深センものがたり 第47回

2022/06/29

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問わず語り、その六(過去の記事はPPWウェブにて公開中)
※問わず語りとは、誰かに求められた訳でもないのに、勝手に語ることである。

カラスの字スクリーンショット (1456)
「烏」の字は、カラスは黒く、目がどこにあるかわからないので、象形文字である「鳥」の字の目の部分の一画を省いた。もう1つの字「鴉」、偏(左の字)を牙と書く。カラスはクチバシはあるが、牙はない。これはカラスの鳴き声「カーカー」を「牙(ガー)」という形声文字で表したのものである。
ちなみに牙の中国語発音は「ヤー」である

叫魂鳥

叫魂鳥

深センのカラス?
深センにはカラスのような「カーカー」という鳴き声の鳥がいる。春から初夏にかけて、奇妙で大きな鳴き声で日夜叫び続けているこの鳥は「叫魂鳥」と呼ぶ(広東語:噪鵑チョウギュン)。雄は体が青黒く、尾は緑を帯びているため、カラスの仲間と思われているが、ホトトギス科の鳥らしい。
実際に見てもキレイではない

うるせーやつら
叫魂鳥を調べると、オニカッコウ(鬼郭公)という別名もある。すべての名前が“うるさい鳥”の意味である。どれだけうるさいかというと、声は非常に大きく、音色も悪い。求愛が盛んな季節には、雌の気を引くために、雄は12回以上絶えず繰り返し鳴き始め、鳴くほど音量も大きくなり、しかも速度も上がる。おまけに、棲家は人里離れた自然ではなく、街や集落の林を好むため、この叫び声で、深センの住民はひどい目に遭うのだ。
キレイでもなく、うるさいだけの鳥である

ずるいやつらスクリーンショット (1455)
更に調べると、うるさいだけでなく、こいつらはとんでもない習性をもった鳥であった。運悪く選ばれた被害者は、叫魂鳥に似たカラス。叫魂鳥の夫婦は、勝手にカラスの巣へ卵を産み、ヒナが産まれてから巣立つまで、全部カラスに面倒をみさせる(※托卵)“ずるい”やつらなのだ。
鳥の世界に法律があれば犯罪行為である
※托卵(たくらん):繁殖に際し、営巣、抱卵、雛(ひな)の世話を自分で行わずに、他の鳥に任せること。

叫魂鳥夫婦

叫魂鳥夫婦

叫魂鳥の犯行
彼らの犯行の一部始終を再現すると、まずカラスが作った巣に近づく。そして、雄はまず雌カラスに偽の愛を示して、雄カラスを怒らせて、巣からカラス夫婦を引き連れ離れてケンカを始める。
雄がカラス夫婦と戦っている間に、雌はカラスの巣へ自分の卵を産んで、カラスの卵とごちゃ混ぜにした後、雄と合流して逃亡。
カラスは叫魂鳥ほど頭がよくなく、巣の中の卵が増えたことはわからない(卵も非常に似ている)。カラスは叫魂鳥の卵を毎日温めて、ヒナになれば愛情をもってエサを与え、巣立ちまで我が子と思い面倒をみるのだ。
完全犯罪である

迷惑鳥の鳴く日はスクリーンショット (1450)
深センでは、叫魂鳥が鳴くと悪いことが起こるらしい。この悪いことはカラス夫婦に起こったことであり、深センはカラスの棲息は少ない。では、住民にどんな影響があるかというと、昼夜休まず大声で鳴いているので、精神的に滅入るらしい。
叫魂鳥を追い払うことができない理由は、どこで鳴いているのか見えない。たとえ追い払っても、木が茂っている場所を見つけて隠れて、しばらくしてから元の場所に現れて再び叫び続けるのだ。
叫魂鳥を知った今では、忌み嫌われるカラスに少し同情の念が生まれた…

これはカラス

これはカラス


宮城 紀生深セン在住20年のベテランコンサルタント
宮城 紀生
miyagi@waya.net.cn
 
 
 
 
 
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