歴史ある工芸品「制扇至美-清代外銷扇精品展」深セン博物館(老館)

2015/02/25

制扇至美-清代外銷扇精品展

深セン博物館古代芸術館(老館)で「制扇至美-清代外銷扇精品展」が開かれている。深センの収集家陳祥勝氏が所蔵している作品の中から、17世紀中頃から19世紀にかけて広州で輸出向けに作られた各種扇子の逸品82点が展示されている。象牙、玳瑁(べっ甲)、掐絲琺瑯(有線七宝)、刺繍など、珍しい材料と技を駆使して作られた工芸品が一堂に集まった。これらは芸術品として楽しめるだけでなく、広州で輸出工芸が盛んであった輝かしい時代を知る手がかりでもある。

もともと涼を得るための日用品だった扇子だが、文人や書画家が気晴らしの創作に用いる物の一つになり、「懐袖雅物」と呼ばれるようになった。時代とともに詩や戯曲、美術などの文化芸術の影響を受け、また書や絵画、織物などの芸術を表現する小物として芸術家や職人に重宝された。特に清の時代、中国では扇子作りが盛んになった。当時、広東十三行(当時外国貿易を独占した商人団)が漆器、銀器、瓷器、織物、絵画、彫刻などの各種工芸にも携わっていた。注目すべきは、ほぼ全ての異なる工芸分野の職人が扇子製作に加わったということだ。そのため、広州の輸出向け扇子は当時の異なる工芸技術が詰まった作品へと進化したのだ。職人たちの技術力と知恵の結晶ともいうべきそれぞれの作品が放つ魅力にふれてみよう。

深セン博物館(老館)
住所:深セン市福田区同心路6号
日時:3月22日まで 9:00~17:00
料金:無料

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