深センものがたり 第32回

2021/03/03

waya title〜 深センの歴史 〜

 

 “深センの歴史”シリーズの最終回は、深センの近い将来をのぞいてみよう。

 深セン政府は、国家中央政府のバックアップをもとに、世界をリードするハイテク産業の更なる推進。そして、教育分野では中国のトップを目指す。街の姿をも大きく変える物流網や生活圏の再構築、超高層ビル都市計画に邁進する。

 この街は果たしてどのような未来都市になるのか……。ここでは、壮大なる超高層ビル都市計画を考えてみる。

 

 

 

 

 

SZ

 

 深センタワー (深圳塔)は、羅湖区で計画されている128階建て、高さ642mの超高層ビルであり、上海タワーの632mよりも高くなる(計画当初では169階、739m)。深センのビジネスエリアである「蔡屋囲エリア」で建設が計画されており、茘枝公園東側に建設される。最新技術を取り入れた機能的ビルは、商業、オフィス、ホテル、憩いのエリア、住宅等のプログラムで構成。

 タワーは、とてもユニークなデザインであり、機能的な特徴は、雨水の再利用システム。建物の正面全体に沿って雨水を取り込む箇所を設け、取り込む水量は、建物の年間推定使用水量となる。

 
SZ塔夜景

 

 周辺は深セン屈指のビジネスエリアで、現在も京基100(100階、高さ441m)をはじめ、いくつかの高層ビル群が立ち並ぶ。最近、更に高い680mの超高層ビル計画も発表された。街を超高層化すると同時に、地上では可能な限りスペースを作って、周辺を緑化する計画である。

 

低層部緑化 

  南山区では、深セン湾スーパーヘッドクオーター地区と名づけられた高層ビル群が生まれる。ここも低層部が公園と一体化した都市計画である。

  また、大手IT企業テンセントは、海を埋め立てた河口に未来都市を建設する。「ネット・シティー」と名付けられた200万㎡のアイランドでは、約8万人に生活の場を提供するが、主にテンセント側が利用するとのことである。テンセント社員のための住居やオフィスが置かれるほか、周辺には店舗や学校、公共の施設も設けられる。まるで近未来を描いた映画のよな、“人間がAIに管理される都市”、になるのだろうか。

 周囲の都市部とは、橋やフェリー、地下鉄で結ばれる特別地区となる。つまり、感染症や汚染の発生時に、外部からの移動をシャットアウトして、自社の社員やその家族だけを守るコンセプトかもしれない。

 

Net City

 

 これらの都市開発は、基本的に市民が利用できる部分も取り込み、活気あふれる都市を目指している。「緑の回廊」と名付けられる地域は、人々が街中の施設や景観地区を歩く専用歩道や、専用バスや自転車、自動運転車用の道路が設計され、不必要な交通は通行禁止となる。

 天空都市高層は、深セン湾を埋め立てた地上から約500mの空中に巨大な街を設置する超壮大なる計画がある。2012年頃に近未来デザインとして発表されたこの計画のその後の情報は無いが、深セン市なら実現してしまうかもしれない、夢の都市である。

 妥協と言う言葉は深センの辞書には載っていないのだろう。

 sz湾未来

 

 


宮城 紀生深セン在住20年のベテランコンサルタント
宮城 紀生
miyagi@waya.net.cn
 
 
 
 
 
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