開平望楼 ミステリアスな建物群 4

2017/02/01
開平望楼

中堅楼、通称「ロボット楼」

開平望楼シリーズの最後に取り上げるのは、蜆岡鎮・錦江里村とその周辺だ。開平市の南西部に位置するこの村には、10本の狭い路地で結ばれた、青い煉瓦の壁と斜め屋根の民家が整然と並んでいる。村の背後には3棟の望楼がそびえている。西から順番に、7階建ての「昇峰楼」、村民が共同で建てた5階建ての衆楼「錦江楼」、そして最東端が「瑞石楼」だ。

注目すべきは9階建て、高さ約30メートルの「瑞石楼」。アメリカ華僑の黄氏親子が1923年に建設を開始、三年後の1925年に完成した。他の望楼はたいてい4階建てから6階建てだったが、最も壮観な望楼を望んだ彼らは、この農村にしては驚きのスケール―9階建ての望楼を建ててしまったのだ。玄関には、当時の広州六榕寺の住職で書道の大家でもあった鉄禅大師の手による対聯が彫刻されている。この望楼は開平で最も高く、「開平第一望楼」(高さもさることながら芸術的価値も高い望楼)と呼ばれている。

開平望楼

瑞石楼

特徴は、5階の屋根部分のローマ式アーチと風変わりな四角の柱、6階の古代ギリシャ風列柱とアーチから構成された柱廊、7階のバロック調の切妻壁、8階の西洋風塔式あずまや、9階のローマ式あずまやの円頂などだ。内部には装飾のほどこされた家具がほぼ昔のままに保存されている。かつては一階が母屋で、家族は2階から6階でそれぞれ生活していたという。7階には先祖の仏壇が安置され、8階は夜警用の部屋として、不測の事態に備えて武器・弾薬・発電機などが置かれた。9階は展望台で、サーチライトと鐘が備え付けられている。防御機能が非常に重視されていることが望楼の構造からもわかる。2階の正面の壁には二つの銃眼があり、ここから入り口を警備できる。6、7、8階の回廊の壁の角は「燕の巣」と呼ばれる突出した円形の設計で、射撃の際の掩体の役割もある。すべての「燕の巣」にある銃眼は下向きに射撃可能となっている。

開平望楼

辺籌楼、通称「斜楼」

このエリアには他にも、「ロボット楼」とも呼ばれる「中堅楼」や、開平版ピサの斜塔とも呼ばれる「辺籌楼」通称「斜楼」など、特徴的な望楼がいくつかあるので、時間があれば足を延ばしてみる価値がある。1833棟の望楼は、そのまま1833個の顔として現在でも開平の歴史を映している。

開平望楼
住所:広東省開平市塘口
アクセス:広州市内からバスで約1時間半

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