宝石業界こぼれ話 宝石の加熱処理

2016/08/23

本年4月にジュネーブで行われたサザビーズのオークションに出品されたルビーです。(写真) 落札予定価格は、日本円で2億4千万円以上と言う貴重なルビーです。解説には、ビルマ(ミャンマー)の中北部の鉱山モーゴウ産、ピジョンブラッド(鳩の血赤)、非加熱等、重要なポイントが記されています。これらの項目は、複数の世界的な鑑定鑑別機関が認定しています。

ピンクサファイヤ 軽度の加熱処理 スリランカ産 HK160,000

この様な価値のある宝石は、永年身に着けて楽しんだ後に、オークションを通して高値で販売できるのです。所謂、「資産になる。」と言えます。毎年、大粒のダイヤモンドやピンク、ブルーのダイヤモンドが数十億円で落札された、と言うニュースに接します。ダイヤモンドに比べると地味ですが、ルビー、サファイヤ、エメラルド、ヒスイ等もコレクターや投資家が狙いをつける対象です。

宝石の価値の評価には、市場性・希少性は勿論ですが、産地、宝石自体の色、輝き、形、内包物、人為的な加工処理、歴史的背景などが考慮されます。

これらの項目の中で私が慎重に検品をするのは、人為的な加工です。

元来、地球から採れた原石も、磨かなければ美しく輝きません。自然が創造した物に、人の知恵と技を付加する事によって、天然の宝石自体が内包している美しさを引き出します。つまり、自然美を人の手で更に輝かせます。

ルビー サザビーズカタログより、非加熱 ビルマ産

人為的な加工が行われる事は、この様に容認されますが、問題は、どの程度の処理レベルかです。例えば、ルビーやサファイヤの加熱と非加熱の問題を取り上げますと、実は、これらの宝石は、原石の段階でほぼ全て(90%以上)熱を加えます。つまり、加熱です。すると、濁りが取れて色が改善されます。こうして市場に出ますので、宝飾店などに並んでいるルビー、サファイヤは加熱処理がされているのが、普通と思ってください。 それだけに、非加熱のものがあれば、超レアーですので価格が何倍も高くなります。投資目的と、宝石を楽しむ目的とでは、条件/選択が変わってきます。

今回は、加工処理のごく一例を書きました。もう一つの写真は、ヴィヴィドなピンク色のピンク・サファイヤです。スリランカ産で、色も綺麗です。しかし、僅かに過熱をしています。その分、価格の評価は抑えられお求め易くなります。投機目的でなければ、この処理レベルの美しいジェムをお勧めします。

 

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