流行事情「我好方」

2016/06/29

四角我好方――字面だけを見れば「私は四角」(I’m so square)となる……が、この言葉は「我好慌」の意味で使われている。「あせる」「あわてる」「テンパる」と訳される。顔が四角になるほどあせるということなのかと思ったら、元々は方言に由来しているようだ。福建省なまりだと普通話の「f」と「h」がうまく発音できない。「慌」の発音「huang」と「方」の発音「fang」は似ていることから、「我好方」という表現が生まれたようだ。広まったきっかけは、ある外国人のカバーした中国語の楽曲で、この歌でもやはり「慌」(huang)が「方」(fang)に聞こえたらしい。例をみると、「早上起床、突然看到天還是黒的、我好方」(朝起きる、まだ空が暗い、あせる)、「看到体重秤上的数字、我開始方了」(体重計の数値を見る、あせる)のように使われている。

この表現を使うことでなまりをからかっているわけではない。自分の遭遇した良くない出来事も、ジョークにすることで軽く受け流すことができる。実はそれほどショックを受けていない、自分は自分についてこんなふうに言えるんだよ、と暗にアピールしている。自分を慰めることもできるし、笑いのネタにされないよう予防線を張ることにもなる。こうした視点で考えると、どの言語でもネットで流行する言葉の多くには自己防衛効果が備わっている。不必要な問題を回避し、感情を上手にコントロールするために使われているのかもしれない。

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