僕の香妻交際日記 第28回「香港で子を産む 診察編」

2018/08/07

香港で子どもを産むことは、愛しさと切なさと心強さが入り混じったような涙が出てくるくらい険しくて、それでいて非常に感動的です。

そこで今回は香港で妊娠発覚から出産に至るまでに通るべきプロセスを紹介いたします。香港での出産を考えている方も端から考えていない方も適当に参考にしていただければ嬉しいです。

 

①無料か、それとも10万ドルか

妊娠が発覚したら、まずは病院選びです。香港での選択肢は政府病院と私立病院の2つです。それぞれの違いはなんと言っても出産までに掛かる費用。政府病院なら基本的に無料、私立病院なら10万香港ドル以上と覚えておくといいでしょう。とはいえ、この時点ではどちらの病院で出産するかを決める必要はなく、それぞれの病院に行って診察を受けることが可能です。

 

②政府病院の門を叩くと…

政府病院の場合、自宅がどの地区に属するかで行くべき病院が自動的に決まります。そして、いざワクワクドキドキしながら病院の産婦人科フロアに乗り込むと、そこはまるで休日の馬券売場のような人だかり。政府病院を選んだあなたは、この敵か味方か分からない人々とこれから10ヵ月一緒に闘うことになります。でも無料です。

 

③私立病院ではドクターを指名しよう

ホストクラブのように入口にドクターたちの顔写真が並んでいるわけではないので、友人やインターネット上での情報をもとにお気に入りのドクターをあらかじめ見つけて指名します。人気のあるドクターはそれなりの理由がありますから、一番人気のドクターを指名するのが無難です。せっかく高いお金を払うんだから信頼のできるドクターに診てもらいたいですよね。

 

④政府病院、絶対に負けられない戦い

政府病院の産婦人科は戦場です。看護師たちに笑顔はありません。毎日がワールドカップ最終予選大陸間プレーオフ並みの緊迫感が漂っています。ここでは妊婦さんたちは看護師たちの言うことをひたすら聞きます。聞き逃す、聞き間違える、または少し反論すると怒られます。厳しい戦いは始まったばかりです。また物品も医師の数も限られているのでとにかく待たなければなりません。でも無料です。

 

⑤毎回500ドル

私立病院では妊娠初期で月一回、後期になると月二回、その後毎週と出産が近づくにつれて診察回数が増えていきます。基本的に診察だけだと500ドルくらいで済みます。ただ、そこに薬代が加算されるので毎回600~700ドルといったところでしょう。さらに出産までの10ヶ月の間に赤ちゃんのDNA検査や4Dエコー検査などのオプション項目もあるので出産までに2万ドル~3万ドルの出費があると考えておくと良いです。

 

政府病院の診察費用無料というのは大変魅力的です。ただ、無料ですから施設も設備もそれなりで、医師も看護師もそれなりの対応です。さらに政府病院の医療ミスに関するニュースは毎年2回は流れます。そういった背景もあり、出産までの道のりは妊婦さんにとって精神的にも体力的にもタフなものだと思ったので、私は妻に私立病院での出産を勧めました。結果的にその決断が良かったのかどうかは分かりません。もしかしたら香港で子を産むこと自体、ベストな選択ではなかったのかもしれないと思うこともあります。

 

ただ、一つ言えることは、香港で産まれた私たちの子は今も健康にすくすくとここ香港で育っているということです。

 

「私たちは死んで地獄に堕ちるのではない。人はすべて地獄に生まれてくるのである。」

 

五木寛之「大河の一滴」、よろしくお願いします。

 

「政府病院ではとにかく待たされるので、朝一番で受付を済ませることをおススメします」

「政府病院ではとにかく待たされるので、朝一番で受付を済ませることをおススメします」

次回は、「香港で子を産む出産編」をお送りします。

 

 

ではでは。

 

 

 


ルーシー龍(りゅう)ルーシー龍
香港人妻との結婚歴3年目の日本人。沢木耕太郎の「深夜特急」を読んでチョンキンマンションに憧れて香港にやって来る。趣味は早く家に帰って妻と一緒にTVBのドラマを見ること。

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