殿方 育児あそばせ!第37回

2022/04/20

殿方育児あそばせ

運動神経と運動センス

前回の話で、何事も万能に出来るように育てようと意気込んでみたが、あることを思い出し、険しい道のりになりそうな予感がしている。
ある時のお昼頃。
父「小小、なんでお前は走り方が変なんだ?」
チビ「?」
家の中を走り回るチビを見て、あまりに独特の走り方だったので思わず聞いてみた。
両腕共、後ろにまっすぐ伸ばし、少し前傾姿勢で走る。どっかで見たような走り方。頭に浮かんでいるのはナルト(忍者走り)だ。しかし、今の中国のテレビで流れているわけでも無いし、ビデオやら動画などで見せたわけでもないのに、何故だろうと不思議に感じたが、結局のところ抖音(TikTok)で子どもがやってるのを見て真似していただけだった。
スクリーンショット (951)現代っ子だなぁと感じつつも、家の中を走り回るのは良くないので叱ったが、スキあらばすぐ走る。そのうちどっかにぶつけて怪我でもすれば懲りるだろうと今は軽く叱る程度だ。
しかし、なんてブサイクな走り方だ。私の小さい時は親の言うことを聞かず、やんちゃ坊主だったらしいが、こんなブサイクな走り方はしなかった(はず)。
俺「チビはお前に似て運動神経が悪いのか?」
妻「私は“そこ”まで悪くないです(怒)」
そんなチビ、ちょっと前に家から近めの公園へ、妻の友達の旦那とその子ども、そして私とチビの4人で遊びに行った時の事(妻は友達とネイルサロンに行くため、スクリーンショット (952)我々に子どもを預けてきたのだ)。公園にはローカル感たっぷりのミニ遊園地や、健康のための運動器具、バドミントン場やら色々あって、子どもを遊ばせるにはもってこいだ。チビと友人の子は“歩くスキー”のような健康器具に目を付け、やってみようとするがうまくいかない。やり方を見せると「おぉ~」っと目を輝かせてやり始める。「どうせうまく出来ないんだろうなぁ」と見ていたら、身長が足りず、ぎこちない動きだが器用に乗れている。
父「あれ? なんか器用だな、運動神経が良くなったか?」
チビ「……ふんっ! ふんっ! ふんっ!」
夢中でやり続けるチビ。以前だったらまともに動かせないはずだが、幼稚園での運動の授業や、身体的な成長でマシになったのかもしれない。その後もそこら中の器具で遊び、汗だらけになったところで、私と友人旦那は飽きてしまった。ミニ遊園地で遊んだのも合わせると3時間くらいは経っていたので、妻たちの方も終わっただろうと家に戻った。
戻る途中、二沙島に行った時のチビの姿を思い出していた。
その時は、自転車に乗っておもちゃを売っているおっちゃんからグライダーを買い、遊ばせていた。一所懸命に飛ばそうとするが、いくら教えてもうまく飛ばせなかった。たまに飛んだかと思っても2メートルくらい。投げ方も、これまた独特で、腕と頭が連動してぐるんと回る。肘がL字型のままなので、そりゃ飛ぶわけが無い。手とり足とり教えても、最後は同じ姿勢に戻る。「やっぱり運動がダメなんだろうな」と諦めていたが、健康器具を器用に乗りこなしているのを目の当たりにして、かなり驚いてしまった。
図1スクリーンショット (950)ちなみに最初に言った険しい道のりの予感とは、チビのセンスの事だ。
性格はお調子者。抖音の真似をする程度で何か教えてもすぐに覚えられない鈍さ。何をすれば感性が育つのか、調べてみるか。だがチビよ、パパは詰め込み教育は好きじゃないので何でも伸び伸びやらせようと思ってるぞ。そのうち合うものが見つかるよ。たぶん。

ひどまずわぁの子なんだはんで、最低限の運動だばでぎるようさなるって。
心配だんずはビンの遺伝子だな。恨むなら母っちゃのほうさしてけ(笑)。


photo prof平太郎
日本の東北出身で中国語がまったくできないまま中国に来ちゃった無計画男。寒い所と雪かきが嫌で南国広州で定住をほぼ決めている。最近はコピーロボット的な振る舞いの息子に同族嫌悪を覚えながら似たもの親子で一緒に妻に怒られつつも子育てに奮闘中。趣味というかライフワークになりつつあるクラフトビールを片手に夜な夜なビアバーを探し、せこせこリスト作りに励んでいる変人に果たしてまともな人間に育てられるのかと禅問答を繰り返す日々。

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