中国大衆スポーツ「踢毽子(羽根蹴り、蹴羽根)」

2015/04/08

踢毽子の羽

中国では公園などでよく見かける光景がある。数人が輪になって羽根をけっている。日本では見かけない風景に首をかしげたことがあるかもしれない。これは「踢毽子」と呼ばれる大衆娯楽の一つ。正式な日本語名は存在しないが、「羽根蹴り」「蹴羽根」などと呼ばれている。必要なのは毽子と呼ばれる羽根とちょっとしたスペースだけ。この手軽さから広く普及しており、中国ではスポーツとしても整備されている。

踢毽子(羽根蹴り)

起源:あたかも非常に古い歴史をもっているかのように説明されていることがあるが、古い時代の文献には様々な解釈があるようだ。例えば、道宣の「続高僧伝」(645年)には「沙門慧光、年立十二、反蹋蹀䤻、一連五百」という一文がある。「蹋蹀䤻」を踢毽子のことと解釈すれば、北魏の時代(5世紀)からあったことになるが、実際には「蹋蹀䤻」が何を意味しているのかはっきりわかっていない。明の徐炬「古今事物原始」(1593年)には「箭子」という言葉が出ており、これが毽子のことだという見解もある。そのため、遅くとも明の時代には存在していたという見方が一般的のようだ。「毽子」という言葉は、17世紀の劉侗「帝京景物略」に登場している。毽子の構造·技:毽子は単純なつくりで、穴あき銅銭に革か布を巻きつけて、鶏の羽根をさしてある。羽根は赤や緑の鮮やかな色を付けられていることが多く、バトミントンのシャトルよりも頑丈で重たい。初心者が最初に覚える基本は「盤」と呼ばれる蹴り方。片足を上げて膝を曲げ、靴の内側を上に向け、かかとの関節の部分に当てて蹴る。ほかに靴の外側で蹴る「拐」、足の甲で蹴る「繃」、足の裏で蹴る「蹬」、つま先で蹴る「挑」、かかとで蹴る「磕」などが基本的な技法だ。技の名称は地方によって多種多様で、跳躍をいかした複雑な技もある。

「毽球」の成立:近代になってから、踢毽子はスポーツとして認識されるようになり、1928年に上海の中華国貨展覧会で最初の大会が行われた。広州では1956年に初めて大会が開催されている。1980年代、「毽球」とよばれるチーム競技のルールが整備され、1987年に中国毽球協会も立ち上げられた。毽球はバトミントンに似た大きさのネットで仕切られたコートを使って競技する。チームの人数は3人で、ネット越しに相手の陣内に蹴りこむ事を目的とする。自陣内では4回まで蹴ることができる。ゲームは15点を先取した側が勝つ。足を使うため、バドミントンというよりはセパタクローによく似た競技になっている。

踢毽子(蹴羽根)

様々な年齢層の人が一緒に楽しめ、シンプルな見た目以上に体を使うこのスポーツ。地元の人達に混じって技を磨くのもいいし、サッカーのリフティングのように自分のペースで自主練するのもありだ!

踢毽子 リフティング

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