最新のエコ・フレンドリー建築とは

2017/06/21

蒸し暑い季節を迎えると、都会を離れて涼しい郊外で過ごしたいと切実に考える方も多いのではないだろうか。熱帯気候の中に高層建築が高い密度で建つ香港はしばしば、非開発地域より摂氏12度程度気温が上昇する、”アーバン・ヒートアイランド現象”に悩まされてきた。

Hotel-Exterior

空調を使うことはこの都市の夏に対処する方法として、環境的に優しいとはいえない。根本的な解決策としては涼しく、スマートな都市を建設することが必要なのだ。

持続可能な建築デザインを得意とするCL3所属の建築家、William Lim氏は、それがZero Carbon Building(ZCB)のエコホーム・コンポーネントを通じて九龍湾プロジェクトでいかに実現されるのか、期待している。

香港で最初のZCBは、積極的なグリーンテクノロジーと組み合わせたエコデザインがいかに都市の建築物の二酸化炭素排出量を削減し、より快適で健康的な生活環境を作り出すことができるかを示す、ロールモデルとして作られた。香港では建物からの使用が全電力消費の約89%を占めており、電力は都市の熱排出量の60%以上を占めているため、より環境に配慮した建物の建築は政府の二酸化炭素削減目標の重要な要素となっている。

Skybridge

Lim氏曰く、現存する建物の問題点の1つは1960~70年台に盛んに作られたガラス張り建築だという。

「ガラス張りの建物は自然光が入り、一見省エネのようですが、窓を開けることができないので常に一定の空調が必要で、ガラスは日光や熱を反射します。エコホームのモデルフラットでは、窓を開けて換気を可能にし、サイトの向きを調節する機能を持たせました。」

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2012年の最初の発表以来、ZCBのエコ・ホームは、技術開発に沿って改訂され、住民が容易に取り入れることができる持続可能な生活様式と、ローカーボン住宅のスマートなデザイン哲学がライフ・クオリティを高めることを実証してきた。

「LEED※1の基準を満たす、バナナの葉から作られたキャビネットや竹材の床など、全ての建設資材は持続可能です。 バスルームには低流量の蛇口タップ、テラスにはハーブや野菜を育てられるグリーンハウス、歩くだけでエネルギーを生み出すピエゾ発電床、先進の照明システムや節水効果の高い洗濯機など様々な技術を取り入れ、カスタムメイドの受動冷却システムにより、夏場も室内は快適。多くの開口窓とシーリングファンがあるほか、暑さで空調を付けた場合、冷気は部屋全体ではなく効率的にベッドに向けられるように設計しています。」

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現在、エコホームで展示されている製品や技術は全て香港で入手・利用可能で、ガイドツアーも予約ができる。Lim氏は、LEEDやBEAM※2認証を目指す開発業者は今後増えると予測している。

この分野のパイオニアであるCL3はグリーンの要素を取り入れたHotel Iconを2011年に手掛けたのを始め、完成間近のHenderson Land社のプロジェクト、H Queen’sにも最新の環境技術を採用し、LEEDとBEAMのゴールド認証を受けた。Lim氏はこういった取り組みは環境に配慮する建築家の果たすべき役割だと考えている。

※1 LEED(Energy and Environmental Design Leadership)
※2 BEAM(Building Environmental Assessment Method)

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