今すぐ使いたくなる中国語「輸不丟人, 怕才丟人」

2016/10/18

輸不丟人, 怕才丟人
shū bù dīu rén, pà cái dīu rén.

「負けは恥ではない。恐れることこそ恥なんだ」

梅蘭芳「丟」は、失う、無くす、捨てるという意味。「丟人」や「丟臉」は、恥をかく、醜態をさらす、面目を失うなど、人に合わせる顔がない様をあらわす。紹介する映画では、当時、名を馳せていた京劇俳優・十三燕が登場する。梅蘭芳の師匠であった十三燕だが、次第に主役の座を梅蘭芳へと譲ることになる。梅蘭芳の時代が来たことを悟った十三燕だが、決して逃げることなく舞台に立ち続ける道を選ぶ。そして、最後の幕が下りるまで役を演じきり、臨終を迎えた時、梅蘭芳にこの言葉を託す。確かに勝負には敗れたのかもしれないが、言葉に裏打ちされたその生き様はやはり彼こそが師であったことを強力に印象付ける。梅蘭芳が生涯この言葉を折りに触れて思い返していることがそれを物語っている。

中国には「初生牛犢不怕虎」という慣用句がある。生またばかりの子牛は、経験がないので虎を恐れない、という意味だ。つまり、経験の少ない者が何か物事に取り組む時、雑念がないので、果敢に挑戦できるということ。結果は必ずしも完璧ではないかもしれないが、不怕虎の精神は賞賛に値する。この競争社会では、勝つこともあれば負けることもある。もし負けることを恐れて二の足を踏むなら、それこそ“丟人”なことであり、あとで後悔することにもなりかねない。挑戦した結果敗れたのなら、心に恥じることはないし、悔いも残らない。自分の中でやりきったという自負が生まれる。勇気をもって挑戦するなら“雖敗猶榮”―たとえ負けても光栄に感じられる。

作品紹介
梅蘭芳(Forever Enthralled)
梅蘭芳は京劇の大家で、「四大名旦」(「旦」とは女形のこと)の一人。この作品は、「さらば、わが愛/覇王別姫」の陳凱歌(チェン・カイコー)監督による、梅蘭芳の最盛期を描いた映画。激動の現代中国で芸一筋に生きた役者の真の姿に迫る。

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