寒い日にお薦め!広東の 釜飯「煲仔飯」

2014/11/11

煲仔飯

長い夏も終わり、肌寒い日も増えてきた。これからの季節、体を温めてくれる料理が恋しくなる。そんな時にお薦めの広東料理を紹介しよう。それは、「煲仔飯」(Bao zai fan、広東語bou1 zai2 faan6)という料理。寒い日に、店先で炊かれている煲仔飯を見つけたら、迷わずこれを注文してみよう。

広東省特有の庶民料理

煲仔飯は広東省特有の庶民料理。広東で「煲」といえば主に素焼きの土鍋のこと、「仔」は小さなものを指す。つまり日本の釡飯のように、一人前の鍋で炊かれるご飯のことだ。釡飯の場合は鉄鍋のものも少なくないが、煲仔飯の場合は土鍋が使われる。この土鍋は広東ならどの家庭にもあるごく普通の調理道具だ。熱しにくく冷めにくい土鍋の特性は米を炊くのに理想的だといわれており、炊きムラもできにくい。「煲仔飯はご飯を味わう料理」といわれるのもこの調理法と関係がある。釡飯同様、「おこげ(鍋巴)」が味わえるのも直火で炊かれる煲仔飯の特徴だ。

広東省キッチン   広東省伝統料理

煲仔飯は古くから広東で食されてきた。二千年以上前の「礼記注疏」などの書物にすでに記載されている。また、周時代の美食「周代八珍」の第一珍と第二珍は煲仔飯と調理法が同じ、違いは米ではなくキビが使われていることだけ。つまり、当時からこの調理法は美食としてよく知られていたのだ。

煲仔飯には様々な具材との組み合わせがある。例えば、腊味(広東式豚肉のサラミ)、冬菇滑鶏(シイタケと鶏肉)、豆豉排骨(トウチ・スペアリブ)、猪肝(豚レバー)、焼鴨、白切鶏(茹で鶏)などだ。お店で食べる場合、米から炊くため、注文してから最低でも20分ほど待たなければならない。研いだ米を土鍋に入れ、適量の水を加えてフタをし、7分炊きの頃合いで、下味を付けた具材を乗せてフタをしさらに蒸す。最後に醤油ベースのタレをかけて完成。

広州には煲仔飯の小さなお店が数多くある。広州で最も多いのが「粥粉面(おかゆ・麺類)」と「甜品(デザート)」のお店、それに次いで多いのが煲仔飯のお店だといわれるほどだ。たいていは間近で調理の過程も観察できるので、待ち時間も退屈することなないだろう。広東の冬には欠かせない庶民料理、できたてアツアツの煲仔飯で寒い冬を乗り切ろう!

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