世界が驚く、中国のおばちゃんパワー!「中国大媽」とは?

2016/07/06

中国大媽「爆買い」と共に話題となる中国のおばちゃん「中国大媽」。からかいの対象として取り上げられることも多いが、その背景を知ると、なるほど! と思える部分もある。「中国大媽」たちの今後の動向と思考パターンが分かれば、これからの中国社会を占うヒントが得られるかもしれない。

「中国大媽」とは、一般に年齢50〜70歳の都市部に住む女性たちのことを指す。大媽と呼ばれる人たちには大きく分けて次の二つの特徴がある。その一、共通する行動パターンがある。例えば、広場ダンス、ショッピング、団体旅行など、特定の活動を好む。その二、経済力がある。安定した収入があり、それ相応の購買力がある。また、以下に挙げるような共通の思考パターンがある。中国伝統文化の影響を強く受けており、人生の大半を家庭や夫のや子どものために費やしてきた主婦で、日々の家事をこなし、家計をやり繰りしてきた。これまで決して豊かとは言えない社会環境の中で生きてきたため、「小富由倹」(小富は倹約のなすものなり)がしみついている。人民元切り下げを経験した世代であり、そこから学んだのが、「ただのペラペラの紙切れは頼りにならない」という教訓。そして、その教訓がいつになっても頭からはなれない。そして、現在でも社会に対して一抹の不安を抱いている。そのため、自分たちが頼りになると考える”物“に執着する。ずっしりと重い金塊などはそのよい例だ。
「中国大媽」という言葉が知られるようになったのは、金を爆買いした中国人中年女性たちのことを米国メディアが揶揄したことがきっかけのようだ。世界の金融市場では「中国大媽」から生まれた”dama“という用語もよく知られている。事の発端はこうだ。2013年4月、金の国際価格の下落が加速した。このチャンスを逃すべく中国の中年女性たちは、金を扱うお店に向かった。折しもゴールデンウィークと重なり、中国の大都市や香港にそれらの女性たちが殺到。約2週間で1千億元(約1兆6千億円)が使われ、合計300トンの金の現物が買われた。この現象にウォール・ストリートの金融界も反応、「金を売りに出せば大媽たちが全部買ってくれる」と大媽の存在が認知された。そのまま金価格が回復基調に向かえば大媽たちがウォール・ストリートの金融界に勝ったということになったのかもしれないが、金価格は横ばいを続中国大媽けた後下降傾向に転じてしまった。
大媽たちの矛先は金だけにとどまってはいない。大きい買い物では国外の不動産、小さい買い物では家具などがある。日本でも炊飯器や温水洗浄便座の爆買いが話題となったが、これも中国大媽たちの飽くなき購買欲が引き起こしたと言っても過言ではない。海外でのこうした行動のおかげで、”dama“という言葉は、貪欲な消費者や衝動買いをする投資家というマイナスのイメージを帯びるようになってしまった。
大媽たちのこうした行動が良いか悪いかはさておき、次の事実を反映しているのは確かなようだ。中国経済は発展を続けてきたし、国民の生活水準も上昇してきた。大媽たちの行動はその発展がもたらした一面を反映している。海外で爆買いするのも、賢いとは思えない行動をとるのも、なんとか自分の家庭を守りたい、不安定な社会の中で少しでも頼りになるものを得ておきたい、ただ必死にそれを求めているだけのことなのだ。いざという時、なんだかんだ言って最低限の生活が保障されているような環境で育った人と、頼れるのは自分だけという環境で育った人とでは価値観が大きく異なるのは当然のことだ。そう考えると、あまり褒められた行動ではないとしても、優しい目を向けられるようになるのかもしれない。大媽たちがより良い方法で家庭を守り安心感を抱けるような方向に導いてあげれば、次第に”dama“という言葉にプラスのイメージがついてくるのかもしれない。
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