進化する広州の工業区、次の注目エリア「佛岡」

2022/12/21

 6広州の工業地区と聞いて、真っ先に思い浮かべるのは黄埔区だろう。ホンダ、トヨタなど自動車大手企業がここへ工場を建設しただけでなく、区をあげてスマートネットワーク車両アプリケーションデモ(智能网联汽车应用示范)計画を打ち出し、唯品会(オンラインショップ)や藍月亮(大手洗剤メーカー)など有名企業も同エリアに会社を設立した。
 この広州開発区である黄埔区の工業生産額は長年、広州市の第1位に台頭する。背景には全国唯一の営商環境改革局の存在が大きいだろう。同エリアにおける一流の企業生産環境はずっと黄埔区の優位性を表す「代名詞」であり、企業とプロジェクトを引き付ける「金の看板」であった。しかし、この黄埔区はすでに「営商環境改革5.0」時代に突入、つまり、飽和状態に陥っているというのだ。それには、近年注目を浴びるもう一つの工業生産区が密かに台頭してきたことも原因として挙げられる。

近年注目を集める「佛岡」
佛岡は清遠市に属しているが、広州と隣接しており、今年は全県が広州都市圏に組み込まれた。しかしながら現状としては、佛岡県と黄埔区の地域間の発展の不均衡や対策不十分であることは否定できない。3シーズン分のデータを見ると、佛岡のGDP成長率は全市第2位だが、GDP総数は全市第5位と依然として低い。これは全市の範囲では「前に強軍、後に追兵あり」の状態、つまり上位経済エリアにはまだ及ばないという結果である。全国から見ると、2021年の全国1人当たりGDPは80,976元、一方、佛岡は50,100元と、全国平均レベルからまだ差があり、これは経済強省広東には匹敵せず、広州に隣接する地域の優位性とも一致しないということが言える。
しかし、佛岡にも優勢性がないわけではない。例えば恵まれた地理的優位性を挙げられる。佛岡は粤港澳大湾区の第一線として位置づけられ、「両縦一横」の主要な高速道路網、森林被覆率69.28%という良好な生態環境、発展の潜在力が大きいことなどが注目されている。

11,143万元を投入する支援プロジェクト始動
これを受け、2018年、黄埔区は広州白雲区からバトンタッチし、全面的に佛岡の支援を開始した。両地は京珠高速を軸に、インフラ、生態環境保護、産業協同、社会ガバナンスをめぐって全方位的な深い取り組みを開始し、広清接合区のグリーン発展モデル区、都市と農村の融合発展試験区など新しい試みを始めた。黄埔区による佛岡への全面的支援の結果、黄埔政府プロジェクトチームは調査研究を行い、民意民需を正確にし、佛岡の発展を推進する支援計画書の青写真を描いた。具体的には、産業発展、都市と農村の融合、農村振興などの重点活動に全面的な支援をし、各種支援資金11,143万元を投入、地域の劣勢を補う長期的な支援プロジェクトなどを通して、佛岡のハイグレードな発展のために新しいテコ入れを行っている。
大湾区発展の流れに乗って、「2つの地域(双区)建設」、広州と清遠の「2都市(双城)連動」及び「横琴、前海の2つの協力区建設」などの重大な歴史的チャンスも重なり、また、広清接合区と広清経済特別協力区の建設によって、佛岡は投資低地からホットな投資エリア、つまり産業高地に変わった。3 (1)7

メイドイン広佛は主流となるか
現在、佛岡工業区は建設真っ只中である。広州市中心部から80キロ、高速で1時間ほどで到着できる交通アクセスのよさや、風光明媚な園区が特徴だ。また、全体的な建設計画に優れ、今園区に入居する企業からは「同エリアの将来的な発展は約束されているので、これらの条件は入居企業の需要を十分満たしている」と好評だ。
同園区は現在も、主に設備メーカー、電子、新材料及び生物医薬と健康産業などの大企業、大手グループなどの誘致に力を入れている。このように広佛産業園を主導とし、城西科学技術園、龍山新動力智造城をサブとする「一主二輔、多点支持」の産業発展全体配置を構築している。これにより「広州研究開発、メイドイン広佛」「広州孵化、広佛加速」を実現し、政府も製造業の生産端を佛岡に誘致し、発展を促進し、産業集積によって地域の発展を牽引するために最善を尽くしている。

大手ハイテク企業「広東材料谷」も移転
また、広東省を基盤とするハイテク企業、広東材料谷も佛岡工業園に「広東材料谷・佛岡産業園」を設立した。同園区は産学研協力の促進、企業の人材誘致などを目的に新しいプラットフォームを構築。現在、第1期にはすでに12社の企業が入り、そのうち7割がハイテク企業という顔ぶれだ。一部の企業は設備を改装中、4社の企業はすでに操業を開始している。1 (1)4 (1)52 (1)

専門家・企業家も注目の広佛産業園
このうち広州双科新材料有限公司は2022年の国慶節期間中に正式に操業を開始した。同社の温科雄社長は政府の取材に対し、「企業は黄埔から佛岡に移転し、「騰籠換鳥(籠の中の鳥を取り替える意、つまり新しい産業を迎える)」を実現しただけでなく、生産能力を拡大することができた。今後は毎年30%の成長を実現し、5,000万元以上の生産額を達成することを目指している」と述べた。材料谷はすでに新材料産業グループを初歩的に形成し、現在2つの博士チームが入園、それぞれ広東宏生高新材料有限公司と走行新材料(佛岡)有限公司であり、この2つの企業はそれぞれ従化、南沙から広佛産業園に移転した。
同時に、広東材料谷は、再び佛岡と連携して、龍山新動力智造城に広東材料谷未来科学技術園プロジェクトを建設することを計画。プロジェクトの投資総額は51.3億元に上り、電子情報、生物医療、新エネルギー産業分野に対して誘致を行う。生産達成年の生産額は86.5億元、生産達成年の税収は3億元近くに達すると予想されている。佛岡県委員会副書記、県長江紅平氏はこれに対し、「このプロジェクトの成功は、佛岡工業経済構造をさらに最適化し、佛岡電子情報新材料、生物医療用材料、新エネルギー材料産業を強大化し、佛岡が積極的に「双十」産業グループを構築するための戦略的な先手ともなった。また同時に、佛岡県の「工業強県」「工業立県」戦略のシンボル的なプロジェクトであり、佛岡の経済社会の発展に活力を添える」と述べた。
また、産業界のスペシャリスト、広東宏生高新材料有限会社の李博士は下記のように語っている。「広州都市圏計画に基づき、佛岡県は広州都市圏が重点的に協調する地域空間範囲に組み込まれた。広佛産業園は広清協力区の「アップグレード版」新園区として、「第2の黄埔科学城」となり、政府の優遇政策を享受しながら、広清一体化の発展を後押しする」。
このようにして、広州都市圏という大家族の中で、佛岡、黄埔の「兄弟愛」、そして全面的に助け合う「花」は広い南嶺の大地に多彩に咲き続ける。

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