広州東駅前の「蘭州ラーメン」で攻撃的な味付けと麺を楽しむ

2015/11/03

蘭州ラーメン広州から香港に戻る前、いつもこれだけは食べておきたいというものがある。”蘭州ラーメン“がそれだ。ずっと12時15分で止まっていた広州東駅目の前の保利中匯広場の時計台を見上げながら中信広場の方へ向かう途中に蘭州ラーメンのお店がある。このお店へは既に4、5回来たことがあるのだが、それ以前は來来軒の斜め前にも蘭州ラーメンのお店があった。來来軒の近くにあったお店には、酒と肴もあったのだが、保利中匯広場近くのお店にお酒は置いていない。ビールが飲みたくて「ビールある?」と聞いてみたが答えはNo。では外で買って持ち込んでも良さそうなものだが、それもダメとのことだった。「どうして?」と聞くと店員はメニューにあった”回教“という文字を指差した。そう蘭州ラーメン屋で働く彼らの多くはウイグル人であり、イスラム教徒なのだ。店によって戒律が緩かったりもするのだが、やっぱり羊肉の串焼きをビールで愉しんだ後に、締めで蘭州ラーメンが食べられるお店が僕にとってはありがたい。さて、今回は何を注文しようか。手打ちである蘭州ラーメンのメニューは豊富で麺の形状は幅4cmは超えそうな平打ち、縮れ、細麺、千切り麺、包丁で削る刀削麺など様々だ。中にはトマト味の正にパスタの原型と思われるような物もあり、シルクロードを通って麺が欧州に渡ったとされる説に重みを増す。毎回、写真と実際に出てくるものの差が大きいので、ここ最近は周りの人たちが食べているものを指差し「あれは何?」と聞いて注文することにしている。ウイグル地区訛りの北京語は聞きにくいが、今回は「×◆※μ拌麺(汁無し混ぜ麺とでも言おうか)」との事。最初の方は聞き取れなかったが、まあ、いいか。じゃあそれで。このお店は客席と厨房が透明なガラスで仕切られていて、料理を出すための小窓がある造りなのだが、厨房に注文を通すのにマイクを使う。「牛肉ラーメン追加であと2つ!」などと大きな声がマイクを通して鳴り響く。それ以外は厨房の強い火力の音と手打ちラーメンを台に叩きつけて引き伸ばす音が聞こえてくるのだ。待つこと5分、僕のもとに運ばれてきたのはジャガイモが入った汁無し麺だった。早速麺に喰らい付く。このコシはやっぱり手打ちならではだ。麺を噛み切るのに一苦労しているうちに山椒なのか化学調味料なのか、得体の知れないピリピリ感が舌の上を走る。そうそうコレコレ。この身体に悪そうな味付けがたまに恋しくなるから不思議だ。添えられたひと碗のスープもコリアンダーやら山椒やらで、コレを飲みきれる人が本当にいるんだろうかと思うほど攻撃的で独特な味つけなのだ。不揃いでいびつな山盛りの麺を食べ干して、ジャガイモは少々残した。これでたったの15元だから恐れ入る。今日も僕の”麺欲“は無事に満たされた。テーブルに備え付けられた口拭き用のトイレットペーパーは手に取らず、鞄からウエットティッシュを取り出して口を拭く。怪訝そうな顔つきで僕を見ていた相席の兄ちゃんの冷麺がテーブルに到着。トマトやキュウリがサラダ感覚で盛られ、山椒が効いた”ピリ辛冷やし中華“といった感じだ。ほほう、これも美味そうだ。次回はこれにしてみよう。
割と清潔な店内、相席は当たり前
割と清潔な店内、相席は当たり前。冷房はあまり効いておらず、店員が走り回り活気がある。

うどんよりもコシがある手打ち麺
うどんよりもコシがある手打ち麺。
違うオーダーの違う形状の麺が紛れ込んでいる事もあり、その適当さ加減がまた愛嬌。

鳥丸祐樹さん鳥丸 雄樹(とりまる ゆうき)
元JEFユナイテッド市原のジュニアユースでもあり、元バンドマン。ロンドンのコヴェントガーデンにあるHard Rock Caféや上海でライブ活動を行い、ロスの日刊サンへの寄稿を経て現在に至る。

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