コーヒーシ ョ ッピング形式

2017/08/17

coffee shopping

中国でトレンドの、タブレットで在庫品をチェックするような”コーヒーショッピング”はいわゆる従来の”ブリック&モルタル”(実店舗で商品の販売を行う企業を指す語)形式の小売の混乱を招いている。

在庫情報や商品詳細をタブレット等でスクロールして買い物をするこの傾向は、海外のみならず世界中で広がっており、実は米国で革新の先駆けとして長く知られている企業、Apple社によるところが大きい。2001年の最初の店舗をオープンして以来、Appleは従来の店舗よりもコーヒーハウスのような独特なテーブルレイアウトと、カフェのような見せ方で小売業に斬新なアプローチを行ってきた。アップルの小売モデルの成功体験から、今後もより多くの小売業者がこの方式を採用するようになるだろう。しかしなぜこのような小売形態が根付きつつあるのだろうか。

アクセンチュアによると、ミレニアル世代は米国で毎年6,000億ドルを消費しているという。小売業者は彼らの興味を惹くために知恵を絞り、苦労して利益を得ている。新しい靴を買うよりライドシェアなどに消費する傾向のあるこの世代は、必ずしも店舗を通じた伝統的なブラウジング感覚で買い物をしたいとは望まず、自分の人生に大きな価値をもたらす経験に参加する傾向がある。

そして彼らは、Airbnb、Rent the Runway、Uberのような共有経済的オプションを駆使し、住まいから流行りの洋服に至るまで所有のための安価な方法を模索することを好み、必ずしも従来の小売モデルに惹かれない。

しかし、ブリック&モルタルのすべてが悪いわけではない。実際、ミレニアル世代にも店舗で買い物をすることを好む人は多く、小売業者は彼らの傾向を理解することで利益を得ることができる。例えばカフェ風のショールームを設置したりすることで、体験を求めるミレニアル世代には有効だ。

コーヒーショップ成功の鍵は、小売業者がミレニアル世代にとって本当に価値のあるものに焦点を当てるためのマーチャンダイジングだという。オンラインショップを運営する一方、試着はもちろん、ハイファッションブランドのように顧客に1対1でスタイルのアドバイスを行う”ガイドショップ”を設けた”Bonobos”、店舗で商品をライフスタイルと共にプレゼンテーションすることで販路を拡げた眼鏡のオンラインショップ、ウォービー・パーカーなどが成功例に挙げられる。そうやって体験に焦点を当てることで、例えばイタリアのAirbnbでヴィラを借りたり、Uberselectで春の外出を楽しんだりと、小売業者は消費者に魅力的なライフスタイルを試すよう促し、店舗は従来のそれ以上に価値を持つ。

coffee shopping 2

EC(電子商取引)の存在に順応していくことは店舗を持つ小売店にとって容易いことではない。メイシーズは、最近、売上高の減少により今後数年間で100店舗を閉店する計画を発表した。

ブリック&モルタルタイプの小売業者が、消費者の動向を探るマーケティングに躍起になっている間、コーヒーショッピングカルチャーを早々に取り入れて報酬を得る人々もいる。

共有する習慣と歪みのないマーチャンダイジングは、顧客の時間的価値を貨幣価値と共に上昇させることと引き換えに、社会環境を画面をスクロールするだけでデスティネーション・エクスペリエンスを得られるように変えていっている。

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