僕の香妻交際日記 第6回 これからもずっと胴長短足の日本人

2017/07/04

日本の文化を表現するときに、
「事なかれ主義」という言葉が用いられることがあります。
この言葉は「いざこざがなく、平穏無事に済みさえすればよいとする
消極的な態度や考え方」という意味を指しますが、では実際のところどうなんでしょうか。
…ということで今回、私の妻(香港人)と私(日本人)で比較してみました。

トイレに行きたいけど…我慢我慢

トイレに行きたいけど…

例えば、レストランで態度の悪い店員がいたとき、妻の場合は、もはや食事のことは忘れてその場で店員本人または責任者にクレームをつけます。
私はというと、嫌な気持ちにはなりますがそんな店員のことは無視して食事に集中しようとします。

買い物するとき、私の妻は買う前にその商品に傷や汚れなどの欠陥がないかしっかり調べます。糸一本でもほころびがあれば、店員にどうにかするよう詰め寄ります。
そしてどんなに気に入ったものでも他に在庫がなければ…
買いません。一方、私も商品のチェックはしますが、相当な欠陥がないかぎり、糸一本くらいのほころびは無視して買ってしまいます。

オフィスではどうでしょう。
「ちょっとクーラー寒いな」と思ったときに、
私の妻は電源を消すことで温度調整しますが、
私は自分でカーディガンを持参するなどして着るもので温度調整します。

こうして見ると、私(日本人)は周りの人との接触を避けながら、
自分の意識や行動を変えることで問題解決? をしていることが分かります。
一方、私の妻(香港人)は先ず自己主張を周りの人に伝えてから、
自分の納得できるところまで結論を持っていきます。
妻に言わせてみれば「自分が我慢するなんてバカね。
客として社員としての権利を全うするべきよ。」とのことですが…
確かに言っていることは理解できます、ただそれを実践できるかどうかはまた
少しの勇気と相当な慣れが必要です。

かつて三島由紀夫がこのようなことを言っています。
「どんなに英語を流暢に話そうと、その土地に慣れようと、
ショーウィンドウに映る自分は胴長短足のまぎれもない日本人」
事なかれ主義は鎖国時代に外部との接触を遮断し、
自国の繁栄を目指した島国日本ならではの独特な考え方のようです。
外国の人から見たら「ここが変だよ日本人」と思われるかもしれませんが、
だからといって私たち日本人が香港人のように
繕う必要もありません。日本人は日本人らしく、
さあ、今日も「事なかれ~事なかれ~」と祈りな
がら会社に行くとします。

ルーシー龍

ルーシー龍(りゅう)
香港人妻との結婚歴3年目の日本人。沢木耕太郎の「深夜特急」を読んでチョンキンマンションに憧れて香港にやって来る。趣味は早く家に帰って妻と一緒にTVBのドラマを見ること。

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