流行事情「北回帰線公園」

2016/06/13

背景地理に詳しい方であれば、広東省が北回帰線上に位置していることはご存知のはず。回帰線とは、夏至または冬至に太陽の真下となる地点を連ねた線のこと。北半球のものは北回帰線といい、北緯23度26分22秒に位置している(毎年微妙な誤差が生じる)。太陽が地表を照らす角度が最も高くなる南中時、春分と秋分の日には赤道上で、北半球の夏至では北回帰線で、北半球の冬至では南回帰線で太陽が真上から照らす。そのため広州では毎年夏至の前後10日間ほど、南中の時間帯で影が非常に小さくなる。日本では太陽の角度が最も高くなる夏至でも77.8度くらいにしかならない。また日本を含め北半球では太陽の南中時、影は北向きに出るのが常識だが、北回帰線と赤道に挟まれたエリアでは北半球であるにもかかわらず、季節により影が南向きに出る現象が生じる(広州東駅の緯度は北緯23度9分12秒)。

広東省には幾つかの北回帰線公園があり、そのうちの一つが広州郊外の従化にある。公園には「北回帰線標塔」がある。もし夏至の日にここを訪れることができれば、この塔である現象を目撃できる。ちょうどこの塔の上に太陽が来た時、塔の上にある穴から入ってきた太陽の光が塔の中央にある一点を照らすようになっている。これまで北回帰線を特に意識することなどなかったかもしれない。今年の夏至は6月21日。広州での思い出づくりに一度訪れてみるのもよい。普段は人の少ないこの公園も、夏至の正午前後はたくさんの人が訪れる。

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