春節に食べるべき五つの広東料理

2018/01/23

中国では、旧正月・春節がとても重要な祝日とされている。故郷を離れている人もみなこの時ばかりは帰省して家族と一緒に新年を迎える。春節の風習や準備する正月用品はそれぞれの土地ごとに特色があるので、それを知ることで地元の文化や食に対する理解をより深めることもできる。まもなく春節を迎える今、広東人が犬年春節をどのように迎えるのか、御節料理の角度から見てみよう。

煎堆(Jiān duī、広東語:Zin1 deoi1)

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広東や香港の春節では欠かせない胡麻団子。煎堆を五味調和(※)でみると、鹹と甘のバランスがよいとされる。黄金色の煎堆が積み上がった様子が黄金で溢れていることを連想させることから、「煎堆轆轆、金銀満屋」と言われ、人丁興旺(子孫繁栄)、花開富貴(出世して財を成す)、合家平安(家族の幸福)、万事大吉、といった人々の願いが込められた縁起物となっている。最近では友人や知人に贈ることもある。広州でお薦めは「広州酒家」や「陶陶居」、「東海酒家」といった老舗酒楼の煎堆だ。煎堆作りは手間がかかる。そのため、おいしく、丸く、ふっくらと作るには職人の熟練の技が不可欠。老舗酒家のものはさすがの仕上がりだ。
(※漢方で五味調和とは、酸・苦・甘・辛・鹹の五味がその臓腑器官にどのように作用するか、五性<寒・熱・温・涼・平>と呼ばれる5つの効能に分けて、あらゆる食材の効能を定義すること)。

角仔(Jiǎo zǐ、広東語:Gok3 zai2)

2揚餃子のような形の角仔、これも広東独特の春節料理だ。油角とも呼ばれ、現在でもまだ自宅で揚げる習慣が残っている。形状は餃子と似ているが、餃子よりも餡が多くふっくらしている。ふくらんだ巾着を連想させるため、春節の時には中に詰める餡が多ければ多いほどその年の巾着がパンパンになるとされている。最近では自宅で角仔を作る家庭が少なくなってきたため、角仔が作れる人は、好んで手作り角仔を親族や友人に振る舞う。一つには料理の腕自慢、一つには財が舞い込む一年になりますようにというみなへの祝福の意味がこめられている。

咸水角(Xián shuǐ jiǎo、広東語:Haam4 seoi2 gok3)

3咸水角はピロシキのような料理で、広東、香港、マカオでよく見られる。中の餡は豚ひき肉、ニラ、干しエビ、シイタケ、沙葛(ヒカマ)など。作り方は、沸騰した湯を浮き粉に注ぎよく混ぜる。ボウルにもち粉を入れ、砂糖、ラード、水を加えてこね混ぜる。浮き粉と合わせ、適当な塊に分ける。餡を包んで熱した油に入れ黄金色になるまで揚げる。食感はサクサク。広東人の春節料理では角仔(油角)、煎堆とあわせて咸水角が用意される。

糖果(Táng guǒ、広東語:Tong4 gwo2)

4糖果とはアメや涼果と呼ばれる砂糖漬けのこと。広東人が春節に糖果を食べるのは“生活甜甜蜜蜜”(甘い生活=幸せな暮らし)を願うことのほか、その食材によりそれぞれに異なる意味がある。糖蓮子(蓮の実)は子宝、糖馬蹄(クログワイ)は馬到成功、糖蓮藕(レンコン)は幸運が連連と続くことを意味する。こうした涼果はどこの家庭でもきまって正月用品として用意される。さらに糖冬瓜(トウガン)、糖椰絲(ココナツ)、糖紅蘿蔔(ニンジン)、甜欖(オリーブ)などもある。

笑口棗(Xiào kǒu zǎo、広東語:Siu3 hau2 zou2)

5笑口棗は細煎堆とも呼ばれる、旧暦一月十五日の元宵節に食べられる。材料は、もち粉、卵、砂糖、胡麻で、高温の油で揚げることで表面がはじけて口を開けて笑っているような表情を見せることから“笑口棗”と呼ばれている。一家がいつも笑っていられるようにとの願いが込められる。作り方はそれほど難しくないので広州の多くのお店で売られおり、味もしっかりしている。

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