広州の鼎泰豊(ディンタイフォン)・小籠包

2016/11/29

鼎泰豊日本でもお馴染みの上海料理店『鼎泰豊(ディンタイフォン)』については、今さら説明するまでもないが、分かりやすい紹介の仕方としては1993年にアメリカ・ニューヨーク・タイムズ紙において、世界の人気レストラン10店にも選ばれたこともある、言わずと知れた小籠包の名店である。

鼎泰豊

■私の原点回帰
広州の新名所・天河地区の天環ショッピングモールに新店がオープンしたこともあり、久しぶりに気のおけない友人たちとともに、食べに行こうかということになった。やがて給仕が始まり、テーブルに置かれた”小籠包のおいしい召しあがり方“に目を通す。ほう、昔からこんな説
明書きが置いてあったかしらと、そのサービスと味の安定感に安堵感を覚えるにつれ、ふと中国に来たばかりのことを思い出した。片言の中国語で注文を一つするのにも緊張していたころ、目を落としたメニューには日本語が併記されていて、妙に安心したことを思い出す。間もなく、今が旬の”蟹味噌入り豚肉小籠包“が運ばれてきた。

鼎泰豊

餡の旨味を邪魔しないほどの、心地よい酸味のある特製酢を皮襞(かわひだ)にからめ、千切り生姜を上品に乗せて口に運ぶ。うむ、旨い! あれから何度となく小籠包を注文したが、薄皮から溢れ出てくる熱いスープのごとく、この変わらぬ味に対しての私の熱い想いは溢れんばか
りなのである。海外出店の歴史は、日本から始まったことをご存じだろうか。それだけ日本人の口に合っていたのかもしれない。このおかげですぐにこちらの食生活にも慣れたような気さえするのだ。

何かしら馴染めないことがあると、私は鼎泰豊”小籠包“の熱いスープを思い出してきた。安定の味の底にある安堵感、美味しさ、それが私を鼎泰豊に向かわせるのだ。

鼎泰豊

豚肉の挽き加減も、適度な歯ごたえが残るよう計算され尽くしている。蟹の風味が豚肉の脂に相まって、だんだんととろけるような不思議な口内感覚があった。時季的に蟹味噌入りにして正解だった、と唸ってみる。蟹味噌をもっと味わいたい時は、天環店イチ押しメニューの蟹味噌豆腐炒めを注文する。絹ごし豆腐の上にかかった餡は、とろけるように美味い。430g と食べ応えも十分だ。

■海外進出一号店、東京・新宿出店20周年を迎えて
そんな私の定番といえば、スタンダードな豚肉小籠包に加え、海老豚肉玉子チャーハンと豆の苗炒め、そしてデザートにはふかしたての黒ゴマまんじゅうなのである。チャーハンの見事なパラパラ加減が、私の心を躍らせる。さっとシンプルに炒められた豆苗は、仕上がりの緑の鮮やかさが素材の良さを物語っている。そして、忘れてはならない黒ゴマまんじゅうは、ゴマの香り、甘みと、舌触りが見事に融合した逸品なのである。お土産としても大変喜ばれるので、私はふかす前の物を大量購入し持ち帰ることにしているほどだ。足掛け7年で全メニューを制覇したが、この4品を永遠に推し続ける気持ちはブレない自信がある。

鼎泰豊

店頭に設置されたガラス張りの調理場で、熟練の点心師達が一斉に、皮に餡を包んでいるのを見かけたことのある人も多いだろう。調理現場はオープンという自信、そして小籠包の”美しき18の襞“が伝統を守り続けているように、その技と味は一品一品に現れていると言えよう。

海外出店一号店である東京・新宿店では、今秋10月に出店20周年を迎えた。今や世界13カ国127店舗にまで広がった美味しさは、人々を魅了してやまない。そして今日もまた、厨房では名物の小籠包が包み込み続けられているのである。

鼎泰豊

鼎泰豊鼎泰豊(ディンタイフォン)
天環広場店
住所:広州市天河区天河路218号天環広場地下2階B227号
電話:(86)20-3725-2345
時間:11:00~22:00

太古汇店
住所:広州市天河区天河路383号太古汇M層(地下2階)35舗
電話:(86)20-3808-8181
時間:11:00~22:00

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