を散歩しに来るんだ。ボクは少し離れた所で眺めるだけなんだ。だって”高嶺の花“だし、結ばれぬ禁断の恋だとわかってるんだから……。

ちなみに、このコラムは”ぼやき漫才“ではない、あくまで文学なのだ。吾輩は犬である。名前はまだ無い…。

 

 


宮城 紀生

深セン在住18年のベテランコンサルタント
宮城 紀生
miyagi@waya.net.cn

 

 

 

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