教育相談室 第1回

2018/05/24

第1回「子どもたちと夢について語ろう」

 

ある中学生のお母さんがこんなことを言っていました。

「うちの子は将来の夢とか目標とか何にもなくて、どうしたものでしょうか?」

子どもたちに「将来の夢は何?」と聞くと、幼稚園児なら「お花屋さん」や「アイアンマン」などと答えるのに対し、大学生になると「いや、特にまだ考えてないっす」となるのはなぜでしょう。そして、それは日本人の子どもだけではなく香港の子どもも同じです。

・なぜ大きくなる(歳を取る)につれて、夢がかすれていくのか?
その大きな原因は歳を追うごとに彼らなりに現実を知るからだと思います。
周りの大人の姿や話、テレビやニュース、インターネットの情報を受けて、自分たちなりにできることとできないことを仕分けしてしまうのでしょう。

・「夢を持ちなさい」とよく言われているのはなぜ?
夢や目標があると何がいいって、自分のことならそれらに向かって頑張れますし、子どもたちに対してなら「じゃあ頑張らなきゃね!」と周りも具体的に応援や相談に乗ることができます。極端な話、すでに夢があって、その夢に対して学校の勉強なんか必要ないのであれば学校に行く必要はありません。そういう意味では学校(特に高校まで)は夢を見つける場所とも言えるでしょう。

・夢探しに焦りは禁物
そもそも「夢」は参考書やインターネットで調べれば見つかるようなものではないので、大人にとってもアドバイスに困るものです。ただ1つ、気をつけてほしいことは、夢そのものを子どもたち自身に無理に見つけさせようとすることはしてはいけないということです。

・「それも良し」と受け入れてあげる
夢や目標と言ってもその中身は十人十色。まずは私たち大人がそれぞれの夢や目標を受け入れてあげることが大切です。もちろん、偏差値40で東大目指しますとか、二刀流でメジャーに挑戦したいとか、普通の大人からしたら「もう少し現実的に考えなよ」と言いたいことも多いと思いますが、まずは「それも良いね、じゃあ頑張らなきゃ」と本人たちを応援する姿勢を示しつつ、彼らの本気度を見るのがいいでしょう。

少しずつ微調整することこそ大人の役割
子どもたちが夢に向かう途中、うまくいかない、挫折しそうな瞬間は度々訪れます。大人の役割は、彼らがうまくいっていない時にいかに励ましてあげられるか、ここに掛かっています。とりわけ、大人は失敗や挫折を子どもたちよりも多く経験していますから、たいてい子どもたちが失敗しそうな瞬間があれば分かるはずです。ですから、少なくとも、自分と同じパターンでの失敗だけは避けられるように子どもたちの進む道を少しずつ微調整してあげましょう。

・他人の夢に乗っかる
どうしても夢が見つからない子どもには他人の夢を一緒に叶えることも1つの道であることを教えましょう。サラリーマンがいい例です。サラリーマンとは、自分の勤めている会社の掲げる目標や夢のために働いています。就職活動ではそれぞれの会社の夢に注目するのもいいでしょう。夢のある人には情熱があります、そういう人を近くで見ていると、自分自身にもいずれ様々な情熱が湧いてくるはずです。

☆夢についてのまとめ
1.焦らない、焦らせない
2.本人の考えを受け入れてあげる
3.他人の夢も参考にする

夢に向かって一直線に進むのも、夢を探しながらジグザグ進むのもどちらも良し。
私も未だにジグザグしているところです。

さかもと りゅういち

筆者プロフィール
さかもと りゅういち
筑波大学体育専門学群卒業後、訪問営業、塾講師、日本語講師を経験しながら韓国、中国を渡り歩いたあと、香港にて学習塾開業プロジェクトに携わる。現在はドイツの粉ミルクを中国人に売る日本人として新しい業種での仕事に奮闘中。休日は香港人の子どもたちに柔道を指導しながら香港文化を学ぶ。

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