僕の香妻交際日記 第44回 香港でお金のトラブルが発生したときの4つの心得

2019/12/11

 別に神様に悪口を言ったわけでもなく、いつも通り普通に生活をしていても災難というものは突如降りかかってくるものです。
 それでも多くの場合は自分の力で解決できたり時間が解決してくれたりと何とかなるのですが、まれに自分の力では何ともできない災難もあります。
 そんな厄介な災難に遭遇した時、最後の手段として考えられるのが「弁護士に解決依頼をする」という選択肢です。
 しかし、困ったからといってただ弁護士に相談しても高額の相談料を取られるだけで問題解決には至りません。
 もしあなたが何か厄介なことに巻き込まれそうと感じたときには弁護士に相談する前にやっておくべきことがあります。

心得その壱:証拠を集めろ
 厄介な問題に巻き込まれているときは、たいてい厄介な人間に関わってしまっていることが多いです。この厄介な人間のせいで問題が解決しないので、まずはこの人間の行動や発言をできるだけ記録しておきましょう。最も簡単な方法はWhatsApp上での会話のやり取りの記録です。このアプリ上の会話は自動的に記録される(LINEと同じ機能)ので要注意人物との過去の会話も後で簡単に振り返ることができます。
 証拠を集めるときのポイントは、電話よりもメッセージ(WhatsApp,FB,Messenger,LINEなど) を使って会話の記録を文字にしておくことです。
 電話や直接本人と話す機会がある場合、可能ならボイスレコーダーを使ってその場の会話を記録しておくことがベストです。
 相手側の問題行動や発言を証明する証拠がない場合、後で弁護士に相談するときや裁判が起きたときに自らの言葉に信憑性を持たすことができず主張を聞き入れてもらえなくなってしまう可能性もあるので、証拠は大切です。

心得その弐:労働局に行け

 日本にも各都道府県に労働局なるものがあるよう、香港にもLabour Departmentと呼ばれる雇用主、被雇用者間で発生した問題を相談できる政府の窓口が各地に存在します。例えば、会社が給与を支払ってくれない、ヘルパーが突然辞めたなどの問題もこの窓口で相談できます。ここに来れば無料で相談ができるので、弁護士に依頼する前にまずは自分の居住区にあるLabour Departmentにてアドバイスをもらうことをお勧めします。窓口で職員にアドバイスを受けた後、必要あらばその場で必要書類を提出することで、あなたとあなたを苦しめている相手とOfficerの三者で後日ミーティングをする機会を設けてくれます。このミーティングではOfficerが間に入って両者の言い分を聞き、その場で和解案を提案してくれます。しかし、Officerは法律にすごい詳しいのですが、あくまで公務員であり裁判官ではないので両者に和解案の承諾を強制する力まではなく、必ずしもこのミーティングで問題が解決するとは限りません。

心得その参:弁護士に相談しろ

 Labour Departmentでのミーティングでも問題が解決しない場合、次なる対決の舞台は法廷しかありません。そこで、裁判所に書類を提出し訴訟を起こすことになるのですが、その前に弁護士に一度相談しておいた方がいいでしょう。案件にもよりますが、弁護士から相手側に法的文書を送って給与やその他未払金の支払いを要求する場合もあります。この文書(手紙)の意味は「今支払えば法廷にこの案件を持っていくことなくクローズすることができる」といったものです。ですからほとんどの場合この文書をもらった相手は期限内に支払いを済ませます。Labour Departmentでもゴネていた相手が急に弁護士からの文書によって支払いに転じる理由は、やはり法廷決着となるとそれに伴う費用と時間が膨大にかかってしまうからだと推測されます。ちなみに過去の私のケースでは2戦2勝。弁護士から支払い要求文書を送ってもらった瞬間に未払いの給与や敷金が支払われました。ただしこの文書の作成と作成に当たり必要なヒアリング料は弁護士に支払わなければなりません。だいたい3,000~5,000香港ドルくらいしますが効果は抜群です。

心得その四:法廷決着だ 
 Labour Departmentでも弁護士による文書でも解決できない場合はいよいよ法廷に行くしかありません。請求する金額の大きさによって弁護士不要の即日決着裁判なのか、テレビドラマさながらのガチンコの裁判なのかは分かれますが、ここから先は私もまだ足を踏み入れたことがない世界なのでよくわかりません。ただ、裁判となれば証拠がすべてなので、冒頭にも述べたように証拠となりそうなものはすべて取っておきましょう。


ルーシー龍(りゅう)ルーシー龍
香港人の妻と香港と日本のハーフの娘と一緒に暮らす日本人。狭くて広い香港で何とか一花咲かせようと企みながら早6年。座右の銘は「生きろ」。

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