宝石業界こぼれ話 ハンドメイド

2016/08/23

1月12日から国立西洋美術館で「黄金伝説」と言う展示が始まりました。「今から6000年も昔から、金細工は始まった」と解説にあります。紀元前14世紀の金細工も展示されているそうです。日本に行き、チャンスがあれば見に行きたいですね。

振り返ってみれば、金の宝飾品も、金を使った調度品も手加工でした。道具を工夫し、それを使いこなして、金の塊を延ばし、板にして、線にして、粒にしていました。それを、切り、形を整え、叩き、削り、石を留める、そして磨く。そして、火を使って金属を溶かしたり、なましたり、ロー材を使って接合したりして宝飾品として組み立てました。これらの一連の仕事を、手作業で行ってきました。通常、ハンド・メード・ジュエリーと言うのは、こうして生まれます。正に匠の世界です。改めて、人類は驚くような素晴らしい細工を手仕事で、何千年も前にしていた事を「黄金伝説」で確認できるのです。

数千年にも及ぶジュエリーの歴史の中で、私が最も勉強をしたのは、19世紀末から20世紀前半でした。古来ジュエリーは、悪魔よけ、お守り、権威の象徴、富の象徴、愛の証でした。そうしたジュエリーが内包する意味性に、美術品としての価値をも付加したのが、そのころ、約100年前です。

美術様式のアールヌーボー、アール・デコの流れを、ジュエリーの形で豊かに表現した輝かしい時代は19世紀末から始まりました。それらを醸成した社会背景もありました。それは、富・財を欲するままにした貴族社会です。彼らは、時間も費用も豊かに与えて、加工職人さんに思う存分才能を発揮できる様に、バックアップしたからです。

先日、19世紀末に作られたダイヤモンドのブローチを入手しました。イタリーのサヴォイ家が注文した物です。その素晴らしい加工を見ると、そのレベルの手の技術は、今では不可能と思われます。(写真:サザビーのジュネーブのオークションに出たときのページをコピー)

現在は、科学、機械、ITの進歩により、ジュエリーの加工技術は大きく変わってきました。また、取り巻く経済環境も変わりました。常に大量生産、コストダウンに追われ、ジュエリーのメーカーは、じっくりと最高の芸術品と言われるような宝飾品を創造する機会が極めて少なくなりました。その為、手の技術が衰えてしまったのです。昔の様に、パトロンがついて、製作期間も問わず、わがまま放題に無二の作品と言えるジュエリーを匠の技で製作出来たら……。果かない夢かな?蜃気楼でも追いたいですね。

antique diamond brooch made for the Savoy Royal

O’s Creation Limited / Hoops Limited
住所:Unit 211, 2/F., Mirror Tower, 61 Mody Rd., TST
電話:(852)2367-3562
メール:[email protected]

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