嶺南地方発 初夏の香「茘枝」

2021/06/16

 夏に入ってから、ライチの香りがどこからか漂ってくる。その白い柔らかな肉厚の実が爽やかに甘く、多くの人を魅了するライチは、ちょうどこの時期が旬だ。古くは「離枝」と名付けられ、枝から離れたら食べられるという意味である。古来よりライチは嶺南の果物の上物として大切にされてきた。また、日本語では「れいし」とも。ライチは糖類、ビタミンB群、ビタミンC及びカルシウムや鉄などの栄養成分を含んでおり、人体には様々な健康効果がある。中国で生産されているライチは数十種類あり、以下の五つはよく見られる有名な種。

 

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三月紅:三月紅は旧暦3月下旬に成熟し、ライチの中で最も早く熟す品種。皮は薄紅色で厚く、肉色は黄白で、核が大きく、甘酸っぱい。

妃子笑:妃子笑は杜牧が楊貴妃に書いた詩から名付けられた。【一妃子笑,无人知是荔枝来】(一騎の馬が土埃を巻き上げながらやって来るのを楊貴妃が笑顔で迎える 誰も知らないだろうが(楊貴妃の好物の)茘枝が届いたのだ。)早熟の品種でやや大きめ、果皮は青紅色、肉色は白蝋のよう,果肉は柔らかく果核は小さい。

白糖罂:ライチの中で品質が一番優れていて、早熟で、品種は五月下旬に成熟して、多くの形状はハート形。鮮やかな赤い皮は薄く、果肉は乳白色で、水分は少なめ、蜜のような甘さがある。

ライチ王:他の品種よりも倍近くも大きく、ひとつ約50グラム。価格も一番高い。皮は赤紫色で、果肉が厚く柔らか、豊富な果汁を持ち合わせる。

糯米糍:糯米糍は7月上旬に熟す、最も遅く採れる品種。他より若干大きめ、果皮の凹凸はおだやか、果肉は厚く果汁も多い、味は澄んだ甘さ。

 最近、ウェイボーの話題の一つに「ライチランキング」が上がり非常に盛り上がり、話題量と討論量は1.5億円に達した。インターネット投票による、一番美味しいと思うライチのランキングは一位・桂緑、二位・糯米糍、三位・桂味、四位・白糖罂、五位・妃子笑。

 日本人ももちろんライチは好きだが、日本で流通している国産ライチは全体の1%。そのためか日本では日常的に目にするものではないので、なかなか上手にむくことができないようだ。たっぷりの果汁で手がベタベタになった経験のある方が多いだろう。ネットで調べると、実の線を探してそこから開く、とあるが種類によりその線がない。PPW広州スタッフ曰く、「その線を探す必要はなく先端をつまんでそっと押し出す」と、ライチの口が開くそうだ。

 

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 つまんで押し出す

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こちらは悪い例。手がベタベタ

 また、”一个荔枝三把火“【一つのライチには三つの火がある】、食べ過ぎると”上火“しやすいと言われている。美味しく食べるための注意事項があるようで、
①空腹で食べてはいけない
②大量に食べてはいけない
③糖尿病の人は慎重に食べる
④水に漬けたライチは食べないほうがいい
ということだ。

 今が旬のライチ、足も早いため店頭に並んでいたらお早めに美味しくいただこう。

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