カバーストーリー 2020年9月第1週号「香港は、猫天国」

2020/09/09

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 香港は、猫天国だ。香港にやって来たばかりの頃は、街中にいる猫の多さに驚いた。野良猫?!と思いきや、そうじゃない。そのほとんどが、お店で飼われているのである。特に、乾物屋には、必ずと言っていいほど、飼い猫がいる。何やらねずみ対策の一貫で飼われ始めたようだが、今やすっかり看板猫と化しているのだ。

 写真は、西営盤(サイインプン)にある乾物屋『樸記(Pok Kee)』の看板猫、ビューティーちゃんである。店主をはじめ、お客さんたちからも愛され、人を信頼しきった彼女は、非常に人懐っこい。ちなみに、彼女だけでなく、香港にいる猫たちの多くがそうだ。ねずみ対策のために飼われたのであろうと、たくさんの人たちから愛情をいっぱい注がれて育っている。その光景は、微笑ましい限り。

 そんな光景を一冊の写真集にまとめた写真家がいる。オランダ出身の写真家、Marcel Heijnen(マルセル・ハイネン)だ。『舗頭猫(Hong Kong Shop Cats)』という写真集で、猫たちが軒先に佇む光景を伝統的な風景と話す。確かに、乾物屋のような老舗は、徐々に減ってきている。このような光景を見られなくなる日がくるかもしれない。

 ただ、一方で、香港の人たちの中には、猫を愛する遺伝子が脈々と受け継がれているのだろうか。新しいショップにも、ちゃーーーんと看板猫の姿が見られる。時代と共に、街の在り方は変わるかもしれないが、猫と人が仲良く暮らす、その光景は変わらずにあって欲しいと願ってやまない。

 


樸記(Pok Kee)
住所:G/F., 93 Des Voeux Rd. West, Sheung Wan
電話:(852)2858-7978
インスタグラム:@pok_kee_

Marcel Heijnen(マルセル・ハイネン)
インスタグラム:@chinesewhiskers

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