深センものがたり 第39回
〜客家の柚子〜
深センから北東へ約350kmに梅州という客家人の郷里がある。
梅州の柚子(ゆず)は特産品として中国で名を轟かせている。ここでは多くの客家人たちが柚子を栽培して出荷している。
柚子は客家人の代名詞のひとつでもある。
※柚子は中国を原産地とするミカン科の樹木。漢方では「上品(じょうほん)」「君薬(くんやく)」と呼び、免疫系・内分泌系・神経系・代謝系・血管系等の調節機能を活性化する働きがあり、昔から薬として利用されてきた。
中国国内4大柚子産地
広東省梅州市梅県区:百年余りの栽培の歴史がある。1986年に国家農業局より金柚生産基地に指定され、1995年に国家から「中国金柚の郷」と命名された。
その他の有名産地は、広西省平玉林市容県、浙江省温州市蒼南県馬駅鎮、福建省漳州平和県である。
今年の柚子は最高の味!
毎年の秋、9月は柚子の成熟期。政府の農業局も品質を保障するため、水分管理、病虫害防止、樹体管理、有機カルシウム剤を補充するなどの環境を提供するそうだ。
先月の中秋節も多くの梅州柚子が深センの市場に並べられていた。完熟した梅州柚子の食感が良くなるのがこの季節である。
今年の梅州の天候は栽培に最も適しており、品質は昨年より良く、糖度と水分は最高の出来栄えだ。
スゴい柚子の効能
1、 ビタミンCが豊富(レモンの16倍)。抗酸化作用と貧血に抜群の効果を発揮。
2、 血糖値や悪玉コレステロール数値を下げて健康を維持。
3、 風邪や糖尿病の予防。
4、 脳卒中や中風の予防。血管の機能を強化する。
5、 ダイエット効果。脂肪の燃焼を加速させる。
6、 美白、スキンケアに効果。シミを取り除く。
7、 皮膚の保水効果。アミノ酸が豊富で紫外線から身体を保護。
8、 老化防止。毛細血管を丈夫にし、病気から身を守る。
柚子と一緒に食べると…
・白菜:発熱ある初期の風邪を治す効果がある。
・牡蠣(かき):亜鉛が多く含まれる牡蠣と一緒に食べると更に美白効果がアップ。
…と、柚子はとんでもない万能フルーツであることがわかる。日本でも昔から、冬至に柚子を浮かべた風呂に入ると風邪をひかないという習慣があったことでもわかる。
※日本では奈良時代の初期に栽培が始まり、日本の現存最古の薬学辞典「本草和名(ほんぞうわみょう)」や最古の医学書「医心方」には柚子が薬効として記載されている。
客家人の中秋節
客家の人々は、中秋節を「八月節」または「八月半」と呼ぶ。夜空に浮かぶ名月をながめながら、月餅や柚子などを供えて、月の光を拝む(敬月光)。月の神から授かった家族の健康と幸福に感謝をするのだ。お供え物の月餅や柚子は、すぐに食べてしまうそうだ(日本では”罰あたり者“と叱られる)。
※今年の「中秋節」(旧暦8月15日)は、9月21日。
客家人が柚子を食すことには意味がある。柚子の皮を剥ぐことを「柚子を殺す」とも言い、”邪気を追い払う“意味である。
また、柚子の皮を剥ぐことを「鬼の皮を剥ぐ」とも言い、悪いものを追い払う願いが込められているのだ。
深セン在住20年のベテランコンサルタント
宮城 紀生
miyagi@waya.net.cn
深セン華日(ワーヤ)コンサルティング
会社設立・運営、法律相談、会計財務税務
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