柔道を始める前に知っておきたい18のこと 第15回

2020/02/26

zyudo

第15回  柔道と柔術の違い

 

柔道は立って勝負、柔術は寝て勝負
 柔道も柔術も試合では立ち姿勢から始めます。しかし、お互いに礼をして試合が始まるや否やいきなり両者の間で決定的なルールの違いが現れます。柔術の場合、多くの選手が自ら尻もちをついて相手を寝技に引き込もうとするのです。そしてここから寝技の攻防が果てしなく続きます。
 一方、柔道の試合で自ら尻もちをつく選手はいません。もしこのような行為を試合中に行うと消極的態度とみなされ審判から罰則を受けてしまうからです。
 柔道の醍醐味は「投げて一本を取る」ことにあり、ほとんどの選手が投技で勝負を決めようとします。ただ、中には寝技が得意な選手もいて、そういった選手たちは「いかに寝技に持ち込むか」をいつも考えていますが、それにしてもまずは投技を仕掛けなければならないのが柔道のルールとなっています。


 投技を仕掛けなければいけないのが柔道で、投技を無視してもいいのが柔術と言えます。

 

勝敗の決め手
 柔道の現在のルールでは罰則を除くと「一本」と「技あり」が勝敗を決める唯一のポイント(昔は有効や効果ポイントもありました)となっています。柔道では綺麗に相手を投げる、相手を20秒抑え込む、または関節技、絞技で「参った」をさせることで「一本」を取り勝負を決めることができます。投技が完璧でなかったり、抑え込みが20秒に満たなかったりしたときには「技あり」が与えられ、最終的に勝敗を決める判断材料になります。
 柔術にも「一本勝ち」がありますが、関節技か絞技によって相手を「参った」させるしか一本を取る手段はありません。柔術の試合で綺麗に相手を投げても「テイクダウン」という2ポイントが与えられるだけで試合は続行となります。抑え込みについてもたとえ1分間相手を完璧に抑え込んだところでポイントすらもらえません。
 柔術ではいかに「相手を関節技や絞技で極めるか」が目標になるので、その目標にたどり着くために有効な姿勢や動作(馬乗り状態や相手の背後につくなど)が認められた場合のみポイントが与えられます。


 立技でも寝技でも一本を取れるのが柔道で、寝技でしか一本を取れないのが柔術と言えます。

 

柔道と柔術におけるセンス
 「立技はセンス、寝技は努力」というのは柔道家や柔術家の間ではよく使われている言葉です。
 寝技における動作には一つ一つ理由があり、それぞれの技を極めるまでの道筋を論理的に理解することが技術向上への唯一の方法となります。つまり、それらの論理が理解、実践できれば誰でも強い寝技師になれるということです。
 一方で柔道の立技や投技の上達については努力に加えてセンスも大事な要素となっています。センス抜群の柔道家の技には、他の選手がどんなに努力をしても達することができないレベルのキレ味が見られます。そしてそのキレ味については、時に説明ができない、その人だからできるというものも多く存在するのです。


 選手のセンスがより発揮されるのが柔道で、選手の努力がより発揮されるのが柔術と言えます。

 

おススメはどっち?
 子どもたちには柔道がおススメです。より礼儀作法に厳しく、小学生の間は関節技と絞技が禁止なのと、中学高校にも柔道部があるので日本全国、場所を問わずに継続して練習をすることができます。ただ柔術道場も近年増えてきており、小学生向けクラスも開講されています。ですが、やはり柔術は寝技が中心なので大人がより楽しめるスポーツだと思います。

 

zyudo LINE

 

judo_prof筆者プロフィール

宮坂 龍一(みやさか りゅういち)
柔道参段。講道館で柔道を始め、暁星中高、筑波大学と柔道部に所属。元柔道香港代表U-17・U-12コーチ、2017年柔道日本マスターズ73kg級3位。

 

 

KLNBJJ_LOGOサタデーキッズ柔道クラス

場所:九龍柔術
住所:11/F., Park Hovan Commercial Bldg., 18 Hillwood Rd., Jordan
時間:毎週土曜日 3~6歳クラス 9:10~10:10、7~12歳クラス 10:15~11:30
指導言語:英語(メイン)、日本語、広東語
月謝:HKD600
最寄駅:佐敦(ジョーダン)駅D出口より徒歩5分
問い合わせ:info@klnbjj.comまたは(852)6647-7164(宮坂まで)

Pocket
LINEで送る