銅鑼湾の「香港柔道館」51周年

2017/08/24

今年で51周年を迎えた「香港柔道館」は銅鑼湾(コーズウェイベイ)駅を出てスグ、銅鑼湾SOGO百貨店隣のビル12階にある。
今回は同館で館長補佐を務めている岩田龍馬氏に創立に至る経緯から柔道を通じて同氏が日本人に伝えたいに「礼節の大切さ」について話を伺った

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香港柔道館の創立者であり岩見龍馬氏の父親でもある岩見武夫氏(現在の香港柔道館館長)は元々、東京で柔道の指導を手伝っていた。当時、香港へ行く機会があり、香港の地に足を踏み入れた時、「香港はこれから益々発展する」という潜在価値を肌で感じた。そして香港で「日本の柔道を香港人に伝えたい」という熱い想いで1966年、香港へ単身渡ったという。

当時は日本人も少なかったが、香港人や西洋人の生徒が武夫氏の道場に続々と入門した。意外にも柔道を知らないで入門した生徒が多かったが「柔道(JUDO)」は海外でも通じたため、生徒数も着実に増えていった。1995年頃からは日本からインストラクターも招いて柔道を指導するなど、日本と香港間の交流も欠かさず、柔道文化の普及に力を入れて今年で51周年を迎えた。

今回、インタビューに応じていただいた岩見龍馬氏(香港柔道館館長補佐)は香港生まれの香港育ちで広東語も堪能。物心ついた頃から柔道を始めた同氏は、20代になると子供に柔道の指導をするようになり、2012年から2年間、母校の香港日本人学校中学部でも柔道を指導した経験を持つ。「現在、日本でも柔道を知らない人は意外に多いですね。『(手でチョップの仕草をされて)柔道を指導されているんですよね?』と聞かれることもあり、少し心配です。」と不安な顔ものぞかせた。

「五輪連覇した元柔道家、井上康生選手が活躍した年は柔道ブームで生徒数も増えましたが、現在は日本人駐在員も少なくなってきました。同館の生徒数で一番多いのは世界でも柔道人口の多いフランス人。柔道人口で比較すると日本の約20万人に対して、フランスは約50~60万人はいるはず。」とフランス人の柔道に対する関心の高さも総じて、フランス人をはじめ、欧州出身の生徒数は現在も増えているという。

同館が掲げている指導方針について伺うと、「礼節を重んじて相手をリスペクトする心が大切」だが時には厳しく指導することもあるという同氏が同館で取り入れている「礼儀作法」は、「挨拶は何語でも良い」という他道場にはない指導方針。日本語はもちろん、広東語から英語、フランス語、北京語、スペイン語の元気な挨拶が飛び交い、時にふざけて自国以外の言葉で挨拶する生徒も少なくないと言う。「柔道ではまず自分自身の身を守ることが大切で、先手必勝の技(わざ)ではなく護身術」が基本の柔道に黙想も取り入れており、精神統一を図る貴重な修行の場にもなっている。

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「子供たちには黙想がよくわかっていないようですが、それでもちゃんとやってくれます」「やんちゃな子供が多いので、黙想をすることで心を落ち着かせ、それが子供の健やかな成長につながると思っています」と語ってくれた。

練習内容については大人の部と子どもの部に分かれており、大人の部は16歳以上から素人から玄人まで一緒に切磋琢磨して練習に励んでいる。週に2回ペースで来る生徒が多く、子どもの部では火・木・金・土の週4回クラスがあり、初心者は比較的金曜日のクラスに来ることが多いという。入門後約1か月間は怪我をしないよう、受け身の練習をしっかり行い、徐々に打ち込みや、投げ込み、乱取り、寝技といった実践練習に入っていくという。大人・子供の部では準備体操や練習後の整理体操も行っていて、怪我のない練習内容を心掛けながらも厳しい指導に熱が入ることも多々あるという同氏。基本的に英語での指導が多いが、日本人には日本語で指導してくれるのでとても安心して練習に臨める。技の名前は日本語というので日本人としては少しホッとできる。

初心者でも気軽に参加見学ができる同館では初回のみ無料体験も実施しているので、今すぐ柔道がしたくなった貴方、カラダ一つで柔道で汗を流して香港の暑い夏を投げ飛ばしてみてはいかがだろうか。

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岩見龍馬氏
香港柔道館館長補佐、主に火曜日の子供クラスを指導。香港生まれで香港育ちの日本人。香港日本人中学校を卒業してからはインター校へ通い、その後は米国と日本の大学に就学。

香港柔道館
住所:Rm1202, East Point Centre, 555 Hennessy Rd., CWB
電話:(852)2591-4570
ウェブ:www.hongkongjudokan.com
フェイスブック:香港柔道館 Hong Kong Judo Kan

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