多様な商品、守られていく伝統…奥深い香港の乾物の世界 海味街

2017/05/31

Des Voeux Road West沿いにある「Dried Seafood Street」(海味街)にはおよそ200店舗もの乾物屋が軒を連ね、約半世紀に渡って香港の家庭にその味を届けている。

この国で最も贅沢な品物は、高級ショッピングモールでなく、塩辛い香りが辺りに漂うこの古びた通りにあったりする。ここでは人間の毛のように見える乾燥キクラゲが1kgあたりHKD1,000、黄色いコインに似たような見た目の干物が数個でHKD20,000で売られていたりするからだ。

午前8時から午後5時までの営業時間中、地元の人々は子供時代から顔見知りの業者と交渉し、買い物をする。その間、乾物が詰まった箱がミニバンに積みこまれて行き交い、観光客達は奇妙な見た目の魚や軟体動物、袋いっぱいに詰め込まれたハーブ、ガラスの瓶入りのヘビなどの写真を好奇心旺盛にカメラで撮影したりしている。

abalone(鮑魚)

殆どの店は乾物のきのこや加工肉、スープの材料として使われるぎんなんや黄木耳などの漢方製品なども販売している。蛾の仲間の幼虫に寄生するキノコの一種であり、東洋医学で免疫を強化してがん細胞の発達を抑制すると考えられている冬蟲夏草は最も高価なものの1つで、1kgあたりおよそHKD267,000もする。目と肝臓の機能改善に効果的と考えられているアワビ(唾魚)や、数日かけて戻した後、鶏や豚のリブとスープで煮る干し巻き貝はキノコ類のような噛みごたえがあり、オイスターソースとの相性は抜群。日本から輸入される大きめのアワビも、1ダース約HKD10,000と高値で取引される。

Fish maws(花膠)

老化抑制効果があると言われている乾物のナマコは、数日水で戻した後に煮て調理される。業者達は日本や南米など世界各地から様々な種類を仕入れるが、トゲトゲした頭のものはより高品質なものとして取引され、最も高価なものは約HKD12,000の値が付く。花膠(魚の浮袋)もしばしばスープの材料として使われる食材で、そのサイズや厚み、産地および魚の希少性によって、1kgあたり数千香港ドルから、HKD60,000以上の値段がつくこともあるという。

fat choy(髮菜)

caterpillar fungi (冬蟲夏草)

髪の毛ような黒い苔、髪菜はその響きがお金が手に入るという意味の「發財」に似ていることから縁起物として旧正月の定番品だ。体内を浄化する作用があると言われており、2時間ほど温水で戻した後、揚げ物やスープに入れて食べる。

若い世代の人材が伝統的な乾物ビジネスに加わるにつれ、新しいアイディアやスキルが次々ともたらされており、今日ますます取引は盛んになっている。

海味街
住所: 德輔道西、永樂街、文咸西街

 

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