柔道を始める前に知っておきたい18のこと 第13回

2019/12/25

zyudo

第13回  下手くそに捧げる三つの教え

学問や運動、芸術どんな専門的な技術においても、何かひとつのことを習得しようとした時に、意識的にしろ無意識的にしろ私たちは必ず「段階」というものを踏んでいます。
柔道の創始者である嘉納治五郎師範は学びにおけるこの段階について、「上中下」という言葉を使って柔道を例に大きく三つに分けて説明されました。

柔道の上中下

以下の嘉納師範の言葉は「柔道に上中下三段の別あることを論ず」『柔道』第4巻第7号(大正7年)より抜粋したものです。

下段の柔道においては、攻撃防禦の方法を練習するのが目的である中段(の柔道)においては、(略)練習の各種の機会を利用して、精神の修養をするのである。他人の稽古の模様に注意し、種々の業について、観察し工夫するなど、身心を鍛錬し、己の情を抑制し、胆力を養い、要するに身体も精神も、己の意のごとく支配することの出来るようになることを言うのである上段の柔道に至っては、下段中段の柔道において得たる身体精神の力を最も有効に使用して、世を補益する場合をいう

まずは全体像を知る

下段とはいわゆる入門・初級段階のことを指し、ここでは「柔道とはなんたるかを知る」ということが目的と嘉納師範
はおっしゃっています。
例えば初心者が大外刈を学ぶ際に、大外刈に必要な10個のポイントがあるとしたらそのうちの7個だけ覚えられればいいということです。それ以外の3個のポイントはこの段階で理解する必要はありません。最初の段階ではまず大外刈の全体像を知ることが一番の目的となります。

中級者は自主性を

では、残りの3個のポイントはどうするのかというと、それらは中段にてじっくり時間をかけて習得するわけですが、中段での学び方にはより自主性が求められると嘉納師範は説いています。
オリンピック金メダリストの大外刈も初心者の大外刈も自分の足を振り下ろし相手の足を刈ることで投げるという点ではやっていることは同じ事です。その理由は下段で学んだ7個のポイントが大外刈の基本的な原理を形成するものだからです。しかし、想像に難しくないように、初心者の大外刈は試合では通用しません。なぜなら大外刈を試合で使えるようになるための大事なポイントは残りの3個の部分に凝縮されているからです。だからこそ、中段においては学びの自主性が必要なのです。最初の7個までは全員が同じ道をたどりますが、残りの3個については100人いれば100通りのやり方、理解が存在します。足の踏み込み、手首の使い方、体の寄せ方など人によって特徴が異なります。
ですから、自分の技を自ら分析し、優れた選手の技を自らよく観察し、どうやったら自分の技も試合で掛かるようになるのか、日々の練習でできる工夫を自ら考えることがこの段階では必要であるということです。修行における中段の期間は長く険しく、肉体の強さだけではなく精神的な強さも要求されるので、継続して自分自身をコントロールできるか否かが技の習得における最大のポイントとなります。

上級者は視野を広げる

試合で使えるようになった技としての大外刈は下段中段を通して完成されますが、その技の習得の過程で培った肉体的、精神的な力は大いに社会で活用されるべきであり、それを実践することが上段の目的であると最後に嘉納師範は述べています。
大外刈を実生活で使う機会はまずありませんが、大外刈を習得する上で身につけた分析力、観察力、判断力といった能力は仕事でも応用することができますし、柔道の練習を通して身につけた謙虚な心、相手を敬う心、お互いに助け合う心といった精神的な部分は実生活においても相手や場所、時間を問わずに役に立ちます。
このように嘉納師範は柔道の精神は社会の役に立つべきであり、実際に役に立つものであると信じてやみませんでした。

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judo_prof筆者プロフィール

宮坂 龍一(みやさか りゅういち)
柔道参段。講道館で柔道を始め、暁星中高、筑波大学と柔道部に所属。元柔道香港代表U-17・U-12コーチ、2017年柔道日本マスターズ73kg級3位。

KLNBJJ_LOGOサタデーキッズ柔道クラス

場所:九龍柔術
住所:11/F., Park Hovan Commercial Bldg., 18 Hillwood Rd., Jordan
時間:毎週土曜日 3~6歳クラス 9:10~10:10、7~12歳クラス 10:15~11:30
指導言語:英語(メイン)、日本語、広東語
月謝:HKD600
最寄駅:佐敦(ジョーダン)駅D出口より徒歩5分
問い合わせ:[email protected]または(852)6647-7164(宮坂まで)

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